気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

真っ直ぐな瞳に見透かされて

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 座る場所を迷っていると、また唐突に腕を引かれた。よろけてしまった俺を、先輩は軽々と抱き止めてくれて、膝の上へと横抱きに抱えられてしまう。

「あっ……」

 申し訳なく思う間もなく手を繋がれて、そっと額を重ねられて、また鼓動がバクバクとおかしくなった。頭の中どころか、目の前もソレイユ先輩だけ。もう彼のことしか考えられない、彼しか見えない。

 サラリと彼の頬を撫でた髪。柔かそうで艷やかなオレンジと、同じ色の雫の形をした結晶が彼の耳から下がり、揺れている。緩やかな笑みを形作っている薄い唇が、小さく囁いた。

「昨日、オレにどうして欲しかったの?」

「どうって、その……」

 ずっと側に居て欲しい、抱き締めて欲しい、キスして欲しい。ぶわりと浮んできたそれらだけでも欲張りで、言い辛いってのに。

 ……もっと、その先もだなんて、言える訳が。

「素直に言えたら……シュンちゃんの望み、全部オレが叶えてあげるよ?」

「え……あ、う……」

 危なかった。咄嗟に口を覆った自分を褒めてあげたい。ほんの少し前に躊躇した気持ちなんて何処へやら。魅力的な言葉に、思わず自分の胸の内にある醜い欲望を口走りそうになっていた。

 しかし、もう遅かった。ここまで態度に出してしまえば、望みがあるのだと示してしまえば。

 少し硬い指先が俺の手の甲に触れる。手首の方へと向かって、するりと撫でていった手つきは産毛を撫でているよう。走った淡い感覚に、手を離してしまっていた。

 狙っていたんだろう。俺自身が晒した口元へと先輩の指が伸びてくる。

「シュンちゃん……」

 また顎を掴まれるのかと思えば、触れられたのは唇だった。輪郭をなぞるようにふにふにとつつかれて、また俺の身体を襲う謎の感覚が強くなる。

 なんだろう……口の方までジンと疼いて。

「シュン……」

 妖しい熱を帯びた眼差しが、真っ直ぐに見つめてくる。まるで、心の内に秘めた欲を見通しているかのように。

 駆け足になっている心音が、頭の芯に届くほど全身に響いている。俺を捉えて離さない双眸に堪らず俺は望みの一つを口にしていた。

「……キス……して、下さい……して、欲しいです……この前みたいに……」

「……いいよ」

 柔らかな微笑みが深くなる。端正な顔がゆっくりと近付いてきて、俺と先輩の距離がゼロになった。

 触れた吐息の熱さに目眩がしそう。だというのに優しく上唇を食まれて、ますます熱に浮かされたようにくらくらしてしまう。唇に感じた不思議な感覚が、波紋のように全身に広がっていく。

 余韻に浸っている内に先輩は離れていってしまっていた。花が咲くように綻んでいる唇を、つい目で追ってしまう。よっぽど物欲しそうに見つめてしまっていたんだろう。先輩が楽しそうに口の端を上げた。

「……もっと、欲しい?」

「はい……足りない、です……先ぱ」

 言い終わる前に唇で遮られ俺は言葉を飲み込んだ。今度は一回では終わらなかった。啄むみたいに何度も口付けられて、だんだん頭の中がぼうっと霞んでいってしまう。

 異変が起きたのは頭だけでは。下腹部までもがじくじくと熱を持ってしまっていた。柔らかな唇と触れ合える度に、状況が酷くなっていってしまう。何とか誤魔化そうと太ももを擦り合わせ、先輩の首にしがみついていると背中をゆるゆる撫でてもらえた。

「ふ、ぅん……ん、ふっ、ふ、んぁ……」

「ん、はっ……ゴメンね、寂しい思いをさせちゃって……これからは、絶対にあんな顔はさせないから……」

「じゃあ、もっと……先輩に甘えてもいいんですか?」

「うん。キミが望むものは何でも叶えてあげるから……オレに、オレだけに、沢山甘えていいんだよ」

 額を合わせて目を閉じると、また優しく触れてくれた。ふわふわする口づけをくれながら、大きな手で何度も撫でてくれたんだ。
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