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マッチョな先生と恋人同士になった件(グレイルート)
洗いざらい白状したまえ!
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「なんだね君ぃ! そういうことなら早く言いたまえよ! ほらっこのケーキは二人で食べたまえ!お邪魔虫の私は、さっさと退散するとしよう!」
ニヤニヤ笑うセレストさんが、顔を耳まで赤くしている先生を肘でつついてから、俺に白い紙箱を手渡す。
踵を返して玄関へと向かおうとするセレストさんの腕を、先生が慌てて掴んで止めた。
「どうしたんだね? まさか君……人に見られながらの方が興ふ」
「違うっ! ……急用が入って今から出ないと行けないんだ。夕方には戻るから、それまでシュン君の話し相手になってくれないかい?」
「ああ、なんだ。それならお安い御用だよ。私はてっきり君が変わった性癖の持ち主かと……すまなかった、私が悪かったからその顔を止めてくれ」
さっきまでの愉快で仕方がないって顔が嘘のように、怯えた表情へと変わっていく。真っ青になりながら、叱られた子犬のように身体をブルブルと震わせているセレストさん。
俺の方から先生の表情は窺えない。が、広い背中から漂うピリピリとした空気だけで、凄まじい怒りが伝わってきた。きっと鬼のような形相をしているに違いない。
セレストさんの自業自得とはいえ、可哀想だな。すっかり涙目になっちゃってるし。
「……先生、時間……大丈夫ですか?」
遅刻しちゃわないか心配なのは事実だし。そう思いながら助け船を出すと、先生がハッとした顔で振り返る。
目を輝かせながら俺を拝むセレストさんに、思わず吹き出しそうになるのを堪えて、鞄を先生に手渡した。
「いってらっしゃい、グレイ先生」
彼との身長差をスーツの襟を掴んで、伸び上がって埋めていく。そっと頬に口づけると先生の口元がふわりと綻んだ。
「シュン……いってきます」
俺の頬にキスを返してくれた先生を、腕組みしながらセレストさんがニタニタと見つめている。
「……シュン君のことは頼んだよ。昼はそこにあるので好きにしていいから、彼にさっきみたいに変なことを言うのだけは止めてくれ」
ほんのり頬を染めながら先生がセレストさんに釘を刺す。
「分かった分かった。後は私にどーんと任せて君はもう出掛けたまえ! 遅刻してしまうだろう?」
しっしっと手で追い払うセレストさんに眉をひそめた先生は、俺に微笑みかけると部屋を出ていった。
ガチャリと施錠音がした後、颯爽とセレストさんが俺の隣に腰掛けてきた。口の端を持ち上げ、足を高く組みながら俺の肩に腕を回してくる。
「さて、邪魔物はいなくなったな……さぁさぁ、私に昨夜のことを洗いざらい白状したまえ! 君の格好を見るに、何もなかった訳ではないだろう?」
ニヤニヤ笑うセレストさんが、顔を耳まで赤くしている先生を肘でつついてから、俺に白い紙箱を手渡す。
踵を返して玄関へと向かおうとするセレストさんの腕を、先生が慌てて掴んで止めた。
「どうしたんだね? まさか君……人に見られながらの方が興ふ」
「違うっ! ……急用が入って今から出ないと行けないんだ。夕方には戻るから、それまでシュン君の話し相手になってくれないかい?」
「ああ、なんだ。それならお安い御用だよ。私はてっきり君が変わった性癖の持ち主かと……すまなかった、私が悪かったからその顔を止めてくれ」
さっきまでの愉快で仕方がないって顔が嘘のように、怯えた表情へと変わっていく。真っ青になりながら、叱られた子犬のように身体をブルブルと震わせているセレストさん。
俺の方から先生の表情は窺えない。が、広い背中から漂うピリピリとした空気だけで、凄まじい怒りが伝わってきた。きっと鬼のような形相をしているに違いない。
セレストさんの自業自得とはいえ、可哀想だな。すっかり涙目になっちゃってるし。
「……先生、時間……大丈夫ですか?」
遅刻しちゃわないか心配なのは事実だし。そう思いながら助け船を出すと、先生がハッとした顔で振り返る。
目を輝かせながら俺を拝むセレストさんに、思わず吹き出しそうになるのを堪えて、鞄を先生に手渡した。
「いってらっしゃい、グレイ先生」
彼との身長差をスーツの襟を掴んで、伸び上がって埋めていく。そっと頬に口づけると先生の口元がふわりと綻んだ。
「シュン……いってきます」
俺の頬にキスを返してくれた先生を、腕組みしながらセレストさんがニタニタと見つめている。
「……シュン君のことは頼んだよ。昼はそこにあるので好きにしていいから、彼にさっきみたいに変なことを言うのだけは止めてくれ」
ほんのり頬を染めながら先生がセレストさんに釘を刺す。
「分かった分かった。後は私にどーんと任せて君はもう出掛けたまえ! 遅刻してしまうだろう?」
しっしっと手で追い払うセレストさんに眉をひそめた先生は、俺に微笑みかけると部屋を出ていった。
ガチャリと施錠音がした後、颯爽とセレストさんが俺の隣に腰掛けてきた。口の端を持ち上げ、足を高く組みながら俺の肩に腕を回してくる。
「さて、邪魔物はいなくなったな……さぁさぁ、私に昨夜のことを洗いざらい白状したまえ! 君の格好を見るに、何もなかった訳ではないだろう?」
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