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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
サルファー先輩が、また俺に微笑んでくれる、それだけで十分だと思ってたのに
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久しぶりだ。久しぶりに、先輩に目を合わせてもらえた。
サルファー先輩が近づいてくる。引き締まった長い足が、一歩、二歩と。大股で進む度に鳴る、ブーツの音が妙に大きく聞こえて落ち着かない。
勝手に足が後退りそうになってしまう。
『大丈夫だ、相棒。俺達が側に居る。思いっきりぶつかっていけ』
『頑張って、シュン。僕達、応援してるから』
そうだ。しっかりしないと、俺もサルファー先輩と向き合わないと。伝えないと、俺の気持ちを。
二人の言葉が俺に勇気をくれる。そして。
『大丈夫、きっと全部上手くいくから……オレを信じて』
練習場の真ん中で佇み、俺を、サルファー先輩の背を見つめているオレンジの瞳。ソレイユ先輩が、頑張ってくれたんだから。機会を作ってくれたんだから。
ブーツの音が鳴り止んだ。
サルファー先輩が、俺を見下ろしている。
「シュン……」
「サルファー先輩、俺っ」
「済まない、シュン」
間髪入れずに返ってきた否定の言葉に、喉が、胸が詰まっていく。
けれども、すぐに緩むことになるとは。
「……俺から言わせてくれないか?」
「……え?」
呆気に取られている俺の前で、鍛え上げられた長身が屈んでいく。
石畳の上で跪いた先輩が、胸に手を当て、頭を垂れる。
数秒の沈黙の後、再び合った黄色の瞳。先輩が、真っ直ぐに俺を見上げていた。
「君に伝えたいことがある。どうか、俺の話を聞いて欲しい」
「っ……はい」
差し出された手を握る。俺よりひと回り大きな手には、太い指には、彼の努力の証が至る所に刻まれていた。
先輩は、少し驚いたらしかった。僅かに瞳を見開いて、長い睫毛を瞬かせている。
でも、ほんの少しの間だけだった。ゆるりと細められ、形のいい唇が緩やかなラインを描いていく。
……笑ってる、先輩が。
……俺に、微笑みかけてくれている。
それだけで、俺は十分だった。ずっとよそよそしかった先輩から、以前のように柔らかい笑みを向けてもらえて。
十分だって、思ってたのに。
「君が好きだ」
たった、一言だった。
夢にまで見ていた一言を、焦がれていた人に言ってもらえただけ。それが、こんなにも嬉しいだなんて。満たされるものだなんて。
でも先輩は、震える俺の手を優しく握ってくれている先輩は、またあっさりと飛び越えてきてしまうんだ。
「シュン、愛してる。君のことは一生俺が守るから、俺だけのものになってくれないか?」
ただでさえ煩かった胸がジンと熱くなってしまう。頭の中が真っ白に染まっていく。
嬉しい、好きだ、俺だって、色んな気持ちが込み上げ、あふれて俺の頬を伝っていく。
「俺も、先輩のこと、好きですっ……」
サルファー先輩が近づいてくる。引き締まった長い足が、一歩、二歩と。大股で進む度に鳴る、ブーツの音が妙に大きく聞こえて落ち着かない。
勝手に足が後退りそうになってしまう。
『大丈夫だ、相棒。俺達が側に居る。思いっきりぶつかっていけ』
『頑張って、シュン。僕達、応援してるから』
そうだ。しっかりしないと、俺もサルファー先輩と向き合わないと。伝えないと、俺の気持ちを。
二人の言葉が俺に勇気をくれる。そして。
『大丈夫、きっと全部上手くいくから……オレを信じて』
練習場の真ん中で佇み、俺を、サルファー先輩の背を見つめているオレンジの瞳。ソレイユ先輩が、頑張ってくれたんだから。機会を作ってくれたんだから。
ブーツの音が鳴り止んだ。
サルファー先輩が、俺を見下ろしている。
「シュン……」
「サルファー先輩、俺っ」
「済まない、シュン」
間髪入れずに返ってきた否定の言葉に、喉が、胸が詰まっていく。
けれども、すぐに緩むことになるとは。
「……俺から言わせてくれないか?」
「……え?」
呆気に取られている俺の前で、鍛え上げられた長身が屈んでいく。
石畳の上で跪いた先輩が、胸に手を当て、頭を垂れる。
数秒の沈黙の後、再び合った黄色の瞳。先輩が、真っ直ぐに俺を見上げていた。
「君に伝えたいことがある。どうか、俺の話を聞いて欲しい」
「っ……はい」
差し出された手を握る。俺よりひと回り大きな手には、太い指には、彼の努力の証が至る所に刻まれていた。
先輩は、少し驚いたらしかった。僅かに瞳を見開いて、長い睫毛を瞬かせている。
でも、ほんの少しの間だけだった。ゆるりと細められ、形のいい唇が緩やかなラインを描いていく。
……笑ってる、先輩が。
……俺に、微笑みかけてくれている。
それだけで、俺は十分だった。ずっとよそよそしかった先輩から、以前のように柔らかい笑みを向けてもらえて。
十分だって、思ってたのに。
「君が好きだ」
たった、一言だった。
夢にまで見ていた一言を、焦がれていた人に言ってもらえただけ。それが、こんなにも嬉しいだなんて。満たされるものだなんて。
でも先輩は、震える俺の手を優しく握ってくれている先輩は、またあっさりと飛び越えてきてしまうんだ。
「シュン、愛してる。君のことは一生俺が守るから、俺だけのものになってくれないか?」
ただでさえ煩かった胸がジンと熱くなってしまう。頭の中が真っ白に染まっていく。
嬉しい、好きだ、俺だって、色んな気持ちが込み上げ、あふれて俺の頬を伝っていく。
「俺も、先輩のこと、好きですっ……」
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