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マッチョな幼なじみと恋人同士になった件(ダンルート)
ずっと離さないで
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「決まりね! これであなたも文句はないでしょう?」
満面の笑みを浮かべながらおばさんが手を合わせ、おじさんに尋ねる。今度のため息は、心なしか明るく軽いように思えた。
「……分かった、許可しよう。これからはどんな些細なことでも、ちゃんとシュンくんと相談してから決めなさい」
真一文字に結ばれていた口元が緩やかな笑みを描いていく。すっかり優しいおじさんに戻った途端、勢いよくおばさんが席を立ち上がった。
「よっし、今日はお祝いね! お母さん達頑張っちゃうから、たっくさん食べていってね!」
さぁ、行くわよっとおばさんがおじさんの腕を引っ張りながら、上機嫌で厨房へと駆けていく。
ほどなくして、両手一杯に料理の乗った皿を運びながらおばさん達が戻ってきた。
ビーフシチューにオムライス、彩り鮮やかなサラダ、エビフライにハンバーグ……テーブルに乗りきれないほどのご馳走達を皆で囲んで、ささやかな祝いの席が始まった。
街灯の明かりを頼りに、家路を目指す。俺の手を引き、車道側を買って出たダン。閉じっぱなしだった彼の口がぽつぽつと語り始めた。
「ごめんな、事後報告になっちまって。父さんの言う通りだ。学園から許可もらってから俺、舞い上がっちまって……お前も絶対喜んでくれるって決めつけちまってた」
オレンジ色の光にぼんやり照らされているダンの横顔は、なんだか悲しそうだ。落ち込む必要なんてないんだけどな。
「……俺、すごく嬉しかったよ。ダンが俺とのこと、ちゃんと考えてくれて」
繋いでいるダンの手に指を絡めながら、ぎゅっと強く握り締める。俺の気持ちが伝わるように。
こちらを見てくれた真っ赤な瞳が、少し瞬いてからゆるりと細められた。
「シュン……俺、これからは勝手に一人で突っ走らないようにする。ちゃんと二人で考えて決めていきたいから……だから、これからもずっと俺と一緒に居てくれないか?」
「うん……俺のこと、ずっと離さないで」
不意に抱き寄せられた。盛り上がった太い腕が、俺の全身を閉じ込めるように包み込む。
大きな手のひらが、添えるように優しく俺の頬に触れてくる。大きな体躯を屈め、ゆっくりと近づいてくる柔らかい微笑み。
俺からも近づきたくて、後少しをつま先立ちで埋めた。
「……シュン」
優しく触れてくれてから離れていった唇が、甘く囁く。
「今夜、お前を抱きたい……抱かせてくれないか?」
額を合わせながら、熱の籠った深紅の瞳が俺を捉えた。
答えなんて、もう、決まっていた。俺だって、待ってたんだ。俺だって、ダンのことが……
「うん……俺の初めて、ダンに貰って欲しい……」
嬉しそうに微笑んだ唇から、再び吐息を奪われた。そこから先はあっという間だった。慣れた動作で俺を横抱きに抱え、足早に夜道を進んで行ってしまったんだ。
満面の笑みを浮かべながらおばさんが手を合わせ、おじさんに尋ねる。今度のため息は、心なしか明るく軽いように思えた。
「……分かった、許可しよう。これからはどんな些細なことでも、ちゃんとシュンくんと相談してから決めなさい」
真一文字に結ばれていた口元が緩やかな笑みを描いていく。すっかり優しいおじさんに戻った途端、勢いよくおばさんが席を立ち上がった。
「よっし、今日はお祝いね! お母さん達頑張っちゃうから、たっくさん食べていってね!」
さぁ、行くわよっとおばさんがおじさんの腕を引っ張りながら、上機嫌で厨房へと駆けていく。
ほどなくして、両手一杯に料理の乗った皿を運びながらおばさん達が戻ってきた。
ビーフシチューにオムライス、彩り鮮やかなサラダ、エビフライにハンバーグ……テーブルに乗りきれないほどのご馳走達を皆で囲んで、ささやかな祝いの席が始まった。
街灯の明かりを頼りに、家路を目指す。俺の手を引き、車道側を買って出たダン。閉じっぱなしだった彼の口がぽつぽつと語り始めた。
「ごめんな、事後報告になっちまって。父さんの言う通りだ。学園から許可もらってから俺、舞い上がっちまって……お前も絶対喜んでくれるって決めつけちまってた」
オレンジ色の光にぼんやり照らされているダンの横顔は、なんだか悲しそうだ。落ち込む必要なんてないんだけどな。
「……俺、すごく嬉しかったよ。ダンが俺とのこと、ちゃんと考えてくれて」
繋いでいるダンの手に指を絡めながら、ぎゅっと強く握り締める。俺の気持ちが伝わるように。
こちらを見てくれた真っ赤な瞳が、少し瞬いてからゆるりと細められた。
「シュン……俺、これからは勝手に一人で突っ走らないようにする。ちゃんと二人で考えて決めていきたいから……だから、これからもずっと俺と一緒に居てくれないか?」
「うん……俺のこと、ずっと離さないで」
不意に抱き寄せられた。盛り上がった太い腕が、俺の全身を閉じ込めるように包み込む。
大きな手のひらが、添えるように優しく俺の頬に触れてくる。大きな体躯を屈め、ゆっくりと近づいてくる柔らかい微笑み。
俺からも近づきたくて、後少しをつま先立ちで埋めた。
「……シュン」
優しく触れてくれてから離れていった唇が、甘く囁く。
「今夜、お前を抱きたい……抱かせてくれないか?」
額を合わせながら、熱の籠った深紅の瞳が俺を捉えた。
答えなんて、もう、決まっていた。俺だって、待ってたんだ。俺だって、ダンのことが……
「うん……俺の初めて、ダンに貰って欲しい……」
嬉しそうに微笑んだ唇から、再び吐息を奪われた。そこから先はあっという間だった。慣れた動作で俺を横抱きに抱え、足早に夜道を進んで行ってしまったんだ。
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