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マッチョな先生と恋人同士になった件(グレイルート)
我ながら絶望的に言い訳が下手すぎる!
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扉の前に立って深呼吸。気を抜けば震えそうになる手を叱咤しながら戸を叩いた。
「いらっしゃい、シュン君」
俺を見た途端、彫りの深い顔が安心したように綻んだ。
思った以上に時間をかけてしまっていたらしい。テーブルの上には、すでにお茶の準備が整えられめいた。
心配をかけたんだろう。グレイ先生が、青い髪を揺らしながら、足早に俺の側へやって来る。
逞しい長身を丸め、俺の目線に合わせてくれた。
「……今日は、いつもより少し遅かったね。何かあったのかい?」
優しい声色は変わらない。でも、俺を見つめる眼差しには、不安の色が浮かんでいる。
本音を言えば、全部バラしてしまいたいところ。だけど遅れた理由が理由だ。
先生を誘惑する為にライと最終確認をしていて遅くなりました! なんて、口が裂けても言えない。絶対に。
「あー……いえ、その……ちょっとトイレに行ってたら、遅くなっちゃって……な、何でもないですからっ大丈夫、ですよ?」
我ながら絶望的に言い訳が下手すぎる!
こんなの、自白してるみたいなもんだろ! 何か隠してます! って。
「……そうかい……じゃあ、仕方がないね」
「へ?」
「ほら、おいで。お茶が冷めてしまう。今日のお菓子は、チョコマドレーヌだよ」
グレイ先生は寂しそうに眉を下げながらも、それ以上追及することはなかった。俺の腰に手を回し、席まで優しくエスコートしてくれた。胸が痛む。
これ、絶対バレてるよな。ウソついてるの。
俺は心の中で先生に謝りながら、平静を装い席に着いた。
時折、先生から何か物言いたげな視線を感じた。とはいえ、いつも通り俺達は、のんびりとした時間を過ごしていた。
しかし正直な所、先生の話が全く頭に入ってこない。分からない。自分が何を言ってるのかも。
味もだ。折角、先生が淹れてくれた紅茶も、今日の為にわざわざ用意してくれたお菓子も。どれを口にしても味がしなかった。
流石に不審に思ったんだろう。先生が目を伏せ、ぽつりと呟いた。
「……私では、頼りにならないのかい?」
「……先生?」
俯いているので表情は窺えないが、その声はひどく小さく震えている。
「以前、君の危機に駆け付けられなかった私に対して不信の念を抱くのは分かる……それでも、私は君のことを……」
「そんな! 俺、先生のことはスゴく頼りにしてますし、不信感なんて抱いてな」
「だったら、どうして嘘をつくんだい?」
俺の言葉を遮ったのは、聞いたことのない冷ややかな声だった。
「いらっしゃい、シュン君」
俺を見た途端、彫りの深い顔が安心したように綻んだ。
思った以上に時間をかけてしまっていたらしい。テーブルの上には、すでにお茶の準備が整えられめいた。
心配をかけたんだろう。グレイ先生が、青い髪を揺らしながら、足早に俺の側へやって来る。
逞しい長身を丸め、俺の目線に合わせてくれた。
「……今日は、いつもより少し遅かったね。何かあったのかい?」
優しい声色は変わらない。でも、俺を見つめる眼差しには、不安の色が浮かんでいる。
本音を言えば、全部バラしてしまいたいところ。だけど遅れた理由が理由だ。
先生を誘惑する為にライと最終確認をしていて遅くなりました! なんて、口が裂けても言えない。絶対に。
「あー……いえ、その……ちょっとトイレに行ってたら、遅くなっちゃって……な、何でもないですからっ大丈夫、ですよ?」
我ながら絶望的に言い訳が下手すぎる!
こんなの、自白してるみたいなもんだろ! 何か隠してます! って。
「……そうかい……じゃあ、仕方がないね」
「へ?」
「ほら、おいで。お茶が冷めてしまう。今日のお菓子は、チョコマドレーヌだよ」
グレイ先生は寂しそうに眉を下げながらも、それ以上追及することはなかった。俺の腰に手を回し、席まで優しくエスコートしてくれた。胸が痛む。
これ、絶対バレてるよな。ウソついてるの。
俺は心の中で先生に謝りながら、平静を装い席に着いた。
時折、先生から何か物言いたげな視線を感じた。とはいえ、いつも通り俺達は、のんびりとした時間を過ごしていた。
しかし正直な所、先生の話が全く頭に入ってこない。分からない。自分が何を言ってるのかも。
味もだ。折角、先生が淹れてくれた紅茶も、今日の為にわざわざ用意してくれたお菓子も。どれを口にしても味がしなかった。
流石に不審に思ったんだろう。先生が目を伏せ、ぽつりと呟いた。
「……私では、頼りにならないのかい?」
「……先生?」
俯いているので表情は窺えないが、その声はひどく小さく震えている。
「以前、君の危機に駆け付けられなかった私に対して不信の念を抱くのは分かる……それでも、私は君のことを……」
「そんな! 俺、先生のことはスゴく頼りにしてますし、不信感なんて抱いてな」
「だったら、どうして嘘をつくんだい?」
俺の言葉を遮ったのは、聞いたことのない冷ややかな声だった。
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