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5巻
5-2
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第三話 花屋にて
フェリのその言葉の直後。
どうしてか、メフィアの表情が明らかに険しくなった。
「……王家の血筋の方であれば、彼に対してそのような反応をされるのが当然でしょうね」
だがフェリにとっては、メフィアの反応は想定の範囲内であったのか。
彼が〝連盟首脳会議〟に参加しているという事実に憤慨していた人間は、一人や二人ではありませんでしたから――フェリは苦笑いを浮かべながら、言い辛そうにそう言葉を続けた。
「……?」
世情に疎い俺からすれば何がなんだか、訳が分からず眉を顰める。
「リヴドラは、王族という地位を買った人物です。〝英雄〟と呼ばれる己の力を貸す、という約束と引き換えに」
「そりゃまた、変わった奴もいたもんだ」
俺は抱いたままの感想を吐露する。
王族の地位を捨てさえすれば平穏に過ごせるならば、諸手を挙げて捨ててみせる俺にとって、そのリヴドラという奴の考えは理解の埒外にあった。
「……はい。ただ、それだけならまだ〝変わった奴〟程度で済んだでしょうが、ことリヴドラに関しては看過できない悪い噂も多くありまして」
「例えば?」
「……義兄にあたる第一王子ガザレア殿下を殺した――などです」
軽い気持ちで尋ねてみた結果、予想を大きく上回る内容に、俺は思わず閉口してしまう。
「だから、王族という立場にある人間は誰もが彼を嫌悪しています。王族の地位を貶めた事にとどまらず、あまつさえ正統な王位後継者であった義兄を私利私欲の為に殺したような輩などは存在すら認識したくない、と」
しかし幾ら地位を買ったとはいえ、王族に迎えられた以上、誰がなんと言おうと彼は王族である。それに当の獣人国にしても、その交換条件として〝英雄〟と呼ばれるだけの力を手にしたのであれば、それを不用意に手放したくはないだろう。
……実際に見聞きしたわけでもないのに、彼の周囲にいる者達の思惑が透けて見えた。
「だろうな」
けれど、ただ一つ。
少しだけ引っかかる点があった。
リヴドラについてではない。
フェリの考えについてだ。
俺に対して過保護の三文字が服を着て歩いているようなフェリがどうして、そんな奴に会いに行く事を推奨する物言いをしたのだろうか。話を聞く限り、彼の危険性を知らないわけではないだろうに。
俺にはその意図が分からなかった。
リヴドラの名を出した際に、彼女らしくないぎこちなさをどことなく感じたけど、それを問い詰める気は更々ない。何故なら俺は、言いたくない事を聞き出そうとする気などこれっぽっちもないから。
「その話が本当なら、俺だって関わりたくねえよ。あーあ。そんな物騒な奴がいるんなら、俺は部屋に引きこもって自分の身を守らなきゃいけねえかなあ――」
なんて。
彼の名が出た途端に少しだけ張り詰めてしまった空気を和ませるべく、そして怠惰に過ごしたいという願望を口にしてみたものの――
「ですが、帝国憎しという彼の感情に嘘偽りはありません。だからこそ、〝連盟首脳会議〟に出向いたのでしょう」
「…………」
まるで、俺という存在はいないのではと錯覚してしまいそうなくらい、フェリに見事なガン無視をされてしまった。
願望の内容がダメ過ぎたのだろう。
「……冗談だっての。でも、怖い怖くない関係なしに、俺はそいつと進んで会う気はねえよ。知りたい事は、もうどこぞの考古学者から全部聞き出してるし」
俺が欲しかった情報は、既に〝真宵の森〟で得ている。そしてフェリに心配されずとも、〝異形〟の危険性は誰よりも俺が理解している。帝国の危険性も、同様に。
何より、俺は気心の知れた人間以外と関わりを持ちたくはないと思っている。
だから、そのリヴドラと会う気も、会う理由も、何もかもがない。
故に、俺は首を横に振った。
「考古学者……コーエン・ソカッチオですか」
すると、フェリの眉間に皺が寄る。
あのコーエン・ソカッチオの言葉を信じるのはいささか軽率過ぎるのでは、と言いたげな表情だった。何せ、彼は帝国側の人間であったはずだから。
でも、俺の考えは違う。
「案外、ああいう奴の方が信頼できるもんだ」
それにコーエンは、帝国の〝英雄〟である『氷葬』グリムノーツ・アイザックと俺との戦闘の際、傍観に徹していた。
俺としては、コーエンがグリムノーツに助力したとしても負ける気は更々なかったが、それはそれとして。
帝国側の事情はそう単純ではない。『逆凪』と『氷葬』という〝英雄〟が二人も失われ、かつ元々周囲からの信用度が低かったコーエンだけが生き残ったとあっては、彼がそうなるように裏切り者扱いを受ける可能性は極めて高い。
とすれば、コーエンが己の生き甲斐である歴史の探求を続ける為には、首謀者を俺に伝えて倒してもらう事こそが、奴にとって最善手と考えて間違いなかった。
だから恐らく、嘘はついていないだろう。
……厚意から差し伸べられた手よりも、打算に満ち満ちた手の方が余程信が置けてしまう己の捻くれ具合に、少しだけ嫌気が差した。
「まぁとにかく、グレリア兄上と約束した以上は〝連盟首脳会議〟にちゃんと参加するし、心配いらねえよ」
だから、リヴドラなんて餌を吊り下げずとも心配いらねえとだけ告げて、俺は腰掛けていたベッドから立ち上がる。
「て事で、ちょっと外を歩いてくる」
引き続きこの三人と同じ空間にいては、何かにつけて俺が責められるであろう事は明らかであったので、逃亡を決め込む。
幸い、〝連盟首脳会議〟に参加を求められていた手前、一応服装は外着だ。このまま外に出ても問題はなかった。
「それじゃ」
たまには一人でのんびりと行動したかった俺は、ドアから出てはフェリかラティファがついてくる可能性が高いと判断し、またお馴染みの窓を開け、そこから身を乗り出す。
何やらメフィアの呆れ交じりの声が聞こえたような気もしたが、それに構っている暇はない。
さて、どこで昼寝をするか。
などと考えた時。
「――殿下」
底冷えのするようなフェリの声が、俺の鼓膜を揺らす。
決して大声ではなかったはずなのに、何故かその声からは身の毛が残らず逆立ってしまう程の圧が感じられた。
このまま無視をするという選択肢も一応あるにはあったが、それはリスク・リターンが見合っていなさ過ぎる。
俺は、足を止める他なかった。
「私もすぐそちらに参りますので、少々お待ちください」
「…………」
直後、「ラティファ、殿下の事を見張っててください」などという言葉も聞こえてくる。
どうやら、俺に単独行動は許されていないらしい。
最早、メイドというより見張り役である。
……こうなったのも、ある意味自業自得といえば自業自得なのだが、俺はため息を漏らさずにはいられなかった。
◆◆◆
フェリを隣にしながら、庭に赴いて昼寝をするなどと言おうものならば、雷が落ちる事間違いなしである。仕方なく俺は、少し時期は早いけれど部屋に飾ってある花を変えておくかと考え、知人のウォリックが経営する花屋を訪れていた。
俺が訪ねる時は決まって閑散としている花屋であったが、今日は珍しくドア越しに人気が感じられた。
「――花屋はいるか」
お決まりの言葉と共にスライド式のドアを開けようとしたところで。
「……殿下。私は外で待たせて頂きます」
フェリが何故か気まずそうな表情を浮かべながら、そんな発言をした。
花屋か花そのものに苦手意識でもあったのだろうか、などと思いつつ、「そうか」とだけ返して俺は店へ足を踏み入れた。
中には見知った顔のウォリックと、もう一人――長椅子に腰掛ける、黒の帽子を被った痩躯の男。
「これはこれは。ファイ王子殿下」
もう何度となく行ってきたウォリックとのやり取り。けれど、今日は少しだけ、その決まり切ったはずのやり取りに変化があった。
「お客人がお見えになられてますよ」
「……お客人?」
そう言われ、俺の視線は花屋に居合わせたもう一人の人物へと向かう。
「……勘違いじゃないか?」
不躾にならない程度に一瞥した後、俺が口にしたのはそんな言葉。
「いえ。このお方は間違いなく、ファイ王子殿下に会いに来たと。そう仰ってましたよ」
「…………」
そう言われてもう一度だけ視線を向けるが、やはりその女受けしそうな端整な相貌に心当たりはない。
「俺は今日、誰とも会う約束はしてねえし、そもそもそこにいる奴の事を俺は知らない」
〝ど〟が付く程に交友関係が狭い俺の場合、昔の知り合い、という線もあり得ない。
加えて、花屋で待っているという点もあまりにおかしい。
隠しているつもりはないが、俺がこの花屋に時折来ている事を知る人物はごく一部だし、そもそも、今日ここに来ると決めたのはついさっきだ。普通、王子に会いたいのならば王城に向かうだろうに、あえてここに向かった意図が皆目見当もつかない。
その時、男が口を開いた。
「――確かにキミの言う通り、おれとキミはこれが初対面だ。だけど、キミとは一度話しておきたくてね。ま、戦闘能力だけが〝英雄〟の能じゃないって事さ」
「…………」
〝英雄〟。
その言葉に、どこか覚えのある嫌な予感がする。
内容から察するに、黒帽子の男が〝英雄〟絡みの人物であるのは間違いない。
……ただでさえ、最近は働き過ぎてるっていうのに、これ以上の面倒事は御免だ。
胸中でそんな言い訳をこぼし、回れ右をしたい衝動に身を委ねかけたものの、あえて花屋を選んで押しかけてきた黒帽子の男から逃げられる気はしなかった。
「〝霊山〟の巫女はおれに会いたくないらしいけど、まぁいいさ。今日おれが会いに来たのはキミであって、彼女じゃあないからね」
〝霊山〟という言葉には聞き覚えがなかったが、巫女という言葉の方には、若干の心当たりがあった。
「キミは、〝連盟首脳会議〟なんて場を設けられようとも、まともに口を開く気はないんだろう?」
極め付きが、〝連盟首脳会議〟。
なんとなくだが、黒帽子の男の正体が見えてきた。
「だから、こうして押しかけさせてもらった。キミと話をしたいというおれの願いを叶えるならば、こうするのが一番確実だろうからね」
彼の言う通り、俺は〝連盟首脳会議〟に参加しようとも意欲的に発言をする気は更々なかった。銅像の如く口を閉じて時間が過ぎるのをただただ待ってやろうと、そう考えていた。
「単刀直入に、尋ねたい」
言った直後、男がほんの少し俯いた事により、帽子のツバで表情が隠れる。
「なんでキミは、帝国の〝英雄〟を全員殺さなかった? なんで、殺せたはずのコーエン・ソカッチオをみすみす見逃した?」
あまりに唐突過ぎるその問いのせいで、俺の表情もつい、引き締まる。
……その事実を知っているのは、あの戦いの場にいた人間のみ。フェリ、ラティファ、そしてコーエンとエレーナだけだ。
しかしいずれも、吹聴するような人間ではない。
目の前の男はどうやってそんな事を知り得たのか、と疑念が湧き上がる。
けれど、男は俺の返事を悠長に待つ気はないらしい。
「……悩む程の質問じゃあないだろう? 早く答えなよ。返答次第では、おれはキミを殺さなくちゃいけなくなるからさ」
急き立てる言葉に込められた感情は、憤怒だろうか。
帽子のツバに隠れて表情ははっきりと読み取れないが、震える声音から、彼の内心が穏やかでない事は分かった。
「……いきなり過ぎて話が上手く理解できないんだが」
「帝国に与している者は、たとえ誰であろうと例外なく殺す。それがうちのやり方でね」
どうやら、彼は俺が帝国と通じているのではないかと考えているらしい。
で、疑わしい俺にこうして接触した、と。
〝異形〟を生み出している連中に与するくらいなら死んだ方が万倍もまし。そう言ってやりたかったが、それで納得してくれるような輩であれば、きっとこんな事態には陥っていない。
「……そうかよ。そりゃご立派な方針だ」
降って湧いた災難に、思わずため息をつきたくなった。
……だから俺は、静かに部屋に引きこもっていたかったんだよ。
第四話 観測者
「でもそれは、あんたの方針であって、間違っても俺の方針じゃない。俺は俺の考えに従ってアイツを見逃した。ただそれだけだ」
俺を天秤に掛けこそしたものの、コーエンは一度として俺に刃を向ける事も、俺の周囲の人間を傷付ける事もしなかった。だから――
『お前のような立場の人間が、本当におれを見逃してもいいのか?』
去り際に、念を押すようにそう尋ねてきたコーエンに俺は、『そんなに捕まりたいのなら、面倒だがディストブルグの牢獄に連れていってやるぞ』と言って、追い返した。
誰もが勘違いをしているが、そもそも、間違っても俺は誰でも彼でも殺せるような人間じゃあない。前世では周囲から心が弱いと言われ続け、人を殺すという行為に最後の最後まで疑問を抱き続けていたような人間だ。
それを今生も尚引きずっている俺は、たとえ帝国の人間であろうと、必要がなければ殺さない。そんな、当然といえば当然の考えを持っていた。
「誓って、他意はない」
黒帽子の男にどう捉えられようが構わない、というのが本音であったが、それでも〝異形〟を生み出した連中と同類と思われるのは腹立たしかったので、一応否定はしておく。
「そもそも俺が帝国に与してるのなら、城で襲われる事も、『氷葬』みたいな戦闘狂と戦う事もなかっただろうよ」
疲労感を滲ませながら、俺は続ける。
「最後まで手を出してこなかった人間を殺さなかっただけで、帝国の仲間扱いだ? 随分と横暴だな。こっちは堪ったもんじゃねえよ」
むしろ、本当に俺が帝国に与している人間であったならば、逆にコーエンを殺していた事だろう。
帝国最強だという『氷葬』をではなく、『心読』と呼ばれる頭の中を覗く能力を持つ信頼できないコーエンこそを、この機会に殺していたはずだ。しかし、そうはしなかった。
「知ってるだろうが、俺はディストブルグの〝クズ王子〟。そもそも〝英雄〟なんてもんは柄じゃねえし、叶うならば部屋にこもって布団に包まっていたいだけの人間だ。そんな俺が、何が悲しくて帝国に味方しなきゃいけねえんだよ」
ファイ・ヘンゼ・ディストブルグとして生きてきた十四年間。一日のぶれすらなく、その考えを持ち続けてきた。それは事実だ。
心を読めるコーエンのような相手でない限り、こうして事実ではあるが同時に表向きの理由で説明するのが一番だろう。
「……確かに、〝連盟首脳会議〟を欠席してまで呑気に惰眠を貪っていた人間が、帝国に与しているとは考え難い」
……なんでそれをあんたが知ってんだよ。
胸中で抱いた疑問を言葉にして投げつけてやりたかったが、話が進まないのは面倒だったので、半眼で睨み付けるだけに留めておく。
「だけど、その年齢であれ程の戦闘能力。加えて、キミには帝国の血が流れていると聞く。ここまで条件が揃っていれば、疑わない方がおかしいとは思わないかな」
つまり。
年齢にそぐわない戦闘能力は、帝国が生み出した〝異形〟のように、何かタネがあるのでは。
この男はそう邪推しているという事だろうか。
――こいつは俺にとって所詮、ただの他人。明日には忘れているかもしれないような存在だ。だから、言葉に耳を貸す必要なんてどこにもない。いかに腹の立つ言動であろうと黙殺すればいいだけ。
頭ではそう分かっている。
ただ、〝異形〟と己を同列に語られる事はそれでも看過し難い。これ以上こいつの言葉を聞いていると、手が出てしまう可能性すらあった。
「……俺は要求通り、あんたの質問に答えた。これで満足だろ。とっととどっかいけ」
「いいや。その答えじゃあまだ信用はできない。だから――」
「――いい加減にしてください。リヴドラ」
俺でもウォリックでもない、新たな声の介入。
それは、外で待っていると言ったはずのフェリの声だった。
「おっと。てっきり、キミはおれの前には出てこないものと思ってたよ、〝霊山〟の巫女」
ドアを開けて顔を覗かせたフェリに向かって、黒帽子――リヴドラと呼ばれた男が言う。
――そうか。こいつが、獣人国の王族の地位を買った男か。
「……ええ。私は貴方と会うつもりはありませんでした……何をそんなに苛立っているんですか。殿下が帝国に与していない人間である事は明らかでしょうに」
なのにどうして、そうまで執拗に問い詰めるのだと、俺に代わってフェリが言う。
「苛立ち、ね。ああ、うん。そうだ。そうだとも。キミの言う通り、おれは苛立っているとも」
程なくして、男の表情を隠していた帽子のツバが上がる。彼の瞳はドロリと濁っているもののどこか薄らと煌めいており、それは正気でないと形容するのが相応しいものであった。
「〝連盟首脳会議〟なんて大層なものを開催したにもかかわらず、集まったのは弱腰の老人ばかりだよ……なんで分からない。時間をかければかける程、被害が大きくなると。死人が更に増えると何故分からない。迎撃態勢を整える? ……帝国から攻められた時には既に手遅れだと何故分からない。何故誰も理解しようとしない」
リヴドラの言葉は正しく悲鳴だった。
心からの絶叫だった。
「そりゃ苛立ちもするさ。おれはてっきり、帝国を攻め滅ぼす段取りを組む為に呼ばれたものだと思ってたんだからね」
だが、蓋を開けてみれば、守勢に回る事しか考えていない弱腰連中の知恵袋扱い。
怒るのも当然だろう? と、リヴドラは言う。
「その矢先に、コレさ。ディストブルグの王子が帝国の〝英雄〟を逃したと、『観測者』から情報が来た。怒りをぶつけるなという方が無理な話だとは思わないかな」
「……『観測者』?」
聞き慣れない単語に疑問符を浮かべる俺に、フェリが補足する。
「獣人国の〝英雄〟です。確か、名はミラン。彼女が持つ圧倒的な情報量故に、『観測者』と呼ばれています」
――戦闘能力だけが〝英雄〟の能じゃない。
……なるほど。さっきの彼の言葉はそういう意味だったかと理解した。
俺が花屋に来る事も、コーエンを逃した事も、全てその『観測者』と呼ばれる人物から聞いた、と。
「……ですが彼女は、誰に対しても協力的ではなかったはずです」
にわかにフェリの表情が険しくなる。
フェリのその言葉の直後。
どうしてか、メフィアの表情が明らかに険しくなった。
「……王家の血筋の方であれば、彼に対してそのような反応をされるのが当然でしょうね」
だがフェリにとっては、メフィアの反応は想定の範囲内であったのか。
彼が〝連盟首脳会議〟に参加しているという事実に憤慨していた人間は、一人や二人ではありませんでしたから――フェリは苦笑いを浮かべながら、言い辛そうにそう言葉を続けた。
「……?」
世情に疎い俺からすれば何がなんだか、訳が分からず眉を顰める。
「リヴドラは、王族という地位を買った人物です。〝英雄〟と呼ばれる己の力を貸す、という約束と引き換えに」
「そりゃまた、変わった奴もいたもんだ」
俺は抱いたままの感想を吐露する。
王族の地位を捨てさえすれば平穏に過ごせるならば、諸手を挙げて捨ててみせる俺にとって、そのリヴドラという奴の考えは理解の埒外にあった。
「……はい。ただ、それだけならまだ〝変わった奴〟程度で済んだでしょうが、ことリヴドラに関しては看過できない悪い噂も多くありまして」
「例えば?」
「……義兄にあたる第一王子ガザレア殿下を殺した――などです」
軽い気持ちで尋ねてみた結果、予想を大きく上回る内容に、俺は思わず閉口してしまう。
「だから、王族という立場にある人間は誰もが彼を嫌悪しています。王族の地位を貶めた事にとどまらず、あまつさえ正統な王位後継者であった義兄を私利私欲の為に殺したような輩などは存在すら認識したくない、と」
しかし幾ら地位を買ったとはいえ、王族に迎えられた以上、誰がなんと言おうと彼は王族である。それに当の獣人国にしても、その交換条件として〝英雄〟と呼ばれるだけの力を手にしたのであれば、それを不用意に手放したくはないだろう。
……実際に見聞きしたわけでもないのに、彼の周囲にいる者達の思惑が透けて見えた。
「だろうな」
けれど、ただ一つ。
少しだけ引っかかる点があった。
リヴドラについてではない。
フェリの考えについてだ。
俺に対して過保護の三文字が服を着て歩いているようなフェリがどうして、そんな奴に会いに行く事を推奨する物言いをしたのだろうか。話を聞く限り、彼の危険性を知らないわけではないだろうに。
俺にはその意図が分からなかった。
リヴドラの名を出した際に、彼女らしくないぎこちなさをどことなく感じたけど、それを問い詰める気は更々ない。何故なら俺は、言いたくない事を聞き出そうとする気などこれっぽっちもないから。
「その話が本当なら、俺だって関わりたくねえよ。あーあ。そんな物騒な奴がいるんなら、俺は部屋に引きこもって自分の身を守らなきゃいけねえかなあ――」
なんて。
彼の名が出た途端に少しだけ張り詰めてしまった空気を和ませるべく、そして怠惰に過ごしたいという願望を口にしてみたものの――
「ですが、帝国憎しという彼の感情に嘘偽りはありません。だからこそ、〝連盟首脳会議〟に出向いたのでしょう」
「…………」
まるで、俺という存在はいないのではと錯覚してしまいそうなくらい、フェリに見事なガン無視をされてしまった。
願望の内容がダメ過ぎたのだろう。
「……冗談だっての。でも、怖い怖くない関係なしに、俺はそいつと進んで会う気はねえよ。知りたい事は、もうどこぞの考古学者から全部聞き出してるし」
俺が欲しかった情報は、既に〝真宵の森〟で得ている。そしてフェリに心配されずとも、〝異形〟の危険性は誰よりも俺が理解している。帝国の危険性も、同様に。
何より、俺は気心の知れた人間以外と関わりを持ちたくはないと思っている。
だから、そのリヴドラと会う気も、会う理由も、何もかもがない。
故に、俺は首を横に振った。
「考古学者……コーエン・ソカッチオですか」
すると、フェリの眉間に皺が寄る。
あのコーエン・ソカッチオの言葉を信じるのはいささか軽率過ぎるのでは、と言いたげな表情だった。何せ、彼は帝国側の人間であったはずだから。
でも、俺の考えは違う。
「案外、ああいう奴の方が信頼できるもんだ」
それにコーエンは、帝国の〝英雄〟である『氷葬』グリムノーツ・アイザックと俺との戦闘の際、傍観に徹していた。
俺としては、コーエンがグリムノーツに助力したとしても負ける気は更々なかったが、それはそれとして。
帝国側の事情はそう単純ではない。『逆凪』と『氷葬』という〝英雄〟が二人も失われ、かつ元々周囲からの信用度が低かったコーエンだけが生き残ったとあっては、彼がそうなるように裏切り者扱いを受ける可能性は極めて高い。
とすれば、コーエンが己の生き甲斐である歴史の探求を続ける為には、首謀者を俺に伝えて倒してもらう事こそが、奴にとって最善手と考えて間違いなかった。
だから恐らく、嘘はついていないだろう。
……厚意から差し伸べられた手よりも、打算に満ち満ちた手の方が余程信が置けてしまう己の捻くれ具合に、少しだけ嫌気が差した。
「まぁとにかく、グレリア兄上と約束した以上は〝連盟首脳会議〟にちゃんと参加するし、心配いらねえよ」
だから、リヴドラなんて餌を吊り下げずとも心配いらねえとだけ告げて、俺は腰掛けていたベッドから立ち上がる。
「て事で、ちょっと外を歩いてくる」
引き続きこの三人と同じ空間にいては、何かにつけて俺が責められるであろう事は明らかであったので、逃亡を決め込む。
幸い、〝連盟首脳会議〟に参加を求められていた手前、一応服装は外着だ。このまま外に出ても問題はなかった。
「それじゃ」
たまには一人でのんびりと行動したかった俺は、ドアから出てはフェリかラティファがついてくる可能性が高いと判断し、またお馴染みの窓を開け、そこから身を乗り出す。
何やらメフィアの呆れ交じりの声が聞こえたような気もしたが、それに構っている暇はない。
さて、どこで昼寝をするか。
などと考えた時。
「――殿下」
底冷えのするようなフェリの声が、俺の鼓膜を揺らす。
決して大声ではなかったはずなのに、何故かその声からは身の毛が残らず逆立ってしまう程の圧が感じられた。
このまま無視をするという選択肢も一応あるにはあったが、それはリスク・リターンが見合っていなさ過ぎる。
俺は、足を止める他なかった。
「私もすぐそちらに参りますので、少々お待ちください」
「…………」
直後、「ラティファ、殿下の事を見張っててください」などという言葉も聞こえてくる。
どうやら、俺に単独行動は許されていないらしい。
最早、メイドというより見張り役である。
……こうなったのも、ある意味自業自得といえば自業自得なのだが、俺はため息を漏らさずにはいられなかった。
◆◆◆
フェリを隣にしながら、庭に赴いて昼寝をするなどと言おうものならば、雷が落ちる事間違いなしである。仕方なく俺は、少し時期は早いけれど部屋に飾ってある花を変えておくかと考え、知人のウォリックが経営する花屋を訪れていた。
俺が訪ねる時は決まって閑散としている花屋であったが、今日は珍しくドア越しに人気が感じられた。
「――花屋はいるか」
お決まりの言葉と共にスライド式のドアを開けようとしたところで。
「……殿下。私は外で待たせて頂きます」
フェリが何故か気まずそうな表情を浮かべながら、そんな発言をした。
花屋か花そのものに苦手意識でもあったのだろうか、などと思いつつ、「そうか」とだけ返して俺は店へ足を踏み入れた。
中には見知った顔のウォリックと、もう一人――長椅子に腰掛ける、黒の帽子を被った痩躯の男。
「これはこれは。ファイ王子殿下」
もう何度となく行ってきたウォリックとのやり取り。けれど、今日は少しだけ、その決まり切ったはずのやり取りに変化があった。
「お客人がお見えになられてますよ」
「……お客人?」
そう言われ、俺の視線は花屋に居合わせたもう一人の人物へと向かう。
「……勘違いじゃないか?」
不躾にならない程度に一瞥した後、俺が口にしたのはそんな言葉。
「いえ。このお方は間違いなく、ファイ王子殿下に会いに来たと。そう仰ってましたよ」
「…………」
そう言われてもう一度だけ視線を向けるが、やはりその女受けしそうな端整な相貌に心当たりはない。
「俺は今日、誰とも会う約束はしてねえし、そもそもそこにいる奴の事を俺は知らない」
〝ど〟が付く程に交友関係が狭い俺の場合、昔の知り合い、という線もあり得ない。
加えて、花屋で待っているという点もあまりにおかしい。
隠しているつもりはないが、俺がこの花屋に時折来ている事を知る人物はごく一部だし、そもそも、今日ここに来ると決めたのはついさっきだ。普通、王子に会いたいのならば王城に向かうだろうに、あえてここに向かった意図が皆目見当もつかない。
その時、男が口を開いた。
「――確かにキミの言う通り、おれとキミはこれが初対面だ。だけど、キミとは一度話しておきたくてね。ま、戦闘能力だけが〝英雄〟の能じゃないって事さ」
「…………」
〝英雄〟。
その言葉に、どこか覚えのある嫌な予感がする。
内容から察するに、黒帽子の男が〝英雄〟絡みの人物であるのは間違いない。
……ただでさえ、最近は働き過ぎてるっていうのに、これ以上の面倒事は御免だ。
胸中でそんな言い訳をこぼし、回れ右をしたい衝動に身を委ねかけたものの、あえて花屋を選んで押しかけてきた黒帽子の男から逃げられる気はしなかった。
「〝霊山〟の巫女はおれに会いたくないらしいけど、まぁいいさ。今日おれが会いに来たのはキミであって、彼女じゃあないからね」
〝霊山〟という言葉には聞き覚えがなかったが、巫女という言葉の方には、若干の心当たりがあった。
「キミは、〝連盟首脳会議〟なんて場を設けられようとも、まともに口を開く気はないんだろう?」
極め付きが、〝連盟首脳会議〟。
なんとなくだが、黒帽子の男の正体が見えてきた。
「だから、こうして押しかけさせてもらった。キミと話をしたいというおれの願いを叶えるならば、こうするのが一番確実だろうからね」
彼の言う通り、俺は〝連盟首脳会議〟に参加しようとも意欲的に発言をする気は更々なかった。銅像の如く口を閉じて時間が過ぎるのをただただ待ってやろうと、そう考えていた。
「単刀直入に、尋ねたい」
言った直後、男がほんの少し俯いた事により、帽子のツバで表情が隠れる。
「なんでキミは、帝国の〝英雄〟を全員殺さなかった? なんで、殺せたはずのコーエン・ソカッチオをみすみす見逃した?」
あまりに唐突過ぎるその問いのせいで、俺の表情もつい、引き締まる。
……その事実を知っているのは、あの戦いの場にいた人間のみ。フェリ、ラティファ、そしてコーエンとエレーナだけだ。
しかしいずれも、吹聴するような人間ではない。
目の前の男はどうやってそんな事を知り得たのか、と疑念が湧き上がる。
けれど、男は俺の返事を悠長に待つ気はないらしい。
「……悩む程の質問じゃあないだろう? 早く答えなよ。返答次第では、おれはキミを殺さなくちゃいけなくなるからさ」
急き立てる言葉に込められた感情は、憤怒だろうか。
帽子のツバに隠れて表情ははっきりと読み取れないが、震える声音から、彼の内心が穏やかでない事は分かった。
「……いきなり過ぎて話が上手く理解できないんだが」
「帝国に与している者は、たとえ誰であろうと例外なく殺す。それがうちのやり方でね」
どうやら、彼は俺が帝国と通じているのではないかと考えているらしい。
で、疑わしい俺にこうして接触した、と。
〝異形〟を生み出している連中に与するくらいなら死んだ方が万倍もまし。そう言ってやりたかったが、それで納得してくれるような輩であれば、きっとこんな事態には陥っていない。
「……そうかよ。そりゃご立派な方針だ」
降って湧いた災難に、思わずため息をつきたくなった。
……だから俺は、静かに部屋に引きこもっていたかったんだよ。
第四話 観測者
「でもそれは、あんたの方針であって、間違っても俺の方針じゃない。俺は俺の考えに従ってアイツを見逃した。ただそれだけだ」
俺を天秤に掛けこそしたものの、コーエンは一度として俺に刃を向ける事も、俺の周囲の人間を傷付ける事もしなかった。だから――
『お前のような立場の人間が、本当におれを見逃してもいいのか?』
去り際に、念を押すようにそう尋ねてきたコーエンに俺は、『そんなに捕まりたいのなら、面倒だがディストブルグの牢獄に連れていってやるぞ』と言って、追い返した。
誰もが勘違いをしているが、そもそも、間違っても俺は誰でも彼でも殺せるような人間じゃあない。前世では周囲から心が弱いと言われ続け、人を殺すという行為に最後の最後まで疑問を抱き続けていたような人間だ。
それを今生も尚引きずっている俺は、たとえ帝国の人間であろうと、必要がなければ殺さない。そんな、当然といえば当然の考えを持っていた。
「誓って、他意はない」
黒帽子の男にどう捉えられようが構わない、というのが本音であったが、それでも〝異形〟を生み出した連中と同類と思われるのは腹立たしかったので、一応否定はしておく。
「そもそも俺が帝国に与してるのなら、城で襲われる事も、『氷葬』みたいな戦闘狂と戦う事もなかっただろうよ」
疲労感を滲ませながら、俺は続ける。
「最後まで手を出してこなかった人間を殺さなかっただけで、帝国の仲間扱いだ? 随分と横暴だな。こっちは堪ったもんじゃねえよ」
むしろ、本当に俺が帝国に与している人間であったならば、逆にコーエンを殺していた事だろう。
帝国最強だという『氷葬』をではなく、『心読』と呼ばれる頭の中を覗く能力を持つ信頼できないコーエンこそを、この機会に殺していたはずだ。しかし、そうはしなかった。
「知ってるだろうが、俺はディストブルグの〝クズ王子〟。そもそも〝英雄〟なんてもんは柄じゃねえし、叶うならば部屋にこもって布団に包まっていたいだけの人間だ。そんな俺が、何が悲しくて帝国に味方しなきゃいけねえんだよ」
ファイ・ヘンゼ・ディストブルグとして生きてきた十四年間。一日のぶれすらなく、その考えを持ち続けてきた。それは事実だ。
心を読めるコーエンのような相手でない限り、こうして事実ではあるが同時に表向きの理由で説明するのが一番だろう。
「……確かに、〝連盟首脳会議〟を欠席してまで呑気に惰眠を貪っていた人間が、帝国に与しているとは考え難い」
……なんでそれをあんたが知ってんだよ。
胸中で抱いた疑問を言葉にして投げつけてやりたかったが、話が進まないのは面倒だったので、半眼で睨み付けるだけに留めておく。
「だけど、その年齢であれ程の戦闘能力。加えて、キミには帝国の血が流れていると聞く。ここまで条件が揃っていれば、疑わない方がおかしいとは思わないかな」
つまり。
年齢にそぐわない戦闘能力は、帝国が生み出した〝異形〟のように、何かタネがあるのでは。
この男はそう邪推しているという事だろうか。
――こいつは俺にとって所詮、ただの他人。明日には忘れているかもしれないような存在だ。だから、言葉に耳を貸す必要なんてどこにもない。いかに腹の立つ言動であろうと黙殺すればいいだけ。
頭ではそう分かっている。
ただ、〝異形〟と己を同列に語られる事はそれでも看過し難い。これ以上こいつの言葉を聞いていると、手が出てしまう可能性すらあった。
「……俺は要求通り、あんたの質問に答えた。これで満足だろ。とっととどっかいけ」
「いいや。その答えじゃあまだ信用はできない。だから――」
「――いい加減にしてください。リヴドラ」
俺でもウォリックでもない、新たな声の介入。
それは、外で待っていると言ったはずのフェリの声だった。
「おっと。てっきり、キミはおれの前には出てこないものと思ってたよ、〝霊山〟の巫女」
ドアを開けて顔を覗かせたフェリに向かって、黒帽子――リヴドラと呼ばれた男が言う。
――そうか。こいつが、獣人国の王族の地位を買った男か。
「……ええ。私は貴方と会うつもりはありませんでした……何をそんなに苛立っているんですか。殿下が帝国に与していない人間である事は明らかでしょうに」
なのにどうして、そうまで執拗に問い詰めるのだと、俺に代わってフェリが言う。
「苛立ち、ね。ああ、うん。そうだ。そうだとも。キミの言う通り、おれは苛立っているとも」
程なくして、男の表情を隠していた帽子のツバが上がる。彼の瞳はドロリと濁っているもののどこか薄らと煌めいており、それは正気でないと形容するのが相応しいものであった。
「〝連盟首脳会議〟なんて大層なものを開催したにもかかわらず、集まったのは弱腰の老人ばかりだよ……なんで分からない。時間をかければかける程、被害が大きくなると。死人が更に増えると何故分からない。迎撃態勢を整える? ……帝国から攻められた時には既に手遅れだと何故分からない。何故誰も理解しようとしない」
リヴドラの言葉は正しく悲鳴だった。
心からの絶叫だった。
「そりゃ苛立ちもするさ。おれはてっきり、帝国を攻め滅ぼす段取りを組む為に呼ばれたものだと思ってたんだからね」
だが、蓋を開けてみれば、守勢に回る事しか考えていない弱腰連中の知恵袋扱い。
怒るのも当然だろう? と、リヴドラは言う。
「その矢先に、コレさ。ディストブルグの王子が帝国の〝英雄〟を逃したと、『観測者』から情報が来た。怒りをぶつけるなという方が無理な話だとは思わないかな」
「……『観測者』?」
聞き慣れない単語に疑問符を浮かべる俺に、フェリが補足する。
「獣人国の〝英雄〟です。確か、名はミラン。彼女が持つ圧倒的な情報量故に、『観測者』と呼ばれています」
――戦闘能力だけが〝英雄〟の能じゃない。
……なるほど。さっきの彼の言葉はそういう意味だったかと理解した。
俺が花屋に来る事も、コーエンを逃した事も、全てその『観測者』と呼ばれる人物から聞いた、と。
「……ですが彼女は、誰に対しても協力的ではなかったはずです」
にわかにフェリの表情が険しくなる。
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