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マッチョな幼なじみと恋人同士になった件(ダンルート)
誘うんだったら、今しかない
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「悪い、ちょっと、遅くなっちまった」
ダンが部屋に帰ってきたのは、いつもの時間より小一時間ほど経った頃だった。
慌てなくても良かったのに……急いでくれたんだろう。少し息が上がっている。
「……おかえり、ダン。お疲れ様」
俺の為に……ってのが背中を押してくれたんだと思う。自然としたいなって身体が動いてたんだ。
背伸びをして服の胸元を掴んで頬に軽く押しつけた。健康的な色をした頬をほんのり染め、真っ赤な瞳が僅かに見開く。
「……ただいま、シュン」
お世辞にも上手いとは言えないけれど、喜んでくれたみたいだ。ふにゃりと口元を緩めながら抱き締めてくれて、お返しをくれた。頬に触れた柔らかい体温に、胸の辺りがきゅっと苦しくなる。
「仕込みのビーフシチューお裾分けしてもらったんだ。温かい内に食べようぜ」
「うん」
シチューのお供に用意したトーストを一口大にちぎりながら浸して食べる。長い時間丁寧に煮込まれた牛肉はスプーンで切れるほど柔らかく、少し噛むだけで口の中でホロホロと溶けた。
あまりの美味しさに頬が緩んでしまう。つい口いっぱいシチューを頬張ってしまう。ふと視線を感じ、視線を向ければ優しい眼差しとかち合った。
「あんまりじっと見られてると食べにくいんだけど……」
手を止めてダンに抗議する。困ったように男らしい眉を少し下げクスリと笑った。
「悪い、あんまり美味しそうに食べるからついな、それに……」
縦に持ったスプーンを咥えたまま言葉を待っていた俺に、ダンが柔らかい笑顔を浮かべたまま静かに口を開く。
「昨日は何か様子が変だったけど、今日は大丈夫そうだから安心した」
そう言えば俺、昨日はキスするぞって空回ってたっけ……
ダンとキスすることしか頭になかった自分を思い出し、一気に頬が熱くなる。
「う……ダンも早く食べなよ! 冷めるぞ!」
ダンはクスクス笑いながらもシチューを口に運び始めた。気を取り直して浸したパンを口に放り込んだが、味わう余裕なんてすっかり消え失せてしまっていた。
「俺が片しておくから、シュンは今のうちに風呂に入ってこいよ」
風呂というワードに心臓がドクリと跳ねた。
誘うんだったら……今しかないよな……よしっ
「……俺も手伝うよ、その方が早く終わるし、それに……」
心臓が壊れそうだ。頭の中までドキドキ響いてる気がする。手が勝手に震えてしまう。
不思議そうな顔で俺を見つめるダンの服の裾を、何とか指先で摘まんで仰ぎ見た。
「今日は、一緒にお風呂、入りたい……」
ちゃんと言えた。消え入りそうな弱々しい声だったけど。
瞬く間に整った顔が、火が出そうなくらい真っ赤に染まっていく。
「……いい、のか?」
今更ながら恥ずかしくなってきた。絶対酷い顔してる。
見られたくなくて、分厚い胸板に押し付け頷くと太い腕で力強く抱きすくめられた。
「じゃあ、二人で早く終わらせようぜ……」
熱い吐息を吹き込むように囁かれたいつもより低い声。高鳴り続けている胸が期待に震えるのが分かった。
ダンが部屋に帰ってきたのは、いつもの時間より小一時間ほど経った頃だった。
慌てなくても良かったのに……急いでくれたんだろう。少し息が上がっている。
「……おかえり、ダン。お疲れ様」
俺の為に……ってのが背中を押してくれたんだと思う。自然としたいなって身体が動いてたんだ。
背伸びをして服の胸元を掴んで頬に軽く押しつけた。健康的な色をした頬をほんのり染め、真っ赤な瞳が僅かに見開く。
「……ただいま、シュン」
お世辞にも上手いとは言えないけれど、喜んでくれたみたいだ。ふにゃりと口元を緩めながら抱き締めてくれて、お返しをくれた。頬に触れた柔らかい体温に、胸の辺りがきゅっと苦しくなる。
「仕込みのビーフシチューお裾分けしてもらったんだ。温かい内に食べようぜ」
「うん」
シチューのお供に用意したトーストを一口大にちぎりながら浸して食べる。長い時間丁寧に煮込まれた牛肉はスプーンで切れるほど柔らかく、少し噛むだけで口の中でホロホロと溶けた。
あまりの美味しさに頬が緩んでしまう。つい口いっぱいシチューを頬張ってしまう。ふと視線を感じ、視線を向ければ優しい眼差しとかち合った。
「あんまりじっと見られてると食べにくいんだけど……」
手を止めてダンに抗議する。困ったように男らしい眉を少し下げクスリと笑った。
「悪い、あんまり美味しそうに食べるからついな、それに……」
縦に持ったスプーンを咥えたまま言葉を待っていた俺に、ダンが柔らかい笑顔を浮かべたまま静かに口を開く。
「昨日は何か様子が変だったけど、今日は大丈夫そうだから安心した」
そう言えば俺、昨日はキスするぞって空回ってたっけ……
ダンとキスすることしか頭になかった自分を思い出し、一気に頬が熱くなる。
「う……ダンも早く食べなよ! 冷めるぞ!」
ダンはクスクス笑いながらもシチューを口に運び始めた。気を取り直して浸したパンを口に放り込んだが、味わう余裕なんてすっかり消え失せてしまっていた。
「俺が片しておくから、シュンは今のうちに風呂に入ってこいよ」
風呂というワードに心臓がドクリと跳ねた。
誘うんだったら……今しかないよな……よしっ
「……俺も手伝うよ、その方が早く終わるし、それに……」
心臓が壊れそうだ。頭の中までドキドキ響いてる気がする。手が勝手に震えてしまう。
不思議そうな顔で俺を見つめるダンの服の裾を、何とか指先で摘まんで仰ぎ見た。
「今日は、一緒にお風呂、入りたい……」
ちゃんと言えた。消え入りそうな弱々しい声だったけど。
瞬く間に整った顔が、火が出そうなくらい真っ赤に染まっていく。
「……いい、のか?」
今更ながら恥ずかしくなってきた。絶対酷い顔してる。
見られたくなくて、分厚い胸板に押し付け頷くと太い腕で力強く抱きすくめられた。
「じゃあ、二人で早く終わらせようぜ……」
熱い吐息を吹き込むように囁かれたいつもより低い声。高鳴り続けている胸が期待に震えるのが分かった。
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