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【番外編】みんなとクリスマス、ふわふわ雪ダイブ
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「スゴい……これってもしかして、雪?」
「おう! ここには雪なんて降らねぇだろ? でもよぉ、折角ならホワイトクリスマスの方が上がんだろ?」
寒い所には、白い綿毛みたいにふわふわした冷たいものが降るって、二人に教えてもらっていたけど……こうして実際に見るのは始めてだ。
雪に包まれて真っ白な影絵になった木々は、太陽の光を反射してキラキラと輝いていて。ただただ、美しく、不思議なその光景から目が離せない。
「へぇーカミナにしては中々やるじゃん! ちょっと見直しちゃったよ、俺」
「ありがとなカミナ、サトルの為に……これだけの量を降らせるだなんて、大変だっただろう?」
「へへっ、まー俺様にかかりゃこんくらい大したこたぁねぇよ! ほら、そんな熱心に見てねぇでよ外に出て遊ぼうぜ? その為にわざわざ雪の野郎に力借りてきたんだからよ」
「……うん! 素敵なプレゼントをありがとう、カミナ」
窓の外に広がる雪景色にすっかり見惚れていた俺を下ろしてソウに託すと、俺の頭をわしゃわしゃ撫で回す。さっきから胸がドキドキして落ち着かなくて、思わず大きく頷いてしまった俺に、カミナが満足そうに白い歯を見せた。
「ねーねー何して遊ぶ? やっぱり雪合戦? それとも大きな雪だるまとか……いっそのこと、かまくら作っちゃう?」
「その前に、サトルを暖かい格好に着替えさせないとな。また風邪を引きでもしたら大変だ。お前達、コートの用意を頼む、手袋と長靴も忘れずにな」
いそいそと赤い尻尾を左右に大きく揺らしながら、ソウが俺を抱え直す。セイの呼び掛けに応えるように、壁の端で並んでいた赤と青の蜥蜴達が元気よく鳴いた。
◇
踏みしめる地面が白い、俺の吐き出す息さえも。
シンシンと降り続けている雪は、俺が思っていた以上に柔らかくふわふわで。最初の一歩を踏み出した時に、俺の足首の辺りまですっぽりと埋まってしまったのには驚いた。
二人と手を繋いで少しずつ慎重に歩みを進める俺をよそに、白い地面にずんずんと大きな足跡を残していたカミナが突然。まるでベッドの上にでも飛び込むように勢いよく、雪に覆われた地面へと倒れこむ。
「カミナ!? 大丈夫?」
思わず二人の手を離し、雪の上に出来た大きな人形に駆け寄ると、引き締まった腕が目の前に伸びてくる。強い力で腕を引かれ、ぐらりと世界が傾いて、俺の視界が真っ白に染まった。
「うわっ!」
「サトルちゃん!?」
「サトル! 大丈夫か!?」
予想していたような痛みはなくて、冷たくて、フカフカした雪が俺の全身を包み込むように受け止めてくれている。
びっくりした……でも、ひんやりしてちょっと気持ちいいかも、もし雲の上に乗れたらこんな感じなのかな?
ふわふわの雪のベッドを堪能していると、クツクツと喉の奥で笑っているような音が頭の上で響く。見上げた先にはとてもいい、悪戯っぽい笑顔を浮かべたカミナが俺の前にしゃがみこんでいて。つい、起き上がりざまに、その褐色の頬を摘まんで引っ張ってしまっていた。
「なにするんだよ、いきなり! びっくりしたじゃん!」
「わりいわりい、でも気持ちよかっただろ? 雪ダイブ」
「確かに、気持ちよかったけどさ……」
左右にむにむにと引っ張っても、平然とした顔で楽しそうに笑う目の前の男からは、一切反省の色が見られない。どこか誇らしげな表情は、むしろ俺のお陰でいい体験が出来ただろ? とでも言いたげだ。
いや、まぁ、さっきまでの俺みたく、こけないようにしないととか、服を汚さないようにしないととか考えてたら出来なかったことだけどさ。でも、やるならやるで事前に一言、言って欲しかったんだけど! まだ心臓バクバクしてるし。
彼の強引なやり口に、楽しかったもののなんだか納得がいかなくて。弾力のいい頬から手を離し、顔を背けると余計に愉しそうに笑う声が耳に届いた。
もう一回引っ張ってやろうかと、腕を伸ばそうとした俺の腰辺りにしゅるりと何かが巻きつく。
馴染みのある感触に持ち上げられた、俺の見下ろす先にあるカミナの顔面に、大きな白い雪の玉が二個。吸い込まれるように綺麗に直撃して、白い粉となって飛び散った。
「おめぇら、いきなり何しやがる!」
「それは俺達のセリフでしょ?」
「大丈夫かサトル、怪我はないな?」
赤と青の二色の尻尾が俺をセイの元へと運んでいく。全身に粉砂糖でも振りかけたように、雪まみれになってしまった俺の頭や服を、青い鱗を纏った大きな手が、優しく撫でるように払いのけてくれた。
「大丈夫だよ。ありがとう、せ」
ボスンッと、セイの側頭部に生えている白い角に丁度当たった雪玉が弾け、頭から肩にかけて砕けた白い欠片がパラパラこぼれ落ちる。
玉が飛んできた方に顔を向けると赤い尻尾を立てて、目を三角にしながら両手を振り回し、雪玉を投げまくっているソウと。ゲラゲラ笑いながら自分の周囲を漂う黒い雲から、四方八方へと雪玉を飛ばすカミナの姿が目に入った。
「……なんかもう盛り上がっちゃってるね、大丈夫?」
さっきのお返しに、金色の短い髪にまぶされた白い粒を丁寧に払うと、模様のように青い鱗が散りばめられた目元がゆるりと緩んだ。
「ああ、ありがとな。どうやら、最初の遊びは雪合戦に決まったらしい。よし、俺達もいくぞ! カミナを雪まみれにしてやろう!」
「うん!」
青い腕に抱き抱えられ、夢中で雪玉を投げ合う二人へと駆け寄る。俺を抱えたまま、セイが器用に尻尾で作ってくれた雪の玉を、カミナに向かって思いっきり投げつけた。
「おう! ここには雪なんて降らねぇだろ? でもよぉ、折角ならホワイトクリスマスの方が上がんだろ?」
寒い所には、白い綿毛みたいにふわふわした冷たいものが降るって、二人に教えてもらっていたけど……こうして実際に見るのは始めてだ。
雪に包まれて真っ白な影絵になった木々は、太陽の光を反射してキラキラと輝いていて。ただただ、美しく、不思議なその光景から目が離せない。
「へぇーカミナにしては中々やるじゃん! ちょっと見直しちゃったよ、俺」
「ありがとなカミナ、サトルの為に……これだけの量を降らせるだなんて、大変だっただろう?」
「へへっ、まー俺様にかかりゃこんくらい大したこたぁねぇよ! ほら、そんな熱心に見てねぇでよ外に出て遊ぼうぜ? その為にわざわざ雪の野郎に力借りてきたんだからよ」
「……うん! 素敵なプレゼントをありがとう、カミナ」
窓の外に広がる雪景色にすっかり見惚れていた俺を下ろしてソウに託すと、俺の頭をわしゃわしゃ撫で回す。さっきから胸がドキドキして落ち着かなくて、思わず大きく頷いてしまった俺に、カミナが満足そうに白い歯を見せた。
「ねーねー何して遊ぶ? やっぱり雪合戦? それとも大きな雪だるまとか……いっそのこと、かまくら作っちゃう?」
「その前に、サトルを暖かい格好に着替えさせないとな。また風邪を引きでもしたら大変だ。お前達、コートの用意を頼む、手袋と長靴も忘れずにな」
いそいそと赤い尻尾を左右に大きく揺らしながら、ソウが俺を抱え直す。セイの呼び掛けに応えるように、壁の端で並んでいた赤と青の蜥蜴達が元気よく鳴いた。
◇
踏みしめる地面が白い、俺の吐き出す息さえも。
シンシンと降り続けている雪は、俺が思っていた以上に柔らかくふわふわで。最初の一歩を踏み出した時に、俺の足首の辺りまですっぽりと埋まってしまったのには驚いた。
二人と手を繋いで少しずつ慎重に歩みを進める俺をよそに、白い地面にずんずんと大きな足跡を残していたカミナが突然。まるでベッドの上にでも飛び込むように勢いよく、雪に覆われた地面へと倒れこむ。
「カミナ!? 大丈夫?」
思わず二人の手を離し、雪の上に出来た大きな人形に駆け寄ると、引き締まった腕が目の前に伸びてくる。強い力で腕を引かれ、ぐらりと世界が傾いて、俺の視界が真っ白に染まった。
「うわっ!」
「サトルちゃん!?」
「サトル! 大丈夫か!?」
予想していたような痛みはなくて、冷たくて、フカフカした雪が俺の全身を包み込むように受け止めてくれている。
びっくりした……でも、ひんやりしてちょっと気持ちいいかも、もし雲の上に乗れたらこんな感じなのかな?
ふわふわの雪のベッドを堪能していると、クツクツと喉の奥で笑っているような音が頭の上で響く。見上げた先にはとてもいい、悪戯っぽい笑顔を浮かべたカミナが俺の前にしゃがみこんでいて。つい、起き上がりざまに、その褐色の頬を摘まんで引っ張ってしまっていた。
「なにするんだよ、いきなり! びっくりしたじゃん!」
「わりいわりい、でも気持ちよかっただろ? 雪ダイブ」
「確かに、気持ちよかったけどさ……」
左右にむにむにと引っ張っても、平然とした顔で楽しそうに笑う目の前の男からは、一切反省の色が見られない。どこか誇らしげな表情は、むしろ俺のお陰でいい体験が出来ただろ? とでも言いたげだ。
いや、まぁ、さっきまでの俺みたく、こけないようにしないととか、服を汚さないようにしないととか考えてたら出来なかったことだけどさ。でも、やるならやるで事前に一言、言って欲しかったんだけど! まだ心臓バクバクしてるし。
彼の強引なやり口に、楽しかったもののなんだか納得がいかなくて。弾力のいい頬から手を離し、顔を背けると余計に愉しそうに笑う声が耳に届いた。
もう一回引っ張ってやろうかと、腕を伸ばそうとした俺の腰辺りにしゅるりと何かが巻きつく。
馴染みのある感触に持ち上げられた、俺の見下ろす先にあるカミナの顔面に、大きな白い雪の玉が二個。吸い込まれるように綺麗に直撃して、白い粉となって飛び散った。
「おめぇら、いきなり何しやがる!」
「それは俺達のセリフでしょ?」
「大丈夫かサトル、怪我はないな?」
赤と青の二色の尻尾が俺をセイの元へと運んでいく。全身に粉砂糖でも振りかけたように、雪まみれになってしまった俺の頭や服を、青い鱗を纏った大きな手が、優しく撫でるように払いのけてくれた。
「大丈夫だよ。ありがとう、せ」
ボスンッと、セイの側頭部に生えている白い角に丁度当たった雪玉が弾け、頭から肩にかけて砕けた白い欠片がパラパラこぼれ落ちる。
玉が飛んできた方に顔を向けると赤い尻尾を立てて、目を三角にしながら両手を振り回し、雪玉を投げまくっているソウと。ゲラゲラ笑いながら自分の周囲を漂う黒い雲から、四方八方へと雪玉を飛ばすカミナの姿が目に入った。
「……なんかもう盛り上がっちゃってるね、大丈夫?」
さっきのお返しに、金色の短い髪にまぶされた白い粒を丁寧に払うと、模様のように青い鱗が散りばめられた目元がゆるりと緩んだ。
「ああ、ありがとな。どうやら、最初の遊びは雪合戦に決まったらしい。よし、俺達もいくぞ! カミナを雪まみれにしてやろう!」
「うん!」
青い腕に抱き抱えられ、夢中で雪玉を投げ合う二人へと駆け寄る。俺を抱えたまま、セイが器用に尻尾で作ってくれた雪の玉を、カミナに向かって思いっきり投げつけた。
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