2 / 514
マッチョな幼なじみと恋人同士になった件(ダンルート)
満たされてるのに、もっと欲しくて
しおりを挟む
大柄な身体がゆっくり屈んできて、俺達の額が静かに合わせる。ようやく顔が見えた。いつになく真剣な真っ赤な瞳が俺を射抜く。
胸が苦しい。心臓がドキドキと高鳴っていく。
「な、なんだ? 大事な、話って」
上手く言葉が紡げない。声の震えがうつったみたいに握った拳まで震えてきた。
「……お前のこと離さないって……俺、言ったよな?」
「うん」
「ずっと一緒にいてくれるって、約束してくれたよな?」
「……うん」
ずっと見つめてくれていた赤い瞳が、熱のこもった眼差しが、僅かに揺らいで沈んでいく。
「でも、シュンが倒れた時……俺は、何も出来なかった。セレストさんや、ライのお陰で何とかなったけど……俺は、何も……」
「……ダン」
「……分かってる。分かってるんだ。俺一人の力だけでお前のことを守ろうだなんて……そんなの、傲慢だって」
顔を伏せ、眉間に深く皺を刻みながらダンが歯噛みする。苦々しい、見ているだけで胸が締めつけられる表情で。
「それは……俺も弁えてるつもりだ。でもあの時、凄く後悔したんだ。こんなことになるなら……お前にちゃんと、俺の気持ちを伝えておくんだったって……」
ダンがゆっくり顔を上げる。焦がれるような、燃えるような赤い瞳が俺を捉える。
「シュン……好きだ、大好きだ、愛してる……」
頬に触れてくれた手が熱い。俺の身体も。
「お前のこと、俺なしじゃいられなくするって……前、言ったけどさ……俺の方が、もうお前なしじゃいられなくなっちまった……」
泣きそうだ。嬉しいはずなのに、視界がじわじわぼやけてきていく。
「俺と、付き合って欲しい……ずっと、俺の側にいてくれないか?」
答えなんて、もう、決まっていた。
「俺も、ダンじゃなきゃ、嫌だっ……ずっと一緒にいたい……大好きだよ……」
「……シュン!」
太く逞しい腕が俺の身体を抱き締める。伝わってくる大好きな温もりに、胸がポカポカと温かくなっていく。
こんなにも幸せなのに、満たされているのに、何でだろう……心の奥底からじわりと欲が湧いてきてしまう。
「……ダン……その…………キス、して欲しい」
思わず、衝動のまま強請ってしまっていた。腕に込められた力が緩んで、大きな手が俺の頬に添えられる。
喜びに満ちあふれた笑顔がゆっくり近づいてくる。触れてくれた唇も熱かった。
「……もう一回」
短くせがむとまた優しく触れてくれた。でも……
まだ、足りない。まだ、欲しい。もっと、もっと、ダンに触れて欲しい。
触れれば、すぐに離れていってしまう。追いすがるように太い首に腕を回すと、喉の奥でひそかに笑う声が聞こえた。
「どうした? ずいぶん甘えん坊だな」
「……今朝、してくれなかったから」
つい、こぼれてしまっていた素直な気持ち。
嬉しそうに細められていた瞳が、驚いたように見開かれて、じっと見つめられて。急に何だか恥ずかしくなった。
熱くなった顔ごと目を逸らす。けれども、すぐに顎を掴まれて、向かされてしまう。ダンは、やっぱり嬉しそうに笑っていた。
「そっか……ごめんな、寂しい思いさせて。これからはいっぱいしてやるからな」
頬に触れるだけのキスをくれたダンが、低く静かな声で囁く。
「今日は、シュンと離れたくない……部屋、泊まっていいよな?」
「うん……俺も、ダンと一緒に」
言葉の続きは飲み込まれた。噛みつくような勢いで口づけられて。熱い吐息に混じって消えた。
胸が苦しい。心臓がドキドキと高鳴っていく。
「な、なんだ? 大事な、話って」
上手く言葉が紡げない。声の震えがうつったみたいに握った拳まで震えてきた。
「……お前のこと離さないって……俺、言ったよな?」
「うん」
「ずっと一緒にいてくれるって、約束してくれたよな?」
「……うん」
ずっと見つめてくれていた赤い瞳が、熱のこもった眼差しが、僅かに揺らいで沈んでいく。
「でも、シュンが倒れた時……俺は、何も出来なかった。セレストさんや、ライのお陰で何とかなったけど……俺は、何も……」
「……ダン」
「……分かってる。分かってるんだ。俺一人の力だけでお前のことを守ろうだなんて……そんなの、傲慢だって」
顔を伏せ、眉間に深く皺を刻みながらダンが歯噛みする。苦々しい、見ているだけで胸が締めつけられる表情で。
「それは……俺も弁えてるつもりだ。でもあの時、凄く後悔したんだ。こんなことになるなら……お前にちゃんと、俺の気持ちを伝えておくんだったって……」
ダンがゆっくり顔を上げる。焦がれるような、燃えるような赤い瞳が俺を捉える。
「シュン……好きだ、大好きだ、愛してる……」
頬に触れてくれた手が熱い。俺の身体も。
「お前のこと、俺なしじゃいられなくするって……前、言ったけどさ……俺の方が、もうお前なしじゃいられなくなっちまった……」
泣きそうだ。嬉しいはずなのに、視界がじわじわぼやけてきていく。
「俺と、付き合って欲しい……ずっと、俺の側にいてくれないか?」
答えなんて、もう、決まっていた。
「俺も、ダンじゃなきゃ、嫌だっ……ずっと一緒にいたい……大好きだよ……」
「……シュン!」
太く逞しい腕が俺の身体を抱き締める。伝わってくる大好きな温もりに、胸がポカポカと温かくなっていく。
こんなにも幸せなのに、満たされているのに、何でだろう……心の奥底からじわりと欲が湧いてきてしまう。
「……ダン……その…………キス、して欲しい」
思わず、衝動のまま強請ってしまっていた。腕に込められた力が緩んで、大きな手が俺の頬に添えられる。
喜びに満ちあふれた笑顔がゆっくり近づいてくる。触れてくれた唇も熱かった。
「……もう一回」
短くせがむとまた優しく触れてくれた。でも……
まだ、足りない。まだ、欲しい。もっと、もっと、ダンに触れて欲しい。
触れれば、すぐに離れていってしまう。追いすがるように太い首に腕を回すと、喉の奥でひそかに笑う声が聞こえた。
「どうした? ずいぶん甘えん坊だな」
「……今朝、してくれなかったから」
つい、こぼれてしまっていた素直な気持ち。
嬉しそうに細められていた瞳が、驚いたように見開かれて、じっと見つめられて。急に何だか恥ずかしくなった。
熱くなった顔ごと目を逸らす。けれども、すぐに顎を掴まれて、向かされてしまう。ダンは、やっぱり嬉しそうに笑っていた。
「そっか……ごめんな、寂しい思いさせて。これからはいっぱいしてやるからな」
頬に触れるだけのキスをくれたダンが、低く静かな声で囁く。
「今日は、シュンと離れたくない……部屋、泊まっていいよな?」
「うん……俺も、ダンと一緒に」
言葉の続きは飲み込まれた。噛みつくような勢いで口づけられて。熱い吐息に混じって消えた。
6
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説



セントアール魔法学院~大好きな義兄との学院生活かと思いきや何故だかイケメンがちょっかいかけてきます~
カニ蒲鉾
BL
『ラウ…かわいい僕のラウル…この身体の事は絶対に知られてはいけない僕とラウル二人だけの秘密』
『は、い…誰にも――』
この国には魔力を持つ男が通うことを義務付けられた全寮制魔法学校が存在する。そこに新入生として入学したラウルは離れ離れになっていた大好きで尊敬する義兄リカルドと再び一緒の空間で生活できることだけを楽しみにドキドキワクワク胸を膨らませていた。そんなラウルに待つ、新たな出会いと自分の身体そして出生の秘密とは――
圧倒的光の元気っ子ラウルに、性格真反対のイケメン二人が溺愛執着する青春魔法学園ファンタジー物語
(受)ラウル・ラポワント《1年生》
リカ様大好き元気っ子、圧倒的光
(攻)リカルド・ラポワント《3年生》
優しいお義兄様、溺愛隠れ執着系、策略家
(攻)アルフレッド・プルースト《3年生》
ツンデレ俺様、素行不良な学年1位
(友)レオンハルト・プルースト《1年生》
爽やかイケメン、ラウルの初友達、アルの従兄弟

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます


男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる