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1261 アゲハの風
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「ところで、聞きたい事があったんだがいいか?」
手早く身支度を整え、クインズベリー軍の陣地に向かって歩き始めたところで、レイマートが話しかけた。
頭上を覆う樹々の枝葉、そこから差し込む陽の光の角度から考えて、今はまだ午前7時前というところだろう。アゲハもレイマートも、日の出と共に動き始めたと言っていいくらい早めに出発したため、時間には少しの余裕はあるかもしれない。
だが敵がいつ動き出すかの保証は無い。できればもっと急いだほうがいいとは思うが、アゲハはこの質問に答える事にした。
「ん?いいけど、なに?」
足は止めずに聞き返すと、レイマートも隣を歩きながら話しを続けた。
「昨日のアレ、どうやって俺の前に現れたんだ?あれはスピードの問題ではないだろ?本当に目の前に突然現れた、そうとしか言いようがない。魔道具か?」
昨日、アゲハを待っていたレイマートの目の前に、アゲハは突然その姿を現した。
それはレイマートの言葉通り、スピードで説明がつくものではなく、何らかの魔道具を使っているとか、別の要因があると考えたのだ。
だが魔道具かと聞かれ、アゲハは首を横に振った。
「ああ、その事か・・・魔道具じゃないよ。う~ん・・・レイジェスのみんなも知らない私の切り札だから、あまり教えたくはないな」
薙刀を右の肩に乗せ、左手の指先で顎をつまみながら、悩む素振りを見せる。
レイマートは人の秘密を無理に暴くような事はしないし、普段はしつこく聞く事もしない。
魔道具という考えが合っていれば、詳細は教えてもらえなくてもそれで納得して、それ以上追及する事はしなかった。
だがアゲハは魔道具ではないと言う。であるならばいったいなんだ?
全く見当もつけられず、レイマートの眉間にシワがより、意図せず表情が厳しくなった。
「魔道具じゃないのか?だったらいったいなんだ?あ~・・・いや、いい、悪いな、忘れてくれ」
しつこく追及しそうになって、レイマートはバツが悪そうに頭をガシガシと掻いた。
それを見てアゲハはフッと笑った。
「アハハ、いやまぁいいよ。味方だし、もう見せちゃったしね、教えてもいいよ」
「お、いいのか?」
「でもさ、代わりにあんたも何か教えてよ?レオンクローだっけ?あの闘気を手に集中させてぶつける技、あれもすごいけどさ、他に何かとっておきはないの?」
探るように視線を向けてくるアゲハに、レイマートは少しだけ口をつぐんだが、すぐに分かったと頷いた。
「とっておきならあるぞ。まぁ俺のも隠す必要はねぇし、教えるのは全然いい。実は前回この山に来た時、あの大蛇に食らわせようとしたんだ。技の名は獅子王牙(ししおうが)、ただ今は見せる事はできない。体力の消耗が大き過ぎるんでな」
レイマートは前回のパウンド・フォーでの戦いで、帝国が用意した大蛇を相手に、獅子王牙をぶつけようした。結局発動する事はなかったが、消耗があまりに大きいこの技は、本当に絶望的な状況でしか使用しないと決めていた。
「レオンクローは自分の手を獅子の手になぞらえて使う技だが、獅子王牙は自身を獅子そのものにして戦う、そんな技だ。これで納得してくれるか?」
「へぇ、自分を獅子にか・・・なんだかすごそうじゃないか。うん、分かった。じゃあ次は私だね」
そう言ってアゲハはレイマートの顔に左手の平を向けた。
すると薄っすらと緑色の風がささやいたが、吹き消されるように消えてしまった。
「あぁ・・・やっぱりまだ回復してないか。あのね、私が突然現れたって事だけど、その正体は風だよ」
「風?」
「そう、私が風の精霊の加護を受けている事は知ってるよね?それで、風を飛ばして攻撃したり、風の盾で攻撃を防いだり、あとは空を飛んだりもできる」
レイマートは話しの腰を折らず、黙ってアゲハの言葉の続きを待った。
「それでさ、昨夜あんたが見たのだけど、私自身が風になったんだよ」
「・・・なに?」
思いもよらない答えを聞かされ、レイマートは怪訝な顔で聞き返した。
「風の精霊に完全に身をゆだねる事で、自分自身を風そのものにする事ができるんだ。そうする事で私はあの場を脱する事ができたんだ」
「・・・自分自身を風にだって?そんな事ができるのか?肉体はどうなる?」
「そのへんは私にも分からない。けど、言われてみれば自分が風になっている間、肉体に意識は向かないな。なんて言うか・・・自分は風であり自然の一部みたいな感覚になってる」
アゲハの説明を聞いて、レイマートはある程度を理解したようだ。
人が風になる、信じ難い事ではあるが、実際にこの目で見ている。そしてアゲハの説明も実感をともなう真実味があった。
「なるほど・・・だいたい分かった。それで風になっている時、お前は自由に動けるのか?消えるも出るも自由自在、もしそうであるなら無敵じゃないのか?」
レイマートの指摘に、アゲハは小さく笑って顔の前で手を振った。
「あ~、それができたらいいんだけどね。残念ながら風になっている間は移動しかできない。それも行先は風まかせなんだ。だから風になって敵に気付かれずに攻撃できるとか、自由自在に好きな場所に潜り込めるとか、そんな都合の良い能力じゃないんだよ。しかも一度この力を使うと、しばらくの間は風の力の一切が使えなくなる。だから本当に切り札なんだ」
ジャロン・リピネッツとの攻防はほんの一瞬だったが、アゲハは自分を風に変えるこの力を、使わざるをえないところまで追い込まれた。
あの古びたナイフには絶対に刺されてはいけない。アゲハは己の直感を信じ、切り札を使ったのだった。
「まぁその時々で、適正だと思われる場所に運んでくれるから、そこは安心してるけどね。きっとあんたが待ってたから、風の精霊はあんたの前まで運んでくれたんだよ。どう?納得できた?これが私の切り札、風渡(かぜわた)しだよ」
「・・・なるほど、使いどころは慎重にならなくてはならないが、脱出という一点においては非常に優れた能力だな。しかし、そうか・・・ジャロン・リピネッツはお前がそうせざるを得ない程の男だったわけだな。やはり一度自軍に戻って立て直した方がいいか・・・俺は暴走して突っ走ってしまったが、お前の判断が正しかったようだな」
「ああ、ほんの一瞬だったが、ジャロン・リピネッツがどれだけ危険か、その一旦は感じとれた。あいつは・・・っ!」
一連の話しの区切りがついたところで、アゲハは足を止めて後ろを振り返った。
「・・・レイマート」
「ああ・・・微かに振動を感じるな、近づいて来ているぞ」
大勢の人間が地を踏む振動、空気の揺れ、まだ遠いがソレは確実に近づいて来ている。
「敵の青魔法使いのサーチに、引っかかってしまったのかもしれないな。おしゃべりはここまでだ。急ぐぞ」
視線を向けるアゲハに、レイマートは、ああ、と短く答えて頷いた。
そして二人は地面を蹴って、クインズベリー軍の拠点を目指して走り出した。
手早く身支度を整え、クインズベリー軍の陣地に向かって歩き始めたところで、レイマートが話しかけた。
頭上を覆う樹々の枝葉、そこから差し込む陽の光の角度から考えて、今はまだ午前7時前というところだろう。アゲハもレイマートも、日の出と共に動き始めたと言っていいくらい早めに出発したため、時間には少しの余裕はあるかもしれない。
だが敵がいつ動き出すかの保証は無い。できればもっと急いだほうがいいとは思うが、アゲハはこの質問に答える事にした。
「ん?いいけど、なに?」
足は止めずに聞き返すと、レイマートも隣を歩きながら話しを続けた。
「昨日のアレ、どうやって俺の前に現れたんだ?あれはスピードの問題ではないだろ?本当に目の前に突然現れた、そうとしか言いようがない。魔道具か?」
昨日、アゲハを待っていたレイマートの目の前に、アゲハは突然その姿を現した。
それはレイマートの言葉通り、スピードで説明がつくものではなく、何らかの魔道具を使っているとか、別の要因があると考えたのだ。
だが魔道具かと聞かれ、アゲハは首を横に振った。
「ああ、その事か・・・魔道具じゃないよ。う~ん・・・レイジェスのみんなも知らない私の切り札だから、あまり教えたくはないな」
薙刀を右の肩に乗せ、左手の指先で顎をつまみながら、悩む素振りを見せる。
レイマートは人の秘密を無理に暴くような事はしないし、普段はしつこく聞く事もしない。
魔道具という考えが合っていれば、詳細は教えてもらえなくてもそれで納得して、それ以上追及する事はしなかった。
だがアゲハは魔道具ではないと言う。であるならばいったいなんだ?
全く見当もつけられず、レイマートの眉間にシワがより、意図せず表情が厳しくなった。
「魔道具じゃないのか?だったらいったいなんだ?あ~・・・いや、いい、悪いな、忘れてくれ」
しつこく追及しそうになって、レイマートはバツが悪そうに頭をガシガシと掻いた。
それを見てアゲハはフッと笑った。
「アハハ、いやまぁいいよ。味方だし、もう見せちゃったしね、教えてもいいよ」
「お、いいのか?」
「でもさ、代わりにあんたも何か教えてよ?レオンクローだっけ?あの闘気を手に集中させてぶつける技、あれもすごいけどさ、他に何かとっておきはないの?」
探るように視線を向けてくるアゲハに、レイマートは少しだけ口をつぐんだが、すぐに分かったと頷いた。
「とっておきならあるぞ。まぁ俺のも隠す必要はねぇし、教えるのは全然いい。実は前回この山に来た時、あの大蛇に食らわせようとしたんだ。技の名は獅子王牙(ししおうが)、ただ今は見せる事はできない。体力の消耗が大き過ぎるんでな」
レイマートは前回のパウンド・フォーでの戦いで、帝国が用意した大蛇を相手に、獅子王牙をぶつけようした。結局発動する事はなかったが、消耗があまりに大きいこの技は、本当に絶望的な状況でしか使用しないと決めていた。
「レオンクローは自分の手を獅子の手になぞらえて使う技だが、獅子王牙は自身を獅子そのものにして戦う、そんな技だ。これで納得してくれるか?」
「へぇ、自分を獅子にか・・・なんだかすごそうじゃないか。うん、分かった。じゃあ次は私だね」
そう言ってアゲハはレイマートの顔に左手の平を向けた。
すると薄っすらと緑色の風がささやいたが、吹き消されるように消えてしまった。
「あぁ・・・やっぱりまだ回復してないか。あのね、私が突然現れたって事だけど、その正体は風だよ」
「風?」
「そう、私が風の精霊の加護を受けている事は知ってるよね?それで、風を飛ばして攻撃したり、風の盾で攻撃を防いだり、あとは空を飛んだりもできる」
レイマートは話しの腰を折らず、黙ってアゲハの言葉の続きを待った。
「それでさ、昨夜あんたが見たのだけど、私自身が風になったんだよ」
「・・・なに?」
思いもよらない答えを聞かされ、レイマートは怪訝な顔で聞き返した。
「風の精霊に完全に身をゆだねる事で、自分自身を風そのものにする事ができるんだ。そうする事で私はあの場を脱する事ができたんだ」
「・・・自分自身を風にだって?そんな事ができるのか?肉体はどうなる?」
「そのへんは私にも分からない。けど、言われてみれば自分が風になっている間、肉体に意識は向かないな。なんて言うか・・・自分は風であり自然の一部みたいな感覚になってる」
アゲハの説明を聞いて、レイマートはある程度を理解したようだ。
人が風になる、信じ難い事ではあるが、実際にこの目で見ている。そしてアゲハの説明も実感をともなう真実味があった。
「なるほど・・・だいたい分かった。それで風になっている時、お前は自由に動けるのか?消えるも出るも自由自在、もしそうであるなら無敵じゃないのか?」
レイマートの指摘に、アゲハは小さく笑って顔の前で手を振った。
「あ~、それができたらいいんだけどね。残念ながら風になっている間は移動しかできない。それも行先は風まかせなんだ。だから風になって敵に気付かれずに攻撃できるとか、自由自在に好きな場所に潜り込めるとか、そんな都合の良い能力じゃないんだよ。しかも一度この力を使うと、しばらくの間は風の力の一切が使えなくなる。だから本当に切り札なんだ」
ジャロン・リピネッツとの攻防はほんの一瞬だったが、アゲハは自分を風に変えるこの力を、使わざるをえないところまで追い込まれた。
あの古びたナイフには絶対に刺されてはいけない。アゲハは己の直感を信じ、切り札を使ったのだった。
「まぁその時々で、適正だと思われる場所に運んでくれるから、そこは安心してるけどね。きっとあんたが待ってたから、風の精霊はあんたの前まで運んでくれたんだよ。どう?納得できた?これが私の切り札、風渡(かぜわた)しだよ」
「・・・なるほど、使いどころは慎重にならなくてはならないが、脱出という一点においては非常に優れた能力だな。しかし、そうか・・・ジャロン・リピネッツはお前がそうせざるを得ない程の男だったわけだな。やはり一度自軍に戻って立て直した方がいいか・・・俺は暴走して突っ走ってしまったが、お前の判断が正しかったようだな」
「ああ、ほんの一瞬だったが、ジャロン・リピネッツがどれだけ危険か、その一旦は感じとれた。あいつは・・・っ!」
一連の話しの区切りがついたところで、アゲハは足を止めて後ろを振り返った。
「・・・レイマート」
「ああ・・・微かに振動を感じるな、近づいて来ているぞ」
大勢の人間が地を踏む振動、空気の揺れ、まだ遠いがソレは確実に近づいて来ている。
「敵の青魔法使いのサーチに、引っかかってしまったのかもしれないな。おしゃべりはここまでだ。急ぐぞ」
視線を向けるアゲハに、レイマートは、ああ、と短く答えて頷いた。
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