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初めてのお出掛け、2人の友達。その2
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「あっ!ねぇねぇ、俺良いこと思いついちゃった!」
重苦しい空気を吹き飛ばすように、はいはい!と手を勢いよく高くつき上げたソウが、明るい声を上げる。
「変装させるんだよっ、サトルちゃんを!俺達と兄弟に見えるようにね!」
「成る程…確かに。化粧に俺達の加護を加えれば…俺達よりも下位の神は、簡単に騙せるだろうな」
得意気な表情で、赤い鱗に覆われた人指し指を立てているソウは、少しだけ楽しそうというか、悪戯っぽい笑顔に見えるのは気のせいだろうか。
彼の提案に感心したんだろう。セイの表情にも明るさが戻っていく。
顎に指を当てて考えるような仕草をしてから、整列している蜥蜴達に向かって目で合図を送った。
それを見た蜥蜴達が一斉に、部屋の外へと一目散に駆けていく。
「あの辺じゃ、俺達より上の奴等なんてそうそう会わないんだし…名案じゃない?」
フフンと得意げに逞しい胸板を張り、鼻を鳴らすソウにセイが頷く。
褒めて褒めてっと言わんばかりに彼の頭が近づいてきたので、さらさらした金色の髪に手を伸ばした。
「だったらもう、やることは分かっているよな?」
ソウの頭を撫でていると、俺も撫でてくれ、と言いたそうにセイの頭が近づいてくる。
空いている方の手で、短い髪の毛をすくように撫でているとセイが、いつもより低い声でソウに問いかけた。
「勿論!俺が勝ったら赤だからね?」
「俺が勝ったら青だぞ」
二人がすくっと立ち上がって、青く太い尻尾が少し離れた場所へと俺を運んで下ろす。
肌を刺すようなピリピリとした空気が部屋に立ち込めて、いつもの真剣勝負が始まった。
青い二本の指を、振りかざすみたいに天井に向かって腕を伸ばした後に、歓喜の雄叫びを上げながら俺の身体を軽々と抱き上げる。
一方、自分の広げた掌を呆然と見つめながら、赤い尻尾がへにゃりと力なく垂れ下がった。
「俺の色に決まりだなっ!青い鱗の化粧に白い飾り角。俺とお揃いのサトルは、とびきり愛らしいだろうな…」
金色の瞳をキラキラと輝かせて、白い頬を上気させながら、うっとりと俺を見つめる。
セイとお揃いか。頬が勝手に下がっちゃうくらいに嬉しいな。でも…
「俺とお揃いのサトルちゃん…見たかったなぁ…」
悲しそうな弱々しい声で、膝と自分の長い尻尾を抱えているソウに、胸がきゅっと締め付けられる。
ふと、セイの方に視線を戻すと、先程とはうってかわってしょんぼりと男らしい眉を下げていた。
「…ねぇ、半分ずつじゃ駄目かな?」
俺の言葉に、はたとセイの目がしばたいて、弾かれたようにソウが顔を上げる。
「右側はセイの色にして、左側はソウの色にするって感じでさ…変、かな?」
これなら、どちらかが寂しい思いをすることもないし。
二人とお揃いだから、兄弟みたいに見えると思うんだけど。
「変じゃないぞっ、とても素敵だ!ソウも、それでいいだろう?」
「いいも何も大歓迎だよ!でも、セイはいいの?折角じゃんけん勝ったのに…」
「いつも元気なお前がしょげてると、俺もサトルも悲しいからな」
そう言ってセイが俺にパチンとウィンクする。
頷いて笑い合う俺達を、赤く筋肉質な腕がまとめて抱き締めた。
カシャッ、カシャッと二人の手に収まっている小さな箱から音がする度に、目をつぶってしまいそうになるくらいの眩しい光が俺を襲う。
「サトルちゃん、こっち向いて?」
「君の愛らしい笑顔を、俺達に見せてくれないか?」
言われた通りに彼等の方を向いて、頑張って口角を持ち上げてみる。
笑顔は苦手だけど、無邪気にはしゃいでいる二人の期待に応えたかったんだ。
「可愛い!いつも可愛いけど今日はとびきり可愛いよ!」
「緊張してるのか?そんな君も実に愛らしいな」
完成した俺の姿を鏡で確認した後からは、ずっとこんな感じだ。
隣に立っていたセイがぱあっと顔を輝かせ、俺の目では追えない速さで、いきなり部屋を飛び出したかと思うと、金の装飾が施された青い箱と赤い箱を手に持って、ほくほくとした顔で戻ってきたんだ。
それからだった。二人いわく、俺の撮影会とやらが始まったのは。
いい加減、言われ慣れてきたかな…って思ってたけど…やっぱり背中がむずむずするというか、顔が熱くなってしまう。
しかも今日の二人は、いつも以上に盛り上がっているというか…とっても楽しそうだから。
何だか…俺まで、とっても嬉しくなっちゃうな。
「あーっ!いいよーその表情!最高っ!!」
「はにかんだ笑顔が素敵だな!うっかり、シャッターを切るのを忘れて見入ってしまうぞ…」
彼等の盛り上がりと共に、箱から聞こえる音の回数も、瞬く光も増えていく。
「ところでさ…時間、大丈夫なの?」
ふと、頭に過った疑問を口にすると…二人が箱から顔を離して、きょとんとした顔で見つめ合う。もしかして、忘れているのかな?本来の目的を。
おもむろにセイが懐から、丸くてピカピカした金色の物を取り出してその蓋を開ける。
覗き込むようにソウが彼に頬を寄せて、二人の切れ長の瞳が大きく見開かれた。
「やっば!もうこんな時間!?」
「そろそろ準備しないと、流石に不味いな…」
やっぱり忘れていたみたいだ。バタバタ慌てる二人にてちてちと赤と青の蜥蜴達が駆け寄ってきて、彼等から箱を受け取り、別の子達が綺麗な羽織を代わりに手渡す。
手早くそれを身に纏った二人が同時に、俺の方を向いた。
「格好いい…」
普段の簡素な装飾だけが施された着物姿も綺麗だけど、こっちは裏地に二人の鱗みたいな模様の刺繍が施されている。
いつもより大人っぽいというか、色っぽいというか…見ていると、また心臓が暴れているみたいにおかしくなっちゃうや。
ついついぽーっと見惚れていると徐々に二人の顔が赤くなってきて、二色の尻尾が俺にするすると巻き付いていく。
勢いよく引き寄せられたかと思うと、二色の腕に全身を思いっきり撫で回されてしまった。
重苦しい空気を吹き飛ばすように、はいはい!と手を勢いよく高くつき上げたソウが、明るい声を上げる。
「変装させるんだよっ、サトルちゃんを!俺達と兄弟に見えるようにね!」
「成る程…確かに。化粧に俺達の加護を加えれば…俺達よりも下位の神は、簡単に騙せるだろうな」
得意気な表情で、赤い鱗に覆われた人指し指を立てているソウは、少しだけ楽しそうというか、悪戯っぽい笑顔に見えるのは気のせいだろうか。
彼の提案に感心したんだろう。セイの表情にも明るさが戻っていく。
顎に指を当てて考えるような仕草をしてから、整列している蜥蜴達に向かって目で合図を送った。
それを見た蜥蜴達が一斉に、部屋の外へと一目散に駆けていく。
「あの辺じゃ、俺達より上の奴等なんてそうそう会わないんだし…名案じゃない?」
フフンと得意げに逞しい胸板を張り、鼻を鳴らすソウにセイが頷く。
褒めて褒めてっと言わんばかりに彼の頭が近づいてきたので、さらさらした金色の髪に手を伸ばした。
「だったらもう、やることは分かっているよな?」
ソウの頭を撫でていると、俺も撫でてくれ、と言いたそうにセイの頭が近づいてくる。
空いている方の手で、短い髪の毛をすくように撫でているとセイが、いつもより低い声でソウに問いかけた。
「勿論!俺が勝ったら赤だからね?」
「俺が勝ったら青だぞ」
二人がすくっと立ち上がって、青く太い尻尾が少し離れた場所へと俺を運んで下ろす。
肌を刺すようなピリピリとした空気が部屋に立ち込めて、いつもの真剣勝負が始まった。
青い二本の指を、振りかざすみたいに天井に向かって腕を伸ばした後に、歓喜の雄叫びを上げながら俺の身体を軽々と抱き上げる。
一方、自分の広げた掌を呆然と見つめながら、赤い尻尾がへにゃりと力なく垂れ下がった。
「俺の色に決まりだなっ!青い鱗の化粧に白い飾り角。俺とお揃いのサトルは、とびきり愛らしいだろうな…」
金色の瞳をキラキラと輝かせて、白い頬を上気させながら、うっとりと俺を見つめる。
セイとお揃いか。頬が勝手に下がっちゃうくらいに嬉しいな。でも…
「俺とお揃いのサトルちゃん…見たかったなぁ…」
悲しそうな弱々しい声で、膝と自分の長い尻尾を抱えているソウに、胸がきゅっと締め付けられる。
ふと、セイの方に視線を戻すと、先程とはうってかわってしょんぼりと男らしい眉を下げていた。
「…ねぇ、半分ずつじゃ駄目かな?」
俺の言葉に、はたとセイの目がしばたいて、弾かれたようにソウが顔を上げる。
「右側はセイの色にして、左側はソウの色にするって感じでさ…変、かな?」
これなら、どちらかが寂しい思いをすることもないし。
二人とお揃いだから、兄弟みたいに見えると思うんだけど。
「変じゃないぞっ、とても素敵だ!ソウも、それでいいだろう?」
「いいも何も大歓迎だよ!でも、セイはいいの?折角じゃんけん勝ったのに…」
「いつも元気なお前がしょげてると、俺もサトルも悲しいからな」
そう言ってセイが俺にパチンとウィンクする。
頷いて笑い合う俺達を、赤く筋肉質な腕がまとめて抱き締めた。
カシャッ、カシャッと二人の手に収まっている小さな箱から音がする度に、目をつぶってしまいそうになるくらいの眩しい光が俺を襲う。
「サトルちゃん、こっち向いて?」
「君の愛らしい笑顔を、俺達に見せてくれないか?」
言われた通りに彼等の方を向いて、頑張って口角を持ち上げてみる。
笑顔は苦手だけど、無邪気にはしゃいでいる二人の期待に応えたかったんだ。
「可愛い!いつも可愛いけど今日はとびきり可愛いよ!」
「緊張してるのか?そんな君も実に愛らしいな」
完成した俺の姿を鏡で確認した後からは、ずっとこんな感じだ。
隣に立っていたセイがぱあっと顔を輝かせ、俺の目では追えない速さで、いきなり部屋を飛び出したかと思うと、金の装飾が施された青い箱と赤い箱を手に持って、ほくほくとした顔で戻ってきたんだ。
それからだった。二人いわく、俺の撮影会とやらが始まったのは。
いい加減、言われ慣れてきたかな…って思ってたけど…やっぱり背中がむずむずするというか、顔が熱くなってしまう。
しかも今日の二人は、いつも以上に盛り上がっているというか…とっても楽しそうだから。
何だか…俺まで、とっても嬉しくなっちゃうな。
「あーっ!いいよーその表情!最高っ!!」
「はにかんだ笑顔が素敵だな!うっかり、シャッターを切るのを忘れて見入ってしまうぞ…」
彼等の盛り上がりと共に、箱から聞こえる音の回数も、瞬く光も増えていく。
「ところでさ…時間、大丈夫なの?」
ふと、頭に過った疑問を口にすると…二人が箱から顔を離して、きょとんとした顔で見つめ合う。もしかして、忘れているのかな?本来の目的を。
おもむろにセイが懐から、丸くてピカピカした金色の物を取り出してその蓋を開ける。
覗き込むようにソウが彼に頬を寄せて、二人の切れ長の瞳が大きく見開かれた。
「やっば!もうこんな時間!?」
「そろそろ準備しないと、流石に不味いな…」
やっぱり忘れていたみたいだ。バタバタ慌てる二人にてちてちと赤と青の蜥蜴達が駆け寄ってきて、彼等から箱を受け取り、別の子達が綺麗な羽織を代わりに手渡す。
手早くそれを身に纏った二人が同時に、俺の方を向いた。
「格好いい…」
普段の簡素な装飾だけが施された着物姿も綺麗だけど、こっちは裏地に二人の鱗みたいな模様の刺繍が施されている。
いつもより大人っぽいというか、色っぽいというか…見ていると、また心臓が暴れているみたいにおかしくなっちゃうや。
ついついぽーっと見惚れていると徐々に二人の顔が赤くなってきて、二色の尻尾が俺にするすると巻き付いていく。
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