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779 返り血
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「オォォォォォー--ー-ッツ!」
コルディナの胸を刺し貫き、そのまま体重をかけて地面に打ち付けるように突き刺す。
「グバァッッツ!」
コルディナの口から血が吐き散らかされ、フェリックスの頬に赤い色が付けられる。
「う、ぐ・・・こ、この・・・!」
致命傷だが、コルディナはまだ意識を保っていた。
歯を食いしばり、フェリックスを睨みつけて手を伸ばす。
体の表側の触手はほとんど焼き切られていたが、背中側から伸びる触手が、フェリックスに狙いを付けて突き出された。
「騎士様!」
白い髪の女が叫ぶが、フェリックスは落ち着いていた。
「ハァァァァー----ッツ!」
気合と共に、フェリックスの体から七色のオーラが発せられ、コルディナの黒い触手を消し飛ばす。
「ぐぅ・・・う・・・そ、そんな」
「もう死ねよ」
口から血を吐きこぼしながら、口惜しさを滲ませるコルディナ。
フェリックスはその胸に突き刺した幻想の剣を、そのまま上に引き上げるようにして斬り裂いた。
「・・・やっと死んだか。面倒なヤツだったぜ」
コルディナが完全に息絶えた事を確認して、フェリックスは傍らに立つ女に顔を向けた。
コルディナを斬り裂いた時に、飛び散った血の一部がかかってしまったのだろう。
女の髪や頬に赤い色が付いている。
初めて血を浴びたのであれば、悲鳴を上げて倒れてしまっても不思議ではない。
しかし女は一切取り乱す事無く、フェリックスを真っすぐに見つめている。
「・・・ふーん、血を被っても平常心を保ってるのは感心できるね。最初はあんなに必死だったのにさ。まぁうるさくないから助かるけどね」
品定めをするかのように、白い髪の女に目線を送るフェリックスだったが、そう言われて女は言葉を返した。
「騎士様、助けていただいて本当にありがとうございました。そして先ほどはお見苦しい姿を見せてしまい、申し訳ありません」
白い髪の女は腰の前で手を重ね合わせ、腰を曲げて頭を下げた。
「いや、気にしないでいい。僕も危なかったからね、あの黒い炎には驚かされたけど、おかげで助かった」
「ですが、私が騎士様に助けを求めたから、コルディナと戦闘になったのではありませんか。巻き込んでしまって本当に・・・」
「気にするなと言ってるだろ?元々この辺りの暴徒を鎮圧するために、ここに来ていたんだ。キミがいてもいなくても、帝国軍を見つけたら戦闘になっていたんだ。しかしあんな魔道具があったなんてな・・・結果的にキミがいて助かったってわけだ。だからもう謝るな」
暴徒を鎮圧するために騎士団は町に散らばっていたが、そこでフェリックスはこの白い髪の女と出会った。
息を切らしながら必死に逃げていた女は、すぐ後ろまで迫っていたコルディナに捕まる寸前で、フェリックスを見つけ縋りついたのだった。
フェリックスがゴールド騎士だったという事は、話しの流れで分かった事だった。
ゴールド騎士の噂は帝国にいても耳にした事があったが、実際に自分の目で見たわけではない。
コルディナの恐ろしさを知っているだけに、果たして勝てるかどうかは祈るしかなかった。
そして危険な場面もあったが、黒い炎の力も使いなんとかコルディナを倒す事ができた。
なんとか追い返す事ができればと考えていただけに、倒す事ができたのは女の予想を上回る結果だった。
「・・・はい、分かりました。騎士様はお優しいのですね」
白い髪の女はそこで初めて微笑んだ。
雪のように白い肌。そこに少しだけ赤みを帯びた、形の良い唇が笑みを湛える。
「そうでもないけどね。まぁ、この国を護る事が僕の役目だから・・・それだけさ」
フェリックスは女に近づくと、親指を頬に当てて赤い血を拭い取った。
「ハンカチなんてシャレた物は持ってないんだ。あとで騎士団の宿舎に連れて行ってあげるから、そこで血と汚れを落とすといい。僕はフェリックス・ダラキアンだ」
「フェリックス様ですね。私はルナ・フローレンスと申します」
白い髪の女、ルナがもう一度丁寧に頭を下げる。
そして続けて発せられた言葉に、フェリックスは眉間にシワを寄せる事になった。
「私は、闇の巫女です」
コルディナの胸を刺し貫き、そのまま体重をかけて地面に打ち付けるように突き刺す。
「グバァッッツ!」
コルディナの口から血が吐き散らかされ、フェリックスの頬に赤い色が付けられる。
「う、ぐ・・・こ、この・・・!」
致命傷だが、コルディナはまだ意識を保っていた。
歯を食いしばり、フェリックスを睨みつけて手を伸ばす。
体の表側の触手はほとんど焼き切られていたが、背中側から伸びる触手が、フェリックスに狙いを付けて突き出された。
「騎士様!」
白い髪の女が叫ぶが、フェリックスは落ち着いていた。
「ハァァァァー----ッツ!」
気合と共に、フェリックスの体から七色のオーラが発せられ、コルディナの黒い触手を消し飛ばす。
「ぐぅ・・・う・・・そ、そんな」
「もう死ねよ」
口から血を吐きこぼしながら、口惜しさを滲ませるコルディナ。
フェリックスはその胸に突き刺した幻想の剣を、そのまま上に引き上げるようにして斬り裂いた。
「・・・やっと死んだか。面倒なヤツだったぜ」
コルディナが完全に息絶えた事を確認して、フェリックスは傍らに立つ女に顔を向けた。
コルディナを斬り裂いた時に、飛び散った血の一部がかかってしまったのだろう。
女の髪や頬に赤い色が付いている。
初めて血を浴びたのであれば、悲鳴を上げて倒れてしまっても不思議ではない。
しかし女は一切取り乱す事無く、フェリックスを真っすぐに見つめている。
「・・・ふーん、血を被っても平常心を保ってるのは感心できるね。最初はあんなに必死だったのにさ。まぁうるさくないから助かるけどね」
品定めをするかのように、白い髪の女に目線を送るフェリックスだったが、そう言われて女は言葉を返した。
「騎士様、助けていただいて本当にありがとうございました。そして先ほどはお見苦しい姿を見せてしまい、申し訳ありません」
白い髪の女は腰の前で手を重ね合わせ、腰を曲げて頭を下げた。
「いや、気にしないでいい。僕も危なかったからね、あの黒い炎には驚かされたけど、おかげで助かった」
「ですが、私が騎士様に助けを求めたから、コルディナと戦闘になったのではありませんか。巻き込んでしまって本当に・・・」
「気にするなと言ってるだろ?元々この辺りの暴徒を鎮圧するために、ここに来ていたんだ。キミがいてもいなくても、帝国軍を見つけたら戦闘になっていたんだ。しかしあんな魔道具があったなんてな・・・結果的にキミがいて助かったってわけだ。だからもう謝るな」
暴徒を鎮圧するために騎士団は町に散らばっていたが、そこでフェリックスはこの白い髪の女と出会った。
息を切らしながら必死に逃げていた女は、すぐ後ろまで迫っていたコルディナに捕まる寸前で、フェリックスを見つけ縋りついたのだった。
フェリックスがゴールド騎士だったという事は、話しの流れで分かった事だった。
ゴールド騎士の噂は帝国にいても耳にした事があったが、実際に自分の目で見たわけではない。
コルディナの恐ろしさを知っているだけに、果たして勝てるかどうかは祈るしかなかった。
そして危険な場面もあったが、黒い炎の力も使いなんとかコルディナを倒す事ができた。
なんとか追い返す事ができればと考えていただけに、倒す事ができたのは女の予想を上回る結果だった。
「・・・はい、分かりました。騎士様はお優しいのですね」
白い髪の女はそこで初めて微笑んだ。
雪のように白い肌。そこに少しだけ赤みを帯びた、形の良い唇が笑みを湛える。
「そうでもないけどね。まぁ、この国を護る事が僕の役目だから・・・それだけさ」
フェリックスは女に近づくと、親指を頬に当てて赤い血を拭い取った。
「ハンカチなんてシャレた物は持ってないんだ。あとで騎士団の宿舎に連れて行ってあげるから、そこで血と汚れを落とすといい。僕はフェリックス・ダラキアンだ」
「フェリックス様ですね。私はルナ・フローレンスと申します」
白い髪の女、ルナがもう一度丁寧に頭を下げる。
そして続けて発せられた言葉に、フェリックスは眉間にシワを寄せる事になった。
「私は、闇の巫女です」
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