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1167 親友の涙
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冷たく深い闇の淵に落ちていきそうになった・・・・・
怖い・・・そこに落ちたら自分はどうなってしまうのだろう。言いようのない恐怖に押し潰されそうになった。
だけど、誰かがアタシを呼んでいる。声が聞こえる。何を言っているのかハッキリとは聞き取れないけど、なんだか力強くて、この暗闇に負けるなって励まされてるような気がする。
そうして心を強く持って、闇に負けないように必死に耐えていると、暗闇の中に一筋の光が差し込んできた。
その光はアタシを優しく包み込むと、暖かな空へと引き上げてくれた。
「・・・う、ん・・・・・」
重い瞼を開けて最初に目に入ったのは、見慣れた緑色の髪の男の子が、鼻水を垂らして泣いている姿だった。
「・・・・・リカ、ルド・・・・・?」
どうしたんだろう?なんでそんなに大泣きしてるの?
喉の奥がカラカラでうまく声を出せなかった。それでもかすれた声で名前を呼ぶと、緑色の髪の男の子リカルドは、驚いたようにアタシに顔を向けた。そして唇を震わせながら、アタシの手をぎゅうっと強く握り締めた。
「ユ、ユーリ・・・だ、大丈夫なのかよ?・・・良かった・・・良かったぁ・・・・」
痛い、強く握り過ぎだ。でも手を離そうとしても、リカルドの力が強くて離せない。
それにこんなに泣いてるリカルドに、強く言う事もできなくて、しかたないからアタシはそのまま手を握らせる事にした。
「コホン、えっと・・・なんでリカルドは泣いてるの?」
一つ咳払いをして、最初に気になった事を聞いてみる。
「ユーリ、覚えてないの?」
するとリカルドとは反対側から声がかけられた。顔を向けると私の親友カチュアが、目尻を下げて心配そうに私を見つめていた。
「カチュア・・・アタシ、何が・・・?」
そう言えばアタシはなんで倒れてるの?・・・あ、そうだ、確か背中にすごい痛みを感じて・・・・・
背中になにかされたんだ、でもそこから先は記憶があやふやだ・・・・・
「ユーリ、助かって良かった。あなたは敵に背中を刺されたの・・・私がヒールをかけてる間、リカルド君がずっと声をかけてたんだよ」
優しい声音をかけるカチュアの瞳を見て、ぼんやりとしていた頭がハッキリしてきた。
そう・・・そうだ、あの鋭く強い痛み・・・アタシは敵から攻撃を受けたんだ。
「ユーリ・・・生きててくれて良かった」
体を起こそうとしたアタシに、カチュアが両手を広げて抱き着いて来た。
「・・・カチュア」
「うぅ・・・ユーリ・・・」
声を震わせながら、アタシを抱きしめてくれるカチュア・・・・・
その温もりと頬に触れた雫に、アタシはようやく自分がどれだけ危ない状態だったのか理解した。
「カチュア、心配かけた・・・ごめん」
そっとカチュアの背中に手を回して、ポンポンと叩くと、カチュアは声を詰まらせて首を横に振った。
「ユーリ・・・良かった・・・良かったぁ・・・・・」
「うん、カチュア、本当にありがとう」
そして、まだ泣きじゃくるカチュアの背中をさすりながらながら、隣に座っているリカルドに顔を向けた。
「リカルド、ありがとう。アタシが意識を失ってる間、いっぱい励ましてくれたよね?」
「あ・・・ん、んだよ、別に俺は何もしてねぇよ」
お礼を言ってるのに、リカルドは口をとがらせて顔をそっぽ向ける。
本当になんでこんなに素直じゃないんだろう?さっきまで鼻水垂らして泣いてたくせに。
今更知らんふりしても手遅れ。
「嘘。そんな顔して言ってもバレバレ。リカルドが励ましてくれてたのは分かってる。暗くて怖いところに落ちそうになった時、リカルドの声で頑張れた。ありがとう」
「・・・お、おう、まぁあれだ・・・カチュアが声かけろって言うからよ、それだけだ」
「そうなんだ。でもアタシは感謝してるし嬉しかった。それだけは言っておく」
「・・・おう、とにかくしばらくゆっくりしてろよな。血がすげぇ出てたし、無理すんじゃねぇぞ?」
ようやくチラリとアタシに顔を向けたリカルドは、アタシが低姿勢だから調子に乗ってニヤついて見える。ちょっと気持ち悪い。ぶっ飛ばしてやろうかなと思ったけど、やっぱり血を流したからか、力が入りにくい。しかたないから今回は見逃してやろう。
「ん、分かった。大人しくしてる」
そう返事をした時、周りで立っていた兵士達が歓声を上げた。
あいつらすげぇ!あの人形をぶっ倒したぞ!
さすが陛下の見込んだ連中だ!
四勇士もいるんだ!俺達クインズベリーが負けるわけねぇんだ!
どうやら敵を倒した事を喜んでいるようだ。そっか、勝ったんだ。
敵に勝利した事を知って、ほっと息をついた時、ふいに背中に声をかけられた。
「あ、あのレイジェスのメンバーが倒れたと聞いたんですが・・・あなたですか?」
振り返るとそこには、小柄で長い金色の髪の少年が、どこか不安気な表情で立っていた。
クインズベリー国第二王子、オスカー・アレクサンダーだ。
怖い・・・そこに落ちたら自分はどうなってしまうのだろう。言いようのない恐怖に押し潰されそうになった。
だけど、誰かがアタシを呼んでいる。声が聞こえる。何を言っているのかハッキリとは聞き取れないけど、なんだか力強くて、この暗闇に負けるなって励まされてるような気がする。
そうして心を強く持って、闇に負けないように必死に耐えていると、暗闇の中に一筋の光が差し込んできた。
その光はアタシを優しく包み込むと、暖かな空へと引き上げてくれた。
「・・・う、ん・・・・・」
重い瞼を開けて最初に目に入ったのは、見慣れた緑色の髪の男の子が、鼻水を垂らして泣いている姿だった。
「・・・・・リカ、ルド・・・・・?」
どうしたんだろう?なんでそんなに大泣きしてるの?
喉の奥がカラカラでうまく声を出せなかった。それでもかすれた声で名前を呼ぶと、緑色の髪の男の子リカルドは、驚いたようにアタシに顔を向けた。そして唇を震わせながら、アタシの手をぎゅうっと強く握り締めた。
「ユ、ユーリ・・・だ、大丈夫なのかよ?・・・良かった・・・良かったぁ・・・・」
痛い、強く握り過ぎだ。でも手を離そうとしても、リカルドの力が強くて離せない。
それにこんなに泣いてるリカルドに、強く言う事もできなくて、しかたないからアタシはそのまま手を握らせる事にした。
「コホン、えっと・・・なんでリカルドは泣いてるの?」
一つ咳払いをして、最初に気になった事を聞いてみる。
「ユーリ、覚えてないの?」
するとリカルドとは反対側から声がかけられた。顔を向けると私の親友カチュアが、目尻を下げて心配そうに私を見つめていた。
「カチュア・・・アタシ、何が・・・?」
そう言えばアタシはなんで倒れてるの?・・・あ、そうだ、確か背中にすごい痛みを感じて・・・・・
背中になにかされたんだ、でもそこから先は記憶があやふやだ・・・・・
「ユーリ、助かって良かった。あなたは敵に背中を刺されたの・・・私がヒールをかけてる間、リカルド君がずっと声をかけてたんだよ」
優しい声音をかけるカチュアの瞳を見て、ぼんやりとしていた頭がハッキリしてきた。
そう・・・そうだ、あの鋭く強い痛み・・・アタシは敵から攻撃を受けたんだ。
「ユーリ・・・生きててくれて良かった」
体を起こそうとしたアタシに、カチュアが両手を広げて抱き着いて来た。
「・・・カチュア」
「うぅ・・・ユーリ・・・」
声を震わせながら、アタシを抱きしめてくれるカチュア・・・・・
その温もりと頬に触れた雫に、アタシはようやく自分がどれだけ危ない状態だったのか理解した。
「カチュア、心配かけた・・・ごめん」
そっとカチュアの背中に手を回して、ポンポンと叩くと、カチュアは声を詰まらせて首を横に振った。
「ユーリ・・・良かった・・・良かったぁ・・・・・」
「うん、カチュア、本当にありがとう」
そして、まだ泣きじゃくるカチュアの背中をさすりながらながら、隣に座っているリカルドに顔を向けた。
「リカルド、ありがとう。アタシが意識を失ってる間、いっぱい励ましてくれたよね?」
「あ・・・ん、んだよ、別に俺は何もしてねぇよ」
お礼を言ってるのに、リカルドは口をとがらせて顔をそっぽ向ける。
本当になんでこんなに素直じゃないんだろう?さっきまで鼻水垂らして泣いてたくせに。
今更知らんふりしても手遅れ。
「嘘。そんな顔して言ってもバレバレ。リカルドが励ましてくれてたのは分かってる。暗くて怖いところに落ちそうになった時、リカルドの声で頑張れた。ありがとう」
「・・・お、おう、まぁあれだ・・・カチュアが声かけろって言うからよ、それだけだ」
「そうなんだ。でもアタシは感謝してるし嬉しかった。それだけは言っておく」
「・・・おう、とにかくしばらくゆっくりしてろよな。血がすげぇ出てたし、無理すんじゃねぇぞ?」
ようやくチラリとアタシに顔を向けたリカルドは、アタシが低姿勢だから調子に乗ってニヤついて見える。ちょっと気持ち悪い。ぶっ飛ばしてやろうかなと思ったけど、やっぱり血を流したからか、力が入りにくい。しかたないから今回は見逃してやろう。
「ん、分かった。大人しくしてる」
そう返事をした時、周りで立っていた兵士達が歓声を上げた。
あいつらすげぇ!あの人形をぶっ倒したぞ!
さすが陛下の見込んだ連中だ!
四勇士もいるんだ!俺達クインズベリーが負けるわけねぇんだ!
どうやら敵を倒した事を喜んでいるようだ。そっか、勝ったんだ。
敵に勝利した事を知って、ほっと息をついた時、ふいに背中に声をかけられた。
「あ、あのレイジェスのメンバーが倒れたと聞いたんですが・・・あなたですか?」
振り返るとそこには、小柄で長い金色の髪の少年が、どこか不安気な表情で立っていた。
クインズベリー国第二王子、オスカー・アレクサンダーだ。
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