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マッチョな先生と恋人同士になった件(グレイルート)
★ こればかりは君が強請っても無理だろう
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「…………う、ぁ……は、ふ……」
まだ余韻に浸ってしまっている俺は、力なく分厚い胸板に顔から倒れ込んでいた。肩で息をしている俺を筋肉質な腕が抱き止め、大きな手が労るように背中を撫でてくれる。
「よく出来ました……いっぱい気持ちよくなれたね、頑張ったね」
何度も先生が褒めてくれる。ただひたすらに優しい声で、イイ子だね、可愛かったよ、と。
キスもいっぱいしてくれた。額に、目元に、頬に、鼻先、それから口。もう、顔でしてもらってないところなんかないんじゃないかってくらいに、余すことなくしてくれた。薄っすら汗が滲んでいても、涙に濡れていても構わずに。
グレイ先生は、ご機嫌そうだった。いっぱい汚してしまったのに、目尻のカッコいいシワを深くしたまま。なんなら鼻歌でも歌いそうな雰囲気で、手早くティッシュで拭ってくれている。
……正直、目茶苦茶恥ずかしかった。スゴく気持ちよかったけど。
でも……いいや。こんなに先生が褒めてくれるんだから。喜んでくれてる……みたいだし。だったら……恥ずかしいくらい、なんてことない。
とりあえず、ざっくりキレイにしてもらった身体は、まだ気怠い。指を動かすのも面倒なくらい。
でも心は満たされている……ハズだった。なのに俺は。
「……先生、お願いがあるんですけど」
ちょこっとだけ、強請ってみたくなってしまったんだ。期待してしまったんだ。今なら、叶えてもらえるんじゃないかって。
忠告、されてたのにさ。先生のことをよく知っているセレストさんから。
俺が今から口にするお願いなんて、知る由もない先生は、花が咲くように微笑んだ。いつもみたいに優しく、どこか嬉しそうに。
「何だい? 私に出来ることなら、何でも叶えてあげるよ」
「俺の後ろも……触って、くれませんか? 俺のこと……抱いて欲しいんです」
途端に先生の顔から笑みが消えていく。暗く沈んでいってしまう。
一気に浮かれた熱が冷めた俺の頭に、セレストさんの言葉が過った。
『こればかりは君が強請っても無理だろう』
眉間に深いシワを刻んだまま、何度か口を開いては閉じてを繰り返していた先生。申し訳無さそうに俺を呼ぶ声を、その先に続く言葉を聞きたくなくて。
「シュンく」
「すみません、今のは忘れて下さい……困らせてしまってごめんなさい」
俺は遮り、微笑んだ。
何事も無かったように終わらせようとしたんだ。息も出来ないくらいに締めつけられた、胸の痛みに気づかないふりをして。
先生は、何だか安心しているように見えた。苦しそうに眉毛を下げたままだけど。
ゆっくり抱き締めてくれた、筋肉質で男らしい太い腕。いつもは満たされるのに、温かいのに何でだろう。ぽっかり寂しくて、寒い。
「……先生のそういうところ、俺、好きですよ」
素直な気持ちを耳元で呟くと腕の力が強くなる。広い背中を一度強く抱き締め返してから、俺は分厚い胸板から寄せていた頬を離した。
「……ご飯食べましょう? あ、その前にシャワー浴びてきてもいいですか?」
立て続けに提案した俺に、先生は何か言いたげだった。でも俺が有無を言わせず先生の膝から退いて、立ち上がると小さく頷いてくれた。
心配そうに見つめる先生の頭を撫でてから、俺は振り返らずに浴室へと向かった。
まだ余韻に浸ってしまっている俺は、力なく分厚い胸板に顔から倒れ込んでいた。肩で息をしている俺を筋肉質な腕が抱き止め、大きな手が労るように背中を撫でてくれる。
「よく出来ました……いっぱい気持ちよくなれたね、頑張ったね」
何度も先生が褒めてくれる。ただひたすらに優しい声で、イイ子だね、可愛かったよ、と。
キスもいっぱいしてくれた。額に、目元に、頬に、鼻先、それから口。もう、顔でしてもらってないところなんかないんじゃないかってくらいに、余すことなくしてくれた。薄っすら汗が滲んでいても、涙に濡れていても構わずに。
グレイ先生は、ご機嫌そうだった。いっぱい汚してしまったのに、目尻のカッコいいシワを深くしたまま。なんなら鼻歌でも歌いそうな雰囲気で、手早くティッシュで拭ってくれている。
……正直、目茶苦茶恥ずかしかった。スゴく気持ちよかったけど。
でも……いいや。こんなに先生が褒めてくれるんだから。喜んでくれてる……みたいだし。だったら……恥ずかしいくらい、なんてことない。
とりあえず、ざっくりキレイにしてもらった身体は、まだ気怠い。指を動かすのも面倒なくらい。
でも心は満たされている……ハズだった。なのに俺は。
「……先生、お願いがあるんですけど」
ちょこっとだけ、強請ってみたくなってしまったんだ。期待してしまったんだ。今なら、叶えてもらえるんじゃないかって。
忠告、されてたのにさ。先生のことをよく知っているセレストさんから。
俺が今から口にするお願いなんて、知る由もない先生は、花が咲くように微笑んだ。いつもみたいに優しく、どこか嬉しそうに。
「何だい? 私に出来ることなら、何でも叶えてあげるよ」
「俺の後ろも……触って、くれませんか? 俺のこと……抱いて欲しいんです」
途端に先生の顔から笑みが消えていく。暗く沈んでいってしまう。
一気に浮かれた熱が冷めた俺の頭に、セレストさんの言葉が過った。
『こればかりは君が強請っても無理だろう』
眉間に深いシワを刻んだまま、何度か口を開いては閉じてを繰り返していた先生。申し訳無さそうに俺を呼ぶ声を、その先に続く言葉を聞きたくなくて。
「シュンく」
「すみません、今のは忘れて下さい……困らせてしまってごめんなさい」
俺は遮り、微笑んだ。
何事も無かったように終わらせようとしたんだ。息も出来ないくらいに締めつけられた、胸の痛みに気づかないふりをして。
先生は、何だか安心しているように見えた。苦しそうに眉毛を下げたままだけど。
ゆっくり抱き締めてくれた、筋肉質で男らしい太い腕。いつもは満たされるのに、温かいのに何でだろう。ぽっかり寂しくて、寒い。
「……先生のそういうところ、俺、好きですよ」
素直な気持ちを耳元で呟くと腕の力が強くなる。広い背中を一度強く抱き締め返してから、俺は分厚い胸板から寄せていた頬を離した。
「……ご飯食べましょう? あ、その前にシャワー浴びてきてもいいですか?」
立て続けに提案した俺に、先生は何か言いたげだった。でも俺が有無を言わせず先生の膝から退いて、立ち上がると小さく頷いてくれた。
心配そうに見つめる先生の頭を撫でてから、俺は振り返らずに浴室へと向かった。
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