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「まず、帝国との緊張状態が高まっている中、危険な任務に出てくださるあなた方には感謝の念が絶えません。ゴールド騎士のレイマート、そしてシルバー騎士達は、きっと今もパウンド・フォーで生き延びていると信じています。彼らはクインズベリーのために、命を懸けて危険地帯へと出向きました。だからこそ我々が、なんとしても救い出さねばなりません。どうか力を貸してください」
女王アンリエールの言葉を耳に、騎士団もレイジェスも、それぞれが神妙な顔で頷き、はい、と返事を口にする。
「私も昨日騎士団から報告を受けて、彼らのために何かできる事はないかを考えました。今必要なものは闇に対抗できる戦力です。そこで、リーザ」
「はい」
名前を呼ばれると、自分の背丈ほどもある大剣を背負った、ダークブラウンの髪の女戦士、リーザ・アコスタが一歩前に出た。
「リーザ・アコスタだ。私も救出隊のメンバーとして参加させてもらう。よろしく頼む」
レイチェルや騎士団を前にして、リーザが声を高らかに発した。
女王アンリエール専属護衛のリーザが、今回の救出に参加するという。
誰も予想していなかった事態に、あちこちからざわめきが起こった。
その中でレイチェルがアンリエールに問いかけた。
「・・アンリエール様、よろしいのですか?彼女が離れたら・・・」
「レイチェル、心配はありません。なぜなら・・・」
最後まで聞かなくても分かる。専属護衛のリーザを外して大丈夫なのか?
その疑問に答えるようにアンリエールが顔を向けた先には、一切の不安を払拭できる人物の姿があった。
「リーザが戻るまでの間、俺がアンリエール様の護衛に就く」
リーザと入れ替わるようにアンリエールの脇に立ったのは、レイジェス店長のウィッカー・バリオス。女王の護衛として、これ以上無い適任者だった。
「店長・・・なるほど、確かに店長が専属で護衛するのでしたら、何も心配はいりませんね」
まさかウィッカーが代わりに護衛に就くとは思っていなかった。
もちろん驚いたが、誰よりも信頼できる人選に、レイチェルはすぐに納得して頷いた。
「なぁ、ウィッカーさん・・・あんたの事情は女王陛下から聞いたけどよ、俺ら騎士団に闘気を伝授したのは、全部この時のためなのか?」
ウィッカーがアンリエールの護衛に就く事で話しがまとまると、ゴールド騎士のアルベルトが前に進み出た。
アルベルトを含め、一部の騎士は闇に対抗できる力、闘気を操る事ができる。
闘気とはアラタの光の力、ウィッカーの光魔法と同じく、闇に対抗できる数少ない力である。
「そうだ。とは言っても、最初は闘気を教えるつもりはなかった。元々俺は一人で戦うつもりだったからな。だが帝国が闇の力を使い始め、クインズベリーへ圧力をかけてきた時、かつてカエストゥスが侵略された時の事を思い出したんだ・・・・・俺一人ではクインズベリーの人々を護り切れないが、闇と戦える力をもっと多くの者が使えれば・・・そう思い闘気を伝えたんだ。ゴールド騎士とシルバーの数人しかものにはできなかったが、それでも今日この日に、仲間を助ける力となれて良かった」
闘気とは光魔法の研究の副産物だった。
誰しもが持つ気力、精神力、それを外へ放出し、剣や拳に纏わせて留める。それが闘気である。
戦いにおける筋力や技術よりも、自身の体に流れる気のコントロール。そのセンスに長けた者が身に着ける事ができた。
「そうか・・・あんた本当にすごいな。どうやってこんな力を得たんだと思ってたし、謎だらけの男だから怪しんだ時もあったけど、事情を知って納得したよ。一人でずっと闇と戦う力を探して研究して、そして作り出した。おかげで俺達も今こうしてレイマートの救出に向かう事ができる。ありがとよウィッカーさん、本当に尊敬するぜ」
「そう言ってくれると、これまでの苦労もむくわれるよ」
「あんたが女王陛下の護衛なら、俺達も安心して行ける。頼んだぞ」
感謝の言葉と共に差し出したアルベルトの右手を、ウィッカーは口元に笑みを浮かべてしっかりと握った。
「リーザ、よろしく頼む」
「ああ、任せてくれ。私も師匠の代わりに行くんだ、しっかり役目を果たさせてもらう」
レイチェルとリーザも言葉を交わしたところで、ゴールド騎士のフェリックスが近づいて来た。
その傍らには、闇の巫女ルナも歩みを揃えて付いて来ている。
「やぁ、リーザ・アコスタ。まさかキミまで参加するとは思わなかったよ」
「フェリックスか、お前は残るんだってな?」
「ああ、悪いけど僕にはルナの護衛という役目もあるし、騎士団もまとめなければならない。だからレイマート達の救出はキミ達に任せたよ」
「まぁ、しかたないだろう。こっちの事は心配せずにまかせておけ。お前はお前の仕事をすればいい」
軽い調子で話すフェリックスに、リーザも軽く息をついて言葉を返した。
「ところで、騎士団からはアルベルトとレミューの二人だけだと聞いていたが、あいつも行くのか?」
リーザが顔を向けた先には、シルバー騎士筆頭ラヴァル・レミューと話している男が見えた。
背丈はレミューより少しだけ高い、180cm程だろう。茶髪で中分けのスッキリとした顔立ちをしている。
黒無地の長袖、黒無地のロングパンツを穿いており、その上に銀の肩当てと胸当てを付けているだけで、他に防具らしい物は見当たらない。
腰に差した剣は銀の鞘に納められている。
背中に革製のリュックを背負っている事から、彼もこの救出隊に参加する事が想像できた。
「ああ、彼ね、彼はエクトール・エドワーズ。今回パウンド・フォーから生還した男だよ。先日ボロボロになって戻って来たばかりだから、もっと休んでていいって言ったんだけど、どうしても自分も行くってきかなくてね」
そう言ってフェリックスは、息を付いて肩をすくめた。
女王アンリエールの言葉を耳に、騎士団もレイジェスも、それぞれが神妙な顔で頷き、はい、と返事を口にする。
「私も昨日騎士団から報告を受けて、彼らのために何かできる事はないかを考えました。今必要なものは闇に対抗できる戦力です。そこで、リーザ」
「はい」
名前を呼ばれると、自分の背丈ほどもある大剣を背負った、ダークブラウンの髪の女戦士、リーザ・アコスタが一歩前に出た。
「リーザ・アコスタだ。私も救出隊のメンバーとして参加させてもらう。よろしく頼む」
レイチェルや騎士団を前にして、リーザが声を高らかに発した。
女王アンリエール専属護衛のリーザが、今回の救出に参加するという。
誰も予想していなかった事態に、あちこちからざわめきが起こった。
その中でレイチェルがアンリエールに問いかけた。
「・・アンリエール様、よろしいのですか?彼女が離れたら・・・」
「レイチェル、心配はありません。なぜなら・・・」
最後まで聞かなくても分かる。専属護衛のリーザを外して大丈夫なのか?
その疑問に答えるようにアンリエールが顔を向けた先には、一切の不安を払拭できる人物の姿があった。
「リーザが戻るまでの間、俺がアンリエール様の護衛に就く」
リーザと入れ替わるようにアンリエールの脇に立ったのは、レイジェス店長のウィッカー・バリオス。女王の護衛として、これ以上無い適任者だった。
「店長・・・なるほど、確かに店長が専属で護衛するのでしたら、何も心配はいりませんね」
まさかウィッカーが代わりに護衛に就くとは思っていなかった。
もちろん驚いたが、誰よりも信頼できる人選に、レイチェルはすぐに納得して頷いた。
「なぁ、ウィッカーさん・・・あんたの事情は女王陛下から聞いたけどよ、俺ら騎士団に闘気を伝授したのは、全部この時のためなのか?」
ウィッカーがアンリエールの護衛に就く事で話しがまとまると、ゴールド騎士のアルベルトが前に進み出た。
アルベルトを含め、一部の騎士は闇に対抗できる力、闘気を操る事ができる。
闘気とはアラタの光の力、ウィッカーの光魔法と同じく、闇に対抗できる数少ない力である。
「そうだ。とは言っても、最初は闘気を教えるつもりはなかった。元々俺は一人で戦うつもりだったからな。だが帝国が闇の力を使い始め、クインズベリーへ圧力をかけてきた時、かつてカエストゥスが侵略された時の事を思い出したんだ・・・・・俺一人ではクインズベリーの人々を護り切れないが、闇と戦える力をもっと多くの者が使えれば・・・そう思い闘気を伝えたんだ。ゴールド騎士とシルバーの数人しかものにはできなかったが、それでも今日この日に、仲間を助ける力となれて良かった」
闘気とは光魔法の研究の副産物だった。
誰しもが持つ気力、精神力、それを外へ放出し、剣や拳に纏わせて留める。それが闘気である。
戦いにおける筋力や技術よりも、自身の体に流れる気のコントロール。そのセンスに長けた者が身に着ける事ができた。
「そうか・・・あんた本当にすごいな。どうやってこんな力を得たんだと思ってたし、謎だらけの男だから怪しんだ時もあったけど、事情を知って納得したよ。一人でずっと闇と戦う力を探して研究して、そして作り出した。おかげで俺達も今こうしてレイマートの救出に向かう事ができる。ありがとよウィッカーさん、本当に尊敬するぜ」
「そう言ってくれると、これまでの苦労もむくわれるよ」
「あんたが女王陛下の護衛なら、俺達も安心して行ける。頼んだぞ」
感謝の言葉と共に差し出したアルベルトの右手を、ウィッカーは口元に笑みを浮かべてしっかりと握った。
「リーザ、よろしく頼む」
「ああ、任せてくれ。私も師匠の代わりに行くんだ、しっかり役目を果たさせてもらう」
レイチェルとリーザも言葉を交わしたところで、ゴールド騎士のフェリックスが近づいて来た。
その傍らには、闇の巫女ルナも歩みを揃えて付いて来ている。
「やぁ、リーザ・アコスタ。まさかキミまで参加するとは思わなかったよ」
「フェリックスか、お前は残るんだってな?」
「ああ、悪いけど僕にはルナの護衛という役目もあるし、騎士団もまとめなければならない。だからレイマート達の救出はキミ達に任せたよ」
「まぁ、しかたないだろう。こっちの事は心配せずにまかせておけ。お前はお前の仕事をすればいい」
軽い調子で話すフェリックスに、リーザも軽く息をついて言葉を返した。
「ところで、騎士団からはアルベルトとレミューの二人だけだと聞いていたが、あいつも行くのか?」
リーザが顔を向けた先には、シルバー騎士筆頭ラヴァル・レミューと話している男が見えた。
背丈はレミューより少しだけ高い、180cm程だろう。茶髪で中分けのスッキリとした顔立ちをしている。
黒無地の長袖、黒無地のロングパンツを穿いており、その上に銀の肩当てと胸当てを付けているだけで、他に防具らしい物は見当たらない。
腰に差した剣は銀の鞘に納められている。
背中に革製のリュックを背負っている事から、彼もこの救出隊に参加する事が想像できた。
「ああ、彼ね、彼はエクトール・エドワーズ。今回パウンド・フォーから生還した男だよ。先日ボロボロになって戻って来たばかりだから、もっと休んでていいって言ったんだけど、どうしても自分も行くってきかなくてね」
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