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理太郎

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1246 レイマート 対 バージル

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レイマートの身長は175cm程であり、低くは無いが体力型として考えれば高い方ではない。
自分より長身の男と戦う事など当たり前のようにあり、2メートル級の男と戦った事だって何度もある。
だから体が半分程消えているこの男を目の前にした時も、体格的な事では何も思う事はなかった。またでかいヤツが現れた、このくらいの感想である。

だが自分の闘気を突き破って、大人一人を水平に飛ばす程の攻撃力には驚かされた。
闘気とは闇と戦う力だが、内なる体の力を外へと出して、戦う力に変えているものである。
対人としても効果を発揮するものであり、並みの魔法使いや剣士の攻撃では突破できるものではない。

そしてこれだけの数に囲まれているのだから、レイマートは防御には一切気を緩めなかった。
不意を突かれ意識の外から来た攻撃ではあったが、それでも闘気を軽々と突破した上に、ここまでのダメージを自分に追わせるなど、信じられない程の破壊力だった。


「死ねッ!ゴールド騎士!」

帝国軍第二師団副団長、バージル・ビジェラが、握り締めた拳をレイマートの頭に振り下ろす!

「くッ!」

咄嗟に横に飛んだが、かわしきれずバージルの拳の先が額をかすめた。
鋭い痛みとともに、宙に飛び散る赤い液体を目にし、額が切れて血が流れた事を理解する。

「オラァッ!」

振り下ろした右拳を躱されたバージルは、すかさず腰を捻って左拳をレイマートの顔面目掛けて振り抜いた!


速い!

体格から考えてゴリゴリの力押しで来るタイプだと思っていた。
だがバージルの拳は、レイマートが目を開く程のスピードだった。顔面に迫る拳を首を捻り紙一重で躱したが、数本の髪が切られかすめた頬にも血が滲む。

「チッ、このガタイでこのスピードかよ!」

「逃げ足は速いじゃねぇか!だがいつまで躱しきれるかな!」

左拳を躱されたバージルは、左の前蹴りを放つ。レイマートが後ろに飛んで躱すと、右足で地面を蹴って距離を詰め、左右の拳を振るって追い詰めていく。


くっ、こいつでけぇ図体のくせに、体格差で押し込もうとは考えてねぇ!
頭や腹だけじゃなく、腕や足まで狙って攻めてきやがる。見た目と違って頭の良い野郎だ、このままじゃ
マズイ!


蹴られた腹部のダメージは大きく、まだ足に力が入らない。
バージルの怒涛の攻めをかろうじて躱しているが、ダメージの残る体では完全には躱しきれない。
しかもバージルの攻撃は闘気を破る程の威力なのだ。レイマートは少しづつ、だが確実に削られていった。

そして・・・・・



「はぁっ!はぁっ!・・・」

「へいへいへい、どうしたゴールド騎士さんよ?息が上がってんじゃねぇか?もう終わりかよ?」

急所こそ外しているが、バージルの強打を浴び続けたレイマートは、もはやボロボロだった。
すでに闘気も解け、黄金の鎧にもところどころヒビが入っている。

対するバージルは、汗の一つも掻いていない。まるでたった今、戦いが始まったのかと思うくらいだ。レイマートが万全であれば、ここまで追い込まれはしなかっただろう。こうなった事には、最初に受けた一発の蹴りが響いていた。

腹部に一発重い蹴りを受けた事で、レイマートは足を奪われていた。
そのせいで反撃の機会を逸し、防御に専念せざるを得なくなった。


・・・こいつ、いくらなんでもパワーがあり過ぎる。

ガードした腕がへし折れるかと思うくらいの拳。人一人を水平に飛ばす蹴り。
もし一発でも顔面にくらえば、骨を砕かれ死ぬかもしれない。
いくらこいつがでかいと言っても、闘気を貫き、鎧を砕いてこの威力・・・。どう考えてもおかしい。


「はぁっ・・・ふぅっ・・・・・」

レイマートは手にしていた剣を目の前に放り投げた。
雪が消し飛んだ地面に突き刺さる剣を見て、バージルは首を傾げて笑った。

「はぁ?たった一本の武器を捨てて、もう諦めたのか?つまんねぇヤツだな?」

「・・・俺は常々考えているんだがな。戦場で武器を失ったらどうするのか?泣き叫んで家に帰してくれと懇願するか?違うよな?」

「・・・何の話しだ?」

バージルの挑発めいた言葉に、レイマートはニッと笑って言葉を返した。

「まぁ落ち着けよ。つまりだ。俺は剣が無くても戦えるって事だ。こんなふうにな!」

左手で右手首を握ると、俺は全闘気を右手に集中させた。

「ッ!?な、なにィッ!?」

「ハァァァァァァーーーーーーーーーッツ!」

それは獲物を斬り裂く獅子の爪に似ている事から、こう呼ばれていた。


「受けてみろ!レオンクローーーーーーーーッツ!」
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