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676 対立
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戦いの後、休む間もなく走ってきたせいで流石に息も上がっていた。
「シャノンさん、ファビアナさんも・・・あれ、その人は?」
ボート部屋に入ると、シャノンさんが知らない女の人と握手をしているのが目に入った。
肩まであるウェーブがかった金色の髪に、パッチリとした瞳、白いセーターに、膝まである長い赤のカーディガン。
七分丈の黒のパンツの腿にはベルトが巻かれており、小振りのナイフが刺し収められていた。
ただの乗客じゃないな。
シャノンさんと握手をしているが、まるで隙が無い。
俺が警戒した事を感じ取ったのか、その女性はシャノンさんから手を離すと、俺に近付いて来た。
「ねぇ、あんたさぁ、汗めっちゃかいてない?」
「え、汗?」
「うん、汗。てかさー、着てる服もボロボロだし、あ~血も着いてる感じ?てか、これ刺し傷じゃね?マジ、超危ない橋渡って来た感じ?」
「あ、うん、まぁそんな感じ、かな?えっと、それでキミは?」
こっちの反応を気にせずにグイグイ来る。
しかも話し方は軽いし、まるでギャルだ。
「あ、ごめんごめん。えっと、アタシはラクエル・エンリケス。魔道剣士四人衆の一人だから、ぶっちゃけあんたらとは敵って感じ。てか、今シャノンちゃん達と一時休戦したから、やり合うつもりはないよ」
魔道剣士四人衆?つまり、ラミール・カーンの仲間だ。
このラクエルと言う女性は、かなり軽く言っているが、俺達が命を懸けて戦っていた相手だ。
それをこんな馬鹿にした態度で、うやむやにされていいのか?
俺の苛立ちを感じ取ったのか、目の前の女性ラクエルの視線が一気に鋭くなった。
「・・・なにガンくれてんのさ?やる気?女だと思って舐めてる?けっこうやるみたいだけどさ、そんなボロボロでアタシに勝てると思ってんなら、後悔させてやるけど」
「ロンズデールを売り飛ばそうとしたんだろ?それで俺達は戦う事なったんだ。ヘラヘラと調子の良い事を言われて信用できると思うか?」
「あっそ・・・あんたムカつくね・・・」
ラクエルから向けられる殺気がビリビリと肌に突き刺さる。
・・・強い。
できるとは思っていたが、これは俺の予想を大きく上回っている。
これは・・・レイチェルと同等か?
「はいはい、そこまで!」
冷や汗をかいたところで、シャノンさんが手を打ち合わせて俺とラクエルの間に入ってきた。
「お兄さん、ちょっと頑固だね。気持ちは分かるけどさ、ラクエルさんは最初に一時休戦って言ったよね?話しくらい聞いてもよかったと思うよ?」
シャノンさんはやや呆れたように眉を寄せて、俺に溜息をつく。
正直助けられた事は否定できない。あのまま戦っていたらかなり危なかった。
「ラクエルさんもだよ。アタシとファビアナは受け入れたけど、全員がアタシらみたくすんなり納得しない事くらい想像できるよね?お兄さんの言う通り、アタシ達は戦ってたんだよ?頭にくる事の一つや二つ言われても、本気で休戦を望むんなら我慢して話すべきじゃないかな?」
シャノンさんに睨まれて、ラクエルは顔を反らした。
面白くなさそうに眉間にシワを寄せている。
「ねぇ、聞いてる?話しもできないんじゃ休戦は無しだよ?いいの?」
「・・・・・分かったよ。悪かったね」
ラクエルは渋々という態度だったが、俺に目を向けるとボソリと謝った。
「分かればよろしい。じゃあお兄さんも謝って。理由は分かるね?」
「あ、はい・・・俺も、話し聞かなくてごめん」
シャノンさんの有無を言わさぬ言葉に、俺もラクエルに対して謝罪の言葉を口にした。
「はい、じゃあこれでこの話しはお終いね。そういうわけで、脱出までこのラクエルさんと、あっちの乗客の皆さんと協力する事になったから、みんなよろしくね。アタシが勝手に決めちゃったけど、いがみ合ってる状況じゃないと判断しての事だから、納得してほしい」
急な話しだけど、シャノンさんの説明は筋も通っているし反対できるものではなかった。
確かに鮫も迫っていて、船が水没するというこの状況で、足を引っ張り合うわけにはいかない。
シャクールも、サリーさんも、ガラハドさん達もみんなが納得して頷いた。
「流石はアラルコン商会の跡取り娘だな。こういう時に人をまとめられる人間こそ上に立つ資格がある。素晴らしいリーダーシップだ」
シャクールはよほど感心したようだ。
うんうん頷きながら、シャノンさんを称賛している。
「よしてよ、そんな大したもんじゃないって。まぁ、とにかくそういう訳だから、全員揃ったしそろそろこの船から脱出しようか」
「あ、はい。でもこのボートはどこから出すんですか?」
俺の質問にシャノンさんは、壁に向かって指を突きつけた。
「壁をぶっ壊して、そこからだね」
「シャノンさん、ファビアナさんも・・・あれ、その人は?」
ボート部屋に入ると、シャノンさんが知らない女の人と握手をしているのが目に入った。
肩まであるウェーブがかった金色の髪に、パッチリとした瞳、白いセーターに、膝まである長い赤のカーディガン。
七分丈の黒のパンツの腿にはベルトが巻かれており、小振りのナイフが刺し収められていた。
ただの乗客じゃないな。
シャノンさんと握手をしているが、まるで隙が無い。
俺が警戒した事を感じ取ったのか、その女性はシャノンさんから手を離すと、俺に近付いて来た。
「ねぇ、あんたさぁ、汗めっちゃかいてない?」
「え、汗?」
「うん、汗。てかさー、着てる服もボロボロだし、あ~血も着いてる感じ?てか、これ刺し傷じゃね?マジ、超危ない橋渡って来た感じ?」
「あ、うん、まぁそんな感じ、かな?えっと、それでキミは?」
こっちの反応を気にせずにグイグイ来る。
しかも話し方は軽いし、まるでギャルだ。
「あ、ごめんごめん。えっと、アタシはラクエル・エンリケス。魔道剣士四人衆の一人だから、ぶっちゃけあんたらとは敵って感じ。てか、今シャノンちゃん達と一時休戦したから、やり合うつもりはないよ」
魔道剣士四人衆?つまり、ラミール・カーンの仲間だ。
このラクエルと言う女性は、かなり軽く言っているが、俺達が命を懸けて戦っていた相手だ。
それをこんな馬鹿にした態度で、うやむやにされていいのか?
俺の苛立ちを感じ取ったのか、目の前の女性ラクエルの視線が一気に鋭くなった。
「・・・なにガンくれてんのさ?やる気?女だと思って舐めてる?けっこうやるみたいだけどさ、そんなボロボロでアタシに勝てると思ってんなら、後悔させてやるけど」
「ロンズデールを売り飛ばそうとしたんだろ?それで俺達は戦う事なったんだ。ヘラヘラと調子の良い事を言われて信用できると思うか?」
「あっそ・・・あんたムカつくね・・・」
ラクエルから向けられる殺気がビリビリと肌に突き刺さる。
・・・強い。
できるとは思っていたが、これは俺の予想を大きく上回っている。
これは・・・レイチェルと同等か?
「はいはい、そこまで!」
冷や汗をかいたところで、シャノンさんが手を打ち合わせて俺とラクエルの間に入ってきた。
「お兄さん、ちょっと頑固だね。気持ちは分かるけどさ、ラクエルさんは最初に一時休戦って言ったよね?話しくらい聞いてもよかったと思うよ?」
シャノンさんはやや呆れたように眉を寄せて、俺に溜息をつく。
正直助けられた事は否定できない。あのまま戦っていたらかなり危なかった。
「ラクエルさんもだよ。アタシとファビアナは受け入れたけど、全員がアタシらみたくすんなり納得しない事くらい想像できるよね?お兄さんの言う通り、アタシ達は戦ってたんだよ?頭にくる事の一つや二つ言われても、本気で休戦を望むんなら我慢して話すべきじゃないかな?」
シャノンさんに睨まれて、ラクエルは顔を反らした。
面白くなさそうに眉間にシワを寄せている。
「ねぇ、聞いてる?話しもできないんじゃ休戦は無しだよ?いいの?」
「・・・・・分かったよ。悪かったね」
ラクエルは渋々という態度だったが、俺に目を向けるとボソリと謝った。
「分かればよろしい。じゃあお兄さんも謝って。理由は分かるね?」
「あ、はい・・・俺も、話し聞かなくてごめん」
シャノンさんの有無を言わさぬ言葉に、俺もラクエルに対して謝罪の言葉を口にした。
「はい、じゃあこれでこの話しはお終いね。そういうわけで、脱出までこのラクエルさんと、あっちの乗客の皆さんと協力する事になったから、みんなよろしくね。アタシが勝手に決めちゃったけど、いがみ合ってる状況じゃないと判断しての事だから、納得してほしい」
急な話しだけど、シャノンさんの説明は筋も通っているし反対できるものではなかった。
確かに鮫も迫っていて、船が水没するというこの状況で、足を引っ張り合うわけにはいかない。
シャクールも、サリーさんも、ガラハドさん達もみんなが納得して頷いた。
「流石はアラルコン商会の跡取り娘だな。こういう時に人をまとめられる人間こそ上に立つ資格がある。素晴らしいリーダーシップだ」
シャクールはよほど感心したようだ。
うんうん頷きながら、シャノンさんを称賛している。
「よしてよ、そんな大したもんじゃないって。まぁ、とにかくそういう訳だから、全員揃ったしそろそろこの船から脱出しようか」
「あ、はい。でもこのボートはどこから出すんですか?」
俺の質問にシャノンさんは、壁に向かって指を突きつけた。
「壁をぶっ壊して、そこからだね」
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