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1204 気合と覚悟のぶつかり合い
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「くそっ!なんだありゃ、竜巻かよ?」
押し寄せる風の圧力に、ミゼルは両腕を盾にして前かがみに姿勢を低くする。
目の前の竜巻の如き風の渦は、イサックが体を回転させる事で発生したものである。
イサックの武器、斬空の鎖鎌は、鎌を振るう力によって、大小さまざまな斬撃を飛ばす事ができる。
これだけ聞けば平凡な能力に思えるかもしれない。だがイサックは斬空の鎖鎌の真の力を引き出す事ができた。
それがこの回転である。
振るう力によって飛ばせる斬撃の威力が決まるのならば、その力を可能な限り長く溜めたらどうなる?
どれだけ頑張っても、腕の長さ以上は振るう事ができない。
だが鎌を振るう時は腰を回している。ならば腰をもっと回す事はできないか?足首も回せばどうだ?
そうして気が付いた。体を回転させている間は、鎌に力を溜める事ができる。
そして何十回、何百回と体を回しても、平衡感覚を失わない驚異的な肉体を作り上げたイサックが編み出した技が斬空烈破である。
・・・俺はこの鎖鎌で勝ち続けてきた。
農作業の武器だ何だと馬鹿にしてきたヤツらもいたが、全員返り討ちにしてやった。
だが、ついやり過ぎてしまい、軍で問題になって居場所が無くなりそうになった時、拾ってくれたのがハビエルだった。
力で言う事をきかせようとするし、何を考えてるのか分からないところもあるが、ハビエルの下で戦って来たこの数年は楽しかったし、これからもこのチームで戦っていきたいと思う。
だからお前達は今、ここで死ね!
「ウォォォォォォォォォーーーーーーーーーーッツ!」
気合いと覚悟を秘めた叫びを上げる。鎌を握る左手に力が入り、回転はさらに勢いを強めた!
「・・・うわ!ちょっと何あれ!?ヤバくない!?ってか風超強いし!」
ラクエルはイサックの回転から大きく距離を取り、ナイフを握りつつ防御の体勢をとった。
「完全に竜巻だな・・・風の上級魔法、トルネード・バーストに似ているが、あれは風の渦で破壊する魔法だ。コレは鋭さが違う。渦巻く風そのものが鋭い刃になっている。触れれば斬られると思った方がい」
レイチェルはイサックの竜巻を冷静に分析していた。
十中八九飛び道具を使って来るだろう。そしてソレは、自分が想定している以上の凄まじい技かもしれない。
「・・・まずいな、風圧もかなりのものだが、竜巻の近くは風が鋭すぎて近づけない」
可能ならば技を使わせる前に潰しておきたかった。だが目の前の竜巻は近づく事も許されない、恐るべき殺傷力を持っていた。
「二人とも、僕の後ろに下がってくれ」
後ろから肩に置かれた手に振り返ると、青魔法使いのジーンが前に出て来た。そしてレイチェルとラクエルに目を向けると、自分は両手を前に出して魔力を集中させる。
通常の結界よりも、一際強い青い輝きを放つ結界が、ジーンを中心に大きな円となって全員を包み込んだ。
それは結界の最高峰、天衣結界。
「レイチェル、あれは僕が受けきる。任せてくれ」
「ジーン・・・分かった。頼んだぞ」
ジーンの力を疑うわけではない。だが目の前の竜巻は、天衣結界でも危ういかもしれない。
そう思わせる程のものだった。
敵が撃ってくる前に潰す事もできない今、レイチェルはこの場からの撤退まで考えていた。
だがジーンの言葉を聞いてこの場を託すことを決めた。
「マジ?大丈夫なの?逃げた方がよくない?」
「いや、大丈夫だ。ジーンは自分をよく知っている。ジーンが任せろと言うのなら、それは十分勝算があるという事だ。それにここで私達が逃げれば、敵にも逃げる時間を与える事になるんだ。ラクエル、ジーンを信じろ」
レイチェルと同じく撤退に傾いていたラクエルに、レイチェルは冷静な言葉と態度を示した。
チームリーダーであるレイチェルが慌てたり、迷った様子を見せれば、まとまるものもまとまらない。
レイチェルは真っすぐな目は、ラクエルがその言葉を信じるには十分だった。
「・・・分かったよ。あんたがそこまで言うんなら、アタシも信じるさ」
ラクエルは右手に持つ白い刃のナイフを握り直すと、腰を低くして正面の竜巻を見据えた。
イサックの攻撃をしのぎ切ったら、すぐに反撃に転じるためである。
ミゼルとユーリも後方で姿勢を低くして、警戒し備えている。
結界の中で全員が覚悟を決めた時と同じくして、イサックの斬空烈波も完成した。
「食らいやがれえェェェェェェーーーーーーーーーーーッツ!」
巨大な竜巻を生み出す程の速さで回り続けたイサックは、渾身の力を込めて左手の鎌を振り抜いた。
そして限界まで溜めて解き放たれた風の渦は、使い手であるイサックの輪から外れ、対峙するレイチェル達に向かって襲い掛かった!
「でかいッ!」
技の正体が飛び道具だろうと目星はつけていたが、予想を超える大きさにレイチェルは目を開いた。
見たままを言うなら、それは竜巻そのものであった。上級風魔法のトルネード・バーストにも似ているが、今自分に向かって撃たれたソレは鋭さが違った。
地面を斬り裂き、触れる家屋を斬り刻みながら向かって来るその竜巻は、一目で分かる驚異的な破壊力を持っていた。
「来るぞ!みんな衝撃に備えて!」
先頭に立つジーンの体から青く輝く魔力が放出され、天衣結界が一層強く輝く出した。
押し寄せる風の圧力に、ミゼルは両腕を盾にして前かがみに姿勢を低くする。
目の前の竜巻の如き風の渦は、イサックが体を回転させる事で発生したものである。
イサックの武器、斬空の鎖鎌は、鎌を振るう力によって、大小さまざまな斬撃を飛ばす事ができる。
これだけ聞けば平凡な能力に思えるかもしれない。だがイサックは斬空の鎖鎌の真の力を引き出す事ができた。
それがこの回転である。
振るう力によって飛ばせる斬撃の威力が決まるのならば、その力を可能な限り長く溜めたらどうなる?
どれだけ頑張っても、腕の長さ以上は振るう事ができない。
だが鎌を振るう時は腰を回している。ならば腰をもっと回す事はできないか?足首も回せばどうだ?
そうして気が付いた。体を回転させている間は、鎌に力を溜める事ができる。
そして何十回、何百回と体を回しても、平衡感覚を失わない驚異的な肉体を作り上げたイサックが編み出した技が斬空烈破である。
・・・俺はこの鎖鎌で勝ち続けてきた。
農作業の武器だ何だと馬鹿にしてきたヤツらもいたが、全員返り討ちにしてやった。
だが、ついやり過ぎてしまい、軍で問題になって居場所が無くなりそうになった時、拾ってくれたのがハビエルだった。
力で言う事をきかせようとするし、何を考えてるのか分からないところもあるが、ハビエルの下で戦って来たこの数年は楽しかったし、これからもこのチームで戦っていきたいと思う。
だからお前達は今、ここで死ね!
「ウォォォォォォォォォーーーーーーーーーーッツ!」
気合いと覚悟を秘めた叫びを上げる。鎌を握る左手に力が入り、回転はさらに勢いを強めた!
「・・・うわ!ちょっと何あれ!?ヤバくない!?ってか風超強いし!」
ラクエルはイサックの回転から大きく距離を取り、ナイフを握りつつ防御の体勢をとった。
「完全に竜巻だな・・・風の上級魔法、トルネード・バーストに似ているが、あれは風の渦で破壊する魔法だ。コレは鋭さが違う。渦巻く風そのものが鋭い刃になっている。触れれば斬られると思った方がい」
レイチェルはイサックの竜巻を冷静に分析していた。
十中八九飛び道具を使って来るだろう。そしてソレは、自分が想定している以上の凄まじい技かもしれない。
「・・・まずいな、風圧もかなりのものだが、竜巻の近くは風が鋭すぎて近づけない」
可能ならば技を使わせる前に潰しておきたかった。だが目の前の竜巻は近づく事も許されない、恐るべき殺傷力を持っていた。
「二人とも、僕の後ろに下がってくれ」
後ろから肩に置かれた手に振り返ると、青魔法使いのジーンが前に出て来た。そしてレイチェルとラクエルに目を向けると、自分は両手を前に出して魔力を集中させる。
通常の結界よりも、一際強い青い輝きを放つ結界が、ジーンを中心に大きな円となって全員を包み込んだ。
それは結界の最高峰、天衣結界。
「レイチェル、あれは僕が受けきる。任せてくれ」
「ジーン・・・分かった。頼んだぞ」
ジーンの力を疑うわけではない。だが目の前の竜巻は、天衣結界でも危ういかもしれない。
そう思わせる程のものだった。
敵が撃ってくる前に潰す事もできない今、レイチェルはこの場からの撤退まで考えていた。
だがジーンの言葉を聞いてこの場を託すことを決めた。
「マジ?大丈夫なの?逃げた方がよくない?」
「いや、大丈夫だ。ジーンは自分をよく知っている。ジーンが任せろと言うのなら、それは十分勝算があるという事だ。それにここで私達が逃げれば、敵にも逃げる時間を与える事になるんだ。ラクエル、ジーンを信じろ」
レイチェルと同じく撤退に傾いていたラクエルに、レイチェルは冷静な言葉と態度を示した。
チームリーダーであるレイチェルが慌てたり、迷った様子を見せれば、まとまるものもまとまらない。
レイチェルは真っすぐな目は、ラクエルがその言葉を信じるには十分だった。
「・・・分かったよ。あんたがそこまで言うんなら、アタシも信じるさ」
ラクエルは右手に持つ白い刃のナイフを握り直すと、腰を低くして正面の竜巻を見据えた。
イサックの攻撃をしのぎ切ったら、すぐに反撃に転じるためである。
ミゼルとユーリも後方で姿勢を低くして、警戒し備えている。
結界の中で全員が覚悟を決めた時と同じくして、イサックの斬空烈波も完成した。
「食らいやがれえェェェェェェーーーーーーーーーーーッツ!」
巨大な竜巻を生み出す程の速さで回り続けたイサックは、渾身の力を込めて左手の鎌を振り抜いた。
そして限界まで溜めて解き放たれた風の渦は、使い手であるイサックの輪から外れ、対峙するレイチェル達に向かって襲い掛かった!
「でかいッ!」
技の正体が飛び道具だろうと目星はつけていたが、予想を超える大きさにレイチェルは目を開いた。
見たままを言うなら、それは竜巻そのものであった。上級風魔法のトルネード・バーストにも似ているが、今自分に向かって撃たれたソレは鋭さが違った。
地面を斬り裂き、触れる家屋を斬り刻みながら向かって来るその竜巻は、一目で分かる驚異的な破壊力を持っていた。
「来るぞ!みんな衝撃に備えて!」
先頭に立つジーンの体から青く輝く魔力が放出され、天衣結界が一層強く輝く出した。
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