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723 アラタとカチュアの結婚式 ①
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「なぁ、ジャレットよぉ、いつまで座ってりゃいいんだ?」
着なれないスーツが窮屈なのか、リカルドは首や肩を回して悪態をつく。
いつもは頭の後ろで無造作に束ねているだけの髪も、今日は下ろしてピッチリと七三に分けてセットしていた。
「いつまでって、そりゃ新郎新婦が入場して出てくまでだろ?お前も今日くらいは大人しく座ってろよ。8歳のエっちゃんのが落ち着いてるぞ」
ジャレットとリカルドの座る長椅子の脇には、赤い絨毯が入口から敷かれて伸びている。
その絨毯を挟んで隣の長椅子には、エルとその両親、ラムナリン一家が落ち着いた様子で着席し、周囲に迷惑をかけない程度の声で、談笑をしている。
「そうよリカルド、せっかくカッコ良く着飾ってあげたんだから、今日くらい最後まで大人しくしてなさい」
ジャレットと一緒に、リカルドを挟んで座るシルヴィアが、注意するようにチラリと目を向ける。
「いやよぉ、そりゃ分かるけど・・・髪もこんなピッタリさせる必要あったのかよ?なんか落ち着かねぇんだよ」
普段は分からないが、リカルドは髪を下ろすと肩の下までの長さがあった。
エメラルドグリーンの毛先を摘まんで、不満を示すように指先でこする。
「今日は特別な日なんだから、あなたも身なりを綺麗にしなきゃだめなのよ。周りを見れば分かるでしょ?」
諭すように話すシルヴィアも、いつもは下ろしている髪を今日はアップにまとめている。
ネイビーのドレスに白いパールのネックレスを合わせて、全体的に落ち着いた印象を受ける。
「シルヴィアの言うとおり。身だしなみは大事。ミゼルだって今日はきちんとした服を着てる。いい?ミゼルだってきちんとしてるんだからね?」
後ろの席から声をかけてきたのはユーリだった。
アシンメトリーで前下がりのダークブラウンの髪は、ピンできちんと留めている。淡いラズベリー色のドレスを着て、細いゴールドのネックレスを付けている。
「おいユーリ、なんで二回言う??何気に俺をバカにしてないか?」
ユーリの隣に座るミゼルが抗議すると、ユーリはチラリと一瞥してため息を付いた。
「いつもボサボサの髪、ぶかぶかの服、靴は踵を潰して履く。きちんとしてるって言えるの?」
「すんません」
耳を打つ冷たい声に、ミゼルは姿勢を正して頭を下げた
「まぁまぁ、ユーリちゃんもその辺で勘弁してあげて。ミゼル君には私からも言っておくからさ」
助け船を出してユーリをなだめたのは、ミゼルと交際しているクリスだった。
薄いブルーのドレスを着て、胸元には白いコサージュを付け、肩にはベージュのショールを羽織っている。
髪は一本に結って肩から流していて、上品な大人の女性という雰囲気のだった。
「クリスさんがそう言うんならしかたない。ミゼル、今日は見逃してあげる」
「・・・あ、はい」
今日はきちんとしてるのに、なんで怒られるんだろう?
そう思ったが、やぶ蛇になりそうな予感がして、言葉には出さずにミゼルは飲み込んだ。
「あ~あ、まったくミゼルは今日もいじられてんだね」
ミゼル達の後ろの席では、ユーリとミゼルのやりとりを見ていたケイトが、隣に座るジーンに、内緒話しをするような小さな声で話しかけた。
「あははは、確かにね。でも今日は服装もちゃんとしてるし、髪だって整えてるんだから、ちょっと気の毒だね。それよりケイト、今日はすごく綺麗だね」
ケイトは明るいベージュの髪をアップで纏め、ドレスも髪色に似たベージュで合わせている。
パールをチェーンでつないだ、Y字のロングネックレスを下げている。
ジーンに褒められたケイトは、頬を少し赤く染めて嬉しそうに微笑んだ。
「え、本当?ジーンに綺麗って言ってもらえるなんて、嬉しいな・・・ジーン、あんまりそういう事言わないじゃん?」
「うん、本当だよ。ケイトは世界で一番綺麗だよ・・・えっと、面と向かって言うと、さすがに恥ずかしいね・・・」
自分で口にした言葉だが、ケイトに見つめられたジーンは顔が真っ赤になってしまい、慌てて視線を外した。
「・・・ジーン、照れてんだ?」
「・・・・・」
「・・・ジーンだって、そのスーツすっごい似合ってるよ。ジーンも世界で一番カッコいい」
「ケ、ケイト、からかうなよ」
顔を近づけて来るケイトに、ジーンがあたふたし始めると、ケイトの隣に座っていたレイチェルがその肩を掴んだ。
「ケイト、そのくらいにしておけ。今日の主役はアラタとカチュアだぞ?まったく、アラタとカチュアだけでも甘ったるいのに、今度はお前達か?勘弁してくれ」
レイチェルが軽く咎めると、ケイトは渋々といった様子でジーンから体を離した。
「ちぇっ、せっかく良い雰囲気だったのに」
「おい、怒るぞケイト」
レイチェルが軽く睨み付けると、ケイトは顔の前で手をパタパタと振って笑う。
「あはは、冗談冗談、そのくらい分かってるって。悪ノリが過ぎたね。けど、レイチェルも今日はすっごい綺麗だよ。いつもと全然違う」
ケイトに上から下までじっと見つめられる。
レイチェルはボルドー色のドレスの上に着ている黒のショールを撫でると、なんだか落ち着かなくて椅子に座り直した。
首からは二重チェーンの細いパールのネックレスを下げて、ショートボブの赤い髪は、前髪は残してサイドを編み込んでまとめている。
「ま、まったく、からかうな。ほら、神父様が来たぞ。そろそろ始まるんじゃないのか?」
少し頬を赤く染めると、ごまかすように前に目を向けて、レイチェル軽く息を着いた。
着なれないスーツが窮屈なのか、リカルドは首や肩を回して悪態をつく。
いつもは頭の後ろで無造作に束ねているだけの髪も、今日は下ろしてピッチリと七三に分けてセットしていた。
「いつまでって、そりゃ新郎新婦が入場して出てくまでだろ?お前も今日くらいは大人しく座ってろよ。8歳のエっちゃんのが落ち着いてるぞ」
ジャレットとリカルドの座る長椅子の脇には、赤い絨毯が入口から敷かれて伸びている。
その絨毯を挟んで隣の長椅子には、エルとその両親、ラムナリン一家が落ち着いた様子で着席し、周囲に迷惑をかけない程度の声で、談笑をしている。
「そうよリカルド、せっかくカッコ良く着飾ってあげたんだから、今日くらい最後まで大人しくしてなさい」
ジャレットと一緒に、リカルドを挟んで座るシルヴィアが、注意するようにチラリと目を向ける。
「いやよぉ、そりゃ分かるけど・・・髪もこんなピッタリさせる必要あったのかよ?なんか落ち着かねぇんだよ」
普段は分からないが、リカルドは髪を下ろすと肩の下までの長さがあった。
エメラルドグリーンの毛先を摘まんで、不満を示すように指先でこする。
「今日は特別な日なんだから、あなたも身なりを綺麗にしなきゃだめなのよ。周りを見れば分かるでしょ?」
諭すように話すシルヴィアも、いつもは下ろしている髪を今日はアップにまとめている。
ネイビーのドレスに白いパールのネックレスを合わせて、全体的に落ち着いた印象を受ける。
「シルヴィアの言うとおり。身だしなみは大事。ミゼルだって今日はきちんとした服を着てる。いい?ミゼルだってきちんとしてるんだからね?」
後ろの席から声をかけてきたのはユーリだった。
アシンメトリーで前下がりのダークブラウンの髪は、ピンできちんと留めている。淡いラズベリー色のドレスを着て、細いゴールドのネックレスを付けている。
「おいユーリ、なんで二回言う??何気に俺をバカにしてないか?」
ユーリの隣に座るミゼルが抗議すると、ユーリはチラリと一瞥してため息を付いた。
「いつもボサボサの髪、ぶかぶかの服、靴は踵を潰して履く。きちんとしてるって言えるの?」
「すんません」
耳を打つ冷たい声に、ミゼルは姿勢を正して頭を下げた
「まぁまぁ、ユーリちゃんもその辺で勘弁してあげて。ミゼル君には私からも言っておくからさ」
助け船を出してユーリをなだめたのは、ミゼルと交際しているクリスだった。
薄いブルーのドレスを着て、胸元には白いコサージュを付け、肩にはベージュのショールを羽織っている。
髪は一本に結って肩から流していて、上品な大人の女性という雰囲気のだった。
「クリスさんがそう言うんならしかたない。ミゼル、今日は見逃してあげる」
「・・・あ、はい」
今日はきちんとしてるのに、なんで怒られるんだろう?
そう思ったが、やぶ蛇になりそうな予感がして、言葉には出さずにミゼルは飲み込んだ。
「あ~あ、まったくミゼルは今日もいじられてんだね」
ミゼル達の後ろの席では、ユーリとミゼルのやりとりを見ていたケイトが、隣に座るジーンに、内緒話しをするような小さな声で話しかけた。
「あははは、確かにね。でも今日は服装もちゃんとしてるし、髪だって整えてるんだから、ちょっと気の毒だね。それよりケイト、今日はすごく綺麗だね」
ケイトは明るいベージュの髪をアップで纏め、ドレスも髪色に似たベージュで合わせている。
パールをチェーンでつないだ、Y字のロングネックレスを下げている。
ジーンに褒められたケイトは、頬を少し赤く染めて嬉しそうに微笑んだ。
「え、本当?ジーンに綺麗って言ってもらえるなんて、嬉しいな・・・ジーン、あんまりそういう事言わないじゃん?」
「うん、本当だよ。ケイトは世界で一番綺麗だよ・・・えっと、面と向かって言うと、さすがに恥ずかしいね・・・」
自分で口にした言葉だが、ケイトに見つめられたジーンは顔が真っ赤になってしまい、慌てて視線を外した。
「・・・ジーン、照れてんだ?」
「・・・・・」
「・・・ジーンだって、そのスーツすっごい似合ってるよ。ジーンも世界で一番カッコいい」
「ケ、ケイト、からかうなよ」
顔を近づけて来るケイトに、ジーンがあたふたし始めると、ケイトの隣に座っていたレイチェルがその肩を掴んだ。
「ケイト、そのくらいにしておけ。今日の主役はアラタとカチュアだぞ?まったく、アラタとカチュアだけでも甘ったるいのに、今度はお前達か?勘弁してくれ」
レイチェルが軽く咎めると、ケイトは渋々といった様子でジーンから体を離した。
「ちぇっ、せっかく良い雰囲気だったのに」
「おい、怒るぞケイト」
レイチェルが軽く睨み付けると、ケイトは顔の前で手をパタパタと振って笑う。
「あはは、冗談冗談、そのくらい分かってるって。悪ノリが過ぎたね。けど、レイチェルも今日はすっごい綺麗だよ。いつもと全然違う」
ケイトに上から下までじっと見つめられる。
レイチェルはボルドー色のドレスの上に着ている黒のショールを撫でると、なんだか落ち着かなくて椅子に座り直した。
首からは二重チェーンの細いパールのネックレスを下げて、ショートボブの赤い髪は、前髪は残してサイドを編み込んでまとめている。
「ま、まったく、からかうな。ほら、神父様が来たぞ。そろそろ始まるんじゃないのか?」
少し頬を赤く染めると、ごまかすように前に目を向けて、レイチェル軽く息を着いた。
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