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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
昨日も、今日も泣いてばかり、皆の優しさに甘えてばかりだ
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昨日は、ほとんど眠れなかった。
目を閉じると、浮かんでしまうから。申し訳なさそうな顔をしたサルファー先輩が、振り返らずに駆けていってしまう姿が、何度も。
そのせいで、今朝はダンとライに心配をかけてしまった。サルファー先輩にも。
学校への道中、いつもよりも早く合流してくれたソレイユ先輩。彼が上手く誤魔化してくれたお陰で、皆は浮かない表情をしていたものの、それ以上何も聞いてくることはなかった。正直助かった。
授業中も頭の中は、先輩のことばかり。内容が、全く入ってこなかった。
グレイ先生にも、当然バレてしまった。
気を遣ってくれたんだと思う。何も聞かないでいてくれた。優しく微笑んで「話したくなったら、いつでもアトリエへおいで。私は、どんな時でも君の味方だからね」と頭を撫でてくれた。また泣いてしまいそうだった。
気がつけば、放課後になっていた。
「おい、相棒。今日も行くんだろ? 練習場」
いつの間にか、俺の席の前にはダンが、その隣にはライもいて、二人共心配そうに俺を見つめていた。
「……うん」
「そうか」
短く頷いたダンが、俺ごと椅子を後ろに引いた。驚く間もなく脇の下に手を入れられ、優しく立ち上がらされる。
「え、ちょ、ダン?」
「ライ」
「オッケー!」
困惑しっぱなしの俺の右手を掴んだかと思えば、呼びかけに応えたライが俺の左手を掴んでいた。俺の鞄まで、ダンが自分の分とまとめて肩にかけてしまっている。
「えっ……と? ダン? ライ? これって?」
「見りゃあ、分かるだろうが! 送ってくんだよ! 俺達二人で、相棒を!」
「練習場までだから……ね、いいでしょう?」
正直なところ、心細くて仕方がなかった。
ソレイユ先輩が、何とかしてくれると言ってくれたけれど、不安の方が勝ってしまっていたんだ。
もし、本当にサルファー先輩から嫌われていたら、友達としても接してくれなかったら。
もう二度と、俺に微笑みかけてくれなかったら……想像してしまうだけで、足が震えて、全身が鉛みたいに重くなってしまって、動かなくて……
練習場に行くことすら、怖くて……だから。
「……いいの?」
二人に尋ねた声は、自分でも驚くくらい、か細くて、震えていた。
視界なんて、とっくに滲んでしまっている。今にもこぼれてしまいそうだ。みっともなく、泣いてしまいそう。
「一緒に、来て……くれるの? 俺、二人に何も……言えて、ないのに……」
「つったく、当たり前だろうが。それに、シュンのことだ、言いたくなったら言うだろうし、言わなくても大体分かるっつうの。俺達とお前の仲だろうが」
「僕達、友達でしょう?」
ダンの大きな手が、俺の頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。ライの小さな手が、俺の手を両手でしっかり握りながら、そっと擦ってくれる。
「……うんっ」
今度こそ、我慢出来なかった。あふれてしまっていた。
ダンも、ライも、待っていてくれた。俺が落ち着くまで、泣き止むまで。
ダンは、ずっと頭や背中を撫でてくれた。ライは、手を繋いだままハンカチで頬を拭ってくれた。二人の優しさが嬉しくて、ますます涙腺が緩んでしまったのは内緒だ。
まだ、鼻の奥はツンと痛いけれど、ようやく止まった頃だった。
「シュン……」
「なに? ダン……」
「何があっても、俺は…………ライも、お前の側にいるからな」
途中で何かを言いかけて、言い直したダンの瞳は、優しさに満ちていた。けれども、どこか寂しそうで……何故か、昨日のソレイユ先輩の微笑みと重なった。
俺は、何か言おうとした。
でも、言葉が出て来なくて。どう言葉にしたらいいのか分からなくて。
「たとえ、お前に好きなヤツが……特別なヤツが出来たとしても関係ねぇ……俺は、俺達はずっと一緒だ。いいな?」
「っ……うん……」
ダンの、二人の優しさに甘えてしまったんだ。
目を閉じると、浮かんでしまうから。申し訳なさそうな顔をしたサルファー先輩が、振り返らずに駆けていってしまう姿が、何度も。
そのせいで、今朝はダンとライに心配をかけてしまった。サルファー先輩にも。
学校への道中、いつもよりも早く合流してくれたソレイユ先輩。彼が上手く誤魔化してくれたお陰で、皆は浮かない表情をしていたものの、それ以上何も聞いてくることはなかった。正直助かった。
授業中も頭の中は、先輩のことばかり。内容が、全く入ってこなかった。
グレイ先生にも、当然バレてしまった。
気を遣ってくれたんだと思う。何も聞かないでいてくれた。優しく微笑んで「話したくなったら、いつでもアトリエへおいで。私は、どんな時でも君の味方だからね」と頭を撫でてくれた。また泣いてしまいそうだった。
気がつけば、放課後になっていた。
「おい、相棒。今日も行くんだろ? 練習場」
いつの間にか、俺の席の前にはダンが、その隣にはライもいて、二人共心配そうに俺を見つめていた。
「……うん」
「そうか」
短く頷いたダンが、俺ごと椅子を後ろに引いた。驚く間もなく脇の下に手を入れられ、優しく立ち上がらされる。
「え、ちょ、ダン?」
「ライ」
「オッケー!」
困惑しっぱなしの俺の右手を掴んだかと思えば、呼びかけに応えたライが俺の左手を掴んでいた。俺の鞄まで、ダンが自分の分とまとめて肩にかけてしまっている。
「えっ……と? ダン? ライ? これって?」
「見りゃあ、分かるだろうが! 送ってくんだよ! 俺達二人で、相棒を!」
「練習場までだから……ね、いいでしょう?」
正直なところ、心細くて仕方がなかった。
ソレイユ先輩が、何とかしてくれると言ってくれたけれど、不安の方が勝ってしまっていたんだ。
もし、本当にサルファー先輩から嫌われていたら、友達としても接してくれなかったら。
もう二度と、俺に微笑みかけてくれなかったら……想像してしまうだけで、足が震えて、全身が鉛みたいに重くなってしまって、動かなくて……
練習場に行くことすら、怖くて……だから。
「……いいの?」
二人に尋ねた声は、自分でも驚くくらい、か細くて、震えていた。
視界なんて、とっくに滲んでしまっている。今にもこぼれてしまいそうだ。みっともなく、泣いてしまいそう。
「一緒に、来て……くれるの? 俺、二人に何も……言えて、ないのに……」
「つったく、当たり前だろうが。それに、シュンのことだ、言いたくなったら言うだろうし、言わなくても大体分かるっつうの。俺達とお前の仲だろうが」
「僕達、友達でしょう?」
ダンの大きな手が、俺の頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。ライの小さな手が、俺の手を両手でしっかり握りながら、そっと擦ってくれる。
「……うんっ」
今度こそ、我慢出来なかった。あふれてしまっていた。
ダンも、ライも、待っていてくれた。俺が落ち着くまで、泣き止むまで。
ダンは、ずっと頭や背中を撫でてくれた。ライは、手を繋いだままハンカチで頬を拭ってくれた。二人の優しさが嬉しくて、ますます涙腺が緩んでしまったのは内緒だ。
まだ、鼻の奥はツンと痛いけれど、ようやく止まった頃だった。
「シュン……」
「なに? ダン……」
「何があっても、俺は…………ライも、お前の側にいるからな」
途中で何かを言いかけて、言い直したダンの瞳は、優しさに満ちていた。けれども、どこか寂しそうで……何故か、昨日のソレイユ先輩の微笑みと重なった。
俺は、何か言おうとした。
でも、言葉が出て来なくて。どう言葉にしたらいいのか分からなくて。
「たとえ、お前に好きなヤツが……特別なヤツが出来たとしても関係ねぇ……俺は、俺達はずっと一緒だ。いいな?」
「っ……うん……」
ダンの、二人の優しさに甘えてしまったんだ。
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