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【911 万感の思い】
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「ハァァァーーーッ!」
「フン!その程度か?」
俺の灼炎竜と皇帝の灼炎竜が、正面からぶつかりあった!二体の竜は互いの喉に喰らいつき、一歩も引かずに押し合う。
ぶつかりあって感じ取った。やはり皇帝の魔力はずば抜けている。ほんの少しでも気を抜けば、たちまち首を嚙み千切られてしまうだろう。
巨大な二体の炎の竜がぶつかる衝撃、その熱波は、降り注ぐ雪を蒸発させ、両者の足場に大きな亀裂を走らせた。
やはり強い・・・俺は一瞬も気を抜けないギリギリの状態なのに、皇帝には余裕がある。
純粋な魔力では俺より一枚も二枚も上手だ。
「フハハハハ!どうしたウィッカー?せっかくブレンダンが貴様に望みを託したというのに、やはりこの程度か?これではヤツも浮かばれんなぁぁぁ!」
皇帝が竜を操る右手に力を込めて前に押し出しと、俺の灼炎竜に圧し掛かる重さがズシリと上がった。
「ぐっ!」
「ウィッカーよ、セシリアと戦った時の貴様の灼炎竜は見事なものだった。あれは25・・・いや、30メートルはあったか?あれを出さなくていいのか?全力を出さずにこのまま燃え尽きるか?」
俺の灼炎竜もすでに20メートルに達しているが、俺の竜が大きくなれば、皇帝の竜も同じ大きさで対抗をしてくる。そして同じ大きさのぶつかり合いで、皇帝の竜が俺の竜を上回ってくる。
宣言通り、皇帝は同じ条件で戦い、俺に格の違いを見せつけているのだ。
「やってやるよ!」
まんまと挑発に乗せられたが、このままでは押し切られるだけだ。
ならば全力でぶつかるしかない!
魔力を集中し高める。炎の竜は俺の魔力を吸い上げ、より大きくより強くその形を変えていく。
「オォォォォォォォォーーーーーーーーツ!」
極限まで高められた魔力。触れる物全てを焼き尽くす炎。
俺の体から立ち昇る灼炎竜は、その巨大さゆえに天井を破壊し、俺達の頭上を覆い隠す程に火の手を広げていった。
皇帝の灼炎竜も十分に大きい。だが30メートルの竜とは比べようがない。
「そうだ、それでいい。貴様の全力を見せてみろ」
これだけの圧力をかけても、皇帝は余裕の姿勢を崩さない。
20メートルの皇帝の竜は、俺の灼炎竜の喉に喰らいつけずに剥がされるが、それでもその表情に焦りは見えなかった。
「ウラァァァァァー----ッ!」
右手を振り下ろす。
炎の竜が皇帝に狙いをつけて牙を剥く!火の粉を散らし、頭から丸呑みにせんと喰ってかかった!
「フン!なかなかのものだが・・・」
迎え撃つ皇帝は、下からすくい上げるように腕を振り上げた。灼炎竜が唸りを上げてぶつかっていく!
「ぶっ潰してやる!」
二体の竜が再び激突した!大きさで勝る俺の竜が、皇帝の竜の喉に喰らいつき、そのまま押さえこんだ!
このまま押し潰してやる!右手を握り締めて、炎の竜に魔力を送り込む。
灼炎竜が力を増し、皇帝の竜の喉を噛み潰そうとしたその時・・・皇帝は嗤った。
「格の違いを見せると言っただろう?貴様にできる事は余にもできるのだよ!」
そう呟くと、皇帝の灼炎竜が一気に膨れ上がった!
「なにっ!?」
皇帝の竜に喰らいついていた、俺の灼炎竜が弾き飛ばされる。
たった今まで一回りも二回りも小さかった皇帝の灼炎竜が、一瞬のうちに俺の灼炎竜と同等、いやそれ以上の大きさとなって、俺に牙を剥いた。
「灼炎竜とは黒魔法使いの力量を計れる魔法だ!貴様以上の大きさ!圧力!これで分かっただろう!余と貴様の格の違いがぁぁぁぁぁーーーーーーッツ!」
皇帝の灼炎竜は俺の竜の喉元に喰らいつくと、そのまま力任せに持ち上げて、勢いよく地面に叩き伏せた!
「フハハハハハハハハハハ!滅せよ!これが皇帝と凡人の力の差よぉぉぉぉぉーーーーーッツ!」
「ぐぅっ!こ、こんな・・・!」
喉にかかる皇帝の竜の圧力に、俺の灼炎竜が喰い潰されると感じたその時だった。
爪先に当たったソレに、俺は目を奪われた。
なぜ今ここにコレが転がっているのか?
どうして今ここでコレが俺の足に当たったのか?
様々な考えが一瞬で頭をよぎった。しかし俺は、これは導きなのだと思った。
普通に考えれば俺にソレを使いこなせるわけがない。
だが、この時の俺はなぜかできると思えて、迷わずソレを手に取った。
初めて持つソレは、不思議なくらい手に馴染んだ。
そしてソレをどう使えばいいのか、まるで体が知っているように、自然と俺はソレに魔力を流し、そして振るった。
「止めだッ!散れぃ!ウィッカーーーー・・・・なにッツ!?」
ウィッカーの灼炎竜が噛み潰されようとしたその瞬間、突如炎の竜から発せられた、魔力以外の謎の力に、皇帝の竜は顎を弾かれ吹き飛ばされた。
「ば、馬鹿な・・・いったい、なにが・・・!?」
目を開き、たった今弾き飛ばされた己の竜を凝視する。
自分の灼炎竜は大きさで言えば、30メートル級のウィッカーの竜を、一回りも二回りも上回っている。力負けなど考えられない、ありえるはずもない。
しかし、弾き飛ばされた。
「これはいったい・・・なっ!?ま、まさか!?」
皇帝は驚きの声をあげた。
解放されたウィッカーの灼炎竜は、赤い炎ではなく、青い炎で燃え上がっていたからだ。
「あ、青い炎・・・だと!?」
「皇帝・・・」
俺は青い灼炎竜を身に纏いながら、右手に握ったその一本の枝を皇帝に突きつけた。
「ウ、ウィッカー・・・き、貴様!そ、ソレはまさか!?」
ば、馬鹿な!あ、ありえん!それはブレンダンの・・・霊力を持たん貴様が使えるはずがない!
冷たい汗が皇帝の頬を伝い落ちる。
「皇帝!覚悟しろ!この炎はカエストゥスの怒りだ!」
俺の体に流れる新しい力が教えてくれる。この枝をどう使えばいいのかを。
きっとこれが師匠が俺に託した力だ。黒魔法とは違う新たな魔力が感じられる。
これは師匠の魔力なのだろう。だから俺に魔空の枝を使う事ができる。
あるいは霊力も受け継いだのかもしれない。
右手に持つ枝を握り締める。師への万感の思いを込めて祈る。
師匠・・・力を貸してください!この魔空の枝で俺が皇帝を倒します!
全身全霊を込めて魔空の枝を振るう!
青い炎で燃え上がる灼炎竜が牙を剥き、皇帝へ襲いかかった!
「フン!その程度か?」
俺の灼炎竜と皇帝の灼炎竜が、正面からぶつかりあった!二体の竜は互いの喉に喰らいつき、一歩も引かずに押し合う。
ぶつかりあって感じ取った。やはり皇帝の魔力はずば抜けている。ほんの少しでも気を抜けば、たちまち首を嚙み千切られてしまうだろう。
巨大な二体の炎の竜がぶつかる衝撃、その熱波は、降り注ぐ雪を蒸発させ、両者の足場に大きな亀裂を走らせた。
やはり強い・・・俺は一瞬も気を抜けないギリギリの状態なのに、皇帝には余裕がある。
純粋な魔力では俺より一枚も二枚も上手だ。
「フハハハハ!どうしたウィッカー?せっかくブレンダンが貴様に望みを託したというのに、やはりこの程度か?これではヤツも浮かばれんなぁぁぁ!」
皇帝が竜を操る右手に力を込めて前に押し出しと、俺の灼炎竜に圧し掛かる重さがズシリと上がった。
「ぐっ!」
「ウィッカーよ、セシリアと戦った時の貴様の灼炎竜は見事なものだった。あれは25・・・いや、30メートルはあったか?あれを出さなくていいのか?全力を出さずにこのまま燃え尽きるか?」
俺の灼炎竜もすでに20メートルに達しているが、俺の竜が大きくなれば、皇帝の竜も同じ大きさで対抗をしてくる。そして同じ大きさのぶつかり合いで、皇帝の竜が俺の竜を上回ってくる。
宣言通り、皇帝は同じ条件で戦い、俺に格の違いを見せつけているのだ。
「やってやるよ!」
まんまと挑発に乗せられたが、このままでは押し切られるだけだ。
ならば全力でぶつかるしかない!
魔力を集中し高める。炎の竜は俺の魔力を吸い上げ、より大きくより強くその形を変えていく。
「オォォォォォォォォーーーーーーーーツ!」
極限まで高められた魔力。触れる物全てを焼き尽くす炎。
俺の体から立ち昇る灼炎竜は、その巨大さゆえに天井を破壊し、俺達の頭上を覆い隠す程に火の手を広げていった。
皇帝の灼炎竜も十分に大きい。だが30メートルの竜とは比べようがない。
「そうだ、それでいい。貴様の全力を見せてみろ」
これだけの圧力をかけても、皇帝は余裕の姿勢を崩さない。
20メートルの皇帝の竜は、俺の灼炎竜の喉に喰らいつけずに剥がされるが、それでもその表情に焦りは見えなかった。
「ウラァァァァァー----ッ!」
右手を振り下ろす。
炎の竜が皇帝に狙いをつけて牙を剥く!火の粉を散らし、頭から丸呑みにせんと喰ってかかった!
「フン!なかなかのものだが・・・」
迎え撃つ皇帝は、下からすくい上げるように腕を振り上げた。灼炎竜が唸りを上げてぶつかっていく!
「ぶっ潰してやる!」
二体の竜が再び激突した!大きさで勝る俺の竜が、皇帝の竜の喉に喰らいつき、そのまま押さえこんだ!
このまま押し潰してやる!右手を握り締めて、炎の竜に魔力を送り込む。
灼炎竜が力を増し、皇帝の竜の喉を噛み潰そうとしたその時・・・皇帝は嗤った。
「格の違いを見せると言っただろう?貴様にできる事は余にもできるのだよ!」
そう呟くと、皇帝の灼炎竜が一気に膨れ上がった!
「なにっ!?」
皇帝の竜に喰らいついていた、俺の灼炎竜が弾き飛ばされる。
たった今まで一回りも二回りも小さかった皇帝の灼炎竜が、一瞬のうちに俺の灼炎竜と同等、いやそれ以上の大きさとなって、俺に牙を剥いた。
「灼炎竜とは黒魔法使いの力量を計れる魔法だ!貴様以上の大きさ!圧力!これで分かっただろう!余と貴様の格の違いがぁぁぁぁぁーーーーーーッツ!」
皇帝の灼炎竜は俺の竜の喉元に喰らいつくと、そのまま力任せに持ち上げて、勢いよく地面に叩き伏せた!
「フハハハハハハハハハハ!滅せよ!これが皇帝と凡人の力の差よぉぉぉぉぉーーーーーッツ!」
「ぐぅっ!こ、こんな・・・!」
喉にかかる皇帝の竜の圧力に、俺の灼炎竜が喰い潰されると感じたその時だった。
爪先に当たったソレに、俺は目を奪われた。
なぜ今ここにコレが転がっているのか?
どうして今ここでコレが俺の足に当たったのか?
様々な考えが一瞬で頭をよぎった。しかし俺は、これは導きなのだと思った。
普通に考えれば俺にソレを使いこなせるわけがない。
だが、この時の俺はなぜかできると思えて、迷わずソレを手に取った。
初めて持つソレは、不思議なくらい手に馴染んだ。
そしてソレをどう使えばいいのか、まるで体が知っているように、自然と俺はソレに魔力を流し、そして振るった。
「止めだッ!散れぃ!ウィッカーーーー・・・・なにッツ!?」
ウィッカーの灼炎竜が噛み潰されようとしたその瞬間、突如炎の竜から発せられた、魔力以外の謎の力に、皇帝の竜は顎を弾かれ吹き飛ばされた。
「ば、馬鹿な・・・いったい、なにが・・・!?」
目を開き、たった今弾き飛ばされた己の竜を凝視する。
自分の灼炎竜は大きさで言えば、30メートル級のウィッカーの竜を、一回りも二回りも上回っている。力負けなど考えられない、ありえるはずもない。
しかし、弾き飛ばされた。
「これはいったい・・・なっ!?ま、まさか!?」
皇帝は驚きの声をあげた。
解放されたウィッカーの灼炎竜は、赤い炎ではなく、青い炎で燃え上がっていたからだ。
「あ、青い炎・・・だと!?」
「皇帝・・・」
俺は青い灼炎竜を身に纏いながら、右手に握ったその一本の枝を皇帝に突きつけた。
「ウ、ウィッカー・・・き、貴様!そ、ソレはまさか!?」
ば、馬鹿な!あ、ありえん!それはブレンダンの・・・霊力を持たん貴様が使えるはずがない!
冷たい汗が皇帝の頬を伝い落ちる。
「皇帝!覚悟しろ!この炎はカエストゥスの怒りだ!」
俺の体に流れる新しい力が教えてくれる。この枝をどう使えばいいのかを。
きっとこれが師匠が俺に託した力だ。黒魔法とは違う新たな魔力が感じられる。
これは師匠の魔力なのだろう。だから俺に魔空の枝を使う事ができる。
あるいは霊力も受け継いだのかもしれない。
右手に持つ枝を握り締める。師への万感の思いを込めて祈る。
師匠・・・力を貸してください!この魔空の枝で俺が皇帝を倒します!
全身全霊を込めて魔空の枝を振るう!
青い炎で燃え上がる灼炎竜が牙を剥き、皇帝へ襲いかかった!
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