135 / 521
マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
ソルが怒っている原因は分かった、しかし
しおりを挟む
再び、勢いをつけて飛び上がり、俺の頭部目掛けて剣を降り下ろしてくる。今度は、受け止める間が。
「くっ……」
咄嗟に横に飛ぶことで、渾身の一撃を躱した。やられてばかりでは。
全体重をかけて着地したソルの、無防備な胴体を狙って薙ぎ払う。確実に捉えたハズだった。
「なっ」
これもまた読まれていたらしい。あっさりめ受け止められてしまった。剣を縦にし、俺の一撃を軽くいなす。
しまったと思う時には、もう別の一撃が。長い足が俺の鳩尾に、強烈な打撃を食らわせた後だった。
見事に蹴っ飛ばされた俺は、身体をくの字に折りながら、後退る。ブーツの底が石畳を擦る音が、大きく聞こえた。
「ぐぅっ……いつも以上に、容赦が……無いな」
胸が重たい。息が詰まる。今ので肋骨が何本か、もっていかれたかもしれない。
片手で庇うように鳩尾を押さえる俺に、ソルは呆れたような声で告げてきた。
「へたれた根性叩き直すのに、手加減なんかしてどーすんのよ」
「……さっきから意気地無しだの、ヘタレだの、一体何の話だ?」
ソルが怒っている原因は分かった。
……シュンだ。俺が、彼を傷つけてしまったから。俺を殺したいほど怒る気持ちも分かる。
何故なら、シュンはソルを慕っている。それに、ソル自身も、きっとシュンのことを……
だから、余計に分からない。何故、そこで俺が出てくるんだ? どうして、俺との喧嘩を彼に見せる必要がある?
俺に怒っているのならば、俺を殴ればいいだけだろう。
「はぁ? それ、マジで言ってんの? 引くんだけどっ!!」
答えが返ってくることはなかった。ただ、彼の怒りを増長させてしまっただけに終わった。
……言葉で駄目ならば、剣で語るしか。
大きく息を吐いて剣を構えた俺に向かって、一足飛びにソルが突っ込んでくる。
また頭か。即頭部を目掛けて横に振るってきた剣筋を、上体を反らすことで辛くも避けた。
しかし、すぐさま次の一撃が。畳み掛けるように、俺の頭上に向かって剣を振り下ろしてくる。
間一髪のところで、横に構えた剣で再びそれを防いだものの、体勢が悪いせいだろう。押し負けそうになってしまう。
「分からない、からっ……聞いたんだがなっ」
俺の鼻先で交差している剣が、耳障りの悪い音を立てて震える。手のひらに広がる熱い痺れが、じくじくと全身に広がっていく。
瞳孔が開かんばかりに、俺を鋭く睨めつけてくるソル。食いしばった歯の隙間から、獣地味た吐息を漏らすばかりだったが、不意に口角を持ち上げ笑った。
「じゃあ、望み通りハッキリ言ってやるよ……」
思わせ振りに言葉を切り、息を大きく、ありったけ吸い込む。そして。
「ウジウジしてる暇があったら、シュンちゃんにさっさと告白しろよ! この剣術馬鹿!!」
思いがけない言葉と共に吐き出した。
「くっ……」
咄嗟に横に飛ぶことで、渾身の一撃を躱した。やられてばかりでは。
全体重をかけて着地したソルの、無防備な胴体を狙って薙ぎ払う。確実に捉えたハズだった。
「なっ」
これもまた読まれていたらしい。あっさりめ受け止められてしまった。剣を縦にし、俺の一撃を軽くいなす。
しまったと思う時には、もう別の一撃が。長い足が俺の鳩尾に、強烈な打撃を食らわせた後だった。
見事に蹴っ飛ばされた俺は、身体をくの字に折りながら、後退る。ブーツの底が石畳を擦る音が、大きく聞こえた。
「ぐぅっ……いつも以上に、容赦が……無いな」
胸が重たい。息が詰まる。今ので肋骨が何本か、もっていかれたかもしれない。
片手で庇うように鳩尾を押さえる俺に、ソルは呆れたような声で告げてきた。
「へたれた根性叩き直すのに、手加減なんかしてどーすんのよ」
「……さっきから意気地無しだの、ヘタレだの、一体何の話だ?」
ソルが怒っている原因は分かった。
……シュンだ。俺が、彼を傷つけてしまったから。俺を殺したいほど怒る気持ちも分かる。
何故なら、シュンはソルを慕っている。それに、ソル自身も、きっとシュンのことを……
だから、余計に分からない。何故、そこで俺が出てくるんだ? どうして、俺との喧嘩を彼に見せる必要がある?
俺に怒っているのならば、俺を殴ればいいだけだろう。
「はぁ? それ、マジで言ってんの? 引くんだけどっ!!」
答えが返ってくることはなかった。ただ、彼の怒りを増長させてしまっただけに終わった。
……言葉で駄目ならば、剣で語るしか。
大きく息を吐いて剣を構えた俺に向かって、一足飛びにソルが突っ込んでくる。
また頭か。即頭部を目掛けて横に振るってきた剣筋を、上体を反らすことで辛くも避けた。
しかし、すぐさま次の一撃が。畳み掛けるように、俺の頭上に向かって剣を振り下ろしてくる。
間一髪のところで、横に構えた剣で再びそれを防いだものの、体勢が悪いせいだろう。押し負けそうになってしまう。
「分からない、からっ……聞いたんだがなっ」
俺の鼻先で交差している剣が、耳障りの悪い音を立てて震える。手のひらに広がる熱い痺れが、じくじくと全身に広がっていく。
瞳孔が開かんばかりに、俺を鋭く睨めつけてくるソル。食いしばった歯の隙間から、獣地味た吐息を漏らすばかりだったが、不意に口角を持ち上げ笑った。
「じゃあ、望み通りハッキリ言ってやるよ……」
思わせ振りに言葉を切り、息を大きく、ありったけ吸い込む。そして。
「ウジウジしてる暇があったら、シュンちゃんにさっさと告白しろよ! この剣術馬鹿!!」
思いがけない言葉と共に吐き出した。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?


笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。
くまだった
BL
新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。
金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。
貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け
ムーンさんで先行投稿してます。
感想頂けたら嬉しいです!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる