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マッチョな幼なじみと恋人同士になった件(ダンルート)
随分と俺は浮かれているらしい
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結局、あの後ほとんど眠れなかった俺は、心配してくれるダンをなんとか誤魔化しながら登校した。
昨日はダンだったけど……今日は、何故か皆の様子が少し変だった。
ライは、ずっとニコニコしながら俺達の顔を交互に見ていたし。サルファー先輩は何だか元気がなく、ソレイユ先輩は少し寂しそうな笑顔で俺を見つめていた。
授業後にグレイ先生からは、良かったね、と何だか複雑そうな顔で頭を撫でられた。
………まさか、俺とダンとのことが? いやいや、俺もダンも何も言ってないのにそんな訳が、
「……シュン! シュン? 聞いてるのか?」
聞き慣れた大好きな声に呼ばれ、ぐるぐる回っていた思考が中断させられる。いつの間にか俯いていた顔を上げると案の定、ダンが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごめん。何だっけ?」
男らしい眉が、ますますしょんぼりと下がっていく。
「大丈夫か? ボーッとして、やっぱり体調悪いんじゃ」
「大丈夫! ちょっと考え事してただけだから!」
食い気味に遮った俺の頭にゴツゴツした手がぽんっと優しく乗せられた。そのままゆったりと労るように撫でてくれる。
「……ならいーけどよ。何かあったら、ちゃんと俺に言えよ?」
いまだに不満そうに口をへの字に曲げてはいるものの、納得はしてくれたみたいだ。これ以上、追求しないでいてくれるらしい。有り難い。
「……うん。で、どうしたの?」
「今、家から連絡あってさ。バイトの人が熱だして来られなくなったから、店手伝ってくれって。夕飯前までには戻れると思うから、部屋で待っててくれないか?」
俺が見やすいように向けられたの端末には、たった今説明してくれたやり取りが。ヘルプと書かれた吹き出しと一緒に、手を合わせ拝んでいる可愛い犬のスタンプを先頭に表示されていた。
「分かった、待ってる」
「おうっ」
真っ赤な瞳を嬉しそうに細め、大柄な身体を乗り出してくる。好きな人の笑顔で視界が満たされ、そして……
「……帰ったら寂しい思いさせた埋め合わせに、いっぱいキスしてやるからな」
耳元で、悪戯っぽく囁く声。いつもより少し低いトーンに、ただでさえ高鳴り始めていた心臓が大きく跳ねた。
「っ……バカ、は、早く行ってあげろよな」
「へへっ、じゃあ、また後でな! ……愛してるぜ、シュン」
また、俺にしか聞こえない声で囁くと荷物をまとめ、満面の笑みで教室を飛び出していってしまった。……なんて不意打ちだ。
それにしても、随分と俺は浮かれてしまっているらしい。さっき、一瞬、キスしてもらえるのかと思ってしまった。
今までだって、急に抱きついてきたり、頬をくっつけてきたり、ダンからの唐突なスキンシップは日常茶飯事だったのにさ。
……やっぱり、今日も泊まっていくんだな。
少し、鼓動が落ち着いてきたところで、急に込み上げてくる。あの、そわそわして落ち着かない期待感も一緒に。
……また、ダンと二人っきりの夜を過ごすんだ。
「……眠れるのかな、俺」
ぽつりと呟いた俺の言葉は、誰の耳に入ることもなく、静かな放課後の空気に溶けていった。
昨日はダンだったけど……今日は、何故か皆の様子が少し変だった。
ライは、ずっとニコニコしながら俺達の顔を交互に見ていたし。サルファー先輩は何だか元気がなく、ソレイユ先輩は少し寂しそうな笑顔で俺を見つめていた。
授業後にグレイ先生からは、良かったね、と何だか複雑そうな顔で頭を撫でられた。
………まさか、俺とダンとのことが? いやいや、俺もダンも何も言ってないのにそんな訳が、
「……シュン! シュン? 聞いてるのか?」
聞き慣れた大好きな声に呼ばれ、ぐるぐる回っていた思考が中断させられる。いつの間にか俯いていた顔を上げると案の定、ダンが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごめん。何だっけ?」
男らしい眉が、ますますしょんぼりと下がっていく。
「大丈夫か? ボーッとして、やっぱり体調悪いんじゃ」
「大丈夫! ちょっと考え事してただけだから!」
食い気味に遮った俺の頭にゴツゴツした手がぽんっと優しく乗せられた。そのままゆったりと労るように撫でてくれる。
「……ならいーけどよ。何かあったら、ちゃんと俺に言えよ?」
いまだに不満そうに口をへの字に曲げてはいるものの、納得はしてくれたみたいだ。これ以上、追求しないでいてくれるらしい。有り難い。
「……うん。で、どうしたの?」
「今、家から連絡あってさ。バイトの人が熱だして来られなくなったから、店手伝ってくれって。夕飯前までには戻れると思うから、部屋で待っててくれないか?」
俺が見やすいように向けられたの端末には、たった今説明してくれたやり取りが。ヘルプと書かれた吹き出しと一緒に、手を合わせ拝んでいる可愛い犬のスタンプを先頭に表示されていた。
「分かった、待ってる」
「おうっ」
真っ赤な瞳を嬉しそうに細め、大柄な身体を乗り出してくる。好きな人の笑顔で視界が満たされ、そして……
「……帰ったら寂しい思いさせた埋め合わせに、いっぱいキスしてやるからな」
耳元で、悪戯っぽく囁く声。いつもより少し低いトーンに、ただでさえ高鳴り始めていた心臓が大きく跳ねた。
「っ……バカ、は、早く行ってあげろよな」
「へへっ、じゃあ、また後でな! ……愛してるぜ、シュン」
また、俺にしか聞こえない声で囁くと荷物をまとめ、満面の笑みで教室を飛び出していってしまった。……なんて不意打ちだ。
それにしても、随分と俺は浮かれてしまっているらしい。さっき、一瞬、キスしてもらえるのかと思ってしまった。
今までだって、急に抱きついてきたり、頬をくっつけてきたり、ダンからの唐突なスキンシップは日常茶飯事だったのにさ。
……やっぱり、今日も泊まっていくんだな。
少し、鼓動が落ち着いてきたところで、急に込み上げてくる。あの、そわそわして落ち着かない期待感も一緒に。
……また、ダンと二人っきりの夜を過ごすんだ。
「……眠れるのかな、俺」
ぽつりと呟いた俺の言葉は、誰の耳に入ることもなく、静かな放課後の空気に溶けていった。
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