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688 一夜明けてサンドリーニ城へ
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「アラタ、もう一度それを見せてくれないか?」
クルーズ船の戦いから一夜が明けた。
アラタ達一行は、ロンズデール国大臣バルカルセルに会うため、サンドリーニ城へと向かう馬車の中だった。
「あ、うん、いいよ」
首から下げた、革紐で結んである新緑の欠片を、アラタは向かいに座るレイチェルへ手渡した。
「・・・うん。クインズベリーでも見させてもらったが、あの時と変わらない。これには精霊が宿っている。そして昨夜の話しを聞いた限りでは、キミの心の声に精霊が応えてくれたのだろうな」
レイチェルは新緑の欠片をじっと見つめると、納得したように頷いて、アラタへと返した。
「俺には精霊の姿は見えないけど、レイチェルには見えるのか?」
「いや、私も見た事はない。けど存在を感じる事ができる。前にも言ったと思うが、この樹の欠片にはとても多くの風の精霊が宿っているようだ。よほどシンジョウ・ヤヨイの傍が居心地が良かったんだろうな。200年経っても離れようとしないなんて・・・アラタ、なぜ風の精霊がキミに力を貸したのか分かった気がするよ。風の精霊は、キミにシンジョウ・ヤヨイを感じたんだと思う」
レイチェルは優しい目で俺を見つめ、首から下げた新緑の欠片を指差した。
「アラタ・・・キミはニホンでも、本当に良い人に出会っていたんだな」
「・・・うん、本当に優しい先輩で、恩人で・・・姉みたいな人だったんだ」
ソレは大事に持ってるんだぞ。レイチェルの優しい言葉に、アラタは、うん、と頷き新緑の欠片をそっと撫でた。
「ところで、リンジーは本当にもう大丈夫なの?」
アラタとレイチェルの話しに区切りがつくと、シャノンが隣に座るリンジーに顔を向けた。
「うん、まだ少し頭が重い感じがするけど、大丈夫よ。みんなには本当に心配をかけたわ」
ずっと眠っていたリンジーだったが、朝方に目を覚ました。
頭へのダメージだったため、サリーとファビアナがあらためて体調を見たが、受け答えもハッキリしていたし、足取りにもフラついたりする様子がなかったため、心配ないだろうという結論に至った。
「リンジー、勝ったから良かったと言いたいところだが、自分の鼓膜を破るとか、本当にもう二度とするなよ?」
「いやぁ~、ガラハド、そんなに怖い顔しないでよ。だってそうするしかなかったんだもん」
ビシっと指を突き付けるガラハドに、リンジーは少し冗談めかした言い方で言葉を返した。
「だもんじゃねぇって!サリーさんとファビアナがいたから良かったが、死んでてもおかしくなかったんだぞ?」
「・・・うん、ごめんねガラハド。でも、他にあの武器を防ぐ手段が無くてさ・・・」
「・・・あぁ、俺も分かってはいるんだ。けどな、俺はお前とファビアナの保護者みたいなもんだ。自分の体を傷つける事は、やっぱりしてほしくない」
ガラハドが心から心配している事が伝わり、リンジーが目を伏せ、眉を下げてすまなそうに言葉を口にすると、ガラハドも頭が冷えてきたのか声のトーンが下がった。
「分かっているけどやめてほしいって、ガラハドはなんだか難しい事言うね」
「あぁ~、まぁ、細かい事は言うなよ。とにかく怪我してほしくないって事だ」
クスクス笑うリンジーを見て、ガラハドは苦笑いをしながら、白い物が多くなった髪を撫であげた。
「まぁまぁ、ガラハドもその辺でいいだろ?リンジーさんも十分分かってるよ。それよりほら、城が見えて来たぞ。あいかわらず綺麗な海だな」
ビリージョーがあえて明るい声で馬車の外を指すと、つられるようにそれぞれが視線を外に向けた。
「まぁ、本当に綺麗ですね。見てくださいバルデス様、陽の光が反射してとっても青く輝いてますよ」
「うむ、ロンズデールの海は素晴らしいな。これだけでもこの国に来たかいがあったというものだ」
サリーとバルデスは肩を寄せ合い海を見つめている。
「お前ら・・・もう主人と侍女の距離感じゃねぇよな?」
ディリアンが呆れたように肩をすくめて息を付く。バルデスはチラリとディリアンに目を向けて、なんでもないように、実に軽い口調で話しかけた。
「ディリアン、お前クインズベリーに帰ったらどうする?また私の元に学びに来るか?」
「あ・・・?」
目を瞬かせるディリアンに、バルデスはイスに座り直して正面から顔を見つめた。
「お前は筋がいい。今回は七日しか見てやれなかったが、クインズベリーで本腰を入れて鍛えてやればまだまだ伸びる。まぁ、私には及ばないがな。どうする?」
「あぁ?何言ってんだよ?帰ったら俺はもう面倒事には関わらねぇで、気楽に生きるって決めてんだよ。今回は親父や兄貴の不始末があったから、その罪滅ぼしでしかたなく来ただけで・・・」
「よし、そこまで言うのなら私が責任を持って鍛えてやろう。いいか、私に学ぶ以上は、公爵家だからと言って甘えは許さんからな」
「おい!なんでそうなんだよ!耳腐ってんのか!?やる気ねぇって言ってんだろ!」
「あははははは!おいディリアン、諦めろ。お前は気に入られたみたいだ。シャクールは自分の考えを曲げないぞ。いいじゃないか?四勇士に鍛えてもらえるなんて光栄な事だぞ?」
立ち上がってバルデスを怒鳴り付けるディリアンに、レイチェルが笑いながらなだめるように声をかけた。
「んだよぉ~、面倒くせぇなぁ~、なんで俺なんだよ、まぁ姐さんがそう言うんならしかたねぇけどよぉ・・・」
「おいディリアン、本当に気になってしかたないんだが、なんで私を姐さんと呼ぶんだ?」
他の人間は名前で呼び捨て、敬語の一つも使わないディリアンだが、なぜかレイチェルの事だけはずっと姐さんと呼び、くだけた感じではあるが一応の敬語も使っている。レイチェルはそれが心底不思議でならなかった。
「え?だって、姐さんじゃないスか?最初に会った時のあの威圧とか、店の人間を従える様って言うか、仕切り力?女親分って感じっスよね?姐さんでしかないスよ」
何を分かり切った事を聞く?とでも言わんばかりにディリアンが首をかしげて答えると、ツボに入ったのかアラタが噴き出した。
「お、女親分て!あはははははは!ディ、ディリアン、お前レイチェルによくそんな事言えるよな!」
「・・・おいアラタ、そんなにおかしいか?クインズベリーに帰るまで、キミの食事が全て野菜になっても知らないぞ?」
「お、おぅ、悪かった、そんなに睨まないでくれ!」
アラタ達のやりとりを見て、ファビアナもクスクスと静かに笑うと、隣に座るリンジーが嬉しそうに目を細めて話しかけた。
「表情が明るくなったよね。ファビアナ、本当に良かったわ」
「うん、リンジー、みんなのおかげだよ。私、お父様に認めてもらえる日がくるなんて思ってなかったの。本当に嬉しいの・・・」
先の折れた三角帽子を下げて、顔を隠す事もしない。リンジーの目をまっすぐに見つめて笑顔を見せる。
気持ちを言葉にする事が苦手で、いつも一歩後ろを歩いていたファビアナが、こんなにも明るく笑っている。妹のように見ていたファビアナの心が晴れた事が、リンジーはなにより嬉しかった。
「・・・これからは陛下と、親子としての会話も沢山できるわ。本当に良かったわね、ファビアナ」
「うん、ありがとう・・・あ、着いたみたいだね」
話している間に、馬車は城門の前に到着した。
海の上に浮かぶ城、サンドリーニ城。
冬の風は冷たいが、陽の光は優しく照らして一行を迎え入れてくれた。
クルーズ船の戦いから一夜が明けた。
アラタ達一行は、ロンズデール国大臣バルカルセルに会うため、サンドリーニ城へと向かう馬車の中だった。
「あ、うん、いいよ」
首から下げた、革紐で結んである新緑の欠片を、アラタは向かいに座るレイチェルへ手渡した。
「・・・うん。クインズベリーでも見させてもらったが、あの時と変わらない。これには精霊が宿っている。そして昨夜の話しを聞いた限りでは、キミの心の声に精霊が応えてくれたのだろうな」
レイチェルは新緑の欠片をじっと見つめると、納得したように頷いて、アラタへと返した。
「俺には精霊の姿は見えないけど、レイチェルには見えるのか?」
「いや、私も見た事はない。けど存在を感じる事ができる。前にも言ったと思うが、この樹の欠片にはとても多くの風の精霊が宿っているようだ。よほどシンジョウ・ヤヨイの傍が居心地が良かったんだろうな。200年経っても離れようとしないなんて・・・アラタ、なぜ風の精霊がキミに力を貸したのか分かった気がするよ。風の精霊は、キミにシンジョウ・ヤヨイを感じたんだと思う」
レイチェルは優しい目で俺を見つめ、首から下げた新緑の欠片を指差した。
「アラタ・・・キミはニホンでも、本当に良い人に出会っていたんだな」
「・・・うん、本当に優しい先輩で、恩人で・・・姉みたいな人だったんだ」
ソレは大事に持ってるんだぞ。レイチェルの優しい言葉に、アラタは、うん、と頷き新緑の欠片をそっと撫でた。
「ところで、リンジーは本当にもう大丈夫なの?」
アラタとレイチェルの話しに区切りがつくと、シャノンが隣に座るリンジーに顔を向けた。
「うん、まだ少し頭が重い感じがするけど、大丈夫よ。みんなには本当に心配をかけたわ」
ずっと眠っていたリンジーだったが、朝方に目を覚ました。
頭へのダメージだったため、サリーとファビアナがあらためて体調を見たが、受け答えもハッキリしていたし、足取りにもフラついたりする様子がなかったため、心配ないだろうという結論に至った。
「リンジー、勝ったから良かったと言いたいところだが、自分の鼓膜を破るとか、本当にもう二度とするなよ?」
「いやぁ~、ガラハド、そんなに怖い顔しないでよ。だってそうするしかなかったんだもん」
ビシっと指を突き付けるガラハドに、リンジーは少し冗談めかした言い方で言葉を返した。
「だもんじゃねぇって!サリーさんとファビアナがいたから良かったが、死んでてもおかしくなかったんだぞ?」
「・・・うん、ごめんねガラハド。でも、他にあの武器を防ぐ手段が無くてさ・・・」
「・・・あぁ、俺も分かってはいるんだ。けどな、俺はお前とファビアナの保護者みたいなもんだ。自分の体を傷つける事は、やっぱりしてほしくない」
ガラハドが心から心配している事が伝わり、リンジーが目を伏せ、眉を下げてすまなそうに言葉を口にすると、ガラハドも頭が冷えてきたのか声のトーンが下がった。
「分かっているけどやめてほしいって、ガラハドはなんだか難しい事言うね」
「あぁ~、まぁ、細かい事は言うなよ。とにかく怪我してほしくないって事だ」
クスクス笑うリンジーを見て、ガラハドは苦笑いをしながら、白い物が多くなった髪を撫であげた。
「まぁまぁ、ガラハドもその辺でいいだろ?リンジーさんも十分分かってるよ。それよりほら、城が見えて来たぞ。あいかわらず綺麗な海だな」
ビリージョーがあえて明るい声で馬車の外を指すと、つられるようにそれぞれが視線を外に向けた。
「まぁ、本当に綺麗ですね。見てくださいバルデス様、陽の光が反射してとっても青く輝いてますよ」
「うむ、ロンズデールの海は素晴らしいな。これだけでもこの国に来たかいがあったというものだ」
サリーとバルデスは肩を寄せ合い海を見つめている。
「お前ら・・・もう主人と侍女の距離感じゃねぇよな?」
ディリアンが呆れたように肩をすくめて息を付く。バルデスはチラリとディリアンに目を向けて、なんでもないように、実に軽い口調で話しかけた。
「ディリアン、お前クインズベリーに帰ったらどうする?また私の元に学びに来るか?」
「あ・・・?」
目を瞬かせるディリアンに、バルデスはイスに座り直して正面から顔を見つめた。
「お前は筋がいい。今回は七日しか見てやれなかったが、クインズベリーで本腰を入れて鍛えてやればまだまだ伸びる。まぁ、私には及ばないがな。どうする?」
「あぁ?何言ってんだよ?帰ったら俺はもう面倒事には関わらねぇで、気楽に生きるって決めてんだよ。今回は親父や兄貴の不始末があったから、その罪滅ぼしでしかたなく来ただけで・・・」
「よし、そこまで言うのなら私が責任を持って鍛えてやろう。いいか、私に学ぶ以上は、公爵家だからと言って甘えは許さんからな」
「おい!なんでそうなんだよ!耳腐ってんのか!?やる気ねぇって言ってんだろ!」
「あははははは!おいディリアン、諦めろ。お前は気に入られたみたいだ。シャクールは自分の考えを曲げないぞ。いいじゃないか?四勇士に鍛えてもらえるなんて光栄な事だぞ?」
立ち上がってバルデスを怒鳴り付けるディリアンに、レイチェルが笑いながらなだめるように声をかけた。
「んだよぉ~、面倒くせぇなぁ~、なんで俺なんだよ、まぁ姐さんがそう言うんならしかたねぇけどよぉ・・・」
「おいディリアン、本当に気になってしかたないんだが、なんで私を姐さんと呼ぶんだ?」
他の人間は名前で呼び捨て、敬語の一つも使わないディリアンだが、なぜかレイチェルの事だけはずっと姐さんと呼び、くだけた感じではあるが一応の敬語も使っている。レイチェルはそれが心底不思議でならなかった。
「え?だって、姐さんじゃないスか?最初に会った時のあの威圧とか、店の人間を従える様って言うか、仕切り力?女親分って感じっスよね?姐さんでしかないスよ」
何を分かり切った事を聞く?とでも言わんばかりにディリアンが首をかしげて答えると、ツボに入ったのかアラタが噴き出した。
「お、女親分て!あはははははは!ディ、ディリアン、お前レイチェルによくそんな事言えるよな!」
「・・・おいアラタ、そんなにおかしいか?クインズベリーに帰るまで、キミの食事が全て野菜になっても知らないぞ?」
「お、おぅ、悪かった、そんなに睨まないでくれ!」
アラタ達のやりとりを見て、ファビアナもクスクスと静かに笑うと、隣に座るリンジーが嬉しそうに目を細めて話しかけた。
「表情が明るくなったよね。ファビアナ、本当に良かったわ」
「うん、リンジー、みんなのおかげだよ。私、お父様に認めてもらえる日がくるなんて思ってなかったの。本当に嬉しいの・・・」
先の折れた三角帽子を下げて、顔を隠す事もしない。リンジーの目をまっすぐに見つめて笑顔を見せる。
気持ちを言葉にする事が苦手で、いつも一歩後ろを歩いていたファビアナが、こんなにも明るく笑っている。妹のように見ていたファビアナの心が晴れた事が、リンジーはなにより嬉しかった。
「・・・これからは陛下と、親子としての会話も沢山できるわ。本当に良かったわね、ファビアナ」
「うん、ありがとう・・・あ、着いたみたいだね」
話している間に、馬車は城門の前に到着した。
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