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545 バルカルセルの願い
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ロンズデール国、大臣バルカルセルの話しはこうだった。
国王リゴベルト・カークランドは現在55歳。バルカルセルより13も歳が下だった。
バルカルセルの父もロンズデールの重鎮だったため、自然とバルカルセルも国のために仕える事が既定路線だった。
15の時から城に入ったバルカルセルは、リゴベルトを幼少の頃から知っている。
リゴベルトは確かに臆病な性格だった。
血を見る事を嫌い、剣の稽古も満足にせず、争う事を嫌い、両親に叱られてもただ黙って嵐が過ぎる事を待つ。
バルカルセルは、臆病を通り越して腰抜けと言われてもしかたのないリゴベルトを見て、これで将来国を背負って行けるのか?そう本気で心配をしていた。
前国王と王妃はなかなか子宝に恵まれず、年を取ってやっと授かったのはリゴベルト一子のみ。
次期国王はリゴベルトしか選択肢はなかった。
これだけを聞けば、ロンズデールの未来は明るいものではないと思えるだろう。
だが、リゴベルトの父と母は、それほど悲観はしていなかった。
自分達の息子は王の器ではなかったかもしれない。しかし、臣下には恵まれていた。
バルカルセルの父は、いかなる時もロンズデールを支えてきた忠義厚い男であり、その心は息子バルカルセルにもしかとい受け継がれていたのだ。
リゴベルトの父は、バルカルセルの忠誠心と愛国心、そして政治の分野でも高い能力を持っている事を見極め、バルカルセルがリゴベルトを支えてくれるならば、ロンズデールも安泰だろう。
そう確信を持っていた。
時が経ち、リゴベルトが即位すると、バルカルセルも同時に大臣に就任した。
今から25年前の話しである。
それからの15年は、バルカルセルが国を動かしていたと言っていいだろう。
帝国の言いなりになっている事に思うところはもちろんある。だが、リゴベルトが首を縦に振らない以上は、自分の勝手で帝国を刺激するわけにはいかない。
ある程度の不利な条件は飲んでも、ここだけは譲らない。
そうした線引きをして、少ないながらも利益は出し、帝国ともうまく付き合ってきた。
クインズベリーとの交流も、この頃は盛んだった。
海と生きる国ロンズデールは、温泉もある事から観光地として人気が高い。
夏は泳ぎに、冬は温泉に。こうして沢山の旅行者が集まって国は潤い、国民の生活も豊かであった。
リゴベルトはお飾りの王だった。
優柔不断で事なかれ主義、人によっては優しいからと見えるかもしれないが、バルカルセルに言わせれば決められないだけ。判断力が無いだけである。
それは妾との間にできたファビアナの扱いを見れば、一目瞭然であった。
15年も大臣として支えて来て・・・いや、リゴベルトが幼少期からを考えれば、人生の大半をリゴベルトのために使ったと言ってもいいだろう。
バルカルセルは時に厳しくリゴベルトを叱った。臣下であるが、バルカルセルに限っては国王であるリゴベルトを叱る事が許されていた。それが許されるだけの事をしているのだから。
実務ができなくてもいい。それは自分が補える。
だが、国民の前に出る時には・・・せめて国民の目には立派な王として映ってほしい。
バルカルセルがリゴベルトに求めたものは、それだけだった。
転機が訪れたのは10年前だった。
その男、ラミール・カーンは、最初こそ大人しいものだった。
城仕えに仕官してきた大勢の内の一人であり、剣士として配属された。
周りに合わせ行動し、目立つ事はなにもない。大臣であるバルカルセルが、名前を覚える必要もない人間だった。
だが、カーンの毒は見えないところで回っていた。
城に入って1年程で、剣士達のまとめ役になり、更に1年後には魔道剣なる、新たな剣と技を確立した。
そして模擬戦で自ら考案した魔道剣を披露し、対戦相手を圧倒すると、その技に大層関心した国王に、側近として隣に立つよう命を受けたのだ。
それは、自分に厳しいバルカルセルを遠ざける狙いもあったのかもしれない。
実力もあり有能な男を手元に置く事で、口うるさい男を牽制する。そういう思惑がリゴベルトにあったのかどうか、今更確認するには遅すぎるが、それが狙いだったとすれば、効果はてきめんだったと言えよう。
わずか二年で国王の側近となったラミール・カーンは、一見すると国王の意のままに動く忠義の徒だった。
だが、この頃から国王の帝国優遇は一層の強まりを見せ始めた。
その最たるものが、帝国の人間というだけで、通常よりはるかに格安で食事と宿を提供される事。
それは国民の生活を大きく締め付け、観光にも甚大な影響を与えた。赤字でも帝国の民をもてなさなければならない。そのしわ寄せは他の客に向く。必然的に帝国以外の人間はロンズデールに足を向けなくなり、結果観光業が衰退していく事になる。
「・・・元々帝国寄りの王だったが、それに拍車をかけたのがカーンだった。誤解されやすいが、国王はなにも、好き好んで帝国の言葉を聞いていたわけではない。陰で散々言われているが、戦争だけはしないという気持ちは、一貫していた。それは自分が怖いからというだけではない・・・」
そう言うとバルカルセルは立ち上がり、窓の前に立って外に目を向けた。
「・・・この美しい景色を護りたいからだ。戦争になれば、街は焼かれ大勢の民が血を流す。それだけは許さない。ワシが国王を今日まで支えてきたのは、国王に確かな愛国心があったからだ・・・しかし・・・」
窓から見える景色は一面の青い海。
その海に浮かぶように見える街並みに、青い空と海に挟まれキラキラと輝いて見える。
背を向けて話すバルカルセル。
慈しみの中に隠れる哀愁。バルカルセルのやるせない気持ちが伝わって来る。
「これまでワシに一任していた実務に、口を挟むようになってきてな、そしてそれはカーンの意志が強く反映されているのだ。可能な限り押さえてはいるが、最後に決定権を持つのは国王。このままでは国が危うい・・・そう思っていたところに今回のクインズベリーの一件があり、そしてワシの前にあなた方が現れた」
振り返ったバルカルセルは、なにかに思いを馳せるように、静かに目を閉じた。
「リンジー達がワシと命運を共にすると覚悟を決める程、あなた方を信頼し懸けた。ならばワシもあなた方を信用する。この国が帝国の支配から脱却するため、そしてクインズベリーと共に、帝国に立ち向かうため、力をお貸しいただけないだろうか」
「・・・大臣、頭をお上げください」
ビリージョーが席を立ち、自分達に向かって腰を曲げているバルカルセルに近付き、そう声をかけた。
「これで二度、大臣に頭を下げていただいてます。お立場をお考えください。大臣ともあろうお方が、そう何度も頭を下げてはいけません」
「しかし、我が国がやった行為・・・そしてクインズベリーに助力を願う以上、礼は尽くさねばなりません」
頭を上げようとしないバルカルセルを見て、ビリージョーは言葉を続けた。
「大臣・・・正直に申し上げて、あなたのやろうとしている事は、クーデターです。普通は他国が協力できる事ではありません。しかし、我が国も帝国から甚大な被害を受けました。そしてこのまま帝国の好きにさせておけば、ロンズデールもいずれ帝国の属国になってしまうでしょう。どこまで力になれるかわかりませんが、この話しを国に持ち帰り、女王に掛け合ってみます」
バルカルセルは顔を上げると、ビリージョの手をしかと握った。
「・・・よろしく、お願いします」
絞り出すような声に、国を想う気持ち、国王を想う気持ち、国民を想う気持ち、帝国への怒り、力足らずの自分への怒り、そしてこれから自分がやろうとしている事への懺悔、様々な思い感じられた。
国王リゴベルト・カークランドは現在55歳。バルカルセルより13も歳が下だった。
バルカルセルの父もロンズデールの重鎮だったため、自然とバルカルセルも国のために仕える事が既定路線だった。
15の時から城に入ったバルカルセルは、リゴベルトを幼少の頃から知っている。
リゴベルトは確かに臆病な性格だった。
血を見る事を嫌い、剣の稽古も満足にせず、争う事を嫌い、両親に叱られてもただ黙って嵐が過ぎる事を待つ。
バルカルセルは、臆病を通り越して腰抜けと言われてもしかたのないリゴベルトを見て、これで将来国を背負って行けるのか?そう本気で心配をしていた。
前国王と王妃はなかなか子宝に恵まれず、年を取ってやっと授かったのはリゴベルト一子のみ。
次期国王はリゴベルトしか選択肢はなかった。
これだけを聞けば、ロンズデールの未来は明るいものではないと思えるだろう。
だが、リゴベルトの父と母は、それほど悲観はしていなかった。
自分達の息子は王の器ではなかったかもしれない。しかし、臣下には恵まれていた。
バルカルセルの父は、いかなる時もロンズデールを支えてきた忠義厚い男であり、その心は息子バルカルセルにもしかとい受け継がれていたのだ。
リゴベルトの父は、バルカルセルの忠誠心と愛国心、そして政治の分野でも高い能力を持っている事を見極め、バルカルセルがリゴベルトを支えてくれるならば、ロンズデールも安泰だろう。
そう確信を持っていた。
時が経ち、リゴベルトが即位すると、バルカルセルも同時に大臣に就任した。
今から25年前の話しである。
それからの15年は、バルカルセルが国を動かしていたと言っていいだろう。
帝国の言いなりになっている事に思うところはもちろんある。だが、リゴベルトが首を縦に振らない以上は、自分の勝手で帝国を刺激するわけにはいかない。
ある程度の不利な条件は飲んでも、ここだけは譲らない。
そうした線引きをして、少ないながらも利益は出し、帝国ともうまく付き合ってきた。
クインズベリーとの交流も、この頃は盛んだった。
海と生きる国ロンズデールは、温泉もある事から観光地として人気が高い。
夏は泳ぎに、冬は温泉に。こうして沢山の旅行者が集まって国は潤い、国民の生活も豊かであった。
リゴベルトはお飾りの王だった。
優柔不断で事なかれ主義、人によっては優しいからと見えるかもしれないが、バルカルセルに言わせれば決められないだけ。判断力が無いだけである。
それは妾との間にできたファビアナの扱いを見れば、一目瞭然であった。
15年も大臣として支えて来て・・・いや、リゴベルトが幼少期からを考えれば、人生の大半をリゴベルトのために使ったと言ってもいいだろう。
バルカルセルは時に厳しくリゴベルトを叱った。臣下であるが、バルカルセルに限っては国王であるリゴベルトを叱る事が許されていた。それが許されるだけの事をしているのだから。
実務ができなくてもいい。それは自分が補える。
だが、国民の前に出る時には・・・せめて国民の目には立派な王として映ってほしい。
バルカルセルがリゴベルトに求めたものは、それだけだった。
転機が訪れたのは10年前だった。
その男、ラミール・カーンは、最初こそ大人しいものだった。
城仕えに仕官してきた大勢の内の一人であり、剣士として配属された。
周りに合わせ行動し、目立つ事はなにもない。大臣であるバルカルセルが、名前を覚える必要もない人間だった。
だが、カーンの毒は見えないところで回っていた。
城に入って1年程で、剣士達のまとめ役になり、更に1年後には魔道剣なる、新たな剣と技を確立した。
そして模擬戦で自ら考案した魔道剣を披露し、対戦相手を圧倒すると、その技に大層関心した国王に、側近として隣に立つよう命を受けたのだ。
それは、自分に厳しいバルカルセルを遠ざける狙いもあったのかもしれない。
実力もあり有能な男を手元に置く事で、口うるさい男を牽制する。そういう思惑がリゴベルトにあったのかどうか、今更確認するには遅すぎるが、それが狙いだったとすれば、効果はてきめんだったと言えよう。
わずか二年で国王の側近となったラミール・カーンは、一見すると国王の意のままに動く忠義の徒だった。
だが、この頃から国王の帝国優遇は一層の強まりを見せ始めた。
その最たるものが、帝国の人間というだけで、通常よりはるかに格安で食事と宿を提供される事。
それは国民の生活を大きく締め付け、観光にも甚大な影響を与えた。赤字でも帝国の民をもてなさなければならない。そのしわ寄せは他の客に向く。必然的に帝国以外の人間はロンズデールに足を向けなくなり、結果観光業が衰退していく事になる。
「・・・元々帝国寄りの王だったが、それに拍車をかけたのがカーンだった。誤解されやすいが、国王はなにも、好き好んで帝国の言葉を聞いていたわけではない。陰で散々言われているが、戦争だけはしないという気持ちは、一貫していた。それは自分が怖いからというだけではない・・・」
そう言うとバルカルセルは立ち上がり、窓の前に立って外に目を向けた。
「・・・この美しい景色を護りたいからだ。戦争になれば、街は焼かれ大勢の民が血を流す。それだけは許さない。ワシが国王を今日まで支えてきたのは、国王に確かな愛国心があったからだ・・・しかし・・・」
窓から見える景色は一面の青い海。
その海に浮かぶように見える街並みに、青い空と海に挟まれキラキラと輝いて見える。
背を向けて話すバルカルセル。
慈しみの中に隠れる哀愁。バルカルセルのやるせない気持ちが伝わって来る。
「これまでワシに一任していた実務に、口を挟むようになってきてな、そしてそれはカーンの意志が強く反映されているのだ。可能な限り押さえてはいるが、最後に決定権を持つのは国王。このままでは国が危うい・・・そう思っていたところに今回のクインズベリーの一件があり、そしてワシの前にあなた方が現れた」
振り返ったバルカルセルは、なにかに思いを馳せるように、静かに目を閉じた。
「リンジー達がワシと命運を共にすると覚悟を決める程、あなた方を信頼し懸けた。ならばワシもあなた方を信用する。この国が帝国の支配から脱却するため、そしてクインズベリーと共に、帝国に立ち向かうため、力をお貸しいただけないだろうか」
「・・・大臣、頭をお上げください」
ビリージョーが席を立ち、自分達に向かって腰を曲げているバルカルセルに近付き、そう声をかけた。
「これで二度、大臣に頭を下げていただいてます。お立場をお考えください。大臣ともあろうお方が、そう何度も頭を下げてはいけません」
「しかし、我が国がやった行為・・・そしてクインズベリーに助力を願う以上、礼は尽くさねばなりません」
頭を上げようとしないバルカルセルを見て、ビリージョーは言葉を続けた。
「大臣・・・正直に申し上げて、あなたのやろうとしている事は、クーデターです。普通は他国が協力できる事ではありません。しかし、我が国も帝国から甚大な被害を受けました。そしてこのまま帝国の好きにさせておけば、ロンズデールもいずれ帝国の属国になってしまうでしょう。どこまで力になれるかわかりませんが、この話しを国に持ち帰り、女王に掛け合ってみます」
バルカルセルは顔を上げると、ビリージョの手をしかと握った。
「・・・よろしく、お願いします」
絞り出すような声に、国を想う気持ち、国王を想う気持ち、国民を想う気持ち、帝国への怒り、力足らずの自分への怒り、そしてこれから自分がやろうとしている事への懺悔、様々な思い感じられた。
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