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マッチョな先生と恋人同士になった件(グレイルート)
この人、絶対分かってて楽しんでるな……
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ほどなくして爽やかな香りが漂うティーカップが二客、ローテーブルの上に並んだ。お皿とフォーク、それからセレストさんの手土産も。
「君から先に選ぶといい。因みに私のお薦めは、そのチョコムースだ。グレイの好物だぞ?」
白い箱を開くと色鮮やかなケーキが4つちょこんと整列している。
その中から金粉であしらわれた、ツヤツヤに輝く茶色の円柱を、セレストさんが指差す。いかにも楽しくて仕方がないと言わんばかりに、ニヤニヤ口元を緩ませながら。
この人、絶対分かってて楽しんでるな……
掌で踊らされている事に内心歯噛みしつつも、大好きな先生の好物という誘惑に勝てるわけもなく。俺は、震える指でムースケーキを指し示した。
「はっはっは! 君は実に健気で愛らしいね! つい意地悪をしたくなるというグレイの気持ちが分かったよ」
満足げに高笑いをしながら、セレストさんが白い皿にチョコムースを乗せてフォークと共に俺に手渡す。
「先生は、俺に意地悪なんかしてませんよ?」
むしろ、いつもとびきり優しくしてくれるのに。
うきうきと苺のショートケーキを皿に乗せていたセレストさんが、俺の問いに空色の瞳をぱちくりさせる。
「ふむ……君がそう感じているなら私は構わないが……あまり甘やかしていると、どんな羞恥プレイをさせられるか分からんぞ?」
「しゅ、羞恥プレイって……」
ますます顔が熱を帯びていくのが分かる。すぐさま俺は、反論しようとした。先生が、そんなことをするハズがないって。でも。
「……昨晩は、その片鱗を見せなかったかね?」
片鱗……言われてみれば、下着を自ら脱ぐように強請られたな……いやでも、あの優しい先生に限ってそんなまさか。
「どうやら思い当たる節があったようだね。まぁ、それでも君が本当に嫌がるようなことは絶対しないだろうから安心したまえ! はっはっは」
すっかり俺は、ソファーに腰掛けたまま考える人になってしまっていた。
黙って俯く俺の頭を、セレストさんがポンポンと軽く撫でてから離れていく。残ったケーキの入った紙箱を冷蔵庫へと持って行ったんだろう。少ししてパタンと冷蔵庫扉の閉まる音、少し大股気味の足音、ぽすんと隣が沈む音。
「……食べないのかね? 私が言うのもなんだが美味いぞ」
見上げた先でセレストさんが、白いケーキを飾る赤い果実を指で摘まんでいた。口に放り込み、口角をにんまり持ち上げた。
続けて、いまだに頭が正常に回っていない俺の手からフォークを奪う。茶色いケーキを切り崩したかと思えば、開いたままの口に押し込まれた。
少しだけほろ苦く、けれども丁度いい甘さが口いっぱいに広がっていく。
「……美味しいですね」
得意げに頷くセレストさんからフォークを受け取って再度口に運ぶ。頬を緩める俺を眺めながらセレストさんも自分のケーキにフォークを入れた。
「君から先に選ぶといい。因みに私のお薦めは、そのチョコムースだ。グレイの好物だぞ?」
白い箱を開くと色鮮やかなケーキが4つちょこんと整列している。
その中から金粉であしらわれた、ツヤツヤに輝く茶色の円柱を、セレストさんが指差す。いかにも楽しくて仕方がないと言わんばかりに、ニヤニヤ口元を緩ませながら。
この人、絶対分かってて楽しんでるな……
掌で踊らされている事に内心歯噛みしつつも、大好きな先生の好物という誘惑に勝てるわけもなく。俺は、震える指でムースケーキを指し示した。
「はっはっは! 君は実に健気で愛らしいね! つい意地悪をしたくなるというグレイの気持ちが分かったよ」
満足げに高笑いをしながら、セレストさんが白い皿にチョコムースを乗せてフォークと共に俺に手渡す。
「先生は、俺に意地悪なんかしてませんよ?」
むしろ、いつもとびきり優しくしてくれるのに。
うきうきと苺のショートケーキを皿に乗せていたセレストさんが、俺の問いに空色の瞳をぱちくりさせる。
「ふむ……君がそう感じているなら私は構わないが……あまり甘やかしていると、どんな羞恥プレイをさせられるか分からんぞ?」
「しゅ、羞恥プレイって……」
ますます顔が熱を帯びていくのが分かる。すぐさま俺は、反論しようとした。先生が、そんなことをするハズがないって。でも。
「……昨晩は、その片鱗を見せなかったかね?」
片鱗……言われてみれば、下着を自ら脱ぐように強請られたな……いやでも、あの優しい先生に限ってそんなまさか。
「どうやら思い当たる節があったようだね。まぁ、それでも君が本当に嫌がるようなことは絶対しないだろうから安心したまえ! はっはっは」
すっかり俺は、ソファーに腰掛けたまま考える人になってしまっていた。
黙って俯く俺の頭を、セレストさんがポンポンと軽く撫でてから離れていく。残ったケーキの入った紙箱を冷蔵庫へと持って行ったんだろう。少ししてパタンと冷蔵庫扉の閉まる音、少し大股気味の足音、ぽすんと隣が沈む音。
「……食べないのかね? 私が言うのもなんだが美味いぞ」
見上げた先でセレストさんが、白いケーキを飾る赤い果実を指で摘まんでいた。口に放り込み、口角をにんまり持ち上げた。
続けて、いまだに頭が正常に回っていない俺の手からフォークを奪う。茶色いケーキを切り崩したかと思えば、開いたままの口に押し込まれた。
少しだけほろ苦く、けれども丁度いい甘さが口いっぱいに広がっていく。
「……美味しいですね」
得意げに頷くセレストさんからフォークを受け取って再度口に運ぶ。頬を緩める俺を眺めながらセレストさんも自分のケーキにフォークを入れた。
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