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マッチョな先生と恋人同士になった件(グレイルート)

先生が、俺に見せたい物って

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 窓の外を流れていく景色から、徐々に人工的なものが減っていく。代わりに少しずつ緑が増えていく。こんなに街から離れたの、初めてだな。

 何となく感慨深い思いに浸っていると、目的地らしきものが見えてきた。緩やかな坂道を上った先に、白い不思議な形の建物がポツンと佇んでいる。

「先生、俺に見せたい物があるところって……」

「うん、あそこだよ」

 やっぱりか。でも、どういう場所なんだ? こんな街から離れたところにあるなんて。

 自然にあふれている場所だからだろうか。それなりに遠くまで来たというのに、中々の盛況具合。大きなショッピングモール並みに広い駐車場は、すでに半分ほど埋まっている。

 運良く空いていた、建物にほど近い場所。そこに先生が、流れるようにスムーズな運転で駐車した。早い動作で車から降りると、助手席のドアを開けてくれる。

「さあ、行こうか。シュン君」

「はい、グレイ先生」

 柔らかい微笑みと共に差し出された手を取り、繋ぎ、歩み出す。建物へと続く道すがらには、何かの銅像や変わった形のオブジェが至るところに設置されている。

 先生が描く、抽象的な絵みたいだ。そっち方面のセンスが一ミリも無い俺には、キレイですねとか、単純な感想しか言えないのだけれど。

 現に、すれ違う芸術品達にも、なんかスゴいなとか。作るの大変そうとかしか浮かばない。

 それでも、何がオブジェがある度に、顔ごと釣られる。右に左に、少し上に。そんなことを繰り返している内に目的地へと辿り着く。

 近くで見れば、なんとも。三階はあるだろう建物は、名のある職人さんがデザインしましたと言わんばかり。どういう骨組みをすれば、こんな屋根になるんだろうか。波のごとくウェーブしている。

 日差しを取り入れる為、なんだろうか。一階は、ほとんどガラス張りになっていた。大きな自動ドアを通って中に入ると、飛び込んでくる色とりどりの絵画。受付らしい場所の壁にも、奥の部屋にも、壁の至るところに絵が飾られている。

「……もしかして、美術館ですか?」

 先生が笑顔で頷く。俺の手を引きながら受付へと歩いていく。

 にこやかに挨拶をする女性が先生に気付くと、慌てた様子で何処かに連絡を入れた。

 程なくして現れた、立派な髭をたくわえた大柄な中年の男性。品のいい焦げ茶色のスーツに身を包んだ男の人が、コツコツと靴音を鳴らしながら俺達の元へ向かってくる。

「やぁ、グレイ君、よく来てくれたね」

「こんにちは、いつもお世話になっております」

 朗らかに笑う男の人と握手を交わす先生。お知り合いか。お友達……なのかな。先生よりも、ひと回りくらい年上っぽいけれど。
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