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初めてのお留守番withカミナ、ふりふりエプロンで手作りパンケーキ大作戦おしまい
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「ところでさぁ、何でこれだけ半分なの?」
二人から交互に頭を撫でてもらいながら、ソウの膝の上で寛いでいると、語尾に疑問符をつけて半分のパンケーキをフォークで指し示す。
「俺のと二つで一つだな」
セイも自分の皿とソウの皿を見比べて、フォークの先を形のいい唇にちょこんと当てた。
「ああ……それ、一番最初に俺が焼いたのだから二人に食べて欲しくてさ」
疑問に答え、初めてのだから目立つように盛ったんだ、と続けたら、途端に二人の手が止まってしまった。
じっと見つめたまま動かなくなっちゃったんだけど……どうしたのかな?
「ね、カミナ……保護の効果って、いつまでもつの?」
「出来れば、皿の文字ごと保存して置きたいのだが」
「いやいや、ちゃんと聞いてたのかおめぇら!?食って欲しくて頑張ったんだぜ?綺麗に残さず食べてやんのが愛ってもんだろうが!」
真剣な顔で大事そうにお皿を手に取った二人に、カミナが啜っていた湯飲みをテーブルへと叩きつけるような勢いで置く。
俺達の向かいから、筋肉に覆われた大きな身体を乗り出すと大きな声で捲し立てた。
ああ……綿あめの時と同じで勿体なくなっちゃったのか。……嬉しいな。
珍しくカミナが正論を言ってくれているっていうか、俺の気持ちを代弁してくれてるんだけど。
半分のパンケーキをじっと見つめる二人の表情は、叱られてしまった子供みたいに悲しげで……胸がきゅっと締め付けられる、でも……
「俺、また作るからさ、パンケーキだけじゃなくて色んな料理を。だから……」
交互に見上げた二人の目が見開かれて、互いになにか目配せをする。
二人が同時にパンケーキにフォークを突き立てると、ゆっくり大事そうに頬張った。
「うん、美味しい!ありがとね、サトルちゃん」
「他のも素晴らしかったが、これは特別美味しく感じるな……ありがとう、サトル」
赤と青の大きな手が俺の頭を、頬を、優しく撫でてくれる。
ふわりと花が咲くような二人の笑顔に目の奥の方が熱くなって、また視界が滲んでいく。
どうしよう……俺、心臓は壊れなかったけど……目がおかしくなっちゃったや。
心がふわふわして、嬉しくて、涙が全然止まらないんだ。
「パンケーキはスっゴく美味しかったけど……やっぱり写真に撮っておきたかったなぁ」
「初めてのエプロン姿に、初めての手料理……初めてづくしなんだぞ」
「映像ならあんぞ。なんなら気に入ったシーンは写真にしてやってもいいぜ?」
ガッシリした肩をしょんぼり下げていた二人に、したり顔をしたカミナが、自分の周囲で漂う黒い雲をつつく。
紫色の光が伸びて、俺を抱えたまま身を乗り出したソウと、勢いよく腰を浮かしたまま静止したセイの前に突然、完成したパンケーキの皿を満面の笑みで掲げる俺の姿が現れた。
……何これ、いつの間に撮ってたんだ?
てゆーか俺、普通に動いてんだけど。
これって、過去の映像を映してるってことなのかな?どういう仕組みなのかは分かんないけどさ。
「ねぇ……これ、いくら?」
「言い値で買おう」
映像から片時も目を離さずに二人が呟く。ニッと鋭い歯を覗かせたカミナが、分厚い胸板の前で偉そうに太い腕を組んだ。
「握り飯三十個だ、一回こっきりじゃねぇぞ?俺様がここに来る度に用意しろよな」
「え、やっす!いいの、そんなんで?」
「なんなら五十個でも百個でも用意させるぞ?」
びっくりした二人の視線が勢いよく、カミナのほうへと向く。
俺としては、俺がパンケーキ作ってるだけの映像に……おにぎり三十個の価値が付くってだけでも十分びっくりなんだけど。
「三十個で構わねぇよ。俺様も楽しかったしよぉ……弟子の成長を見守るっつー楽しみも出来たしな」
「「弟子?」」
高めの声と低めの声が綺麗に重なる。
カラカラと笑いながら湯飲みを煽るカミナから、俺へと二人の視線が移って注がれた。
「俺、今日からカミナの弟子になったんだ……嫁力ってやつをつけるために」
「おめぇらの為に、立派な嫁さんになりてぇんだとよ」
足りない言葉を付け足してくれたカミナが、ホントおめぇらいい嫁さん貰ったよなぁ、と快活に笑いながら、蜥蜴達からおかわりのお茶を受け取っている。
「ごめんね、勝手に決めちゃって。でも、俺頑張るからさ……セイ?ソウ?」
なんか二人とも真顔になっちゃったんだけど……もしかして、怒ってる……のかな?
でも、いつもみたいに肌がピリピリする感じも、息が出来ないくらいに空気が重い感じもしないし…どうしちゃったんだろう?
黙ったまま俺を見つめる二人の瞳から唐突に、滝みたいな勢いの涙が一気にこぼれ落ちる。
ボタボタとこぼれ落ちる大きな滴が、雨みたいに俺へと降り注いだ。
「セイ!?ソウ!?どうしたの?もしかして泣くほど嫌だった?」
「違うよー……俺達、嬉しくてさぁ……」
「今でも十分、サトルは俺達の立派なお嫁さんなんだぞ……」
泣きじゃくる二人の頭を何度も撫でても、抱き締めても一向に止まらない。
カミナが目を細めながら呑気にお茶を啜っている前で、泣いている俺を簡単に泣き止ませちゃう二人はスゴかったんだなぁ……と。
そんな的外れなことをぼんやり考えながら、すっかり赤くなってしまった二人の目尻にそっと口づけた。
二人から交互に頭を撫でてもらいながら、ソウの膝の上で寛いでいると、語尾に疑問符をつけて半分のパンケーキをフォークで指し示す。
「俺のと二つで一つだな」
セイも自分の皿とソウの皿を見比べて、フォークの先を形のいい唇にちょこんと当てた。
「ああ……それ、一番最初に俺が焼いたのだから二人に食べて欲しくてさ」
疑問に答え、初めてのだから目立つように盛ったんだ、と続けたら、途端に二人の手が止まってしまった。
じっと見つめたまま動かなくなっちゃったんだけど……どうしたのかな?
「ね、カミナ……保護の効果って、いつまでもつの?」
「出来れば、皿の文字ごと保存して置きたいのだが」
「いやいや、ちゃんと聞いてたのかおめぇら!?食って欲しくて頑張ったんだぜ?綺麗に残さず食べてやんのが愛ってもんだろうが!」
真剣な顔で大事そうにお皿を手に取った二人に、カミナが啜っていた湯飲みをテーブルへと叩きつけるような勢いで置く。
俺達の向かいから、筋肉に覆われた大きな身体を乗り出すと大きな声で捲し立てた。
ああ……綿あめの時と同じで勿体なくなっちゃったのか。……嬉しいな。
珍しくカミナが正論を言ってくれているっていうか、俺の気持ちを代弁してくれてるんだけど。
半分のパンケーキをじっと見つめる二人の表情は、叱られてしまった子供みたいに悲しげで……胸がきゅっと締め付けられる、でも……
「俺、また作るからさ、パンケーキだけじゃなくて色んな料理を。だから……」
交互に見上げた二人の目が見開かれて、互いになにか目配せをする。
二人が同時にパンケーキにフォークを突き立てると、ゆっくり大事そうに頬張った。
「うん、美味しい!ありがとね、サトルちゃん」
「他のも素晴らしかったが、これは特別美味しく感じるな……ありがとう、サトル」
赤と青の大きな手が俺の頭を、頬を、優しく撫でてくれる。
ふわりと花が咲くような二人の笑顔に目の奥の方が熱くなって、また視界が滲んでいく。
どうしよう……俺、心臓は壊れなかったけど……目がおかしくなっちゃったや。
心がふわふわして、嬉しくて、涙が全然止まらないんだ。
「パンケーキはスっゴく美味しかったけど……やっぱり写真に撮っておきたかったなぁ」
「初めてのエプロン姿に、初めての手料理……初めてづくしなんだぞ」
「映像ならあんぞ。なんなら気に入ったシーンは写真にしてやってもいいぜ?」
ガッシリした肩をしょんぼり下げていた二人に、したり顔をしたカミナが、自分の周囲で漂う黒い雲をつつく。
紫色の光が伸びて、俺を抱えたまま身を乗り出したソウと、勢いよく腰を浮かしたまま静止したセイの前に突然、完成したパンケーキの皿を満面の笑みで掲げる俺の姿が現れた。
……何これ、いつの間に撮ってたんだ?
てゆーか俺、普通に動いてんだけど。
これって、過去の映像を映してるってことなのかな?どういう仕組みなのかは分かんないけどさ。
「ねぇ……これ、いくら?」
「言い値で買おう」
映像から片時も目を離さずに二人が呟く。ニッと鋭い歯を覗かせたカミナが、分厚い胸板の前で偉そうに太い腕を組んだ。
「握り飯三十個だ、一回こっきりじゃねぇぞ?俺様がここに来る度に用意しろよな」
「え、やっす!いいの、そんなんで?」
「なんなら五十個でも百個でも用意させるぞ?」
びっくりした二人の視線が勢いよく、カミナのほうへと向く。
俺としては、俺がパンケーキ作ってるだけの映像に……おにぎり三十個の価値が付くってだけでも十分びっくりなんだけど。
「三十個で構わねぇよ。俺様も楽しかったしよぉ……弟子の成長を見守るっつー楽しみも出来たしな」
「「弟子?」」
高めの声と低めの声が綺麗に重なる。
カラカラと笑いながら湯飲みを煽るカミナから、俺へと二人の視線が移って注がれた。
「俺、今日からカミナの弟子になったんだ……嫁力ってやつをつけるために」
「おめぇらの為に、立派な嫁さんになりてぇんだとよ」
足りない言葉を付け足してくれたカミナが、ホントおめぇらいい嫁さん貰ったよなぁ、と快活に笑いながら、蜥蜴達からおかわりのお茶を受け取っている。
「ごめんね、勝手に決めちゃって。でも、俺頑張るからさ……セイ?ソウ?」
なんか二人とも真顔になっちゃったんだけど……もしかして、怒ってる……のかな?
でも、いつもみたいに肌がピリピリする感じも、息が出来ないくらいに空気が重い感じもしないし…どうしちゃったんだろう?
黙ったまま俺を見つめる二人の瞳から唐突に、滝みたいな勢いの涙が一気にこぼれ落ちる。
ボタボタとこぼれ落ちる大きな滴が、雨みたいに俺へと降り注いだ。
「セイ!?ソウ!?どうしたの?もしかして泣くほど嫌だった?」
「違うよー……俺達、嬉しくてさぁ……」
「今でも十分、サトルは俺達の立派なお嫁さんなんだぞ……」
泣きじゃくる二人の頭を何度も撫でても、抱き締めても一向に止まらない。
カミナが目を細めながら呑気にお茶を啜っている前で、泣いている俺を簡単に泣き止ませちゃう二人はスゴかったんだなぁ……と。
そんな的外れなことをぼんやり考えながら、すっかり赤くなってしまった二人の目尻にそっと口づけた。
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