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【番外編】胸から聞こえる音(前編)
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ずっと、ずっと気になっていて、でもなんとなく二人には、セイとソウには言いづらくて……
「俺の、身体さ……どこか…………おかしいのかなって……」
「……おう」
だから、師匠にだったらって、胸がドキドキして仕方がなかったけど、声が震えてしまったけど。頑張って、必死に勇気を振り絞って話してみたのに、なのに。
「二人といるとさ、時々……胸の辺りがね…………きゅんってしちゃうんだ……」
「……おう?」
なにもそんなに、なんじゃそりゃって顔をしたまま固まらなくてもいいじゃないか。
水を打ったように静まり返ってしまった室内に、呆れたような、安心したようなため息が響く。
ため息の主である師匠の、紫色の瞳は、さっきまであんなに真剣な光を帯びていたっていうのに、今やげんなりと細められ。
ローテーブルの上に身を乗り出すほど前のめりだった大きな身体も、気が抜けたようにへたりと引っ込んだどころか。がっしりとした幅広の肩を、がっくりと落としたまま頬杖をつき、座布団の上で胡座をかいてしまっている。
「……そんなに俺、変なこと聞いたの?」
言葉にしなくても分かる、あからさま過ぎる態度の変わりように、とんでもないことをやらかしたような気がしてきてだんだんと、湯気が出ちゃいそうなくらいに顔が熱くなっていく。
鋭くつり上がった瞳が、そんな俺をちらりと見てからもう一度、わざとらしいため息を吐き。ゴツゴツした大きな手で、パチパチと音を立てて光る紫色の頭をガシガシ掻きながら、鋭い八重歯が覗く口をゆっくりと開いた。
「だってよぉ、アイツらには聞けねぇっつーからよ。さぞかしおもしれぇ……」
つらつらとボヤいていた低音が、これまたわざとらしい咳払いで自分の言葉を一旦切り、
「いや、深刻な悩みかと思ってたら、ただのノロケ話だった時の俺様の気持ちが分かるか? 分からねぇだろ?」
何事も無かったかのように、平然とした顔で言葉を続ける。
握りこぶしを作り、眉間にシワを刻みながら訴える姿は、なにか俺が悪いことをしたって言いたげに見えるんだけどさ。
「……俺の聞き間違いもしれないけどさ、今面白いって言いかけてたよね?」
「おいおい、大事な一番弟子からの相談だぞ? 心配はすれど面白がるわけねぇだろ!」
「おもしれぇって、言ったよね?」
間髪入れずに再度尋ねた俺に向かって、俺様はこんなにもおめぇのことを思ってんのによぉ……と。丸太のように太い腕を広げ、困ったように眉を下げた師匠、カミナの顔をじっと見つめる。
俺の膝の上で寛いでいた赤と青の蜥蜴達も、俺を援護してくれるかのように、ぴょいっと伸び上がって、テーブルの上に小さな手と顎を乗せたので。二匹と俺との三人がかりで食い入るように、問い詰めるように見つめ続けていると……流石に観念したみたい。
いつもの妙に上手い口笛を吹きながら、降参するかのように褐色の大きな手を、ひらひらと俺達に向かって振った。
「……悪かったって。でもよぉ、心配してたっつーのは本当だぜ?」
突然、頭の上から降ってきた、申し訳なさそうな響きを含んだ低い声。それからいつのまにか、俺の身体を後ろからすっぽりと包み込んでいるがっしりとした両腕に、だいぶ慣れてきたとはいえ、反射的に身体がビクリと跳ねてしまう。
だから、急に瞬間移動するのは止めてよね! 心臓に悪いんだからさ。
喉まで出かかっていた文句を飲み込み、短い鳴き声に視線を落とす。すると、黄色い四つのくりくりした瞳達が大丈夫? と言ってくれているように指にその細い尻尾を絡めて繋いでくれた。
お礼に二匹の頭を撫でてから、逞しい胸板に、さっきおもしれぇって言った分と合わせ、二つ分の抗議を込めて勢いよく凭れかかってやった。
悲しいことに、ぽふんとムチムチしたものが俺の身体をいとも簡単に受け止めただけで、びくともしなかったんだけどさ。
「……分かってるよ、ありがとう。でも……俺だって真剣に悩んでたから相談したんだよ? その、なんだっけ…………ノロケ? ってやつじゃなくてさ」
「いや、おめぇのは完っ全にただのノロケだ。仮にジンに相談したってこう言うはずだぜ、そりゃノロケだなぁ……ってよぉ」
ピシャリと言い放つように断言するどころか、まるで本物のジンさんが今ここで喋ってるみたいにそっくりな声で。カミナにとって都合の良いことを言いながら、ニタリと口の端を上げて笑う姿に。俺の頭の中でカチンと音が鳴った気がした。
「ジンさんが!? ……そっか、じゃあノロケなんだね」
こういう時の、俺の反応を見て楽しんでいる時のカミナは、ムキになって否定するとますます喜んじゃうはずだ。多分。
だったら、逆に納得したフリをしちゃえばいい。セイとソウに読んでもらった本にも、押してダメなら引いてみろって書いてあったもんね。
「……おい、サトル。俺様のモノマネが気に入らなかったんだよな? そうだよな? じゃねぇと師匠である俺様よりも、ジンの野郎を信用するわけねぇもんな?」
案の定というか、思っていた以上に焦り始め、機嫌を取ろうとしてくれているのか。背中や頭を優しくよしよしと撫で回してくれているカミナに、なんだか楽しくなってきちゃって。つい、
「そんなことよりさ、ノロケってなんなの?」
「おめぇも似てきたよなぁっアイツらに! 立派なお嫁さんになれたみてぇでよぉ、俺様は涙がちょちょぎれちまうくらいに嬉しいぜっ! くそっ!」
二人の真似をして意地悪な言い方をしてしまったせいで、俺にぐいぐいとすり寄せるようにくっつけてきた彼の頬を濡らしてしまった。
「ごめんね、俺が悪かったから泣かないで?」
「泣いてなんかねぇよ……俺様が泣くわけねぇだろうが」
ずびずびと鼻をすするカミナは、普段の豪快で堂々とした彼より小さく、幼く見えてしまう。いくらなんでもやり過ぎちゃったなと、心の中で反省しながら彼の頭を撫でている時だった。
助け舟を出してくれるように壁際から、きゅう! と小さな鳴き声が上がったのは。
声の方へと視線を向けると、いつの間に持ってきてくれたのか赤と青、ニ匹の蜥蜴達が……それぞれ銀色のお盆を頭に乗せ、俺に向かってぴこぴこと細い尻尾を振っている。
彼らの上には、俺が今日のお礼にと用意していた大量の握り飯の山。そして、淹れたてなんだろう。白い湯気がもうもうと立ち上っているお茶が乗っていた。
「ねぇ、カミナ。俺、相談にのってくれるお礼にさ、握り飯作ったんだけど……」
俺に撫でられるがままになっているカミナに、おそるおそる尋ねる。寂しそうにぱち……ぱちと小さな音を立てていた髪の毛が、途端にバチバチと軽快なリズムを刻み始める。
「勿論食うに決まってんだろうがっ! 具はなんだ? 梅干しか、シャケか? それとも昆布か?」
「全部あるよ。その三つが好きだってセイとソウから聞いてたからさ」
よっしゃっ今すぐ食わせろ! としょんぼりとしていたのがウソだったみたいに顔を輝かせ、ガッツポーズをする彼にほっと胸を撫で下ろした。
「俺の、身体さ……どこか…………おかしいのかなって……」
「……おう」
だから、師匠にだったらって、胸がドキドキして仕方がなかったけど、声が震えてしまったけど。頑張って、必死に勇気を振り絞って話してみたのに、なのに。
「二人といるとさ、時々……胸の辺りがね…………きゅんってしちゃうんだ……」
「……おう?」
なにもそんなに、なんじゃそりゃって顔をしたまま固まらなくてもいいじゃないか。
水を打ったように静まり返ってしまった室内に、呆れたような、安心したようなため息が響く。
ため息の主である師匠の、紫色の瞳は、さっきまであんなに真剣な光を帯びていたっていうのに、今やげんなりと細められ。
ローテーブルの上に身を乗り出すほど前のめりだった大きな身体も、気が抜けたようにへたりと引っ込んだどころか。がっしりとした幅広の肩を、がっくりと落としたまま頬杖をつき、座布団の上で胡座をかいてしまっている。
「……そんなに俺、変なこと聞いたの?」
言葉にしなくても分かる、あからさま過ぎる態度の変わりように、とんでもないことをやらかしたような気がしてきてだんだんと、湯気が出ちゃいそうなくらいに顔が熱くなっていく。
鋭くつり上がった瞳が、そんな俺をちらりと見てからもう一度、わざとらしいため息を吐き。ゴツゴツした大きな手で、パチパチと音を立てて光る紫色の頭をガシガシ掻きながら、鋭い八重歯が覗く口をゆっくりと開いた。
「だってよぉ、アイツらには聞けねぇっつーからよ。さぞかしおもしれぇ……」
つらつらとボヤいていた低音が、これまたわざとらしい咳払いで自分の言葉を一旦切り、
「いや、深刻な悩みかと思ってたら、ただのノロケ話だった時の俺様の気持ちが分かるか? 分からねぇだろ?」
何事も無かったかのように、平然とした顔で言葉を続ける。
握りこぶしを作り、眉間にシワを刻みながら訴える姿は、なにか俺が悪いことをしたって言いたげに見えるんだけどさ。
「……俺の聞き間違いもしれないけどさ、今面白いって言いかけてたよね?」
「おいおい、大事な一番弟子からの相談だぞ? 心配はすれど面白がるわけねぇだろ!」
「おもしれぇって、言ったよね?」
間髪入れずに再度尋ねた俺に向かって、俺様はこんなにもおめぇのことを思ってんのによぉ……と。丸太のように太い腕を広げ、困ったように眉を下げた師匠、カミナの顔をじっと見つめる。
俺の膝の上で寛いでいた赤と青の蜥蜴達も、俺を援護してくれるかのように、ぴょいっと伸び上がって、テーブルの上に小さな手と顎を乗せたので。二匹と俺との三人がかりで食い入るように、問い詰めるように見つめ続けていると……流石に観念したみたい。
いつもの妙に上手い口笛を吹きながら、降参するかのように褐色の大きな手を、ひらひらと俺達に向かって振った。
「……悪かったって。でもよぉ、心配してたっつーのは本当だぜ?」
突然、頭の上から降ってきた、申し訳なさそうな響きを含んだ低い声。それからいつのまにか、俺の身体を後ろからすっぽりと包み込んでいるがっしりとした両腕に、だいぶ慣れてきたとはいえ、反射的に身体がビクリと跳ねてしまう。
だから、急に瞬間移動するのは止めてよね! 心臓に悪いんだからさ。
喉まで出かかっていた文句を飲み込み、短い鳴き声に視線を落とす。すると、黄色い四つのくりくりした瞳達が大丈夫? と言ってくれているように指にその細い尻尾を絡めて繋いでくれた。
お礼に二匹の頭を撫でてから、逞しい胸板に、さっきおもしれぇって言った分と合わせ、二つ分の抗議を込めて勢いよく凭れかかってやった。
悲しいことに、ぽふんとムチムチしたものが俺の身体をいとも簡単に受け止めただけで、びくともしなかったんだけどさ。
「……分かってるよ、ありがとう。でも……俺だって真剣に悩んでたから相談したんだよ? その、なんだっけ…………ノロケ? ってやつじゃなくてさ」
「いや、おめぇのは完っ全にただのノロケだ。仮にジンに相談したってこう言うはずだぜ、そりゃノロケだなぁ……ってよぉ」
ピシャリと言い放つように断言するどころか、まるで本物のジンさんが今ここで喋ってるみたいにそっくりな声で。カミナにとって都合の良いことを言いながら、ニタリと口の端を上げて笑う姿に。俺の頭の中でカチンと音が鳴った気がした。
「ジンさんが!? ……そっか、じゃあノロケなんだね」
こういう時の、俺の反応を見て楽しんでいる時のカミナは、ムキになって否定するとますます喜んじゃうはずだ。多分。
だったら、逆に納得したフリをしちゃえばいい。セイとソウに読んでもらった本にも、押してダメなら引いてみろって書いてあったもんね。
「……おい、サトル。俺様のモノマネが気に入らなかったんだよな? そうだよな? じゃねぇと師匠である俺様よりも、ジンの野郎を信用するわけねぇもんな?」
案の定というか、思っていた以上に焦り始め、機嫌を取ろうとしてくれているのか。背中や頭を優しくよしよしと撫で回してくれているカミナに、なんだか楽しくなってきちゃって。つい、
「そんなことよりさ、ノロケってなんなの?」
「おめぇも似てきたよなぁっアイツらに! 立派なお嫁さんになれたみてぇでよぉ、俺様は涙がちょちょぎれちまうくらいに嬉しいぜっ! くそっ!」
二人の真似をして意地悪な言い方をしてしまったせいで、俺にぐいぐいとすり寄せるようにくっつけてきた彼の頬を濡らしてしまった。
「ごめんね、俺が悪かったから泣かないで?」
「泣いてなんかねぇよ……俺様が泣くわけねぇだろうが」
ずびずびと鼻をすするカミナは、普段の豪快で堂々とした彼より小さく、幼く見えてしまう。いくらなんでもやり過ぎちゃったなと、心の中で反省しながら彼の頭を撫でている時だった。
助け舟を出してくれるように壁際から、きゅう! と小さな鳴き声が上がったのは。
声の方へと視線を向けると、いつの間に持ってきてくれたのか赤と青、ニ匹の蜥蜴達が……それぞれ銀色のお盆を頭に乗せ、俺に向かってぴこぴこと細い尻尾を振っている。
彼らの上には、俺が今日のお礼にと用意していた大量の握り飯の山。そして、淹れたてなんだろう。白い湯気がもうもうと立ち上っているお茶が乗っていた。
「ねぇ、カミナ。俺、相談にのってくれるお礼にさ、握り飯作ったんだけど……」
俺に撫でられるがままになっているカミナに、おそるおそる尋ねる。寂しそうにぱち……ぱちと小さな音を立てていた髪の毛が、途端にバチバチと軽快なリズムを刻み始める。
「勿論食うに決まってんだろうがっ! 具はなんだ? 梅干しか、シャケか? それとも昆布か?」
「全部あるよ。その三つが好きだってセイとソウから聞いてたからさ」
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