146 / 521
マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
何やってんの? ヘタレ過ぎて引くんだけど
しおりを挟む
「……はぁ? 何やってんの? ヘタレ過ぎて引くんだけど」
「っ……」
ソルの辛辣な言葉が、俺の胸に深々と突き刺さった。
だが、親友は止まらない。自分の前に置かれた缶ジュースを煽り、空になった缶を握り潰すと一気に捲し立て始めた。
「シュンちゃんが、滅茶苦茶勇気出して頑張ってくれたってのに、何でサルフは応えてあげない訳? キスだってさ、もう少しして欲しかったと思うよ?」
「ぐっ……」
「食事に誘ったのは良かったと思うよ? でもさぁ、今度はサルフの番だったんじゃないの? 手を離したくなかったくせに……何で、俺の部屋に来ないか? って誘えないのさ?」
「ぐぅ……だが、もしシュンに嫌がられてしまったら……」
「そん時はそん時で、ごめんねって謝って、すぐに引けば良いでしょ? 砕ける前からビビってんじゃねぇよ。盛大にブチ当たってから砕けろ」
「ぐぬぅ……」
テーブルに肘をつき、長い溜め息をした後にソルは、新しい缶に手を伸ばした。
そちらも、ひと息で飲み終わり、彼の手の中でメコッと悲鳴を上げる。そして、また次の缶へ。
テーブルの真ん中に置かれた缶ジュース達が、次々にリサイクルゴミへと変わっていく。
今日の相談料として買ったものの、多すぎたかと思ったが……丁度良かったというか、むしろ足りなさそうだ。
新たな缶を飲み終えた後、再びソルが俺に向かって言葉の刃を放ち始める。
「……ていうかさ、付き合う前は一晩同じベットで過ごしたこともあるくせに、何今さら純情ぶってるわけ? ブッ飛ばすよ?」
「あ、あの時は必死だったんだ! なりふりかまっていられなかったんだよ!」
いくら彼の幼なじみであるダンに嫉妬したとはいえ、大胆な行動を取ったなと改めて思う。
今そんな事をしようもんなら、確実に理性がもたない自信があるからな。
「オレに言い訳してる暇あったら、今すぐシュンちゃんをデートに誘いなよ。休日だよ?」
「うぐぅっ……しかし何処に行って、何をしたらいいのか……」
今まで俺は、剣術ばかりに時間を注いでいた。剣術中心の生活をしていた。
故に、こっち方面の経験値は無いに等しい。初めて出来た可愛い恋人に、どう接していいか分からない。
変なことをして、また悲しませてしまったらと思うと、つい二の足を踏んでしまう。
「一緒に過ごすことに意味があるんだから、何処でもいいでしょ? 何なら今からでもシュンちゃんの部屋に行ったら? つーか行け」
「しかし、いくら恋人になったからといって、突然部屋を訪れるのは……」
言い訳ばかりの俺に対して、ソルは苛立ったらしかった。打ち合いで対峙している時のごとく細い眉を釣り上げ、オレンジ色の瞳を鋭く細めている。
そして、何やら思いついたらしかった。
一瞬、僅かに口の端を上げて笑ったかと思えば、再び口を真一文字に引き結ぶ。握っている缶を置いてから、向かいの俺へと手を伸ばしてきた。
「サルフ、端末貸して」
「いきなりどうしたんだ?」
「いいから。さっさと貸せよ、ホラ」
どんどん語気が荒くなってくる親友に焦ってポケットから端末を取り出すと、あっという間に引ったくられた。ソルは黙々と長い指を忙しなく動かしている。
「……ほいっ、送信と」
頭に疑問符を浮かべながらソルの様子を見つめていると、間抜けな音が俺の端末から鳴った。
「っ……」
ソルの辛辣な言葉が、俺の胸に深々と突き刺さった。
だが、親友は止まらない。自分の前に置かれた缶ジュースを煽り、空になった缶を握り潰すと一気に捲し立て始めた。
「シュンちゃんが、滅茶苦茶勇気出して頑張ってくれたってのに、何でサルフは応えてあげない訳? キスだってさ、もう少しして欲しかったと思うよ?」
「ぐっ……」
「食事に誘ったのは良かったと思うよ? でもさぁ、今度はサルフの番だったんじゃないの? 手を離したくなかったくせに……何で、俺の部屋に来ないか? って誘えないのさ?」
「ぐぅ……だが、もしシュンに嫌がられてしまったら……」
「そん時はそん時で、ごめんねって謝って、すぐに引けば良いでしょ? 砕ける前からビビってんじゃねぇよ。盛大にブチ当たってから砕けろ」
「ぐぬぅ……」
テーブルに肘をつき、長い溜め息をした後にソルは、新しい缶に手を伸ばした。
そちらも、ひと息で飲み終わり、彼の手の中でメコッと悲鳴を上げる。そして、また次の缶へ。
テーブルの真ん中に置かれた缶ジュース達が、次々にリサイクルゴミへと変わっていく。
今日の相談料として買ったものの、多すぎたかと思ったが……丁度良かったというか、むしろ足りなさそうだ。
新たな缶を飲み終えた後、再びソルが俺に向かって言葉の刃を放ち始める。
「……ていうかさ、付き合う前は一晩同じベットで過ごしたこともあるくせに、何今さら純情ぶってるわけ? ブッ飛ばすよ?」
「あ、あの時は必死だったんだ! なりふりかまっていられなかったんだよ!」
いくら彼の幼なじみであるダンに嫉妬したとはいえ、大胆な行動を取ったなと改めて思う。
今そんな事をしようもんなら、確実に理性がもたない自信があるからな。
「オレに言い訳してる暇あったら、今すぐシュンちゃんをデートに誘いなよ。休日だよ?」
「うぐぅっ……しかし何処に行って、何をしたらいいのか……」
今まで俺は、剣術ばかりに時間を注いでいた。剣術中心の生活をしていた。
故に、こっち方面の経験値は無いに等しい。初めて出来た可愛い恋人に、どう接していいか分からない。
変なことをして、また悲しませてしまったらと思うと、つい二の足を踏んでしまう。
「一緒に過ごすことに意味があるんだから、何処でもいいでしょ? 何なら今からでもシュンちゃんの部屋に行ったら? つーか行け」
「しかし、いくら恋人になったからといって、突然部屋を訪れるのは……」
言い訳ばかりの俺に対して、ソルは苛立ったらしかった。打ち合いで対峙している時のごとく細い眉を釣り上げ、オレンジ色の瞳を鋭く細めている。
そして、何やら思いついたらしかった。
一瞬、僅かに口の端を上げて笑ったかと思えば、再び口を真一文字に引き結ぶ。握っている缶を置いてから、向かいの俺へと手を伸ばしてきた。
「サルフ、端末貸して」
「いきなりどうしたんだ?」
「いいから。さっさと貸せよ、ホラ」
どんどん語気が荒くなってくる親友に焦ってポケットから端末を取り出すと、あっという間に引ったくられた。ソルは黙々と長い指を忙しなく動かしている。
「……ほいっ、送信と」
頭に疑問符を浮かべながらソルの様子を見つめていると、間抜けな音が俺の端末から鳴った。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?


元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。
くまだった
BL
新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。
金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。
貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け
ムーンさんで先行投稿してます。
感想頂けたら嬉しいです!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる