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【278 王位継承の儀 ⑪】
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あまりにブレンダンの知る常識とかけ離れた行動だった。
自分の魔道具を明かすまでは分かる。
だが、なぜ親しい友に挨拶でもするかのような気楽さで、敵に魔道具を見せに来れる?
そもそも会話も成立しているかのようで、成立していない。
クラレッサは自分の答えたいものにだけ答えているだけだ。
そこにブレンダンの知りたい答えや、疑問の解消はあってもなくてもどうでもいいのだ。
ブレンダンの頬を、冷たい汗が伝い滴り落ちる。
「お、お主、今がどういう状況か分かっておるのか?ワシは敵じゃぞ?無防備にここまで近寄って、攻撃されると思わんのか?」
「うふふ・・・この御霊の目は、元は水晶だったんですよ。それは綺麗な綺麗な、とっても綺麗な水晶だったんです。最初の持ち主は宝石商の男性だったそうです。とても裕福でしたが、悪い事も沢山していたそうで、ある朝、自分のお店で死体となっているところを発見されたそうです。
夜の間に強盗でも侵入したのでしょう。高価な宝石は根こそぎ盗まれていたそうです・・・でも、この水晶だけは残っていて、亡くなった店主をずっと見ていたそうです」
「な、なにを言っておる?」
「次の持ち主は貧しい兵士でした。あるお屋敷の門番だったそうですが、お給金は自分一人が食べていくだけで精一杯。ですが、思いを寄せる女性に気持ちを伝えるため、食事を減らしてまでお金を貯めてこの水晶を購入したそうです。うふふ・・・普通は指輪やネックレスですよね?
でも、この水晶の魅力なのでしょうね・・・兵士はこの水晶なら、そう思って何ヶ月もかかってやっと購入したそうです。
そして兵士は愛する女性に交際を申し込みました。結果、思いは実り二人は交際を始めました。
月日は流れ、二人は結婚をします。貧しくても幸せな結婚生活でした。
ですが・・・貧しすぎたのですね・・・大人二人でしたら我慢できた事も、子供が産まれるとどうしてもお金がかかってしまいます。
ある日、妻となった女性は、あの水晶を売ってしまうのです・・・・・・子供の食費すらままならなかったのですね。その夜帰宅した兵士の夫は妻との口論の中、激情し妻を刺し殺してしまうのです。
なんでそのくらいで殺すか疑問ですか?日々の些細な衝突の蓄積ですね。それが爆発してしまったのです。
そして真夜中にも関わらず、赤子を抱いて売られた水晶を取り返しに行くのです。
妻を殺してしまった事で自暴自棄になってしまったのかもしれません。
男性は力ずくで水晶を取り返すと、満足そうに微笑んだ後、喉を斬り裂き自害してしまうのです。
水晶は泣きさけぶ赤子と共に、男性の死体を見ていたそうです」
「い、いったい・・・お主は・・・」
「三番目の持ち主は普通の女性でした。でも、ちょっとだけ人より好奇心が強かったのです。
二人の持ち主が続けて物騒な死に方をしたせいで、水晶は少し有名になってしまいました。不吉な水晶として・・・それを面白いと思ってしまった事が、彼女の不幸の始まりです。水晶を手に入れた女性の身内が次々と不自然な死をとげるのです。
泳ぎの得意な兄妹が溺れ死に、風邪一つひいた事のない父が急な高熱で意識を不明になり死亡する。
そうして家族を失い、親戚を失い、友も失った女性は、水晶の呪いと考えます。
女性は水晶を捨てました。これで不幸は終わる。そう考えたのです。
ですが、水晶は戻ってきました。川に捨てようが、土に埋めようが、翌日には必ず女性の元に戻ってくるのです。壊せばいい?はい、もちろん女性は試しました・・・でも駄目だったんです。
力いっぱいハンマーで叩きつけても傷一つ付かなかったのです。
捨てても戻ってきて、壊す事のできない水晶に、女性は追い詰められたのですね・・・自宅で首を吊りました。もちろん水晶は見ていました。縄が女性の首を絞め、その命を奪う瞬間を」
ブレンダンの困惑にも気付いているのか、気付いていても関係ないのか、クラレッサはつらつらと淀みなく、自分の右目におさめていた御霊の目の歴史について話し続けた。
話している間、ずっとブレンダンの目を見続けて、一切逸らす事はしなかった。
「四番目の・・・」
「クラレッサ、そこまでだ」
いつの間にかクラレッサの後ろに現れた男は、クラレッサの兄、テレンス・アリームだった。
妹と同じ白い髪と黒い瞳、感情を見せない抑揚の無い口調で、ブレンダンに話しかけるクラレッサを諫めた。
「・・・兄様、こちらのおじいさんが、私と同じ霊力を持っているのです。魔道具を見せていただきましたので、お返しに私の御霊の目を見ていただいてました」
振り返ったクラレッサの右目が黒い空洞になっている事を目にし、テレンスの表情が僅かに曇った。
「クラレッサ・・・それは外して駄目だ」
テレンスはクラレッサの右手に乗る御霊の目をそっと手にすると、そのままクラレッサの頬に左手を添え、クラレッサの空洞になっている右目の穴に、御霊の目を埋め込んだ。
クラレッサがテレンスの呼びかけで、ブレンダンから一歩距離を空けたとき、ブレンダンもまた一歩後ずさり距離を取っていた。
・・・いったいこの娘は何者じゃ?ワシの知っているどの子供とも違う。話が通じん。
・・・じゃが、一つだけはっきり分かった。この娘は心が壊れかけておる。危うい精神状態じゃ。
なにか一つ狂えばそれで心が崩壊するような、ギリギリの崖っぷちに立っているのかもしれん。
「師匠!」
ブレンダンがクラレッサを考察していると、気を失った兵士を避難させたウィッカーが、走り戻って来た。
「・・・そいつは」
ウィッカーがクラレッサと話すテレンスに気が付き、攻撃態勢に入ると、ブレンダンは右手を軽くウィッカーの体の前に出し静止をかけた。
「待つんじゃ・・・」
「師匠?」
困惑の混じるブレンダンの表情に、ウィッカーも何かを感じ取り構えた手を下した。
ブレンダンの視線の先で、妹を気遣うように、頬を撫でるテレンス。
目を閉じそのテレンスに頬を撫でられ、安心したように頬を緩ませているクラレッサ。
その二人を目にし、ウィッカーもまた眉を寄せ怪訝な表情をして見せた。
「師匠、あれは・・・なんですか?」
「分からん・・・分からんが、今あの二人を攻撃せんでいい・・・」
ブレンダンの言葉に、ウィッカーも黙って頷いた。
ウィッカー自身、目の前の状況に戸惑っていた。つい数分前、自分達に攻撃をしかけた女と同一人物とは思えなかった。
ほんの一場面だが、兄と妹、その深い絆を感じる事ができる。
「・・・はい」
ここだけを見れば、どこにでもいる普通の兄妹だ。
ならば、なぜこの二人が帝国の団長になっている?
なぜクラレッサは、悪霊なんて呪われた力を持っている?
一度その考えが頭に浮かぶと、消す事ができなかった。
自分の魔道具を明かすまでは分かる。
だが、なぜ親しい友に挨拶でもするかのような気楽さで、敵に魔道具を見せに来れる?
そもそも会話も成立しているかのようで、成立していない。
クラレッサは自分の答えたいものにだけ答えているだけだ。
そこにブレンダンの知りたい答えや、疑問の解消はあってもなくてもどうでもいいのだ。
ブレンダンの頬を、冷たい汗が伝い滴り落ちる。
「お、お主、今がどういう状況か分かっておるのか?ワシは敵じゃぞ?無防備にここまで近寄って、攻撃されると思わんのか?」
「うふふ・・・この御霊の目は、元は水晶だったんですよ。それは綺麗な綺麗な、とっても綺麗な水晶だったんです。最初の持ち主は宝石商の男性だったそうです。とても裕福でしたが、悪い事も沢山していたそうで、ある朝、自分のお店で死体となっているところを発見されたそうです。
夜の間に強盗でも侵入したのでしょう。高価な宝石は根こそぎ盗まれていたそうです・・・でも、この水晶だけは残っていて、亡くなった店主をずっと見ていたそうです」
「な、なにを言っておる?」
「次の持ち主は貧しい兵士でした。あるお屋敷の門番だったそうですが、お給金は自分一人が食べていくだけで精一杯。ですが、思いを寄せる女性に気持ちを伝えるため、食事を減らしてまでお金を貯めてこの水晶を購入したそうです。うふふ・・・普通は指輪やネックレスですよね?
でも、この水晶の魅力なのでしょうね・・・兵士はこの水晶なら、そう思って何ヶ月もかかってやっと購入したそうです。
そして兵士は愛する女性に交際を申し込みました。結果、思いは実り二人は交際を始めました。
月日は流れ、二人は結婚をします。貧しくても幸せな結婚生活でした。
ですが・・・貧しすぎたのですね・・・大人二人でしたら我慢できた事も、子供が産まれるとどうしてもお金がかかってしまいます。
ある日、妻となった女性は、あの水晶を売ってしまうのです・・・・・・子供の食費すらままならなかったのですね。その夜帰宅した兵士の夫は妻との口論の中、激情し妻を刺し殺してしまうのです。
なんでそのくらいで殺すか疑問ですか?日々の些細な衝突の蓄積ですね。それが爆発してしまったのです。
そして真夜中にも関わらず、赤子を抱いて売られた水晶を取り返しに行くのです。
妻を殺してしまった事で自暴自棄になってしまったのかもしれません。
男性は力ずくで水晶を取り返すと、満足そうに微笑んだ後、喉を斬り裂き自害してしまうのです。
水晶は泣きさけぶ赤子と共に、男性の死体を見ていたそうです」
「い、いったい・・・お主は・・・」
「三番目の持ち主は普通の女性でした。でも、ちょっとだけ人より好奇心が強かったのです。
二人の持ち主が続けて物騒な死に方をしたせいで、水晶は少し有名になってしまいました。不吉な水晶として・・・それを面白いと思ってしまった事が、彼女の不幸の始まりです。水晶を手に入れた女性の身内が次々と不自然な死をとげるのです。
泳ぎの得意な兄妹が溺れ死に、風邪一つひいた事のない父が急な高熱で意識を不明になり死亡する。
そうして家族を失い、親戚を失い、友も失った女性は、水晶の呪いと考えます。
女性は水晶を捨てました。これで不幸は終わる。そう考えたのです。
ですが、水晶は戻ってきました。川に捨てようが、土に埋めようが、翌日には必ず女性の元に戻ってくるのです。壊せばいい?はい、もちろん女性は試しました・・・でも駄目だったんです。
力いっぱいハンマーで叩きつけても傷一つ付かなかったのです。
捨てても戻ってきて、壊す事のできない水晶に、女性は追い詰められたのですね・・・自宅で首を吊りました。もちろん水晶は見ていました。縄が女性の首を絞め、その命を奪う瞬間を」
ブレンダンの困惑にも気付いているのか、気付いていても関係ないのか、クラレッサはつらつらと淀みなく、自分の右目におさめていた御霊の目の歴史について話し続けた。
話している間、ずっとブレンダンの目を見続けて、一切逸らす事はしなかった。
「四番目の・・・」
「クラレッサ、そこまでだ」
いつの間にかクラレッサの後ろに現れた男は、クラレッサの兄、テレンス・アリームだった。
妹と同じ白い髪と黒い瞳、感情を見せない抑揚の無い口調で、ブレンダンに話しかけるクラレッサを諫めた。
「・・・兄様、こちらのおじいさんが、私と同じ霊力を持っているのです。魔道具を見せていただきましたので、お返しに私の御霊の目を見ていただいてました」
振り返ったクラレッサの右目が黒い空洞になっている事を目にし、テレンスの表情が僅かに曇った。
「クラレッサ・・・それは外して駄目だ」
テレンスはクラレッサの右手に乗る御霊の目をそっと手にすると、そのままクラレッサの頬に左手を添え、クラレッサの空洞になっている右目の穴に、御霊の目を埋め込んだ。
クラレッサがテレンスの呼びかけで、ブレンダンから一歩距離を空けたとき、ブレンダンもまた一歩後ずさり距離を取っていた。
・・・いったいこの娘は何者じゃ?ワシの知っているどの子供とも違う。話が通じん。
・・・じゃが、一つだけはっきり分かった。この娘は心が壊れかけておる。危うい精神状態じゃ。
なにか一つ狂えばそれで心が崩壊するような、ギリギリの崖っぷちに立っているのかもしれん。
「師匠!」
ブレンダンがクラレッサを考察していると、気を失った兵士を避難させたウィッカーが、走り戻って来た。
「・・・そいつは」
ウィッカーがクラレッサと話すテレンスに気が付き、攻撃態勢に入ると、ブレンダンは右手を軽くウィッカーの体の前に出し静止をかけた。
「待つんじゃ・・・」
「師匠?」
困惑の混じるブレンダンの表情に、ウィッカーも何かを感じ取り構えた手を下した。
ブレンダンの視線の先で、妹を気遣うように、頬を撫でるテレンス。
目を閉じそのテレンスに頬を撫でられ、安心したように頬を緩ませているクラレッサ。
その二人を目にし、ウィッカーもまた眉を寄せ怪訝な表情をして見せた。
「師匠、あれは・・・なんですか?」
「分からん・・・分からんが、今あの二人を攻撃せんでいい・・・」
ブレンダンの言葉に、ウィッカーも黙って頷いた。
ウィッカー自身、目の前の状況に戸惑っていた。つい数分前、自分達に攻撃をしかけた女と同一人物とは思えなかった。
ほんの一場面だが、兄と妹、その深い絆を感じる事ができる。
「・・・はい」
ここだけを見れば、どこにでもいる普通の兄妹だ。
ならば、なぜこの二人が帝国の団長になっている?
なぜクラレッサは、悪霊なんて呪われた力を持っている?
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