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マッチョな幼なじみと恋人同士になった件(ダンルート)
俺は、何を期待していたんだろう? 何でガッカリしてるんだろう?
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宣言通り、ダンは俺の側を離れなかった。
夕飯を作ってくれている間も、手元を見ずにそわそわチラチラ俺を見つめてきた。だから、俺が隣で手伝うことにしたんだ。いくら、ダンが料理上手だからといって、見ていて危なっかしかったからな。
食事中は、俺を膝の上に乗せたまま食べた。二人羽織みたいな体勢で食べにくそうだった。
でも、満足そうだったし、そもそも離れようもんなら寂しそうに顔を歪めるもんだから、されるがままになるしかなかった。俺がトイレに行った時も、ドアのすぐ側で待ってたくらいだし。
後、風呂に付いてこようとしたのも驚いたな。もう、恋人同士なんだからいいだろ? って。
恥ずかしいから、もう少し待って欲しいって頼んだら、渋々って感じで了承してくれたから、助かったけど。
今もダンは、俺の首筋に顔を埋めたまま離してくれない。定期的に熱い吐息がかかってきて、何だか背筋がぞわぞわする。
「ねぇ……ダン、その……」
「ん? もう、寝るか?」
「え、あ……う、ん」
……何でだろう。今までずっと一緒に寝てたのに、今日は妙に気持ちがソワソワしてしまう。やたらと胸が高鳴って、顔が熱い。
……俺は、一体、何を期待しているんだろう。
ごく自然に俺の身体を逞しく太い腕が抱き上げた。横抱きのまま連れて行かれ、ベッドへゆっくり下ろされる。
俺がもそもそと布団の中に入るのを確認すると、大柄な身体を丸め、のそりと入ってくる。
「おやすみ、シュン」
「おやすみ……ダン」
いつものように背中から抱き締められた。ほどよい弾力のある柔らかさと温もりが、全身を包み込み、お腹の辺りに男らしい手が重ねられる。
騒がしい心臓が大きく跳ねた。肩口に重みを、耳元にダンの吐息を感じて。思わず、拳と一緒に目を閉じる。
けれども、それ以上何も無かった。ダンが動く気配も、大きな手が触れてくることもない。それどころか、健やかな寝息が聞こえ始めた。
……何だ……寝ちゃったのか……
………………あれ? 何で今、俺、ガッカリしてるんだ?
別に、いつも通りじゃないか。なのに……何で……
「シュン……」
「ひゃいっ!?」
唐突に名前を呼ばれ、盛大に声が裏返る。
「悪い、大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫だよ……どうしたの?」
「いや……また、この前みたいに……お前の顔、見ながら寝たいなって」
そういえば、そんな事もあったな。あの時のダン、可愛かったな……本人に言ったら怒られそうだけど。
その場で寝転がり、身体の向きを変える。布団の中をもぞもぞ這い上がり、ダンの顔の位置まで移動した。
「これでいい?」
「おう、あと忘れ物」
身体を抱き締められたかと思えば、視界いっぱいの笑顔。そして、唇に感じた柔らかい感触。
……キス、してもらえたんだ……ダンに。
ワンテンポ遅れて気づき、一気に顔が熱くなった。そんでもって、吹き飛んだ。少し前まで胸にあったモヤモヤした感覚が。
代わりに込み上げてきた喜びに、頬が見る見るうちに緩んでしまう。
「へへっ、じゃあ今度こそおやすみ、シュン」
「……おやすみ」
満足気に白い歯を見せ、額をちょこんと合わせてくる。そのまま、静かに寝息をたて始めてしまった。
モヤモヤは晴れた。けれども、やっぱり落ち着かない。結局、俺は暗い室内で、瞳を閉じたダンの整った顔をずっと見つめ続けてしまっていた。
夕飯を作ってくれている間も、手元を見ずにそわそわチラチラ俺を見つめてきた。だから、俺が隣で手伝うことにしたんだ。いくら、ダンが料理上手だからといって、見ていて危なっかしかったからな。
食事中は、俺を膝の上に乗せたまま食べた。二人羽織みたいな体勢で食べにくそうだった。
でも、満足そうだったし、そもそも離れようもんなら寂しそうに顔を歪めるもんだから、されるがままになるしかなかった。俺がトイレに行った時も、ドアのすぐ側で待ってたくらいだし。
後、風呂に付いてこようとしたのも驚いたな。もう、恋人同士なんだからいいだろ? って。
恥ずかしいから、もう少し待って欲しいって頼んだら、渋々って感じで了承してくれたから、助かったけど。
今もダンは、俺の首筋に顔を埋めたまま離してくれない。定期的に熱い吐息がかかってきて、何だか背筋がぞわぞわする。
「ねぇ……ダン、その……」
「ん? もう、寝るか?」
「え、あ……う、ん」
……何でだろう。今までずっと一緒に寝てたのに、今日は妙に気持ちがソワソワしてしまう。やたらと胸が高鳴って、顔が熱い。
……俺は、一体、何を期待しているんだろう。
ごく自然に俺の身体を逞しく太い腕が抱き上げた。横抱きのまま連れて行かれ、ベッドへゆっくり下ろされる。
俺がもそもそと布団の中に入るのを確認すると、大柄な身体を丸め、のそりと入ってくる。
「おやすみ、シュン」
「おやすみ……ダン」
いつものように背中から抱き締められた。ほどよい弾力のある柔らかさと温もりが、全身を包み込み、お腹の辺りに男らしい手が重ねられる。
騒がしい心臓が大きく跳ねた。肩口に重みを、耳元にダンの吐息を感じて。思わず、拳と一緒に目を閉じる。
けれども、それ以上何も無かった。ダンが動く気配も、大きな手が触れてくることもない。それどころか、健やかな寝息が聞こえ始めた。
……何だ……寝ちゃったのか……
………………あれ? 何で今、俺、ガッカリしてるんだ?
別に、いつも通りじゃないか。なのに……何で……
「シュン……」
「ひゃいっ!?」
唐突に名前を呼ばれ、盛大に声が裏返る。
「悪い、大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫だよ……どうしたの?」
「いや……また、この前みたいに……お前の顔、見ながら寝たいなって」
そういえば、そんな事もあったな。あの時のダン、可愛かったな……本人に言ったら怒られそうだけど。
その場で寝転がり、身体の向きを変える。布団の中をもぞもぞ這い上がり、ダンの顔の位置まで移動した。
「これでいい?」
「おう、あと忘れ物」
身体を抱き締められたかと思えば、視界いっぱいの笑顔。そして、唇に感じた柔らかい感触。
……キス、してもらえたんだ……ダンに。
ワンテンポ遅れて気づき、一気に顔が熱くなった。そんでもって、吹き飛んだ。少し前まで胸にあったモヤモヤした感覚が。
代わりに込み上げてきた喜びに、頬が見る見るうちに緩んでしまう。
「へへっ、じゃあ今度こそおやすみ、シュン」
「……おやすみ」
満足気に白い歯を見せ、額をちょこんと合わせてくる。そのまま、静かに寝息をたて始めてしまった。
モヤモヤは晴れた。けれども、やっぱり落ち着かない。結局、俺は暗い室内で、瞳を閉じたダンの整った顔をずっと見つめ続けてしまっていた。
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