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疲弊している。
自分の前に立つ小さき人間は、巧みに隠しているが体力を大きく落としている。
おそらく自分の元の主人・・・いや違うな、自分を我々の主人だと思い込んでいた男、バドゥ・バックを殺した技が要因だろう。
あれを使った直後、この青い髪の人間から感じる圧力が大きく下がった。
強力な技だが、あまり多用できるものではないらしい。
使えてあと1~2回と言ったところか?
そして様子を見るに、最初と同じ威力はもう出せないだろう。
この人間は自分とこのまま戦うつもりのようだが、まともに相手をする必要もない。
なんせこちらにはこれだけの大蛇がいるんだ。
一斉にかかれば、ひとたまりもないだろう。
労せずに我々の勝ちだ。
白い大蛇ユーンはニタリと嗤うと、周囲で待機している88匹の大蛇に、命令を下そうと首を回した。しかしその時、ユーンの生物としての生存本能に突如なにかが訴えて来た。
・・・なんだ?
この強い圧迫感はなんだ?
呼吸をする事さえはばかられるような、このプレッシャーは・・・・・
正体を探ろうと首を戻した時、自分が見下ろしている小さき人間と目があった。
こいつ・・・!こいつが原因か・・・!?
この小さき人間は大きく戦力を落としているはずだ。それなのになんだこの凄まじいプレッシャーは!?
目の前の小さき獲物の全身が光り出した。とりわけ両手に漲るエネルギー、これはバドゥ・バックを引き裂いた力のようだが、この両手には凄まじい力が宿っている。
そして四足動物のような特異な構えをとると、ぶつけられるプレッシャーが更に強まった。
な、なんだこいつは・・・?
まだ見せていない力があるというのか?
死を連想させられる程のプレッシャーを感じさせられ、ユーンはその場から逃げ出したい程の猛烈な恐怖を感じた。
・・・だが踏みとどまった。
・・・ふざけるな・・・なぜ自分が逃げねばならない?
こいつは小さき人間だ。バドゥ・バックと同じ人間だ。
我々をただでかいだけの蛇だと侮り、自分が主人だと思い上がっていたあの人間と同じだ。
どうやら奥の手を持っているようだが、それでこの数を相手にできると思っているのか?
思い上がるな!
高慢な人間よ見せてやろう!蛇の毒の凄まじさを!
「フシャァァァァァァァァーーーーーーーーーーーッツ!」
白い大蛇ユーンの赤い目がギラリと光り、大蛇の頂点としての矜持を腹の底から絞り出した。
それは空気が震え、樹々の葉が吹き飛ばされる、耳を痛いくらいの咆哮だった。
これが開戦の合図となった。
それまで一切の動きを見せなかった88匹の大蛇と、数千を数える蛇達が一斉にレイマートに襲い掛かった!
10メートル級のユーンには及ばないが、前後左右あらゆる角度から、5メートル以上はある大蛇達が大口を開けて迫って来る。
そして足元からは大きさこそ数十センチ程だが、地面を埋め尽くす程の蛇達が滑るように地面を走り、レイマートへと向かって来た。
逃げ場はない。
いかにゴールド騎士のレイマートでも、これだけの数の蛇の牙を、無傷で潜り抜ける事は不可能である。
だがレイマートに焦りは無かった。
その青い目は自分に迫り来る蛇達には目もくれず、ただ一点・・・そう、自分の目の前に立つ白い大蛇ユーンだけを見据えていた。
蛇野郎が、俺をあまく見たな?
これだけの蛇をけしかければ、俺の心が乱れるとでも思ったか?
慌ててテメェから目を離すとでも思ったか?
馬鹿が!なめんじゃねぇぞ!
群れのボスが目の前にいるんだぞ?
我が身可愛さに退くような男が、ゴールド騎士になれるわけねぇだろ!
ここでテメェを殺せば、司令塔を失った蛇共は有象無象と化すだろう。
これだけの数の蛇共だ、放っておけば今後クインズベリーの脅威となる事は間違いない。
ここで群れのボスを仕留める事ができれば、帝国の戦力を大きく削ぐことができる。
これはまたと無い好機だ。俺の命と引き換えにしてでも、ここでてめぇを討つ!
「獅子王牙(ししおうが)!」
闘気を込めた右足で地面を蹴り、レイマートが必殺を放とうとしたその時、レイマートの顔の横を何かが鋭く風を切って通り過ぎた。
「ッ!?」
予期せず何かが乱入した事で、レイマートは左足で地面を強く踏みつけ、発動しかけた技に無理やりブレーキをかけた。
「フシャァァァァァァーーーーーーーーーッツ!」
レイマートが足を止めた直後、目の前に立つ白い大蛇が大口を開けて、腹の奥底から苦痛の叫びを噴射した。
「あれは・・・矢、だと?」
レイマートは驚きに目を開いた。
なぜなら白い大蛇ユーンの左目には、矢が突き刺さっていたのだから。
いったいなぜ突然矢が?誰が?
様々な疑問が一瞬で頭の中を駆け巡った。だが答えにもすぐにたどり着いた。
この場面で蛇に矢を射るなんて、救援隊に決まっている。
つまりエクトールは間に合ったんだ!
レイマートが後ろを振り返ると、矢を構えたエメラルドグリーンの髪の少年が目に映った。
「お~、我ながらナイスショット!俺ってやっぱり優秀だよな」
救援隊の一人、リカルド・ガルシアの放った矢が、大蛇ユーンの左目を射抜いた。
自分の前に立つ小さき人間は、巧みに隠しているが体力を大きく落としている。
おそらく自分の元の主人・・・いや違うな、自分を我々の主人だと思い込んでいた男、バドゥ・バックを殺した技が要因だろう。
あれを使った直後、この青い髪の人間から感じる圧力が大きく下がった。
強力な技だが、あまり多用できるものではないらしい。
使えてあと1~2回と言ったところか?
そして様子を見るに、最初と同じ威力はもう出せないだろう。
この人間は自分とこのまま戦うつもりのようだが、まともに相手をする必要もない。
なんせこちらにはこれだけの大蛇がいるんだ。
一斉にかかれば、ひとたまりもないだろう。
労せずに我々の勝ちだ。
白い大蛇ユーンはニタリと嗤うと、周囲で待機している88匹の大蛇に、命令を下そうと首を回した。しかしその時、ユーンの生物としての生存本能に突如なにかが訴えて来た。
・・・なんだ?
この強い圧迫感はなんだ?
呼吸をする事さえはばかられるような、このプレッシャーは・・・・・
正体を探ろうと首を戻した時、自分が見下ろしている小さき人間と目があった。
こいつ・・・!こいつが原因か・・・!?
この小さき人間は大きく戦力を落としているはずだ。それなのになんだこの凄まじいプレッシャーは!?
目の前の小さき獲物の全身が光り出した。とりわけ両手に漲るエネルギー、これはバドゥ・バックを引き裂いた力のようだが、この両手には凄まじい力が宿っている。
そして四足動物のような特異な構えをとると、ぶつけられるプレッシャーが更に強まった。
な、なんだこいつは・・・?
まだ見せていない力があるというのか?
死を連想させられる程のプレッシャーを感じさせられ、ユーンはその場から逃げ出したい程の猛烈な恐怖を感じた。
・・・だが踏みとどまった。
・・・ふざけるな・・・なぜ自分が逃げねばならない?
こいつは小さき人間だ。バドゥ・バックと同じ人間だ。
我々をただでかいだけの蛇だと侮り、自分が主人だと思い上がっていたあの人間と同じだ。
どうやら奥の手を持っているようだが、それでこの数を相手にできると思っているのか?
思い上がるな!
高慢な人間よ見せてやろう!蛇の毒の凄まじさを!
「フシャァァァァァァァァーーーーーーーーーーーッツ!」
白い大蛇ユーンの赤い目がギラリと光り、大蛇の頂点としての矜持を腹の底から絞り出した。
それは空気が震え、樹々の葉が吹き飛ばされる、耳を痛いくらいの咆哮だった。
これが開戦の合図となった。
それまで一切の動きを見せなかった88匹の大蛇と、数千を数える蛇達が一斉にレイマートに襲い掛かった!
10メートル級のユーンには及ばないが、前後左右あらゆる角度から、5メートル以上はある大蛇達が大口を開けて迫って来る。
そして足元からは大きさこそ数十センチ程だが、地面を埋め尽くす程の蛇達が滑るように地面を走り、レイマートへと向かって来た。
逃げ場はない。
いかにゴールド騎士のレイマートでも、これだけの数の蛇の牙を、無傷で潜り抜ける事は不可能である。
だがレイマートに焦りは無かった。
その青い目は自分に迫り来る蛇達には目もくれず、ただ一点・・・そう、自分の目の前に立つ白い大蛇ユーンだけを見据えていた。
蛇野郎が、俺をあまく見たな?
これだけの蛇をけしかければ、俺の心が乱れるとでも思ったか?
慌ててテメェから目を離すとでも思ったか?
馬鹿が!なめんじゃねぇぞ!
群れのボスが目の前にいるんだぞ?
我が身可愛さに退くような男が、ゴールド騎士になれるわけねぇだろ!
ここでテメェを殺せば、司令塔を失った蛇共は有象無象と化すだろう。
これだけの数の蛇共だ、放っておけば今後クインズベリーの脅威となる事は間違いない。
ここで群れのボスを仕留める事ができれば、帝国の戦力を大きく削ぐことができる。
これはまたと無い好機だ。俺の命と引き換えにしてでも、ここでてめぇを討つ!
「獅子王牙(ししおうが)!」
闘気を込めた右足で地面を蹴り、レイマートが必殺を放とうとしたその時、レイマートの顔の横を何かが鋭く風を切って通り過ぎた。
「ッ!?」
予期せず何かが乱入した事で、レイマートは左足で地面を強く踏みつけ、発動しかけた技に無理やりブレーキをかけた。
「フシャァァァァァァーーーーーーーーーッツ!」
レイマートが足を止めた直後、目の前に立つ白い大蛇が大口を開けて、腹の奥底から苦痛の叫びを噴射した。
「あれは・・・矢、だと?」
レイマートは驚きに目を開いた。
なぜなら白い大蛇ユーンの左目には、矢が突き刺さっていたのだから。
いったいなぜ突然矢が?誰が?
様々な疑問が一瞬で頭の中を駆け巡った。だが答えにもすぐにたどり着いた。
この場面で蛇に矢を射るなんて、救援隊に決まっている。
つまりエクトールは間に合ったんだ!
レイマートが後ろを振り返ると、矢を構えたエメラルドグリーンの髪の少年が目に映った。
「お~、我ながらナイスショット!俺ってやっぱり優秀だよな」
救援隊の一人、リカルド・ガルシアの放った矢が、大蛇ユーンの左目を射抜いた。
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