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714 ケイトの嬉し涙
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「そっかぁ、いやいや何度も言うけど本当にお疲れ様。謁見も終わったし、やっと自由になった感じでしょ?」
キッチン・モロニーでは、ケイトがペペロンチーノをフォークに巻いて、向かいの席に座るアラタに、しみじみと労いの言葉をかけた。
「うん、そうだなぁ・・・確かにこれでやっと任務完了って感じはあるかな。今回は本当に疲れたよ」
そう言いながらアラタはミートグラタンを一口頬張ると、久しぶりの味に、美味い!と言葉が口を突いて出た。
「これだよこれ!やっぱミートグラタンは最高だ!帰って来たって感じがするなぁ」
異世界プライズリング大陸に来て、初めての外食がここキッチン・モロニーだった。
カチュアに勧められて頼んだミート・グラタンが、衝撃的な美味しさで、今ではアラタの大好物になっている。
「あははは、アラタ君は絶対コレが食べたいだろうなって思ってたよ」
となりに座るカチュアも、同じくミートグラタンをすくって口に運ぶと、美味しさに表情をほころばせる。
「二人共、本当にそれ好きだよね?確かに美味しいけど、ここに来るとだいたいソレでしょ?飽きないの?」
「え?うーん・・・まぁ確かにいつもコレだけど、全然飽きないな。ハンバーグとかパスタとかも食べた事あるけど、結局ミートグラタンが一番だって結論になったからかな」
笑ってケイトが問いかけると、アラタは顎に拳を着いて、真面目な顔で考えて言葉を発する。
「いやいや、そこまで真剣に答える事でもないからね?まったく、あんたって本当に真面目だね。ところで結婚式はいつにするの?アラタがこっちに帰ってきたらって聞いてたけどさ」
「三月くらいまでは雪もすごいし寒いから、四月で考えてはいるんです。具体的なところはもう少し二人で話してからですけどね。ケイトさんはジーンとどうなってるんですか?」
話しの流れから、カチュアが同様の質問をケイトに向けると、ケイトはニコッと笑ってフォークを置いて、嬉しそうに口を開いた。
「ふっふっふ、実はね、昨日の夜なんだけど・・・ついに、ついにジーンにプロポーズされたの!」
突然の告白だった。
言葉に出したら感極まったのか、ケイトは力いっぱい両手を握りしめて、目尻には涙まで浮かんでいる。
「え!本当!?良かったねケイトさん!おめでとう!」
「え!?マジで!やったじゃん!おめでとう!」
アラタとカチュアは身を乗り出した。
ケイトは鍔付きの黒いキャップを取ると、人差し指をキャップの中に入れてクルクルと回し始めた。
「あははは、いやぁ~本当にね、待ったよ・・・何年もずっと待ってたもん。嬉しかったよ・・・朝はアラタもレイチェルも城に行っていなかったし、バタバタしてたから、帰りにでもみんなに報告しようと思ってたんだけどね」
そう言ってケイトは鼻を少しすすった。
「ケイトさん・・・本当に良かったです。私も嬉しい・・・」
カチュアがケイトの手をそっと握ると、ケイトも目元を拭って笑って見せた。
「あはは、ごめんね。昨日いっぱい泣いたんだけどな・・・ありがとうね」
「それだけ嬉しかったって事だろ?本当に良かったよ。ほら、前にパスタ食べに言った時にも、そういう話し聞いてたからさ。気になってたんだ」
「アラタ、うん。ありがと。あ、そうだ!そう言えば、またあのパスタ食べたいかも。あいつも心入れ替えたみたいだし、またあそこに食べに行こうよ」
ハンカチで涙を拭きながら、ケイトは以前ジーンも入れて四人で食べに行ったパスタ屋を思い出した。
「あ、それいいですね!アラタ君、久しぶりにみんなで行こうよ。私もまた食べたい」
パスタ屋のジェロム。
以前は騙し討ちをされて嫌な思いをしたが、話しを聞けば父親のためという同情できる理由もあり、最後には和解する事ができた。
出された料理はどれとても美味しく、みんなまた食べに行きたいと思っていたのだ。
ケイトとカチュアが乗り気になっているのを見て、いいね、とアラタも賛成した。
「そう言えばジェロムにもしばらく会ってないしな。うん、近いうちに時間作ってみんなで行こうよ」
「あ!」
「ん、カチュア、どうしたの?」
何かを思い出したように声を上げたカチュアに、アラタが顔を向ける。
「そう言えば、ケイトさんって今月29日が誕生日でしたよね?」
カチュアが確認するようにケイトに声をかける。
「あ、うん、そう言えばそうだった。いやぁ、ジーンのプロポーズが嬉しすぎて、私も記憶から飛んでたね。もうすぐ21歳だよ」
明るいベージュ色の髪を摘まんで、思い出したと笑うケイト。
うっかりしていた事がハッキリと顔に出ている。本当に誕生日が頭から抜けていたようだ。
「じゃあ、ケイトさんの誕生日パーティーをやろうよ!アラタ君、29日に予約できるか明日聞いて来ようよ」
「お、いいね!じゃあ、帰ったらみんなの都合も聞いておかないとな」
楽しそうに自分の誕生日をどうするか話し合うアラタとカチュアを眺め、ケイトは胸が暖かくなっていく事を感じていた。
「・・・アラタ、カチュア、二人共ありがとう。アタシは良い友達をもったね」
キッチン・モロニーでは、ケイトがペペロンチーノをフォークに巻いて、向かいの席に座るアラタに、しみじみと労いの言葉をかけた。
「うん、そうだなぁ・・・確かにこれでやっと任務完了って感じはあるかな。今回は本当に疲れたよ」
そう言いながらアラタはミートグラタンを一口頬張ると、久しぶりの味に、美味い!と言葉が口を突いて出た。
「これだよこれ!やっぱミートグラタンは最高だ!帰って来たって感じがするなぁ」
異世界プライズリング大陸に来て、初めての外食がここキッチン・モロニーだった。
カチュアに勧められて頼んだミート・グラタンが、衝撃的な美味しさで、今ではアラタの大好物になっている。
「あははは、アラタ君は絶対コレが食べたいだろうなって思ってたよ」
となりに座るカチュアも、同じくミートグラタンをすくって口に運ぶと、美味しさに表情をほころばせる。
「二人共、本当にそれ好きだよね?確かに美味しいけど、ここに来るとだいたいソレでしょ?飽きないの?」
「え?うーん・・・まぁ確かにいつもコレだけど、全然飽きないな。ハンバーグとかパスタとかも食べた事あるけど、結局ミートグラタンが一番だって結論になったからかな」
笑ってケイトが問いかけると、アラタは顎に拳を着いて、真面目な顔で考えて言葉を発する。
「いやいや、そこまで真剣に答える事でもないからね?まったく、あんたって本当に真面目だね。ところで結婚式はいつにするの?アラタがこっちに帰ってきたらって聞いてたけどさ」
「三月くらいまでは雪もすごいし寒いから、四月で考えてはいるんです。具体的なところはもう少し二人で話してからですけどね。ケイトさんはジーンとどうなってるんですか?」
話しの流れから、カチュアが同様の質問をケイトに向けると、ケイトはニコッと笑ってフォークを置いて、嬉しそうに口を開いた。
「ふっふっふ、実はね、昨日の夜なんだけど・・・ついに、ついにジーンにプロポーズされたの!」
突然の告白だった。
言葉に出したら感極まったのか、ケイトは力いっぱい両手を握りしめて、目尻には涙まで浮かんでいる。
「え!本当!?良かったねケイトさん!おめでとう!」
「え!?マジで!やったじゃん!おめでとう!」
アラタとカチュアは身を乗り出した。
ケイトは鍔付きの黒いキャップを取ると、人差し指をキャップの中に入れてクルクルと回し始めた。
「あははは、いやぁ~本当にね、待ったよ・・・何年もずっと待ってたもん。嬉しかったよ・・・朝はアラタもレイチェルも城に行っていなかったし、バタバタしてたから、帰りにでもみんなに報告しようと思ってたんだけどね」
そう言ってケイトは鼻を少しすすった。
「ケイトさん・・・本当に良かったです。私も嬉しい・・・」
カチュアがケイトの手をそっと握ると、ケイトも目元を拭って笑って見せた。
「あはは、ごめんね。昨日いっぱい泣いたんだけどな・・・ありがとうね」
「それだけ嬉しかったって事だろ?本当に良かったよ。ほら、前にパスタ食べに言った時にも、そういう話し聞いてたからさ。気になってたんだ」
「アラタ、うん。ありがと。あ、そうだ!そう言えば、またあのパスタ食べたいかも。あいつも心入れ替えたみたいだし、またあそこに食べに行こうよ」
ハンカチで涙を拭きながら、ケイトは以前ジーンも入れて四人で食べに行ったパスタ屋を思い出した。
「あ、それいいですね!アラタ君、久しぶりにみんなで行こうよ。私もまた食べたい」
パスタ屋のジェロム。
以前は騙し討ちをされて嫌な思いをしたが、話しを聞けば父親のためという同情できる理由もあり、最後には和解する事ができた。
出された料理はどれとても美味しく、みんなまた食べに行きたいと思っていたのだ。
ケイトとカチュアが乗り気になっているのを見て、いいね、とアラタも賛成した。
「そう言えばジェロムにもしばらく会ってないしな。うん、近いうちに時間作ってみんなで行こうよ」
「あ!」
「ん、カチュア、どうしたの?」
何かを思い出したように声を上げたカチュアに、アラタが顔を向ける。
「そう言えば、ケイトさんって今月29日が誕生日でしたよね?」
カチュアが確認するようにケイトに声をかける。
「あ、うん、そう言えばそうだった。いやぁ、ジーンのプロポーズが嬉しすぎて、私も記憶から飛んでたね。もうすぐ21歳だよ」
明るいベージュ色の髪を摘まんで、思い出したと笑うケイト。
うっかりしていた事がハッキリと顔に出ている。本当に誕生日が頭から抜けていたようだ。
「じゃあ、ケイトさんの誕生日パーティーをやろうよ!アラタ君、29日に予約できるか明日聞いて来ようよ」
「お、いいね!じゃあ、帰ったらみんなの都合も聞いておかないとな」
楽しそうに自分の誕生日をどうするか話し合うアラタとカチュアを眺め、ケイトは胸が暖かくなっていく事を感じていた。
「・・・アラタ、カチュア、二人共ありがとう。アタシは良い友達をもったね」
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