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一章
九話
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サクッ、サクッ。
広大に広がる砂漠地帯に響く1つの足音。
朧月夜が浮かぶ月夜。幻想的に浮かぶその地帯はまるで御伽噺に出てくるアラビアの夜かと思わせる。
果てなき行路。
明確な行き先の目的は持ち得ない。
それでも、彼は歩みを止めない。
ここが【イニティウムオンライン】に酷似した世界で。
PK厨として名を馳せていた彼はすでに、強奪という行為に楽しみを見出していたから。
度重なる強奪によって食料は得ていた。
空腹になる事は当分はないだろうが、それでも底が存在するならば、それを大義名分として強奪を続ける。
強奪という行為をすれば大概は冷たい目で見られ、蔑まれる。
罵詈雑言を浴びせられる。
だが、彼にとってはそうされる事こそがPKをする理由であり、そんな歪んだ欲望を満たすためにこれまでも。
これからも変わる事はない。
「あははっ」
月明かりに照らされながらも、1人の元PK厨は嗤う。
抜かれていたサーベルが月明かりを反射。
妖しく嗤うその姿はいつぞやに名を馳せた殺人鬼か。
「出来る限り強くて。それでいて僕より少しだけ弱くて。ギリギリの戦いをしたけど、惜しくも僕に負けて悔しがりながらも強奪される。そんなシチュエーションが理想だよねぇ」
一応分別は付いているのか。
痛覚が新たに加わったこの世界で彼は殺しだけは行なっていない。それでも、身ぐるみを剥ぐわけなのだから悪いの度合いが異なるだけで彼は間違いなく悪の枠組みに収まる人間だ。
しかも、思考回路がクズそのもの。
「出来る限りプライドが高い人が良いなぁ。自分は負けるはずがないとか思っちゃってる奴とか」
まだ見ぬPKもとい強奪。
欲望を満たす行為に目を輝かせる。
「特に、」
先程から上空で、己を覗き見。
監視をしていた使い魔だろう八咫烏に目掛けて、懐に仕込んでいた投げナイフを投擲。
「今まさに僕を覗き見してたヤツとかぁ?」
ねっとりした口調で言い放ちながら上空を見上げる。
投擲したナイフは八咫烏に直撃し、耐久性のない使い魔は避ける間も無く霧散。
数秒して投擲したナイフが空気抵抗を受けながら落下し、砂漠にサクリと音を立てて突き刺さる。
「僕を覗き見するとか、頭が高いねえ」
おそらく、使い魔を放っていた主はここからさして遠くない場所にいるはずだ。
次の標的はソイツだと。狙いを定める。
「さぁさぁ——」
未だ出会えてはないが、PK厨時代の友人がよく口ずさんでいた言葉を叫ぶ。
PKとしての技量は彼女には及ばないけれど、この言葉を口にすれば彼女に近づける気がしたから。
「まだ見ぬPKを、始めようかっ!!」
狂人は、三度笑った——。
「使い魔を潰された」
野営の準備ををしようと思った矢先。
放った八咫烏が潰されると同時。
潰される直前の映像と、僅かなフィードバックが一身に襲いかかり、否応無く倒されたのだと理解させられた。
「プレイヤーですか?」
楓が尋ねる。
天鷲はその大きな巨体から、あまりに目立ち過ぎるので既にスクロールに帰って貰っていた。
今は広大な砂漠に点々と存在する大きめな岩に腰掛け、休養をとりつつ野営の準備をしようとした途端これだ。
「あぁ、間違いなくプレイヤー。しかも人が視認できるギリギリの高度で飛んでたのにナイフの投擲一撃だ」
「……手練れですね」
「遠くから見た感じでいえば多分、好戦的な人間。距離はここから約数キロ先ってところ。今から戦闘準備を始める」
「私達はどうすれば?」
「あー……」
言葉を詰まらせる。
これは想像であるが、先ほど使い魔を潰したプレイヤーはPK勢。もしくはPvP勢の可能性が高い。
でなければ、【命中】の能力値を上げるはずがないから。
ミッションモンスターは総じて的が大きい。
だからあえて【命中】の能力値を上げなくとも攻撃はヒットする。
視認できるギリギリの高度を飛ぶ八咫烏を投擲で仕留めるならば、それなりに【命中】を上げていなければ出来ない芸当。
だから可能性としては件のプレイヤーはミッション勢でない可能性が高過ぎる。
となると。
まだ対人経験のない楓やレクスの参戦は危険極まりなかった。
「いや、今回は1人でいい。相手もそんな大した相手じゃない。楓とレクスは俺が戦う間、周囲に注意を向けておいてくれ。漁夫の利なんてされちゃ笑えないからさ」
「そういう事なら、任されましょう」
楓は特に疑問を抱く事なく了承。
それに追従するようにレクスも同意した。
装備は斑鳩の街の時のまま、和装であったので即座に換装。
ロングコートのような格好に変え、目深くフードを被りこむ。
得物であった刀は仕舞い込まれ、代わりに長剣が背中に背負う形で姿を現わす。
「グラディエーター【剣闘士】ですか」
「まぁな」
PK勢。もしくはPvP勢を相手するならば、慣れていないサムライ【侍】で相手をするのは危険過ぎる。ゆえに。
それなりに真似事をして経験を積んでいたグラディエーター【剣闘士】用の装備に変更をした。
だが、いくらグラディエーター【剣闘士】用の装備に変えようが、【魔法のスクロール】で覚えているスキルは少なく。
圧倒的に手数が劣っている。
それでも、グラディエーター【剣闘士】と思わせておけば不意打ちが使える。もしもの際に切り札となり得るそれを手放すのは惜しい。だから普段通りジョブを偽るのだ。
「覚えてるスキル自体は少ないけど、別にグラディエーター【剣闘士】のスキルだけで戦うわけじゃない。心配する必要はないさ」
インベントリから使い魔スクロールを5枚取り出し、八咫烏を散らばらせる。
対象の行動を正しく認識し、監視する為に。
換装した事もあり、懐に数本投擲用のナイフを忍ばせる。
足下が妖しく輝かせ、スキルを発動。
モンク【格闘家】用スキル【ラッシュ】。
スキル使用後の硬直時間の短縮。
つまり、1度目のスキル発動から二度目のスキル発動までの時間を短縮する自己バフ。
しかも他者にかける事が不可能なバフな為、【魔法のスクロール】で習得するか、モンク【格闘家】しか使えない需要性が高いバフスキル。
効果時間は15分。
再度使用するには効果切れしてから15分のディレイが発生するので15分以内に勝負を決めなければならない。
更に足下が輝く。
アサシン【暗殺者】用スキル【インビジブル】。
回避率を飛躍的に向上させるスキルで、命中率が高い相手にはあまり意味を成さないが、それでも一応バフをかけておく。
続けて2つ。
アサシン【暗殺者】用スキル【イベーション】。
それにより移動速度を更に向上させ、
エンチャンター【付術師】用スキル【クイック】。
初撃に限り、ディレイを発生させない時短スキルを重ね掛ける。
駄目押しにアーチャー【弓術師】用スキル【ホークアイ】。
【イニティウムオンライン】の頃では視野が広くなる、なんて効果しか書いていなかったが、PvP勢はその重要性を理解しており。
ミッションでは無駄スキルと言われてるものの、【ホークアイ】を使えば投擲による攻撃を回避し易くなる利点がある。
PvPにおいてこれほど重要なものはなく、無駄スキルと言われてるだけあってこの【魔法のスクロール】だけは安価で出回っていた。
「ここまでくると壮観ですね……」
一見、万能とも思える【魔法のスクロール】にももちろん制限は課されており、1つのジョブにつき3つまでのスキルしか【魔法のスクロール】は使えない。といったものがある。
【魔法のスクロール】自体が貴重かつ高価過ぎる事もあってか、その制限にぶち当たるなんて事は滅多にないんだが、それでも俺は可能な限り、バフ系に絞ってスキルを習得していた。
「うんや、もっとヤバい奴もいるぞ。普通に」
知る限り10人。
PvP勢はその中でいえば2人だが、その10人は別格。
スキル構成も異端も異端。
極振りなんて呼ばれる構成の仕方が殆どで、出来る限り相手にしたくない人達の集団だ。
間違っても、グラディエーター【剣闘士】用の装備に換装して移動速度を本来よりも落とすなんてふざけた真似を出来る相手ではない。
「でも、まあ」
前から駆けてくる小さな人影に視線をやる。
「とりあえず、目先の事だよな」
放った八咫烏は呆気なく潰されており、既にフィードバックに襲われた後だ。
「見知った顔じゃない、けど油断は禁物か」
背負っていた長剣を抜く。
グラディエーター【剣闘士】特有の長剣。
移動速度重視の俺は今手にする長剣の筋力要求値ですら僅かに満たせておらず、少々武器の性能が落ちてはいるが、些細な事だ。とかぶりを振る。
「やる気っていうなら相手をするのが俺のポリシー」
手の内は無為に晒さない。
けど、挑んでくるなら相手をする。
それが【イニティウムオンライン】時代からの俺のプレイスタイル。
だから此度もそう口にする。
「油断。驕り。一切合切抜きで返り討ちにしてやる」
くははっと笑う。
楽しそうに、愉悦に浸り、口角を吊り上げる。
「さぁ、開戦だ」
剣を手に、構えを取る。
グラディエーター【剣闘士】用スキル——ウルフファング。
剣を振り、斬撃を飛ばすそのスキルはまるで狼が標的を見つけ、襲いくるかのような幻影を魅せる。
凶暴な狼を模した斬撃。
回避するのは容易。
威力があるが、それだけのスキルだから。
それでも俺は放つ。
さぁ、先入観は植え付けた。
これが俺の戦い、俺の戦闘。
プレイヤー同士の戦いとは、『こうくる筈がない』と思わせれたならば8割型勝てる。
相手の備え、思考を上回ればいいのだ。
「さぁてと、死なない為に上手く立ち回ろうか」
広大に広がる砂漠地帯に響く1つの足音。
朧月夜が浮かぶ月夜。幻想的に浮かぶその地帯はまるで御伽噺に出てくるアラビアの夜かと思わせる。
果てなき行路。
明確な行き先の目的は持ち得ない。
それでも、彼は歩みを止めない。
ここが【イニティウムオンライン】に酷似した世界で。
PK厨として名を馳せていた彼はすでに、強奪という行為に楽しみを見出していたから。
度重なる強奪によって食料は得ていた。
空腹になる事は当分はないだろうが、それでも底が存在するならば、それを大義名分として強奪を続ける。
強奪という行為をすれば大概は冷たい目で見られ、蔑まれる。
罵詈雑言を浴びせられる。
だが、彼にとってはそうされる事こそがPKをする理由であり、そんな歪んだ欲望を満たすためにこれまでも。
これからも変わる事はない。
「あははっ」
月明かりに照らされながらも、1人の元PK厨は嗤う。
抜かれていたサーベルが月明かりを反射。
妖しく嗤うその姿はいつぞやに名を馳せた殺人鬼か。
「出来る限り強くて。それでいて僕より少しだけ弱くて。ギリギリの戦いをしたけど、惜しくも僕に負けて悔しがりながらも強奪される。そんなシチュエーションが理想だよねぇ」
一応分別は付いているのか。
痛覚が新たに加わったこの世界で彼は殺しだけは行なっていない。それでも、身ぐるみを剥ぐわけなのだから悪いの度合いが異なるだけで彼は間違いなく悪の枠組みに収まる人間だ。
しかも、思考回路がクズそのもの。
「出来る限りプライドが高い人が良いなぁ。自分は負けるはずがないとか思っちゃってる奴とか」
まだ見ぬPKもとい強奪。
欲望を満たす行為に目を輝かせる。
「特に、」
先程から上空で、己を覗き見。
監視をしていた使い魔だろう八咫烏に目掛けて、懐に仕込んでいた投げナイフを投擲。
「今まさに僕を覗き見してたヤツとかぁ?」
ねっとりした口調で言い放ちながら上空を見上げる。
投擲したナイフは八咫烏に直撃し、耐久性のない使い魔は避ける間も無く霧散。
数秒して投擲したナイフが空気抵抗を受けながら落下し、砂漠にサクリと音を立てて突き刺さる。
「僕を覗き見するとか、頭が高いねえ」
おそらく、使い魔を放っていた主はここからさして遠くない場所にいるはずだ。
次の標的はソイツだと。狙いを定める。
「さぁさぁ——」
未だ出会えてはないが、PK厨時代の友人がよく口ずさんでいた言葉を叫ぶ。
PKとしての技量は彼女には及ばないけれど、この言葉を口にすれば彼女に近づける気がしたから。
「まだ見ぬPKを、始めようかっ!!」
狂人は、三度笑った——。
「使い魔を潰された」
野営の準備ををしようと思った矢先。
放った八咫烏が潰されると同時。
潰される直前の映像と、僅かなフィードバックが一身に襲いかかり、否応無く倒されたのだと理解させられた。
「プレイヤーですか?」
楓が尋ねる。
天鷲はその大きな巨体から、あまりに目立ち過ぎるので既にスクロールに帰って貰っていた。
今は広大な砂漠に点々と存在する大きめな岩に腰掛け、休養をとりつつ野営の準備をしようとした途端これだ。
「あぁ、間違いなくプレイヤー。しかも人が視認できるギリギリの高度で飛んでたのにナイフの投擲一撃だ」
「……手練れですね」
「遠くから見た感じでいえば多分、好戦的な人間。距離はここから約数キロ先ってところ。今から戦闘準備を始める」
「私達はどうすれば?」
「あー……」
言葉を詰まらせる。
これは想像であるが、先ほど使い魔を潰したプレイヤーはPK勢。もしくはPvP勢の可能性が高い。
でなければ、【命中】の能力値を上げるはずがないから。
ミッションモンスターは総じて的が大きい。
だからあえて【命中】の能力値を上げなくとも攻撃はヒットする。
視認できるギリギリの高度を飛ぶ八咫烏を投擲で仕留めるならば、それなりに【命中】を上げていなければ出来ない芸当。
だから可能性としては件のプレイヤーはミッション勢でない可能性が高過ぎる。
となると。
まだ対人経験のない楓やレクスの参戦は危険極まりなかった。
「いや、今回は1人でいい。相手もそんな大した相手じゃない。楓とレクスは俺が戦う間、周囲に注意を向けておいてくれ。漁夫の利なんてされちゃ笑えないからさ」
「そういう事なら、任されましょう」
楓は特に疑問を抱く事なく了承。
それに追従するようにレクスも同意した。
装備は斑鳩の街の時のまま、和装であったので即座に換装。
ロングコートのような格好に変え、目深くフードを被りこむ。
得物であった刀は仕舞い込まれ、代わりに長剣が背中に背負う形で姿を現わす。
「グラディエーター【剣闘士】ですか」
「まぁな」
PK勢。もしくはPvP勢を相手するならば、慣れていないサムライ【侍】で相手をするのは危険過ぎる。ゆえに。
それなりに真似事をして経験を積んでいたグラディエーター【剣闘士】用の装備に変更をした。
だが、いくらグラディエーター【剣闘士】用の装備に変えようが、【魔法のスクロール】で覚えているスキルは少なく。
圧倒的に手数が劣っている。
それでも、グラディエーター【剣闘士】と思わせておけば不意打ちが使える。もしもの際に切り札となり得るそれを手放すのは惜しい。だから普段通りジョブを偽るのだ。
「覚えてるスキル自体は少ないけど、別にグラディエーター【剣闘士】のスキルだけで戦うわけじゃない。心配する必要はないさ」
インベントリから使い魔スクロールを5枚取り出し、八咫烏を散らばらせる。
対象の行動を正しく認識し、監視する為に。
換装した事もあり、懐に数本投擲用のナイフを忍ばせる。
足下が妖しく輝かせ、スキルを発動。
モンク【格闘家】用スキル【ラッシュ】。
スキル使用後の硬直時間の短縮。
つまり、1度目のスキル発動から二度目のスキル発動までの時間を短縮する自己バフ。
しかも他者にかける事が不可能なバフな為、【魔法のスクロール】で習得するか、モンク【格闘家】しか使えない需要性が高いバフスキル。
効果時間は15分。
再度使用するには効果切れしてから15分のディレイが発生するので15分以内に勝負を決めなければならない。
更に足下が輝く。
アサシン【暗殺者】用スキル【インビジブル】。
回避率を飛躍的に向上させるスキルで、命中率が高い相手にはあまり意味を成さないが、それでも一応バフをかけておく。
続けて2つ。
アサシン【暗殺者】用スキル【イベーション】。
それにより移動速度を更に向上させ、
エンチャンター【付術師】用スキル【クイック】。
初撃に限り、ディレイを発生させない時短スキルを重ね掛ける。
駄目押しにアーチャー【弓術師】用スキル【ホークアイ】。
【イニティウムオンライン】の頃では視野が広くなる、なんて効果しか書いていなかったが、PvP勢はその重要性を理解しており。
ミッションでは無駄スキルと言われてるものの、【ホークアイ】を使えば投擲による攻撃を回避し易くなる利点がある。
PvPにおいてこれほど重要なものはなく、無駄スキルと言われてるだけあってこの【魔法のスクロール】だけは安価で出回っていた。
「ここまでくると壮観ですね……」
一見、万能とも思える【魔法のスクロール】にももちろん制限は課されており、1つのジョブにつき3つまでのスキルしか【魔法のスクロール】は使えない。といったものがある。
【魔法のスクロール】自体が貴重かつ高価過ぎる事もあってか、その制限にぶち当たるなんて事は滅多にないんだが、それでも俺は可能な限り、バフ系に絞ってスキルを習得していた。
「うんや、もっとヤバい奴もいるぞ。普通に」
知る限り10人。
PvP勢はその中でいえば2人だが、その10人は別格。
スキル構成も異端も異端。
極振りなんて呼ばれる構成の仕方が殆どで、出来る限り相手にしたくない人達の集団だ。
間違っても、グラディエーター【剣闘士】用の装備に換装して移動速度を本来よりも落とすなんてふざけた真似を出来る相手ではない。
「でも、まあ」
前から駆けてくる小さな人影に視線をやる。
「とりあえず、目先の事だよな」
放った八咫烏は呆気なく潰されており、既にフィードバックに襲われた後だ。
「見知った顔じゃない、けど油断は禁物か」
背負っていた長剣を抜く。
グラディエーター【剣闘士】特有の長剣。
移動速度重視の俺は今手にする長剣の筋力要求値ですら僅かに満たせておらず、少々武器の性能が落ちてはいるが、些細な事だ。とかぶりを振る。
「やる気っていうなら相手をするのが俺のポリシー」
手の内は無為に晒さない。
けど、挑んでくるなら相手をする。
それが【イニティウムオンライン】時代からの俺のプレイスタイル。
だから此度もそう口にする。
「油断。驕り。一切合切抜きで返り討ちにしてやる」
くははっと笑う。
楽しそうに、愉悦に浸り、口角を吊り上げる。
「さぁ、開戦だ」
剣を手に、構えを取る。
グラディエーター【剣闘士】用スキル——ウルフファング。
剣を振り、斬撃を飛ばすそのスキルはまるで狼が標的を見つけ、襲いくるかのような幻影を魅せる。
凶暴な狼を模した斬撃。
回避するのは容易。
威力があるが、それだけのスキルだから。
それでも俺は放つ。
さぁ、先入観は植え付けた。
これが俺の戦い、俺の戦闘。
プレイヤー同士の戦いとは、『こうくる筈がない』と思わせれたならば8割型勝てる。
相手の備え、思考を上回ればいいのだ。
「さぁてと、死なない為に上手く立ち回ろうか」
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