上 下
73 / 442
マッチョな先生と恋人同士になった件(グレイルート)

★ 自分の指だと思うな、グレイのものだと思え

しおりを挟む
 いざ、作戦実行。バクバクと音を立て始めた胸に手を当てながら呼吸を整える。

 先生に据え膳を食わせる為だ。覚悟を決めろ、恥を捨てろ。ポケットから取り出したチューブを固く握り締める。瞳を閉じて、もう一度深呼吸。ひと息にズボンを下着ごと脱ぎ捨てた。

 分かっていたけどスースーするし、心もとない。恥ずかしい。室内の明かりは消えているとはいえ。

 ……もう、心が折れてしまいそうだ。

 ……先生……グレイ先生……

 心の中で名前を呼ぶ。目が慣れたからか、静かに寝息を立てている横顔が、ハッキリと見えた。

 ベッドを軋ませないように、そっと顔を寄せる。

 閉じられているから見ることは出来ない、優しい青の眼差しは。でも、柔らかく綻んだ口元は、その寝顔はとても穏やかで。

 ……自惚れそうになってしまう。俺に気を許してくれているのかなって。

 どれだけの間、眺めてしまっていたんだろうか。気がつけば、落ち着いていた。気持ちも、鼓動も。

 今なら、出来るかも……いや、やるんだ。やり遂げなければ、先生に抱いてもらう為に。

 軽く深呼吸。先生の側で膝立ちになり、チューブから多めに軟膏を人差し指の上に絞り出す。

 おそるおそる後ろに持っていく。手探りで穴の周りに塗り込むと、ますますひんやりした。

 多分、十分に塗り込めたと思う。なんか、ぬちゃぬちゃしてるし。試しにと、ほんの少し指の先を入れてみることにした。

「いっ……っ……ぅ……」

 ムリ……ではないけど……異物感がスゴい。ってか気持ち悪い。怖い。

 全身から込み上げてくるイヤな感覚に、俺は思わず手を退けた。指の先すら、いれられずに。

 漏れそうになっていた呻きを慌てて噛み締め、反対の手で口を塞ぐ。今ので、先生……起きてないかな?

 恐る恐る確認すると、相変わらず身動き一つすることなく目を閉じていた。暗い室内に、静かな息づかいだけが聞こえる。

 良かった……一旦、落ち着こう。何とかなるだろ。冷静に、ゆっくりやれば。多分、きっと。

 目を閉じて、セレストさんから教わったことを思い出す。

『自分の指だと思うな、グレイのものだと思え。そうすれば、少しは抵抗感が薄れるだろう』

 ……この指は、俺のじゃない。先生のだ。先生が、俺に触れてくれているんだ。

 そう強く自分に言い聞かせながら、離していた指を再び後ろへ。俺を可愛がってくれるあの太い指を、少し固い指先を思い浮かべて再度試みる。

 すると、どうしたことだろう。先程の圧迫感が嘘のように感じない。押し込めば押し込んだ分だけ、するすると指が奥へと入っていくじゃないか。第一……いや第二関節くらいまで、いけたかも。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話

こじらせた処女
BL
 網谷凛(あみやりん)には付き合って半年の恋人がいるにもかかわらず、一度もお泊まりをしたことがない。それは彼自身の悩み、おねしょをしてしまうことだった。  ある日の会社帰り、急な大雨で網谷の乗る電車が止まり、帰れなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたところに、彼氏である市川由希(いちかわゆき)に鉢合わせる。泊まって行くことを強く勧められてしまい…?

少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。 ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。 だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。

友達が僕の股間を枕にしてくるので困る

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
僕の股間枕、キンタマクラ。なんか人をダメにする枕で気持ちいいらしい。

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

反抗期真っ只中のヤンキー中学生君が、トイレのない課外授業でお漏らしするよ

こじらせた処女
BL
 3時間目のホームルームが学校外だということを聞いていなかった矢場健。2時間目の数学の延長で休み時間も爆睡をかまし、終わり側担任の斉藤に叩き起こされる形で公園に連れてこられてしまう。トイレに行きたかった(それもかなり)彼は、バックれるフリをして案内板に行き、トイレの場所を探すも、見つからず…?

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

処理中です...