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【番外編】胸から聞こえる音(後編)
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「要はおめぇが、アイツらにときめいてんだよ」
「とき……めき?」
おう、と短く応えたカミナの太い指が、俺の手のひらより大きな握り飯をひょいっと摘んで、鋭い牙が生え揃った大きな口へと放り込む。
浅黒い頬をリスみたいにもくもくと膨らませ、うめぇなぁ、流石俺様の弟子だっ! と俺の白い髪をわしゃわしゃかき混ぜながら、口の端をニカッと持ち上げた。
「ふふ、師匠の教え方が上手いからだよ」
「まぁ、俺様の腕は神の中でも一級品だからなぁっ」
得意げに分厚い胸板を張り、ズンズンとお腹の奥に響くような声で、カラカラと笑うカミナの瞳。紫色の眼差しが急に真剣な光を宿し、俺を真っ直ぐに見つめてくる。
「だがよぉ……着実に腕が上がってきてんのは。好きなヤツらにうめぇもんを食わせてぇっつう、おめぇの努力の賜物だぜ?」
いつもより、柔らかい響きをもった声で紡がれた言葉は、じんわりと俺の心に染み渡ってきて……とっても嬉しいはずなのに、目の奥が勝手に熱くなっちゃうや。
「だから……素直に誇っとけ、な?」
俺の胸をとんっと指先でつついてから、白い歯を見せたカミナに向かって、
「……うんっありがとう、カミナ」
こみ上げてしまいそうになっているものを、頑張って押し込む。今の俺が出来る精一杯の笑顔で、えへんっと彼に比べたら薄っぺらい胸を張ってみせると、いいぜっその調子だ! と。大きな手が、愉快でたまらないと言いたげに、俺の肩を優しく叩いた。
◇
「っと、話が逸れちまったなぁ」
大皿に山盛り作った握り飯を、あっという間にお腹に収めてしまったカミナが、指の腹についてしまっていた米粒まで、綺麗に真っ赤な舌でペロリと舐め取っていく。最後におしぼりで拭いてから、ご馳走さんと俺に向かって手を合わせた。
「ズバリ言うがよ、おめぇがきゅんってなるときゃ、アイツらに対してかっけぇなぁとか、好きだって思った時だろ?」
いまだにもうもうと、白い湯気が立っている湯呑みを一気に煽り、湯呑の底をテーブルにコツンと打ち付けてから、二杯目に手を伸ばした。
「うん。そうだけど……よく分かったね」
確かにカミナに指摘された通りだ。
俺が二人に対してきゅんってなっちゃう時は、力持ちで、頼もしい二人の姿を見た時とか。温かい光を湛えた、お揃いの金色の瞳に見つめられ、大好きだよって言ってもらえた時とか。
ちょっと背中の辺りにぞくぞくって変な感じがしちゃうけど、甘ったるい声で俺に優しく触れてくれた時とかだから。カッコいいなぁ……とか好きだなぁ……って思っているもんな。確実に。
「そいつがときめきだからだよ。んで、そん時に胸がきゅんってなっちまったり、心臓がドキドキして止まらなくなっちまうんだ」
「成程……で、ノロケってのは、なんなの?」
ぽんぽんと、至って普通に丁寧に、分かりやすく説明してくれていたカミナの表情。精悍な顔つきが、くしゃっと照れているように歪んで、頬にほんのりと赤みがさす。
まだ飲みかけのお茶をそっとテーブルに戻してから、節くれだった指でガシガシと無造作に束ねてある長い髪をかき混ぜた。
「あー……ノロケっつーのはよぉ、好きなヤツのことをどうだすげぇだろ? って友達とかに自慢したり、俺達こんなに仲がいいんだぜって調子に乗って話しちまうことで……」
「うん」
「おめぇはよ、俺様によ、アイツらといると……かっけぇなぁとか好きだなって、ときめいちまってるって言ってたわけだからよぉ」
「うん…………うん?」
どこか気まずそうにポツポツと話すカミナの言葉を、懸命に噛み砕いていた俺の頭には、先程の……自分の身体はおかしくなってしまったんじゃないか? と至極真剣にカミナに向かって相談している自分の姿が。
セイとソウがカッコよくて、二人のことが大好きだから、ときめいているんだって告げていた自分の姿が、ふっと蘇っていて……
「俺……完っ全にノロケちゃってるじゃんっカミナにっ」
辿り着いてしまった、分かってしまった、なんじゃそりゃって顔の意味に。ボッと火が出ちゃいそうなくらいに、一気に顔が熱くなってしまったんだ。
「……だから言ってんだろうが、最初っから」
そりゃ、なっちゃうや。今、俺の目の前にある呆れたような顔に。
そりゃ、出ちゃうや。腹の奥底から出したような、深いため息も。
「……ごめんなさい」
「まぁ気にすんな。仕方ねぇって、知らねぇことばっかになっちまうのは。なんせ初めてがアイツらなんだからよ」
今までも、これから先もな、と俺を励ますように撫でてくれる手つきが優しくて……ますます、穴が有ったら今すぐに飛び込みたい気分になってしまう。
「んで、どうだ。ほっとしたか?」
「うん……」
「だったらよ、恥ずかしがってる暇があったら、アイツらんとこに行って安心させてやれよ。首どころか、尻尾も長くして待ってるぜ?」
鋭い爪が生えた指の先。紫色の光によって防音対策が施された障子越しには、ゆらゆらと長い尻尾と太い尻尾が仲良く揺れているのが見えた。
今にもこちらへと無理矢理押し入って来そうな、皮膚がピリつく空気を漂わせている、大柄な2つの影の後ろに。
「うんっありがとう、カミナ」
おうっと応えて俺の頭をぽんっと撫でてくれた、ゴツい膝の上から下りて大好きな二人の元へと急ぐ。
伝えなくっちゃっ二人に! 今日、初めて分かった重大な事実をっ!!
「セイっ、ソウっ」
「待ってたよっサトルちゃんっ」
「話は終わったのか?」
弾んだ高めの声と、穏やかな低めの声が俺を出迎え優しく抱き止めてくれる。
俺達頑張ったよっ! と赤い鱗を纏った長い尻尾が、寂しかったぞ……と青い鱗を纏った太い尻尾が。それぞれしゅるりと腰の辺りに巻きつき、赤い手が左手を、青い手が右手をぎゅっと繋いでくれた。
「うんっあのね、俺ね……」
静かに俺を待っててくれる、柔らかい光を帯びた4つの金色に見つめられ、また胸の奥であの音が。きゅんって高鳴る音がして、声が震えそうになっちゃったけど。
「ずっと……二人にときめいてたみたいっ」
噛んじゃったりすることなく、ちゃんと二人に伝えることが出来たのに、なんでかな。
真っ白なセイの頬も、小麦色のソウの頬も、ソウの鱗より真っ赤になって、同時にひっくり返っちゃって。やっぱり俺様の弟子は最高だなっ! と何故か楽しそうにカラカラ笑うカミナの声が、俺達の後ろで響いていたんだ。
「とき……めき?」
おう、と短く応えたカミナの太い指が、俺の手のひらより大きな握り飯をひょいっと摘んで、鋭い牙が生え揃った大きな口へと放り込む。
浅黒い頬をリスみたいにもくもくと膨らませ、うめぇなぁ、流石俺様の弟子だっ! と俺の白い髪をわしゃわしゃかき混ぜながら、口の端をニカッと持ち上げた。
「ふふ、師匠の教え方が上手いからだよ」
「まぁ、俺様の腕は神の中でも一級品だからなぁっ」
得意げに分厚い胸板を張り、ズンズンとお腹の奥に響くような声で、カラカラと笑うカミナの瞳。紫色の眼差しが急に真剣な光を宿し、俺を真っ直ぐに見つめてくる。
「だがよぉ……着実に腕が上がってきてんのは。好きなヤツらにうめぇもんを食わせてぇっつう、おめぇの努力の賜物だぜ?」
いつもより、柔らかい響きをもった声で紡がれた言葉は、じんわりと俺の心に染み渡ってきて……とっても嬉しいはずなのに、目の奥が勝手に熱くなっちゃうや。
「だから……素直に誇っとけ、な?」
俺の胸をとんっと指先でつついてから、白い歯を見せたカミナに向かって、
「……うんっありがとう、カミナ」
こみ上げてしまいそうになっているものを、頑張って押し込む。今の俺が出来る精一杯の笑顔で、えへんっと彼に比べたら薄っぺらい胸を張ってみせると、いいぜっその調子だ! と。大きな手が、愉快でたまらないと言いたげに、俺の肩を優しく叩いた。
◇
「っと、話が逸れちまったなぁ」
大皿に山盛り作った握り飯を、あっという間にお腹に収めてしまったカミナが、指の腹についてしまっていた米粒まで、綺麗に真っ赤な舌でペロリと舐め取っていく。最後におしぼりで拭いてから、ご馳走さんと俺に向かって手を合わせた。
「ズバリ言うがよ、おめぇがきゅんってなるときゃ、アイツらに対してかっけぇなぁとか、好きだって思った時だろ?」
いまだにもうもうと、白い湯気が立っている湯呑みを一気に煽り、湯呑の底をテーブルにコツンと打ち付けてから、二杯目に手を伸ばした。
「うん。そうだけど……よく分かったね」
確かにカミナに指摘された通りだ。
俺が二人に対してきゅんってなっちゃう時は、力持ちで、頼もしい二人の姿を見た時とか。温かい光を湛えた、お揃いの金色の瞳に見つめられ、大好きだよって言ってもらえた時とか。
ちょっと背中の辺りにぞくぞくって変な感じがしちゃうけど、甘ったるい声で俺に優しく触れてくれた時とかだから。カッコいいなぁ……とか好きだなぁ……って思っているもんな。確実に。
「そいつがときめきだからだよ。んで、そん時に胸がきゅんってなっちまったり、心臓がドキドキして止まらなくなっちまうんだ」
「成程……で、ノロケってのは、なんなの?」
ぽんぽんと、至って普通に丁寧に、分かりやすく説明してくれていたカミナの表情。精悍な顔つきが、くしゃっと照れているように歪んで、頬にほんのりと赤みがさす。
まだ飲みかけのお茶をそっとテーブルに戻してから、節くれだった指でガシガシと無造作に束ねてある長い髪をかき混ぜた。
「あー……ノロケっつーのはよぉ、好きなヤツのことをどうだすげぇだろ? って友達とかに自慢したり、俺達こんなに仲がいいんだぜって調子に乗って話しちまうことで……」
「うん」
「おめぇはよ、俺様によ、アイツらといると……かっけぇなぁとか好きだなって、ときめいちまってるって言ってたわけだからよぉ」
「うん…………うん?」
どこか気まずそうにポツポツと話すカミナの言葉を、懸命に噛み砕いていた俺の頭には、先程の……自分の身体はおかしくなってしまったんじゃないか? と至極真剣にカミナに向かって相談している自分の姿が。
セイとソウがカッコよくて、二人のことが大好きだから、ときめいているんだって告げていた自分の姿が、ふっと蘇っていて……
「俺……完っ全にノロケちゃってるじゃんっカミナにっ」
辿り着いてしまった、分かってしまった、なんじゃそりゃって顔の意味に。ボッと火が出ちゃいそうなくらいに、一気に顔が熱くなってしまったんだ。
「……だから言ってんだろうが、最初っから」
そりゃ、なっちゃうや。今、俺の目の前にある呆れたような顔に。
そりゃ、出ちゃうや。腹の奥底から出したような、深いため息も。
「……ごめんなさい」
「まぁ気にすんな。仕方ねぇって、知らねぇことばっかになっちまうのは。なんせ初めてがアイツらなんだからよ」
今までも、これから先もな、と俺を励ますように撫でてくれる手つきが優しくて……ますます、穴が有ったら今すぐに飛び込みたい気分になってしまう。
「んで、どうだ。ほっとしたか?」
「うん……」
「だったらよ、恥ずかしがってる暇があったら、アイツらんとこに行って安心させてやれよ。首どころか、尻尾も長くして待ってるぜ?」
鋭い爪が生えた指の先。紫色の光によって防音対策が施された障子越しには、ゆらゆらと長い尻尾と太い尻尾が仲良く揺れているのが見えた。
今にもこちらへと無理矢理押し入って来そうな、皮膚がピリつく空気を漂わせている、大柄な2つの影の後ろに。
「うんっありがとう、カミナ」
おうっと応えて俺の頭をぽんっと撫でてくれた、ゴツい膝の上から下りて大好きな二人の元へと急ぐ。
伝えなくっちゃっ二人に! 今日、初めて分かった重大な事実をっ!!
「セイっ、ソウっ」
「待ってたよっサトルちゃんっ」
「話は終わったのか?」
弾んだ高めの声と、穏やかな低めの声が俺を出迎え優しく抱き止めてくれる。
俺達頑張ったよっ! と赤い鱗を纏った長い尻尾が、寂しかったぞ……と青い鱗を纏った太い尻尾が。それぞれしゅるりと腰の辺りに巻きつき、赤い手が左手を、青い手が右手をぎゅっと繋いでくれた。
「うんっあのね、俺ね……」
静かに俺を待っててくれる、柔らかい光を帯びた4つの金色に見つめられ、また胸の奥であの音が。きゅんって高鳴る音がして、声が震えそうになっちゃったけど。
「ずっと……二人にときめいてたみたいっ」
噛んじゃったりすることなく、ちゃんと二人に伝えることが出来たのに、なんでかな。
真っ白なセイの頬も、小麦色のソウの頬も、ソウの鱗より真っ赤になって、同時にひっくり返っちゃって。やっぱり俺様の弟子は最高だなっ! と何故か楽しそうにカラカラ笑うカミナの声が、俺達の後ろで響いていたんだ。
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