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【番外編】みんなとクリスマス、かまくらサプライズ
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「やるじゃねぇか! まさか自分から旗に向かって飛んでいっちまうとはなぁ! 俺様の投げる玉を延々と避け続けちまうのにも驚いたが、いいチームワークだ! 完敗だぜ!!」
負けたのに、勝った俺達よりも上機嫌で笑うカミナの大きな手が、俺の全身にまぶされた雪を払いながら背中をバシバシ叩く。
思わずむせそうになった俺を庇うように二色の尻尾が、褐色の手を軽く払い除けて俺の身体を抱き寄せた。
「テンション上がってるのは分かるけどさーやり過ぎじゃない? カミナと違ってサトルちゃんは繊細なんだからね!」
「わりいわりい、思いきりの良さに感心しちまってよ。流石、俺様の弟子だぜ!」
「俺達のお嫁さんなんだからね!」
「サトルは、俺達のお嫁さんだぞ!」
まるで自分のことみたいに嬉しそうに、誇らしげに。晴れ晴れとした顔で笑うカミナに胸の辺りが擽ったくなる。
不満そうに細められていた四つの瞳が、俺と合った瞬間にキラキラと宝玉みたいに輝いた。
「おめでとうサトルちゃん、格好よかったよ! 君の勇姿を間近で見れなかったのが残念なくらいに!」
「よく頑張ったな! 格好よかったぞ!!」
赤い手が俺の頭を撫でくり回した後に、青い手が俺を掲げてくるくる回る。
雪の中からカミナに引っ張り上げてもらった時は、ちゃんと旗を掴めていたことにほっとしちゃって……それで満足しちゃってたから、あまり実感が湧いてなかったけど。
大好きな二人に喜んでもらえると、二人にいっぱい褒めてもらえると。三人で勝てたんだなって、俺もチームの一員として二人の役に立てたんだなって、そう思えたんだ。
「俺だけじゃないよ。二人が頑張ってくれたから……へっぷちゅん!」
肝心なところで変なくしゃみ出ちゃったよ……最後の最後でカッコ悪すぎない? 俺。
頭の天辺から爪先まで綺麗に埋まっちゃってたもんな……ちょっと背中がぞくぞくするや。
「大丈夫? って、お鼻もほっぺたも真っ赤っかじゃん!」
「二回も雪に埋もれてしまったからな。早く部屋に戻って暖めなければ……」
「だったら丁度いいのがあるぜ? そろそろ完成してるだろうしな!」
心配そうに俺の身体を撫で回す二人の横をすり抜けて、庭の奥へとカミナが歩いていく。
顔を見合わせていた俺達を、早く来いよ!!と急かしてくる大声に、不思議に思いながらも二人と手を繋いで大きな背中の後を追った。
◇
白くて丸い、そして大きい。これが、全部雪で作られているだなんて信じられないくらいに。
丸い屋根の雪の家にぽかりと空いた、セイとソウ、カミナくらいの背だったら少し屈まないと通れない高さの穴から、思いがけない人が現れた。
俺達の姿を捉えた緑色の瞳がゆるりと細められ、俺と同じ位置にある二本の腕と、背中から生えたもう二本を左右に軽く振って微笑む。
「ジンさん!」
「久しぶりだなぁ、元気そうで安心したぜ。ここじゃ寒いだろ? ひとまず中に入ろうぜ」
「おう! ほら、遠慮してねぇで入りな? お前の為のクリスマスなんだからよ」
ジンさんに促され、カミナから背中を軽く押されて狭い入り口へ入る。
オレンジ色の光に照らされた空間は、全員で寝そべったとしても、まだ転がる余裕があるくらいに広く。すぐ後ろの穴を抜けると外だなんて、この壁が全部雪で出来ているだなんて、思えないくらいに暖かい。
空間の真ん中には、大きな長方形の木で作られたテーブルとそれを囲むように木の椅子が五脚。テーブルの中心にあるコンロの上の鍋からは、甘い香りと一緒に白い湯気がほこほこと立ち上っていた。
「スゴーい! これ、全部ジンが一人で用意したの?」
「外観の時点で目を見張るものがあったが、中も素晴らしいな!」
「やるじゃねぇか! やっぱ、物作りに関してはお前に任せんのが一番だな!」
「……おう、カミナがサトルのクリスマスプレゼントに雪降らすっつーからよ……こいつは俺からのプレゼントってわけだ。どうだ、気に入ってくれたか?」
俺に続いて入ってきた三人が、思い思いにジンさんへと感想を伝えていく。
浅黒い頬を赤くして、そっぽを向いてしまったジンさんが、チラチラとこちらに視線を向けながら、か細い声で俺に尋ねた。
「うん! ありがとう、ジンさん! 俺、スッゴく嬉しいよ!」
カミナに雪を用意してもらっただけでも、胸が弾んじゃうくらいに嬉しかったのに。こんなに大きなかまくらまで用意してくれていただなんて……
幸せな気持ちがあふれて、目からこぼれ落ちちゃいそうだ。
「……その笑顔を見れただけで、頑張った甲斐があったってぇもんだ」
二本の腕が俺を優しく抱き上げて、もう二本が俺の頬をそっと包み込む。額が合わさって、鼻先まで近づいた緑色は、透明な水の膜に包まれていた。
「良かったな! サプライズだから、バレねぇようにすんぞっつってんのによぉ……三日も前から俺様ん所にまだか? まだか? って折り紙で出来た手を引き連れて来てたからなぁ」
「……っ、バカ野郎! 余計なこと言うんじゃねぇ!」
流石というかなんというか、良くも悪くも自由奔放なカミナからの暴露に。じんわりとした温かい空気が、カラッとした明るさに変わっていく。
微笑ましそうに見つめる、三人の視線に耐えられなかったんだろうな……俺の胸元に顔を埋めたまま、動かなくなっちゃったや。
分かるなぁ……ジンさんの気持ち。伝えられた方は嬉しいんだけど、言われた方は堪らないんだよね、恥ずかしくて。
ありがとうって気持ちに大丈夫だよって気持ちを込めて、艶々の黒髪を撫でる。
俺を抱き締める力が強くなったと思ったら、頭にぽすんと大きな手が乗っかって、お返しだと言わんばかりにわしゃわしゃと撫で回されてしまった。
負けたのに、勝った俺達よりも上機嫌で笑うカミナの大きな手が、俺の全身にまぶされた雪を払いながら背中をバシバシ叩く。
思わずむせそうになった俺を庇うように二色の尻尾が、褐色の手を軽く払い除けて俺の身体を抱き寄せた。
「テンション上がってるのは分かるけどさーやり過ぎじゃない? カミナと違ってサトルちゃんは繊細なんだからね!」
「わりいわりい、思いきりの良さに感心しちまってよ。流石、俺様の弟子だぜ!」
「俺達のお嫁さんなんだからね!」
「サトルは、俺達のお嫁さんだぞ!」
まるで自分のことみたいに嬉しそうに、誇らしげに。晴れ晴れとした顔で笑うカミナに胸の辺りが擽ったくなる。
不満そうに細められていた四つの瞳が、俺と合った瞬間にキラキラと宝玉みたいに輝いた。
「おめでとうサトルちゃん、格好よかったよ! 君の勇姿を間近で見れなかったのが残念なくらいに!」
「よく頑張ったな! 格好よかったぞ!!」
赤い手が俺の頭を撫でくり回した後に、青い手が俺を掲げてくるくる回る。
雪の中からカミナに引っ張り上げてもらった時は、ちゃんと旗を掴めていたことにほっとしちゃって……それで満足しちゃってたから、あまり実感が湧いてなかったけど。
大好きな二人に喜んでもらえると、二人にいっぱい褒めてもらえると。三人で勝てたんだなって、俺もチームの一員として二人の役に立てたんだなって、そう思えたんだ。
「俺だけじゃないよ。二人が頑張ってくれたから……へっぷちゅん!」
肝心なところで変なくしゃみ出ちゃったよ……最後の最後でカッコ悪すぎない? 俺。
頭の天辺から爪先まで綺麗に埋まっちゃってたもんな……ちょっと背中がぞくぞくするや。
「大丈夫? って、お鼻もほっぺたも真っ赤っかじゃん!」
「二回も雪に埋もれてしまったからな。早く部屋に戻って暖めなければ……」
「だったら丁度いいのがあるぜ? そろそろ完成してるだろうしな!」
心配そうに俺の身体を撫で回す二人の横をすり抜けて、庭の奥へとカミナが歩いていく。
顔を見合わせていた俺達を、早く来いよ!!と急かしてくる大声に、不思議に思いながらも二人と手を繋いで大きな背中の後を追った。
◇
白くて丸い、そして大きい。これが、全部雪で作られているだなんて信じられないくらいに。
丸い屋根の雪の家にぽかりと空いた、セイとソウ、カミナくらいの背だったら少し屈まないと通れない高さの穴から、思いがけない人が現れた。
俺達の姿を捉えた緑色の瞳がゆるりと細められ、俺と同じ位置にある二本の腕と、背中から生えたもう二本を左右に軽く振って微笑む。
「ジンさん!」
「久しぶりだなぁ、元気そうで安心したぜ。ここじゃ寒いだろ? ひとまず中に入ろうぜ」
「おう! ほら、遠慮してねぇで入りな? お前の為のクリスマスなんだからよ」
ジンさんに促され、カミナから背中を軽く押されて狭い入り口へ入る。
オレンジ色の光に照らされた空間は、全員で寝そべったとしても、まだ転がる余裕があるくらいに広く。すぐ後ろの穴を抜けると外だなんて、この壁が全部雪で出来ているだなんて、思えないくらいに暖かい。
空間の真ん中には、大きな長方形の木で作られたテーブルとそれを囲むように木の椅子が五脚。テーブルの中心にあるコンロの上の鍋からは、甘い香りと一緒に白い湯気がほこほこと立ち上っていた。
「スゴーい! これ、全部ジンが一人で用意したの?」
「外観の時点で目を見張るものがあったが、中も素晴らしいな!」
「やるじゃねぇか! やっぱ、物作りに関してはお前に任せんのが一番だな!」
「……おう、カミナがサトルのクリスマスプレゼントに雪降らすっつーからよ……こいつは俺からのプレゼントってわけだ。どうだ、気に入ってくれたか?」
俺に続いて入ってきた三人が、思い思いにジンさんへと感想を伝えていく。
浅黒い頬を赤くして、そっぽを向いてしまったジンさんが、チラチラとこちらに視線を向けながら、か細い声で俺に尋ねた。
「うん! ありがとう、ジンさん! 俺、スッゴく嬉しいよ!」
カミナに雪を用意してもらっただけでも、胸が弾んじゃうくらいに嬉しかったのに。こんなに大きなかまくらまで用意してくれていただなんて……
幸せな気持ちがあふれて、目からこぼれ落ちちゃいそうだ。
「……その笑顔を見れただけで、頑張った甲斐があったってぇもんだ」
二本の腕が俺を優しく抱き上げて、もう二本が俺の頬をそっと包み込む。額が合わさって、鼻先まで近づいた緑色は、透明な水の膜に包まれていた。
「良かったな! サプライズだから、バレねぇようにすんぞっつってんのによぉ……三日も前から俺様ん所にまだか? まだか? って折り紙で出来た手を引き連れて来てたからなぁ」
「……っ、バカ野郎! 余計なこと言うんじゃねぇ!」
流石というかなんというか、良くも悪くも自由奔放なカミナからの暴露に。じんわりとした温かい空気が、カラッとした明るさに変わっていく。
微笑ましそうに見つめる、三人の視線に耐えられなかったんだろうな……俺の胸元に顔を埋めたまま、動かなくなっちゃったや。
分かるなぁ……ジンさんの気持ち。伝えられた方は嬉しいんだけど、言われた方は堪らないんだよね、恥ずかしくて。
ありがとうって気持ちに大丈夫だよって気持ちを込めて、艶々の黒髪を撫でる。
俺を抱き締める力が強くなったと思ったら、頭にぽすんと大きな手が乗っかって、お返しだと言わんばかりにわしゃわしゃと撫で回されてしまった。
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