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マッチョな先生と恋人同士になった件(グレイルート)

★ 先生にだったら、何をされたって、俺は……

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 ……顔が熱い。また悲惨なことになっていそうだ。今はまだ、涙とかは出ていないけれど。

 手の動きが止まったかと思えば、頬に感じた柔らかい温度。馴染みのある体温が、ゆったりと撫でてくれる。先生の手だ。

 目線だけ、そっと戻した先には、いつもの先生が。意地悪じゃない、優しい俺のグレイ先生が、申し訳無さそうに眉を八の字に下げていた。

「……ごめんね、君の反応が可愛くて……ついね。こんな私は……嫌いかな?」

 今度は、先生が俺から逃げた。大きな背を丸めて、俯く掘りの深い顔は、すっかり沈んでしまっている。

 そんな訳、ないのに。先生にだったら、何をされたって、俺は……

「全部好きに決まってるじゃないですか。そういうところも含めて」

 伝えなければ。そう強く思った時には、触れていた。手を伸ばし、両の頬を包み込むように。

「シュン君……」

「好きですよ、大好きです。これから何度でも言います。先生の耳にタコが出来ても言い続けますから」

「ふふ……それは、とても嬉しいけれど……少し困ってしまうね」

 擽ったそうに笑う先生の顔には、もう憂いはない。晴れやかだ。

 ゴツゴツした大人の手が、俺の手に重なる。

「……私も大好きだよ、シュン……愛してる」

 微笑む瞳に、吸い寄せられたみたいだった。

 先生が、俺との距離を詰めてきたのと同じタイミングで、俺も先生に唇を寄せていたんだ。

「先生……は、んっ、ん………ふ、ん、ぁ……」

 互いに触れ合うだけの優しいキス。これはこれで好きだ。けれども今は、もどかしい。

 すでに焦らされていたんだ。もっと、もっと強く先生を感じたい。

 込み上げてきた衝動に促されるがまま、俺は舌を伸ばしていた。柔らかい唇の感触を確かめるように、舐めているとクスリと吐息が漏れた。

 大きな手が俺の後頭部に添えられる。やっと、先生が俺の望みを叶えてくれた。

「んん……ぁ……んっ、んむ……」

 舌先に触れた濡れた熱。俺よりも大きくて長い舌に、瞬く間に絡め取られてしまう。巧みなその動きに、すぐに気持ちよくさせられてしまう。

 俺も、先生を……先生にも気持ちよくなって欲しいのに……

 必死に舌を動かして応じようとする。けれども擦れるだけで、身体の奥からあの感覚が。湧き上がってくる、ジクジク疼く熱の虜になってしまう。

 もう、先生の盛り上がった腕にしがみつくだけで精一杯。結局、されるがままになってしまう。

 舌と舌とが触れ合う度に響く水音。静かな午前の室内には全くもって似つかわしくない、いやらしい音にますます鼓動が煩くなってしまう。

「ふぁ、は、ふ……ん、ふ…………せ……ん、せ……」

 口の端から、どちらのものか分からない雫が垂れて、首にまで伝う頃には、すっかり骨抜きにされてしまった。全然力が入らない。震える指先ですら、動かすのに気合がいる。

 全身に広がっている快感に酔い、ただただぼうっと見上げるだけの俺を、蕩けた笑顔が見下ろしていた。
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