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初めてのお出掛け、初めての屋台……後、強襲。おしまい
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「ちっとは落ち着いたかよ?」
俺達の向かいの席を独占して、ど真ん中で長い足を組んだ雷神様が尋ねる。
筋肉が盛り上がった腕を大きく広げ、背もたれに全身を委ねるみたいにもたれかかった。
「ああ、すまなかった…」
「別に、助けてくれなんて頼んでないけどさ…まぁ、ありがとね」
「つったく、少しは落ち着いたかと思ってたのによぉ…相変わらず血の気が多いなぁ、おめぇらは」
「どういうこと?」
あの後からずっと二色の腕が、俺の全身を満遍なく撫で擦っている。
もう痛くないよ?大丈夫だよ?と言っても止まることはなく。
かといって、二人に触られるのが嫌などころか嬉しい俺は、車輪のついた家に場所を移した今も、されるがままになっているんだ。
いまだにしょんぼりと顔を曇らせている二人が、雷神様に頭を下げる。
ソウはセイと違って渋々っていうか、照れているかんじだけど。
二人の感謝に対して、ますます大きなシワを眉と眉の間に作った雷神様に、浮かんだ疑問をぶつけてみると大きな溜め息を吐かれてしまった。
「どうもこうもねぇよ、俺様があん時止めに入ってなかったら、ヤツらごとあの辺り一帯がぶっ飛んでたぞ」
それこそ岩の野郎なんか粉微塵になってたんじゃねぇか?と呆れたように目を細めて吐き捨てる。
ぶっ飛んでた?粉微塵?
いくら身体のあちこちが岩で出来てるからって砕けるもんなの、神様が。更地になっちゃうの?あんなに広い場所が。
…俺の旦那様達、強すぎない?
「まぁ、分かってて神力まで使って無理矢理探ろうとした岩の野郎も十分ひでぇけどな!人の大事な嫁さんに手ぇ出そうなんてよぉ」
「でしょでしょ!俺達のサトルちゃんにベタベタ触りまくってさぁ、やんなっちゃう!」
「なんなら俺達の加護を破ろうとしていたからな!」
ごつごつした掌を上にしてガッシリとした肩をすくませながら雷神様が足を大きく組みかえた。
頬を膨らませたソウと声に苛立ちを滲ませたセイが、俺を労るようにゆったり撫でていた手の動きを早めて、まるで汚れか何かを落とすかのように肌を擦る。
別に俺、触られてなんて…いや、もしかしてあの虫が這い回るような感覚も、気持ちの悪い寒気も。
全部あの神様の、神力ってやつのせいだったのかな?
「やっぱり潰せばよかったねー」
「やはり潰した方がよかったな」
「だから、そう、すぐ力でねじ伏せようとするのを止めろって…万が一、天の野郎の耳に入っちまったらどうするつもりだ」
二人のむちむちしたほっぺたに、むにゅっと顔を左右から挟まれる。
ぐいぐいと押し付けながら溜め息と一緒に不穏な言葉を漏らした。
眉間を節くれだった親指と人差し指で摘まんで、組んでいた足を大股に開きながら雷神様が、がくりと肩を落とす。
なんか、俺、今だったら雷神様の気持ち、分かるや。頭が、痛いんだろうな……
突然、俺を撫でていた二人の手がぴたりと止まった。雷神様が口にした、何らかの言葉に反応するみたいに。
すぐさま部屋の中に立ち込め始めていく。肌がピリピリとひりつくような空気が。
「おいおい、まとめてブッ飛ばすとか考えてねぇだろうな?アホの相手なんかしてる暇あったら嫁さん大事にしろよな」
そう言って俺に合図でもするかのようにパチンと片方の目をつぶる。話に乗れってことだろう。
「俺、ちょっとでも長く二人と一緒に居たい…それに危ないこと二人にして欲しくないな」
落ち着かせなきゃって気持ちもあった。でも、それ以上に二人のことが心配だった。
二人がいくら強くても、さっきみたいに大勢の神様達を相手にするようなことになってしまったら……怪我を、してしまうかもしれない。
俺のせいで二人が傷つくのは嫌だ。泣いている二人を見るのと同じくらい。
いや、それ以上に嫌だ、絶対。
温かい二人の手をぎゅっと握りしめる。
途端にぱっと霧が晴れるみたいに、ざわつくような空気が消えていく。
それと同時にますます二人の頬が、大きな身体が、俺に密着した。
「だよねぇ、サトルちゃんより大事なことなんてこの世に存在しないもんね!」
「そうだな、時間の無駄遣いもいいところだ。そんなことよりも、君と過ごす時間の方がよっぽど大切だぞ!」
不思議だな。ぎゅうぎゅうと二人から挟まれて、撫で回されて。
額や頬にキスしてもらって、さっきあった怖くて嫌な出来事なんて。
まるで悪い夢だったみたいに、記憶の彼方に吹き飛んでいっちゃったんだ。
「で、俺達に何の用があったわけ?」
「カミナがこんな所にまで来るなんて、偶然ではあり得ないからな」
柔らかい光を帯びていた紫の瞳がはたと開いて、泳ぎ出す。
よっぽど言い出しづらいことなのかな。
パチパチと光っている綺麗な髪の毛を、大きな手でぐしゃぐしゃにかき混ぜ始めてしまった。
「取り敢えず、聞くだけ聞いてあげるよ?カミナがまとめて神力弾いてくれたお陰で、サトルちゃん助かったんだし」
まぁ、弾いてくれてなくても俺達が潰して解いてたけどね!とソウが頬をすり寄せ、不満気に口を尖らせた。
隣でセイも俺の頭を撫でながら、うんうんと頷いている。
もしかしなくても、息の根ごと止めようとしてたの!?
いや確かに死んじゃったら、力使うどころじゃないけどさ。力づくにもほどがない?
「あー…まぁ、用っつーよりは頼みなんだけどさぁ…」
「えー…何、その煮え切らない感じ」
「そんなに頼みづらいことなのか?」
もごもごと動く彼の口からは、時折鋭い八重歯が覗いている。
少しの間、視線をさ迷わせてから、両手を顔の前で拝むように合わせた。
「花の姫さんがおめぇらに会いたいって煩くてよぉ…今度茶会開くっつてんだ。ちっとだけでいいから顔見せてやってくんねーか?」
「うへぇー…俺あの子苦手なんだけどー」
「全面的に同意するが…そんなことよりサトルはどうするんだ?」
腹の奥底から絞り出すような声を上げ、俺を抱き締めている赤い腕に力を込める。
赤く長い尻尾が助けを求めるかのように俺の左足に、青く太い尻尾が俺の右足にするりと巻き付いた。
「そんなら任せとけ!俺様が一緒に留守番しといてやっからよぉ」
分厚い胸板をふんっと張って高らかにカミナが宣言する。
二人の手がまた止まって、妙な重たい空気が流れ始めた。
「なんだよその目は、俺様の強さはおめぇらもよく分かってんだろ?それにちっとはそーゆーとこに顔出しといた方がいいぜ?噂がこれ以上広まんねぇようにすっためにもさぁ」
「噂って、やっぱり俺のこと?」
そう言えば…あいつが言ってたっけ。
二人の寵愛?だっけ、それを俺が受けてるってやつ。
人の子とも言ってたし、もうバレちゃってるのかな、俺が人間だって。
カミナの太い首が縦に動いて、俺の質問を肯定する。
「おう、もともと付き合い悪かったコイツらが余計に悪くなっちまったのは、人間の嫁さんが出来ちまったんだろってな」
黙ったままの二色の腕が俺を抱く力を強めた。
もしかしたら俺と一緒で二人も不安だったりするのかな。
だったら俺が安心させなくちゃ!
右手を青い手に左手を赤い手に重ねてそっと握る。
俺の気持ちが伝わったのかな、二人の指が絡んでぎゅって握り返してくれた。
「俺様も誤魔化しといたけどよ、おめぇらが直接牽制しといた方がいいんじゃねぇか?姫さんに任せときゃ速攻で噂の上書きが出来んぜ」
後ろ楯は一つでも多いに越しこたぁねぇからな、と瞳をすっと細めて片方の眉を上げる。
「それって、俺達がこれからもずっと一緒に居られるためには必要なことなんだよね?」
「おう、隠してた弟ってことにしといたら、拐われるリスクも減るしな。今日みてぇに三人で出掛けてぇなら尚更だ」
「これは面倒臭がってる場合じゃないね!」
「屋台もまだ制覇出来ていないし、君を連れていきたい所も沢山あるからな!」
力強くてほっと安心できるような、頼もしい声が頭の上で響く。
顔を向けるとといつもの、俺が大好きな明るい笑顔を二人が浮かべていて。
こんなに温かくて、強くて格好いい二人となら、何でも乗り越えられそうだなって、そう思ったんだ。
俺達の向かいの席を独占して、ど真ん中で長い足を組んだ雷神様が尋ねる。
筋肉が盛り上がった腕を大きく広げ、背もたれに全身を委ねるみたいにもたれかかった。
「ああ、すまなかった…」
「別に、助けてくれなんて頼んでないけどさ…まぁ、ありがとね」
「つったく、少しは落ち着いたかと思ってたのによぉ…相変わらず血の気が多いなぁ、おめぇらは」
「どういうこと?」
あの後からずっと二色の腕が、俺の全身を満遍なく撫で擦っている。
もう痛くないよ?大丈夫だよ?と言っても止まることはなく。
かといって、二人に触られるのが嫌などころか嬉しい俺は、車輪のついた家に場所を移した今も、されるがままになっているんだ。
いまだにしょんぼりと顔を曇らせている二人が、雷神様に頭を下げる。
ソウはセイと違って渋々っていうか、照れているかんじだけど。
二人の感謝に対して、ますます大きなシワを眉と眉の間に作った雷神様に、浮かんだ疑問をぶつけてみると大きな溜め息を吐かれてしまった。
「どうもこうもねぇよ、俺様があん時止めに入ってなかったら、ヤツらごとあの辺り一帯がぶっ飛んでたぞ」
それこそ岩の野郎なんか粉微塵になってたんじゃねぇか?と呆れたように目を細めて吐き捨てる。
ぶっ飛んでた?粉微塵?
いくら身体のあちこちが岩で出来てるからって砕けるもんなの、神様が。更地になっちゃうの?あんなに広い場所が。
…俺の旦那様達、強すぎない?
「まぁ、分かってて神力まで使って無理矢理探ろうとした岩の野郎も十分ひでぇけどな!人の大事な嫁さんに手ぇ出そうなんてよぉ」
「でしょでしょ!俺達のサトルちゃんにベタベタ触りまくってさぁ、やんなっちゃう!」
「なんなら俺達の加護を破ろうとしていたからな!」
ごつごつした掌を上にしてガッシリとした肩をすくませながら雷神様が足を大きく組みかえた。
頬を膨らませたソウと声に苛立ちを滲ませたセイが、俺を労るようにゆったり撫でていた手の動きを早めて、まるで汚れか何かを落とすかのように肌を擦る。
別に俺、触られてなんて…いや、もしかしてあの虫が這い回るような感覚も、気持ちの悪い寒気も。
全部あの神様の、神力ってやつのせいだったのかな?
「やっぱり潰せばよかったねー」
「やはり潰した方がよかったな」
「だから、そう、すぐ力でねじ伏せようとするのを止めろって…万が一、天の野郎の耳に入っちまったらどうするつもりだ」
二人のむちむちしたほっぺたに、むにゅっと顔を左右から挟まれる。
ぐいぐいと押し付けながら溜め息と一緒に不穏な言葉を漏らした。
眉間を節くれだった親指と人差し指で摘まんで、組んでいた足を大股に開きながら雷神様が、がくりと肩を落とす。
なんか、俺、今だったら雷神様の気持ち、分かるや。頭が、痛いんだろうな……
突然、俺を撫でていた二人の手がぴたりと止まった。雷神様が口にした、何らかの言葉に反応するみたいに。
すぐさま部屋の中に立ち込め始めていく。肌がピリピリとひりつくような空気が。
「おいおい、まとめてブッ飛ばすとか考えてねぇだろうな?アホの相手なんかしてる暇あったら嫁さん大事にしろよな」
そう言って俺に合図でもするかのようにパチンと片方の目をつぶる。話に乗れってことだろう。
「俺、ちょっとでも長く二人と一緒に居たい…それに危ないこと二人にして欲しくないな」
落ち着かせなきゃって気持ちもあった。でも、それ以上に二人のことが心配だった。
二人がいくら強くても、さっきみたいに大勢の神様達を相手にするようなことになってしまったら……怪我を、してしまうかもしれない。
俺のせいで二人が傷つくのは嫌だ。泣いている二人を見るのと同じくらい。
いや、それ以上に嫌だ、絶対。
温かい二人の手をぎゅっと握りしめる。
途端にぱっと霧が晴れるみたいに、ざわつくような空気が消えていく。
それと同時にますます二人の頬が、大きな身体が、俺に密着した。
「だよねぇ、サトルちゃんより大事なことなんてこの世に存在しないもんね!」
「そうだな、時間の無駄遣いもいいところだ。そんなことよりも、君と過ごす時間の方がよっぽど大切だぞ!」
不思議だな。ぎゅうぎゅうと二人から挟まれて、撫で回されて。
額や頬にキスしてもらって、さっきあった怖くて嫌な出来事なんて。
まるで悪い夢だったみたいに、記憶の彼方に吹き飛んでいっちゃったんだ。
「で、俺達に何の用があったわけ?」
「カミナがこんな所にまで来るなんて、偶然ではあり得ないからな」
柔らかい光を帯びていた紫の瞳がはたと開いて、泳ぎ出す。
よっぽど言い出しづらいことなのかな。
パチパチと光っている綺麗な髪の毛を、大きな手でぐしゃぐしゃにかき混ぜ始めてしまった。
「取り敢えず、聞くだけ聞いてあげるよ?カミナがまとめて神力弾いてくれたお陰で、サトルちゃん助かったんだし」
まぁ、弾いてくれてなくても俺達が潰して解いてたけどね!とソウが頬をすり寄せ、不満気に口を尖らせた。
隣でセイも俺の頭を撫でながら、うんうんと頷いている。
もしかしなくても、息の根ごと止めようとしてたの!?
いや確かに死んじゃったら、力使うどころじゃないけどさ。力づくにもほどがない?
「あー…まぁ、用っつーよりは頼みなんだけどさぁ…」
「えー…何、その煮え切らない感じ」
「そんなに頼みづらいことなのか?」
もごもごと動く彼の口からは、時折鋭い八重歯が覗いている。
少しの間、視線をさ迷わせてから、両手を顔の前で拝むように合わせた。
「花の姫さんがおめぇらに会いたいって煩くてよぉ…今度茶会開くっつてんだ。ちっとだけでいいから顔見せてやってくんねーか?」
「うへぇー…俺あの子苦手なんだけどー」
「全面的に同意するが…そんなことよりサトルはどうするんだ?」
腹の奥底から絞り出すような声を上げ、俺を抱き締めている赤い腕に力を込める。
赤く長い尻尾が助けを求めるかのように俺の左足に、青く太い尻尾が俺の右足にするりと巻き付いた。
「そんなら任せとけ!俺様が一緒に留守番しといてやっからよぉ」
分厚い胸板をふんっと張って高らかにカミナが宣言する。
二人の手がまた止まって、妙な重たい空気が流れ始めた。
「なんだよその目は、俺様の強さはおめぇらもよく分かってんだろ?それにちっとはそーゆーとこに顔出しといた方がいいぜ?噂がこれ以上広まんねぇようにすっためにもさぁ」
「噂って、やっぱり俺のこと?」
そう言えば…あいつが言ってたっけ。
二人の寵愛?だっけ、それを俺が受けてるってやつ。
人の子とも言ってたし、もうバレちゃってるのかな、俺が人間だって。
カミナの太い首が縦に動いて、俺の質問を肯定する。
「おう、もともと付き合い悪かったコイツらが余計に悪くなっちまったのは、人間の嫁さんが出来ちまったんだろってな」
黙ったままの二色の腕が俺を抱く力を強めた。
もしかしたら俺と一緒で二人も不安だったりするのかな。
だったら俺が安心させなくちゃ!
右手を青い手に左手を赤い手に重ねてそっと握る。
俺の気持ちが伝わったのかな、二人の指が絡んでぎゅって握り返してくれた。
「俺様も誤魔化しといたけどよ、おめぇらが直接牽制しといた方がいいんじゃねぇか?姫さんに任せときゃ速攻で噂の上書きが出来んぜ」
後ろ楯は一つでも多いに越しこたぁねぇからな、と瞳をすっと細めて片方の眉を上げる。
「それって、俺達がこれからもずっと一緒に居られるためには必要なことなんだよね?」
「おう、隠してた弟ってことにしといたら、拐われるリスクも減るしな。今日みてぇに三人で出掛けてぇなら尚更だ」
「これは面倒臭がってる場合じゃないね!」
「屋台もまだ制覇出来ていないし、君を連れていきたい所も沢山あるからな!」
力強くてほっと安心できるような、頼もしい声が頭の上で響く。
顔を向けるとといつもの、俺が大好きな明るい笑顔を二人が浮かべていて。
こんなに温かくて、強くて格好いい二人となら、何でも乗り越えられそうだなって、そう思ったんだ。
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