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564 二人で過ごす夜
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「アラタ君、明日は朝一番で出るんでしょ?」
「うん、朝店に行って、全員揃ってからだから、9時前には出ると思う」
家に帰り、カチュアと二人で夕食を終えると、自然と明日の話しになった。
テーブルでコーヒーを飲み、明日の準備を考えながら聞かれた事に答える。
「そっか、ビリージョーさんや、四勇士のバルデスさん、サリーさん、それと公爵家のディリアン様も集まるんだよね?」
ベナビデス公爵家のディリアンの名前がでて、俺はピクリと反応してしまった。カチュアの父親の事は話していないけど、こうして名前がでてくると、黙っている事が後ろめたく感じてしまう。
「・・・うん、店で待ち合わせだから、全員揃ってから行くよ。それにしても初対面が三人もいるから、なんだか緊張するよ」
四勇士のバルデス、その侍女サリー、そして公爵家のディリアン。
ディリアンは15歳と年下だが、公爵というのは貴族の中でも一番上と聞く。
カチュアみたく、ディリアン様と呼んだ方がいいのだろうか?
そう尋ねると、カチュアは少し悩んだ様子を見せる。
「う~ん・・・そうした方がいいとは思うんだよね。今回、色々あったけどディリアン様は貴族な訳だし、私達は平民だからね。でも、あんまり堅苦しい感じにはしなくていいと思うよ。しばらく一緒にいるんだから、少しくらい楽な感じの方がいいんじゃないかな」
「そっかぁ、うん、じゃあそうしようかな。呼ぶ時はディリアン様にして、あとは普通に話してみるよ」
「うん。その方がいいと思う。あ、そうだ・・・」
何かを思い出したように立ち上がると、ちょっと待っててと言って、カチュアは自分の部屋に戻って行った。
少し待つと、見覚えのある水色の布袋を持って、カチュアが戻って来た。
「あ、それ!」
「うん、あの時もらった布袋だよ。シャノンさんに、私が感謝してるって伝えてね」
前回ロンズデールに言った時は、ファビアナさんがいたから何とかなったけど、本来はこの特別会員証がないとシャノンさんに会う事はできなかった。
いくら一度面通ししたと言っても、次も同じ店員が対応してくれるとは限らないし、これは忘れてはいけないだろう。本当にカチュアに預けておいて良かった。
「忘れるところだった。ありがとう」
お礼を口にして水色の布袋を受け取り、そのままケイトからもらったポーチに入れた。
この中には、貴重品だけ入れる事にした。
ユーリからもらった回復薬と、カチュアからもらった傷薬、そして今の布袋だ。
そしてこれとは別に、結局店で大きめのリュックを1つ買った。
前回はナック村や、国境の町レフェリなど、着いた先でクリーンを買ってなんとかしたが、やはりいくら綺麗になったと言っても、同じ服で一週間はさすがに思うところがあった。
だから、着替えやら身の回りで使う物をリュックに入れて、用途分けをしたのだ。
「・・・明日の準備はバッチリだね」
「うん、カチュアが着替えとか用意してくれてたから助かったよ。いつもありがとう」
少し寂しそうにリュックを見つめて話すカチュアに、俺も感謝の気持ちを伝えた。
「明日から、またしばらく一人か・・・」
「カチュア、ごめんね。でも、俺が行かなきゃ駄目みたいなんだ」
ポツリと呟くカチュアを見て、また寂しい思いをさせる事に罪悪感が出て来る。
前回ロンズデールに行った時は、あの場でレイチェルに付いて行けるのが俺しかいなかったからであって、今回は別に俺じゃなくてもいい。最初はそう思った。
けれど、今日まで写しの鏡で連絡をとりあって、やっぱり俺が行かないと駄目だと言う結論に至った。
それは・・・・・
「また、闇がいるんだもんね・・・うん、分かってる」
「・・・うん」
この数週間でリンジーさん達が出した結論は、ラミール・カーンは闇に呑まれている可能性が高い。という事だった。
現状、闇に対抗できる力は限られている。
俺の使う光と、騎士団の闘気、そして店長の光魔法だ。
しかし、騎士団やリーザが使っていた闘気では、本物の闇には歯が立たなかった。
あの偽国王と同等以上の闇が出てきた時に戦えるのは、俺か店長しかいないだろう。
「カチュア・・・俺も本当は行きたくないんだ」
「・・・うん。アラタ君優しいもん。戦いなんか行きたくないよね。私、分かってるよ」
テーブルを挟んでお互いの顔を見つめ合う。
「うん。でも、俺が行くしかないんだ。闇と戦えるのは、俺しかいないから・・・だから、行ってくるよ」
店長はこの国から動けない。
城の復興、街の混乱を治め、帝国へつけ入る隙を見せないための政治を行う。
そういったこの国の重要な部分に店長は深く関わっており、今はとても国を離れられない。
「・・・うん。分かってる。私はここで待ってるね。アラタ君がいつ帰ってきてもいいように、美味しいご飯を毎日作って待ってるから」
「・・・カチュア」
少し目元に涙を浮かべて微笑むカチュアを、強く抱きしめた。
「うん、朝店に行って、全員揃ってからだから、9時前には出ると思う」
家に帰り、カチュアと二人で夕食を終えると、自然と明日の話しになった。
テーブルでコーヒーを飲み、明日の準備を考えながら聞かれた事に答える。
「そっか、ビリージョーさんや、四勇士のバルデスさん、サリーさん、それと公爵家のディリアン様も集まるんだよね?」
ベナビデス公爵家のディリアンの名前がでて、俺はピクリと反応してしまった。カチュアの父親の事は話していないけど、こうして名前がでてくると、黙っている事が後ろめたく感じてしまう。
「・・・うん、店で待ち合わせだから、全員揃ってから行くよ。それにしても初対面が三人もいるから、なんだか緊張するよ」
四勇士のバルデス、その侍女サリー、そして公爵家のディリアン。
ディリアンは15歳と年下だが、公爵というのは貴族の中でも一番上と聞く。
カチュアみたく、ディリアン様と呼んだ方がいいのだろうか?
そう尋ねると、カチュアは少し悩んだ様子を見せる。
「う~ん・・・そうした方がいいとは思うんだよね。今回、色々あったけどディリアン様は貴族な訳だし、私達は平民だからね。でも、あんまり堅苦しい感じにはしなくていいと思うよ。しばらく一緒にいるんだから、少しくらい楽な感じの方がいいんじゃないかな」
「そっかぁ、うん、じゃあそうしようかな。呼ぶ時はディリアン様にして、あとは普通に話してみるよ」
「うん。その方がいいと思う。あ、そうだ・・・」
何かを思い出したように立ち上がると、ちょっと待っててと言って、カチュアは自分の部屋に戻って行った。
少し待つと、見覚えのある水色の布袋を持って、カチュアが戻って来た。
「あ、それ!」
「うん、あの時もらった布袋だよ。シャノンさんに、私が感謝してるって伝えてね」
前回ロンズデールに言った時は、ファビアナさんがいたから何とかなったけど、本来はこの特別会員証がないとシャノンさんに会う事はできなかった。
いくら一度面通ししたと言っても、次も同じ店員が対応してくれるとは限らないし、これは忘れてはいけないだろう。本当にカチュアに預けておいて良かった。
「忘れるところだった。ありがとう」
お礼を口にして水色の布袋を受け取り、そのままケイトからもらったポーチに入れた。
この中には、貴重品だけ入れる事にした。
ユーリからもらった回復薬と、カチュアからもらった傷薬、そして今の布袋だ。
そしてこれとは別に、結局店で大きめのリュックを1つ買った。
前回はナック村や、国境の町レフェリなど、着いた先でクリーンを買ってなんとかしたが、やはりいくら綺麗になったと言っても、同じ服で一週間はさすがに思うところがあった。
だから、着替えやら身の回りで使う物をリュックに入れて、用途分けをしたのだ。
「・・・明日の準備はバッチリだね」
「うん、カチュアが着替えとか用意してくれてたから助かったよ。いつもありがとう」
少し寂しそうにリュックを見つめて話すカチュアに、俺も感謝の気持ちを伝えた。
「明日から、またしばらく一人か・・・」
「カチュア、ごめんね。でも、俺が行かなきゃ駄目みたいなんだ」
ポツリと呟くカチュアを見て、また寂しい思いをさせる事に罪悪感が出て来る。
前回ロンズデールに行った時は、あの場でレイチェルに付いて行けるのが俺しかいなかったからであって、今回は別に俺じゃなくてもいい。最初はそう思った。
けれど、今日まで写しの鏡で連絡をとりあって、やっぱり俺が行かないと駄目だと言う結論に至った。
それは・・・・・
「また、闇がいるんだもんね・・・うん、分かってる」
「・・・うん」
この数週間でリンジーさん達が出した結論は、ラミール・カーンは闇に呑まれている可能性が高い。という事だった。
現状、闇に対抗できる力は限られている。
俺の使う光と、騎士団の闘気、そして店長の光魔法だ。
しかし、騎士団やリーザが使っていた闘気では、本物の闇には歯が立たなかった。
あの偽国王と同等以上の闇が出てきた時に戦えるのは、俺か店長しかいないだろう。
「カチュア・・・俺も本当は行きたくないんだ」
「・・・うん。アラタ君優しいもん。戦いなんか行きたくないよね。私、分かってるよ」
テーブルを挟んでお互いの顔を見つめ合う。
「うん。でも、俺が行くしかないんだ。闇と戦えるのは、俺しかいないから・・・だから、行ってくるよ」
店長はこの国から動けない。
城の復興、街の混乱を治め、帝国へつけ入る隙を見せないための政治を行う。
そういったこの国の重要な部分に店長は深く関わっており、今はとても国を離れられない。
「・・・うん。分かってる。私はここで待ってるね。アラタ君がいつ帰ってきてもいいように、美味しいご飯を毎日作って待ってるから」
「・・・カチュア」
少し目元に涙を浮かべて微笑むカチュアを、強く抱きしめた。
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