868 / 1,298
【867 カエストゥス 対 帝国 ①】
しおりを挟む
なにかこだわりがあって大剣を選んだわけではない。
ただ、元々腕力には自信があったし、他の体力型が代わり映えのしない普通の鉄の剣を選ぶので、他人と違う物を使ってみたかったという気持ちはあった。
ルチルが小回りが効いて、スピードも生かせるシャムシールを選んだから、私は腕力を生かして、一撃必殺というものがいい。それなら二人で足りないものを補える。
それが私が大剣を選んだ理由だ。
甲冑を身に着けた大柄な男が、振りかぶった剣を私の頭に振り下ろす。
胴ががら空きだぞ?女の細腕ではその甲冑を貫けないと思ったか?
フッ!と息を吐き出す。右足を一歩深く踏み込んで、男の剣をかいくぐると、両手で握った剣を左から右へと一線する!
剣が甲冑にぶつかり、その侵入を防ごうと甲冑が抵抗をするが、一瞬の後に鉄は砕かれ、刃が肉にめりこむ感触が腕に伝わって来た。
「はぁッ!」
そのまま大剣を振り抜くと、男の胸から上が腰から離れて宙を舞い、血をまき散らしながら回転し、重く大きな音を立てて地面に落ちた。
・・・いい感触だ。体も温まってきた。
程良い高揚感、そして緊張感に私の集中力が高められていく。
ヤヨイさんと手合わせをしていた時、たまにこういう状態になる時があった。
結局一度も勝てなかったけど、こういう精神状態の時はいつもより食らいつけたし、ヤヨイさんを本気にさせる事ができた。
「カエストゥスーーーーーッ!」
背中から斬りかかってきた兵士の剣を、前方に跳んで回転して躱す。
「なにィッツ!?」
「見え見えだ」
着地と同時に後ろに跳んで、そのまま剣を右から左へと一線させる!
兵士の首を刎ね飛ばすと、私はそのまま敵陣につっこんだ。
「あの女だ!金髪のあの女をやれ!」
私の動きに警戒したようだ。まっすぐに向かって来る私に、部隊長らしい男が剣を向けて声を張り上げる。
「ふん、今の私を斬れるかな?」
全てが遅い。正面から斬りかかってくる兵士の剣を身を翻して躱し、繰り出される槍を剣で斬り払う。撃ち出される爆裂弾、火球を飛んで躱すと、そのまま剣を振り上げて帝国兵達の頭上から斬りつけた!
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッツ!」
ヤヨイさん、ルチル、見てて!私の剣でカエストゥスを勝利に導いてみせる!
「ぬるいなぁ、帝国は大陸最強の軍事国家っつぅけどよ、師団長以外は雑魚ばっかなんじゃねぇか?」
首に巻いた水色のマフラーは、俺の魔道具、反作用の糸だ。
俺自身は白魔法使いだが、この魔道具は俺の魔力を、別系統の魔力に変換して使う事ができる。
「ば、バカな!お、俺の剣を、そんな布切れでッ!?」
「マフラーだよ。マフラー知らねぇのか?」
左手に握ったマフラーの先端で、帝国兵の剣を受け止める。
マフラーの先端は青い光を放っている。これは青魔法の結界だ。
そして動揺する帝国兵に対してぶつけるのは、マフラーのもう片方の先端。
バチバチと弾けてる魔力は、破壊のエネルギー!
「オラァーーーッ!」
爆発魔法の力を込めたマフラーが、帝国兵の胸を撃ち砕いた。
砕け散った鎧の破片を撒き散らしながら、空中へと打ち上げられる帝国兵。この一発で絶命したらしく、頭から真っ逆さまに落下し、そのまま動く事はなかった。
そして俺は自分を囲む帝国兵達に、右手に持った水色のマフラーをプラプラと振って見せた。
「次、どいつがやんだよ?それともまとめてかかってくるか?」
こいつら全員、吹っ飛ばしてやるぜ!
ただ、元々腕力には自信があったし、他の体力型が代わり映えのしない普通の鉄の剣を選ぶので、他人と違う物を使ってみたかったという気持ちはあった。
ルチルが小回りが効いて、スピードも生かせるシャムシールを選んだから、私は腕力を生かして、一撃必殺というものがいい。それなら二人で足りないものを補える。
それが私が大剣を選んだ理由だ。
甲冑を身に着けた大柄な男が、振りかぶった剣を私の頭に振り下ろす。
胴ががら空きだぞ?女の細腕ではその甲冑を貫けないと思ったか?
フッ!と息を吐き出す。右足を一歩深く踏み込んで、男の剣をかいくぐると、両手で握った剣を左から右へと一線する!
剣が甲冑にぶつかり、その侵入を防ごうと甲冑が抵抗をするが、一瞬の後に鉄は砕かれ、刃が肉にめりこむ感触が腕に伝わって来た。
「はぁッ!」
そのまま大剣を振り抜くと、男の胸から上が腰から離れて宙を舞い、血をまき散らしながら回転し、重く大きな音を立てて地面に落ちた。
・・・いい感触だ。体も温まってきた。
程良い高揚感、そして緊張感に私の集中力が高められていく。
ヤヨイさんと手合わせをしていた時、たまにこういう状態になる時があった。
結局一度も勝てなかったけど、こういう精神状態の時はいつもより食らいつけたし、ヤヨイさんを本気にさせる事ができた。
「カエストゥスーーーーーッ!」
背中から斬りかかってきた兵士の剣を、前方に跳んで回転して躱す。
「なにィッツ!?」
「見え見えだ」
着地と同時に後ろに跳んで、そのまま剣を右から左へと一線させる!
兵士の首を刎ね飛ばすと、私はそのまま敵陣につっこんだ。
「あの女だ!金髪のあの女をやれ!」
私の動きに警戒したようだ。まっすぐに向かって来る私に、部隊長らしい男が剣を向けて声を張り上げる。
「ふん、今の私を斬れるかな?」
全てが遅い。正面から斬りかかってくる兵士の剣を身を翻して躱し、繰り出される槍を剣で斬り払う。撃ち出される爆裂弾、火球を飛んで躱すと、そのまま剣を振り上げて帝国兵達の頭上から斬りつけた!
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッツ!」
ヤヨイさん、ルチル、見てて!私の剣でカエストゥスを勝利に導いてみせる!
「ぬるいなぁ、帝国は大陸最強の軍事国家っつぅけどよ、師団長以外は雑魚ばっかなんじゃねぇか?」
首に巻いた水色のマフラーは、俺の魔道具、反作用の糸だ。
俺自身は白魔法使いだが、この魔道具は俺の魔力を、別系統の魔力に変換して使う事ができる。
「ば、バカな!お、俺の剣を、そんな布切れでッ!?」
「マフラーだよ。マフラー知らねぇのか?」
左手に握ったマフラーの先端で、帝国兵の剣を受け止める。
マフラーの先端は青い光を放っている。これは青魔法の結界だ。
そして動揺する帝国兵に対してぶつけるのは、マフラーのもう片方の先端。
バチバチと弾けてる魔力は、破壊のエネルギー!
「オラァーーーッ!」
爆発魔法の力を込めたマフラーが、帝国兵の胸を撃ち砕いた。
砕け散った鎧の破片を撒き散らしながら、空中へと打ち上げられる帝国兵。この一発で絶命したらしく、頭から真っ逆さまに落下し、そのまま動く事はなかった。
そして俺は自分を囲む帝国兵達に、右手に持った水色のマフラーをプラプラと振って見せた。
「次、どいつがやんだよ?それともまとめてかかってくるか?」
こいつら全員、吹っ飛ばしてやるぜ!
0
お気に入りに追加
152
あなたにおすすめの小説
異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。
幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。
スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした
あおアンドあお
ファンタジー
ギガン城と呼ばれる城の第一王女であるリコット王女が、他の世界に住む四人の男女を
自分の世界へと召喚した。
召喚された四人の事をリコット王女は勇者と呼び、この世界を魔王の手から救ってくれと
願いを託す。
しかしよく見ると、皆の希望の目線は、この俺...城川練矢(しろかわれんや)には、
全く向けられていなかった。
何故ならば、他の三人は若くてハリもある、十代半ばの少年と少女達であり、
将来性も期待性もバッチリであったが...
この城川練矢はどう見ても、しがないただの『おっさん』だったからである。
でもさ、いくらおっさんだからっていって、これはひどくないか?
だって、俺を召喚したリコット王女様、全く俺に目線を合わせてこないし...
周りの兵士や神官達も蔑視の目線は勿論のこと、隠しもしない罵詈雑言な言葉を
俺に投げてくる始末。
そして挙げ句の果てには、ニヤニヤと下卑た顔をして俺の事を『ニセ勇者』と
罵って蔑ろにしてきやがる...。
元の世界に帰りたくても、ある一定の魔力が必要らしく、その魔力が貯まるまで
最低、一年はかかるとの事だ。
こんな城に一年間も居たくない俺は、町の方でのんびり待とうと決め、この城から
出ようとした瞬間...
「ぐふふふ...残念だが、そういう訳にはいかないんだよ、おっさんっ!」
...と、蔑視し嘲笑ってくる兵士達から止められてしまうのだった。
※小説家になろう様でも掲載しています。
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~
白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。
日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。
ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。
目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ!
大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ!
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。
【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる