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1235 攻略会議
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ロブギンスを中心とした会議は、円滑に進められた。
会議と言ってもメンバー分けなどは事前に済まされており、確認作業のようなものであったからだ。
しかしだからこそ気を引き締めなければならない。
こちらが事前に決めた通りの行動をしても、敵も同じとは限らないからだ。
ここインターバウルを建設した時から配備されていた兵士達には、パウンド・フォーと、ユナニマス大川の監視が命令されていた。
西の山脈パウンド・フォーには、帝国軍第二師団長のジャロン・リピネッツ。
北のユナニマス大川には、帝国軍第六師団長のシャンテル・ガードナーが、どちらも五万の軍勢を率いて待ち構えているのだ。
クインズベリー国総大将バーナードロブギンスは、帝国は待ちの姿勢だと見ていた。パウンド・フォーも、ユナニマス大川も、国境とは言っても地の利は帝国にある。
決戦の舞台が整っているのならば、わざわざ攻めに出てくる必要がないのだ。
しかしそれでも絶対はない。ロブギンスは念を入れて、もし帝国が動くようならばすぐに対応できるようにと、インターバウルの全兵士は徹底して鍛えられていたのだ。
そして今回、幸いと言うべきか、帝国の動きを監視していた兵士の報告では、どちらも変わった様子はなく、あくまでクインズベリー軍を迎え撃つ姿勢であるとの事だった。
「西の山脈パウンド・フォーか、ここはどうしてもこっちが登って行く事になるから不利だ。なんせ帝国の連中は上をとって待ち構えてんだからな。それでここを攻略する部隊の総指揮官だが、事前に決めた通り副団長のカルロス・フォスターが執る。カルロオス、お前に五万の兵の命を預けるぞ?いいな?」
ロブギンスのその目は鋭く、射貫くようにカルロスを見据えている。
有無を言わさぬ強い言葉、そして齢70を迎えた老人とは思えないその眼力に、カルロスは思わず息を飲んだ。
昨日のセドコン村での失態を、引きずっていないと言えば嘘になる。
有望な若手を死なせてしまった事は、間違いなくカルロスの采配ミスだ。
そんな失態を犯したのだから、パウンド・フォー攻略の指揮官の座から、外される可能性も頭にはあった。
しかしロブギンスは、当初決めていた通り、パウンド・フォー攻略の指揮官に、カルロス・フォスターを命じた。
「・・・承知しました」
平常心を保っていたつもりだが、返す言葉に微かな戸惑いが出たようだ。
普段ならば聞き逃していたかもしれない。だが今この場においては許されない。ロブギンスはカルロスをじっと見据えると、もう一度口を開いた。
「カルロス、五万の兵の命を背負うんだ、ハッキリ返事をしろ。パウンド・フォーの指揮官はお前だ、いいな?」
半端な心根で背負うわけにはいかない。それを理解したカルロスは、今度はロブギンスの目をしっかりと見ながら口を大きく開いた。
「はっ!カルロス・フォスター!承知しました!」
切り替えろ。ここからは背負う命の事だけを考えるんだ。
カルロスの目から迷いが無くなった事を見て、ロブギンスは満足そうに笑った。
そして席から立ち上がると、全体を見回しながら力強く宣言をした。
「北のユナニマス大川はこのワシ、バーナード・ロブギンスが指揮を執る」
ロブギンスを中心とした作戦会議が終わると、変わって第一王子のマルス・アレクサンダーが立ち上がった。
「第一王子のマルス・アレクサンダーだ。俺とオスカーはここに残り、後方支援に尽力する。本国から届く物資の輸送や、前線で出た負傷兵の治療、ロンズデールとの連携、近隣の村への警戒などだ。お前達が後ろを気にせず戦えるように全力を尽くす」
マルスもオスカーも、戦闘力ではこの場にいる戦士達に及ばない。
そのため戦闘に参加する事はない。しかし自分達だけ安全地帯にいるという意識はない。中間地点インターバウルが攻め入られない保証もないのだ。
そして王族である自分達にしかできない事もある。不安を感じている国民のために戦地に赴き、この戦いはクインズベリーが絶対に勝てると見せる事だ。
そのためにここまで来た。
オスカーも立ち上がるが、話しはほぼマルスが主導で行ったため、本人達の意識するところではないが、図らずしも次期国王は第一王子であるマルスとの印象が強まった。
そして夜の闇も更けて来た頃、作戦会議が終わり解散となった。
「レイジェスの皆さん」
会議室を出て、通路を歩いているレイジェスのメンバー達の背中に、呼び止める声が届いた。
「あら、あなたは・・・」
振り返り、シルヴィアが口を開く。
「少し、お話しをよろしいでしょうか?」
そこには四勇士シャクール・バルデスの婚約者となった、サリー・ディルトンが立っていた。
会議と言ってもメンバー分けなどは事前に済まされており、確認作業のようなものであったからだ。
しかしだからこそ気を引き締めなければならない。
こちらが事前に決めた通りの行動をしても、敵も同じとは限らないからだ。
ここインターバウルを建設した時から配備されていた兵士達には、パウンド・フォーと、ユナニマス大川の監視が命令されていた。
西の山脈パウンド・フォーには、帝国軍第二師団長のジャロン・リピネッツ。
北のユナニマス大川には、帝国軍第六師団長のシャンテル・ガードナーが、どちらも五万の軍勢を率いて待ち構えているのだ。
クインズベリー国総大将バーナードロブギンスは、帝国は待ちの姿勢だと見ていた。パウンド・フォーも、ユナニマス大川も、国境とは言っても地の利は帝国にある。
決戦の舞台が整っているのならば、わざわざ攻めに出てくる必要がないのだ。
しかしそれでも絶対はない。ロブギンスは念を入れて、もし帝国が動くようならばすぐに対応できるようにと、インターバウルの全兵士は徹底して鍛えられていたのだ。
そして今回、幸いと言うべきか、帝国の動きを監視していた兵士の報告では、どちらも変わった様子はなく、あくまでクインズベリー軍を迎え撃つ姿勢であるとの事だった。
「西の山脈パウンド・フォーか、ここはどうしてもこっちが登って行く事になるから不利だ。なんせ帝国の連中は上をとって待ち構えてんだからな。それでここを攻略する部隊の総指揮官だが、事前に決めた通り副団長のカルロス・フォスターが執る。カルロオス、お前に五万の兵の命を預けるぞ?いいな?」
ロブギンスのその目は鋭く、射貫くようにカルロスを見据えている。
有無を言わさぬ強い言葉、そして齢70を迎えた老人とは思えないその眼力に、カルロスは思わず息を飲んだ。
昨日のセドコン村での失態を、引きずっていないと言えば嘘になる。
有望な若手を死なせてしまった事は、間違いなくカルロスの采配ミスだ。
そんな失態を犯したのだから、パウンド・フォー攻略の指揮官の座から、外される可能性も頭にはあった。
しかしロブギンスは、当初決めていた通り、パウンド・フォー攻略の指揮官に、カルロス・フォスターを命じた。
「・・・承知しました」
平常心を保っていたつもりだが、返す言葉に微かな戸惑いが出たようだ。
普段ならば聞き逃していたかもしれない。だが今この場においては許されない。ロブギンスはカルロスをじっと見据えると、もう一度口を開いた。
「カルロス、五万の兵の命を背負うんだ、ハッキリ返事をしろ。パウンド・フォーの指揮官はお前だ、いいな?」
半端な心根で背負うわけにはいかない。それを理解したカルロスは、今度はロブギンスの目をしっかりと見ながら口を大きく開いた。
「はっ!カルロス・フォスター!承知しました!」
切り替えろ。ここからは背負う命の事だけを考えるんだ。
カルロスの目から迷いが無くなった事を見て、ロブギンスは満足そうに笑った。
そして席から立ち上がると、全体を見回しながら力強く宣言をした。
「北のユナニマス大川はこのワシ、バーナード・ロブギンスが指揮を執る」
ロブギンスを中心とした作戦会議が終わると、変わって第一王子のマルス・アレクサンダーが立ち上がった。
「第一王子のマルス・アレクサンダーだ。俺とオスカーはここに残り、後方支援に尽力する。本国から届く物資の輸送や、前線で出た負傷兵の治療、ロンズデールとの連携、近隣の村への警戒などだ。お前達が後ろを気にせず戦えるように全力を尽くす」
マルスもオスカーも、戦闘力ではこの場にいる戦士達に及ばない。
そのため戦闘に参加する事はない。しかし自分達だけ安全地帯にいるという意識はない。中間地点インターバウルが攻め入られない保証もないのだ。
そして王族である自分達にしかできない事もある。不安を感じている国民のために戦地に赴き、この戦いはクインズベリーが絶対に勝てると見せる事だ。
そのためにここまで来た。
オスカーも立ち上がるが、話しはほぼマルスが主導で行ったため、本人達の意識するところではないが、図らずしも次期国王は第一王子であるマルスとの印象が強まった。
そして夜の闇も更けて来た頃、作戦会議が終わり解散となった。
「レイジェスの皆さん」
会議室を出て、通路を歩いているレイジェスのメンバー達の背中に、呼び止める声が届いた。
「あら、あなたは・・・」
振り返り、シルヴィアが口を開く。
「少し、お話しをよろしいでしょうか?」
そこには四勇士シャクール・バルデスの婚約者となった、サリー・ディルトンが立っていた。
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