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マッチョな幼なじみと恋人同士になった件(ダンルート)

勇気を出して

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 ……普段の俺も、こんな感じ……なのだろうか?

 おずおずとダンの頬を両手で包み込む。さっきから喉が渇いて仕方がない。顔が熱い。湯気でも出ていそうだ。

 完全に高を括っていた。キスくらい俺でも何とか出来るだろうと。いつもダンは、自然に、簡単そうにしていたから。

 キスくらい、じゃなかった。いざ自分からするとなると、全身が小刻みに震えて止まらない。

 中々動けないでいる俺を、ダンは黙って健気に待ってくれている。その姿にまた胸の高鳴りが激しさを増していく。

 ……ええい、もう、なるようになれ!!

 腹をくくった俺は、勢いに任せてダンとの距離を詰め、その唇に自分のものを押し付けた。

「……んっ」

 良かった……出来た。

 胸を満たす、何とも言えない達成感。これで、俺も少しは前進出来ただろうか? ダンの恋人として。

 ゆっくり顔を離そうとする。けれども叶わなかった。阻まれてしまった。大きな手のひらに、後頭部をしっかり固定されて。

「んぅ!? ……ふ、ん、は……む……ぁっ、ん」

 驚きが瞬く間に心地よさへと塗り替えられていく。背筋にぞくぞくとした感覚が走る。角度を変えながら、何度も何度も唇を食まれて。

「は、ぅ……ふっ、ん、ん……ふ」

 視界がじわりと滲んでいく。頭の芯がぼーっと痺れていく。身体まで俺の意思に関係なく、勝手にビクビク震え始めてしまっていた。

 腰の辺りから何かがこみ上げてくる。不意に太い指先が、背骨を辿るみたいに俺の背筋をつうっと撫でた。それが止めになったみたいだ。

 ドクドクと脈打つ全身から一気に力が抜けていく。そのまま重力に従って俺は、くたりとダンの逞しい胸板にもたれ掛かかった。

「……シュン! 悪い……調子に乗ってやり過ぎちまった……大丈夫か?」

 肩で息をしながらぐったりしている俺を、慌ててダンが抱き起こす。

「ダンの、ばか、やろぉ……」

「ごめん、一生懸命俺にキスしようとしてくれてるシュンが可愛すぎて我慢出来なかった」

 しょんぼり眉を下げながら、ダンがゆるゆると俺の背中を撫ででくれる。

 ……可愛い。これが惚れた弱みってやつか。全然怒る気が起きない。いや、まぁ、そもそもこれっぽっちも怒っちゃいないんだけどさ。

「……ばか」

 これくらいならいいだろう、と言い訳しつつダンの胸に顔を埋める。分厚い胸板に頬を擦り寄せると勢いよく抱き締めてくれた。
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