49 / 90
【番外編】みんなとクリスマス、いきなりサンタクロース
しおりを挟む
大きな足が地面を蹴る度に、白い粉が宙へと舞う。
日差しの中で煌めくそれらに思わず見惚れていると、俺を抱き締める腕に力がこもる。次の瞬間、目に映っている景色が一瞬、涙でぼやけた時みたいにぶれて見えた。
着地の振動と共にクリアになった視界の先に、おそらくさっきまで俺達が居たであろう場所に。いくつもの白い玉が駆け抜けて、地面や木の幹にぶつかり、砕け散る。
危なかったな……セイが咄嗟に避けてくれたから良かったものの。そのまま走っていたら、抱えられている俺はともかく、セイの身体には確実に直撃していただろうな。
「セイ、サトルちゃん! こっちだよ!!」
少し先にある白い壁の後ろから高めの声が響いて、赤い手が手招きする。縦横無尽に俺達を狙ってくる白い玉を掻い潜り、雪を固めて作られた壁の影へと飛び込むように、セイが俺を抱えたまま大きな身体を滑らせた。
「大丈夫? 二人とも、メッチャ狙われてたけど」
「俺は大丈夫だよ。セイが守ってくれていたから」
「何とかな。それにしても、全く隙がないな……完全に防戦一方だぞ」
俺達が話している間も途切れることなく、玉が砕ける音が後ろで響き。身を潜めている岩の横を凄まじい、俺からは白い残像にしか見えないくらいの速度で飛んでいく。
「おいおい、おめぇら隠れてばっかじゃ俺様には勝てねぇぜ? それとも降参するか? 参りましたカミナ様ってなぁ!」
「うっざー……いくら三対一だからってさ、雲から無限に連射するとかズルくない?」
「全くだ。いくらなんでも容赦が無さすぎる……たかだか雪玉とはいえあの速度だぞ? 万が一、サトルに当たったらどうするつもりだ」
寒空の下に轟く高笑いに、心配そうな顔で俺の頭を撫でていたソウが小麦色の頬をぷくーっと膨らませる。大きな手で俺の背中を撫でながら、セイが口をへの字に曲げた。
人数だけでみたら俺達の方が有利なんだけどな……まぁ、俺は今のところ完全にお荷物だから、実質二対一みたいなもんなんだけどさ。相変わらず万能過ぎるよ、あの雲。雪の神様から借りてきた力のお陰ってのもあるんだろうけど。
それにしても、なんか……カミナが一番楽しんでない? この状況。一応、俺へのクリスマスプレゼントだったはずなんだけどなぁ。
◇
それは、朝食を済ませた後の事だった。
今朝はいつもより、何故かとても寒くて……二人から半纏っていう防寒着を着させてもらっていたんだけど。いつものごとく、突然に、紫色の光と轟音と一緒にカミナが俺達の家にやってきたんだ。
「メリークリスマス!!」
……なんか前にも見たことあるな、この感じ。
先端とツバの部分に白いもこもこがついた真っ赤なとんがり帽子に、同じく裾や袖の部分がもこもこで縁取られた真っ赤なコートにズボン。黒いベルトとブーツを身につけて、勢いよく障子を開け放ったカミナの姿は、つい最近読んだ本に出てきたサンタそのものだ。
確か、ハロウィンの時は悪魔の仮装をしてきていたんだっけ? ということは、また何か企んでいるのかな? 俺達を巻き込んだ遊びを。
「あのさー毎回大声出さないといけない決まりでもあるわけ?」
「いつもながら唐突だな……一体今度は何を始めるつもりなんだ?」
「んなの決まってんだろ? 今日の俺様はサンタクロースだぜ? 可愛い一番弟子に、クリスマスプレゼントを届けに来たに決まってんだろうが!」
そう言って親指で自分の姿を俺達に指し示しながら分厚い胸板を張り、鋭く尖った八重歯を見せる。
そんな彼の姿をぼんやり眺めながら瞬きをした時にはすでに、俺の身体はソウの膝の上から丸太のように硬い腕の中へと移動していた。相変わらずの手際の良さに、慣れてきたとはいえ言葉が出ない。
「びっくりすんぜ? なんせ俺様、今回はお前の為に奮発したからな!」
抱き上げた俺に額をこつんと合わせると、得意気に口角を釣り上げてカミナが笑う。そのまま厳つい肩の上に俺を乗せ、窓に向かって歩き始めてしまった。
もう十分びっくりしているのに、これからもっとびっくりすることになっちゃうのか、俺は。まぁ、プレゼントって言うくらいだから悪いものじゃあないだろうし。なんだかんだ言っても、こないだカミナがしてくれたハロウィン、楽しかったもんな。
「ちょっとカミナ! 俺達の許可なくサトルちゃんにベタベタ触らないでよね!」
「わりいわりい、つっても抱っこだけだろ? ちっとは大目に見てくれよな」
窓際に立つ俺達の隣に来たソウが唇を尖らせて、俺を抱えるカミナの脇腹を赤色鱗に覆われた尻尾で叩く。そこそこ鈍い音がしたにも関わらず、眉ひとつ動かさずにカラカラと笑うカミナに、ますますソウの眉間にシワが刻まれた。
普段は見上げているソウを見下ろすだなんて、なんだか新鮮だな……少し手を伸ばせば簡単に頭に手が届きそうだし。
不満げに口を尖らせて唸っている彼の金色の髪にそっと触れて、撫でる。ぱちぱちとしばたたかせた同色の瞳が俺を捉えてから、ふにゃりと頬が綻んだ。
「……そっちは外だろう? そのプレゼントは、部屋に入りきれないほど大きな物なのか?」
カミナを挟むように反対側にいつの間にか立っていたセイが、尋ねながらソウとお揃いの金色の瞳を期待に輝かせている。空いている方の手を伸ばすと、俺が撫でやすいように頭を傾けてくれた。
「んー……入らねぇこたねぇがよ、部屋でやっちまうと大惨事になっちまうからな」
「大惨事って……一体どんなプレゼント用意してくれたの?」
なんか急に不安になってきたんだけど。まさか生き物とかじゃないよね? 自分がサンタだからソリ引くためにトナカイ連れてきたとか。……それはそれで見たいかも、空飛ぶトナカイ。
「まー見りゃ分かるって! ほら、おめぇらも腑抜けた面してねぇでしっかと見ろよ!」
ゴツゴツした手が、勢いよく障子を開けた先に見えた景色には、いつもの緑や色とりどりの花はなく。地面にたっぷりの生クリームを塗り広げたように、一面真っ白なものに覆われていた。
日差しの中で煌めくそれらに思わず見惚れていると、俺を抱き締める腕に力がこもる。次の瞬間、目に映っている景色が一瞬、涙でぼやけた時みたいにぶれて見えた。
着地の振動と共にクリアになった視界の先に、おそらくさっきまで俺達が居たであろう場所に。いくつもの白い玉が駆け抜けて、地面や木の幹にぶつかり、砕け散る。
危なかったな……セイが咄嗟に避けてくれたから良かったものの。そのまま走っていたら、抱えられている俺はともかく、セイの身体には確実に直撃していただろうな。
「セイ、サトルちゃん! こっちだよ!!」
少し先にある白い壁の後ろから高めの声が響いて、赤い手が手招きする。縦横無尽に俺達を狙ってくる白い玉を掻い潜り、雪を固めて作られた壁の影へと飛び込むように、セイが俺を抱えたまま大きな身体を滑らせた。
「大丈夫? 二人とも、メッチャ狙われてたけど」
「俺は大丈夫だよ。セイが守ってくれていたから」
「何とかな。それにしても、全く隙がないな……完全に防戦一方だぞ」
俺達が話している間も途切れることなく、玉が砕ける音が後ろで響き。身を潜めている岩の横を凄まじい、俺からは白い残像にしか見えないくらいの速度で飛んでいく。
「おいおい、おめぇら隠れてばっかじゃ俺様には勝てねぇぜ? それとも降参するか? 参りましたカミナ様ってなぁ!」
「うっざー……いくら三対一だからってさ、雲から無限に連射するとかズルくない?」
「全くだ。いくらなんでも容赦が無さすぎる……たかだか雪玉とはいえあの速度だぞ? 万が一、サトルに当たったらどうするつもりだ」
寒空の下に轟く高笑いに、心配そうな顔で俺の頭を撫でていたソウが小麦色の頬をぷくーっと膨らませる。大きな手で俺の背中を撫でながら、セイが口をへの字に曲げた。
人数だけでみたら俺達の方が有利なんだけどな……まぁ、俺は今のところ完全にお荷物だから、実質二対一みたいなもんなんだけどさ。相変わらず万能過ぎるよ、あの雲。雪の神様から借りてきた力のお陰ってのもあるんだろうけど。
それにしても、なんか……カミナが一番楽しんでない? この状況。一応、俺へのクリスマスプレゼントだったはずなんだけどなぁ。
◇
それは、朝食を済ませた後の事だった。
今朝はいつもより、何故かとても寒くて……二人から半纏っていう防寒着を着させてもらっていたんだけど。いつものごとく、突然に、紫色の光と轟音と一緒にカミナが俺達の家にやってきたんだ。
「メリークリスマス!!」
……なんか前にも見たことあるな、この感じ。
先端とツバの部分に白いもこもこがついた真っ赤なとんがり帽子に、同じく裾や袖の部分がもこもこで縁取られた真っ赤なコートにズボン。黒いベルトとブーツを身につけて、勢いよく障子を開け放ったカミナの姿は、つい最近読んだ本に出てきたサンタそのものだ。
確か、ハロウィンの時は悪魔の仮装をしてきていたんだっけ? ということは、また何か企んでいるのかな? 俺達を巻き込んだ遊びを。
「あのさー毎回大声出さないといけない決まりでもあるわけ?」
「いつもながら唐突だな……一体今度は何を始めるつもりなんだ?」
「んなの決まってんだろ? 今日の俺様はサンタクロースだぜ? 可愛い一番弟子に、クリスマスプレゼントを届けに来たに決まってんだろうが!」
そう言って親指で自分の姿を俺達に指し示しながら分厚い胸板を張り、鋭く尖った八重歯を見せる。
そんな彼の姿をぼんやり眺めながら瞬きをした時にはすでに、俺の身体はソウの膝の上から丸太のように硬い腕の中へと移動していた。相変わらずの手際の良さに、慣れてきたとはいえ言葉が出ない。
「びっくりすんぜ? なんせ俺様、今回はお前の為に奮発したからな!」
抱き上げた俺に額をこつんと合わせると、得意気に口角を釣り上げてカミナが笑う。そのまま厳つい肩の上に俺を乗せ、窓に向かって歩き始めてしまった。
もう十分びっくりしているのに、これからもっとびっくりすることになっちゃうのか、俺は。まぁ、プレゼントって言うくらいだから悪いものじゃあないだろうし。なんだかんだ言っても、こないだカミナがしてくれたハロウィン、楽しかったもんな。
「ちょっとカミナ! 俺達の許可なくサトルちゃんにベタベタ触らないでよね!」
「わりいわりい、つっても抱っこだけだろ? ちっとは大目に見てくれよな」
窓際に立つ俺達の隣に来たソウが唇を尖らせて、俺を抱えるカミナの脇腹を赤色鱗に覆われた尻尾で叩く。そこそこ鈍い音がしたにも関わらず、眉ひとつ動かさずにカラカラと笑うカミナに、ますますソウの眉間にシワが刻まれた。
普段は見上げているソウを見下ろすだなんて、なんだか新鮮だな……少し手を伸ばせば簡単に頭に手が届きそうだし。
不満げに口を尖らせて唸っている彼の金色の髪にそっと触れて、撫でる。ぱちぱちとしばたたかせた同色の瞳が俺を捉えてから、ふにゃりと頬が綻んだ。
「……そっちは外だろう? そのプレゼントは、部屋に入りきれないほど大きな物なのか?」
カミナを挟むように反対側にいつの間にか立っていたセイが、尋ねながらソウとお揃いの金色の瞳を期待に輝かせている。空いている方の手を伸ばすと、俺が撫でやすいように頭を傾けてくれた。
「んー……入らねぇこたねぇがよ、部屋でやっちまうと大惨事になっちまうからな」
「大惨事って……一体どんなプレゼント用意してくれたの?」
なんか急に不安になってきたんだけど。まさか生き物とかじゃないよね? 自分がサンタだからソリ引くためにトナカイ連れてきたとか。……それはそれで見たいかも、空飛ぶトナカイ。
「まー見りゃ分かるって! ほら、おめぇらも腑抜けた面してねぇでしっかと見ろよ!」
ゴツゴツした手が、勢いよく障子を開けた先に見えた景色には、いつもの緑や色とりどりの花はなく。地面にたっぷりの生クリームを塗り広げたように、一面真っ白なものに覆われていた。
27
お気に入りに追加
267
あなたにおすすめの小説
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜
若目
BL
いまはすっかり財政難となった商家マルシャン家は父シャルル、長兄ジャンティー、長女アヴァール、次女リュゼの4人家族。
妹たちが経済状況を顧みずに贅沢三昧するなか、一家はジャンティーの頑張りによってなんとか暮らしていた。
ある日、父が商用で出かける際に、何か欲しいものはないかと聞かれて、ジャンティーは一輪の薔薇をねだる。
しかし、帰る途中で父は道に迷ってしまう。
父があてもなく歩いていると、偶然、美しく奇妙な古城に辿り着く。
父はそこで、庭に薔薇の木で作られた生垣を見つけた。
ジャンティーとの約束を思い出した父が薔薇を一輪摘むと、彼の前に怒り狂った様子の野獣が現れ、「親切にしてやったのに、厚かましくも薔薇まで盗むとは」と吠えかかる。
野獣は父に死をもって償うように迫るが、薔薇が土産であったことを知ると、代わりに子どもを差し出すように要求してきて…
そこから、ジャンティーの運命が大きく変わり出す。
童話の「美女と野獣」パロのBLです
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
【完結】泡の消えゆく、その先に。〜人魚の恋のはなし〜
N2O
BL
人間×人魚の、恋の話。
表紙絵
⇨ 元素🪦 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定です
※◎は視点が変わります(俯瞰、攻め視点etc)
【完結】元魔王、今世では想い人を愛で倒したい!
N2O
BL
元魔王×元勇者一行の魔法使い
拗らせてる人と、猫かぶってる人のはなし。
Special thanks
illustration by ろ(x(旧Twitter) @OwfSHqfs9P56560)
※独自設定です。
※視点が変わる場合には、タイトルに◎を付けます。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!
時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」
すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。
王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。
発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。
国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。
後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。
――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか?
容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。
怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手?
今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。
急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…?
過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。
ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!?
負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。
-------------------------------------------------------------------
主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる