異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
上 下
713 / 1,365

712 種明かし

しおりを挟む
「・・・な、なんで?・・・手応えは確かに・・・」

光の力を使ったが、体当たりに近い形で右脇腹に拳を撃ちこみ、持ち上げるようにして殴り飛ばした。
肋骨が2~3本、いやいくらバリオスが強いといっても、光の拳の破壊力を考えれば、右の肋骨は全て粉砕してもおかしくない。それほどのパンチだった。

しかし視線の先のバリオスは、何事もなかったかのように両足で立ち、アラタに対して笑いかけてさえいる。

マルゴンさえ倒した光の拳を受けて、ノーダメージなどあるはずがない。
しかし現にバリオスにはダメージが見られない。

信じられないという思いと、それに反する目の前の現実に、アラタは思考の整理ができずにただ立ち尽くしていた。


「フッ・・・アラタ、そうだな。種明かしはしておこう。レイチェルはどうだ?俺が何をしたか分かったか?」

バリオスは後ろで戦いを見ていたレイチェルに顔を向けると、自分がアラタの光の拳を受けても、無傷な理由が分かるか問いかけた。

何をしたか?その言葉がヒントだった。

「・・・分かりません。アラタのパンチを受け流すように、左に体を捻ったようには見えましたが、それだけで吸収できる破壊力ではありませんでした。魔法ですか?」

だが、レイチェルでさえ、バリオスが何をしたのかを見極める事はできなかった。
左手で右の肘を抱えるように持ち、右手で顎に指を当てて考える仕草を見せる。

「魔法を使ったのは正解だ。だが、火、氷、風、爆の四属性ではない・・・」

バリオスは一度頷き、レイチェルにそこまで話すと、アラタに向き直った。

「俺が使ったのは光魔法だ。お前の光の力と同じな」

そう答えると、ローブから右手を出して見せた。
手の平から発せられる高密度の光は、アラタの光の拳とそっくりであった。

「お前の拳の軌道は見えたからな、これで受けた。俺からしても実験ではあったが、どうやら俺の光魔法なら、お前の光と同調して威力を相殺する事ができるようだ。あとは殴り飛ばそうとするお前の攻撃に逆らわず、力の流れる方向に自ら飛んでダメージを最小限に抑えた。だが、それでも右手はまだ痺れている。大したパンチだよ」

僅かながらだが、小刻みに震える右手を見せるように前に出し、バリオスは笑って見せた。

「・・・店長、拳の軌道は見えてたって言いましたけど、まさか・・・わざと俺のパンチ受けたんですか?」

「力の使い方を教えると言っただろ?そのためには遠慮のない攻撃を受ける必要があった。確かに躱そうと思えば躱せたが、あの距離で撃つパンチの威力にも興味があったからな。悪く思わないでくれ。攻撃の癖や爆発力、弱点なんかも知りたかったからこんなやり方になってしまったが、おかげで知りたい事はだいたい分かったよ」

「・・・マジか・・・・・」

バリオスの裏をかいた一発だと思っていた。
しかし全てがバリオスの手の平の上だったと知り、アラタは言葉も出なくなってしまった。


「・・・アラタ、気持ちは分かるぞ。私も店長には全く歯が立たない。どれだけ策を練ってもその上をいかれるんだ。自信を無くした事だって一度や二度じゃない。けれど、その悔しさをバネに頑張るんだ。私は少しでも店長に追いつくために、日々の訓練を欠かしていない」

ぐうの音も出ない程の完全な敗北に、アラタが茫然と立ち尽くしていると、レイチェルが後ろから肩に手をかけた。

「え?レ、レイチェルが?」

圧倒的なスピードと卓越した格闘センスを持つレイチェルでさえ、バリオスとの間にはそれほどの力量の差があるという事実に、アラタはまたも目を丸くさせられる。

「そうだ。店長は特別というしかない。これからキミは店長に鍛えてもらう立場になるんだ。師匠に負けても恥ではないぞ。だから、気持ちを切り替えろ。ここまで完膚なきまでに負けたんだから、後はひたすら頑張るだけだ」

「・・・そう、かな・・・いや、うん、そうだな・・・・・よし!」

渇いた音が一つ鳴る。
アラタは自分の頬を両手で叩いて、大きく息を吐き出した。

「ふー・・・分かったよ。ありがとうレイチェル」

吹っ切ったように、迷いを無くした顔を向けるアラタに、レイチェルは笑い声を漏らした。

「フッ、アハハハハ、うん、そういう素直のところはキミの良いところだぞ。私もまた店長に鍛え直してもらうからな、一緒に頑張ろう」


スッキリとした表情のアラタ、そして笑顔で話すレイチェルを見て、バリオスも表情を緩めた。

「さて、じゃあ二人とも、今日はもう帰って休んでくれ。訓練は明日から始めるとしよう。俺はまだしばらく城に泊り込みになるから、時間を作って店に行く事にしよう」

「え、店長が店に来るんですか!?」

てっきり城に出向いて、ここで訓練をつけてもらうのかと思っていただけに、アラタは驚きをそのまま言葉にだした。

「そうだな。お客さんの入り具合もあるだろうし、お前達が店を出てここに来るよりは、俺が行って時間をみながら教えた方がいいだろう?あぁ、それと俺は全員を鍛えるつもりだから、ミゼルとリカルドにも逃げるなと伝えておいてくれ」

少し冗談めかした言い方だったが、アラタはあの二人ならすっぱかしそうだと納得してしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水
ファンタジー
 クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。  神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。  洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。  彼は喜んだ。  この世界で魔法を扱える事に。  同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。  理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。  その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。  ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。  ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。 「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」  今日も魔法を使います。 ※作者嬉し泣きの情報 3/21 11:00 ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング) 有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。 3/21 HOT男性向けランキングで2位に入れました。 TOP10入り!! 4/7 お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。 応援ありがとうございます。 皆様のおかげです。 これからも上がる様に頑張ります。 ※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz 〜第15回ファンタジー大賞〜 67位でした!! 皆様のおかげですこう言った結果になりました。 5万Ptも貰えたことに感謝します! 改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...