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【218 リサイクルショップ・レイジェス開店】

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3月10日

ついに私達のお店、リサイクルショップ・レイジェスのオープン日を迎えた。
出張買い取りで宣伝をしていた事もあり、この日は10時の開店前に並ぶお客様も見える。

オープン日という事で、今日のメンバーは、私、ウィッカーさん、ジャニスさん、メアリーちゃん、モニカさん、リンダさん、ニコラさん、そして王子を入れた8人だ。

でも、王子は最初に決めた通り裏方専属だ。
買い取った物を事務所兼倉庫に運んでもらい、種類ごとに分けてもらう作業になる。


ブレンダン様、キャロルちゃん、トロワ君は孤児院に残って子供達を見てもらう事になった。
三人で大変だと思うけど、みんなに、頑張ってねと送り出されたので、しっかり働いて街へ貢献したいと思う。

そして開店15分前、従業員用の裏口を叩く音が聞こえたので誰かな?と開けてみると、アラルコン商会のレオネラちゃんだった。


「おはよぉ~、正面から入ろうと思ったら、けっこう並んでるからびっくりしたよ。すごいねぇ~」
ベージュのボアジャケット着ているが、それでも寒そうに自分の体を抱きしめるようにして、少し震えている。
確かに日は出て晴れ空だけど、風があり寒さは厳しい。

「おはようレオネラちゃん。今日がオープン日だからね、出張買い取りで宣伝してた効果もあったみたい。寒いから上がって」

「いやいや、今日はこれ届けに来ただけだから、開店祝いの差し入れだよ。みんなで飲んでね」

レオネラちゃんは腕に下げていた紙袋を、はい、と手渡してくれた。
中を覗くと、ギフト用の大きな箱入りコーヒーや紅茶、袋詰めのお菓子など沢山入っていた。

「いいの?なんだかすごい高そう」

「いいのいいの。美味しかったら、レイジェスで仕入れてくれてもいいんだよぉ~」

レオネラちゃんが、なにか悪だくみをしそうな顔でニヤリと笑ったので、私もつい笑ってしまった。


「あはは!じゃあ、遠慮なくいただくわね。レオネラちゃん、ありがとう。また遊びにいくわね」

「はいよぉ~、いつでも来てねぇ~」

レオネラちゃんは手を振って帰って行った。

仕入れの話しで、何度かレオネラちゃんが滞在しているモロニーハウスに行った事がある。

最初に考えたお菓子類意外には、スプーンやフォーク、マグカップという食器関係を少し仕入れただけだけど、レオネラちゃんは少量でもちゃんと対応してくれるので、ありがたい取引先だし、大事な友達だ。寒がりなのに、こうして開店日に顔を見せに来てくれる事も嬉しい。


みんなに差し入れをもらった事を伝え、開店前の朝礼を始める。

難しい事は言わずに、今日が記念すべきオープン日だから、頑張りましょうとだけ伝え、私は正面入り口の鍵を開けた。

「いらっしゃいませー!リサイクルショップ・レイジェス、本日開店でーす!」






「この前はありがとうね!掃除してたら、また沢山出て来たの。これ見てもらえる?」
「はい、ではこれ引換券です。すみませんが査定に1日いただいてますので、明日までお時間ください」


「ここで古着買ってもらえるんだって?このシャツ破れてるけどいいのかい?」
「補修できるか確認しないと分からないんですが、1日お預かりしていいですか?明日には査定結果分かるようにします」


買い取りレジはニコラさんと、ウィッカーさんにお願いした。
一人ではとても回りそうにないので、しばらくは二人体制だ。
続々とお客さんが入ってくるけれど、二人ともスムーズに買取り受付を回している。

ロールプレイ(仲間内で客と店員に分かれて行う練習)の成果も出ているようで、説明も滑らかだ。
言葉使いに関しては、固すぎない方がいいと思い、失礼にならない範囲で多少くだけた感じで話してもらっている。
お客さんも一般の方が中心なので、固すぎると返ってやりにくいと思う。


今日の査定は、私とリン姉さんで行い、明日は私とニコラさん。
レイジェス専属の二人を優先に仕事を教えていこうと考えている。

買い取り査定はしばらくの間、一日時間をもらうように決めた。

出張買い取りでもある程度は教えられたけど、仕事をしながらスピーディーに回すにはまだ慣れていないし、最初から1日時間がかかると伝えて始めれば、そういうものだと思い待たされる事へのストレスも無いからだ。
それに、私達も少ない人数で余裕を持って仕事ができる。

みんなが慣れてくれば、ケースバイケースでやっていこうと思う。



レジはモニカさんに入ってもらい、状況をみながら私がヘルプに入るようにした。
モニカさんは教養が高く、一番計算が早かったのでレジ担当が向いていると思ったからだ。

モニカさんはやはり顔が広く、お客さんにも知り合いが多かったようだ。
一言二言会話を交えながら、スムーズにレジを回している様子を見ると、以前にも接客業をやった経験があるのかなと感じられた。


ちなみに、この世界のレジはもちろん日本のコンビニのようなレジではなく、硬貨を入れる手作りの箱から、代金とお釣りを計算してやりとりをしている。
また、複雑な計算になると、間違いも起きるかもしれないし、時間もかかりそうなので、1イエン硬貨は使わないですむ値付けにした。


ジャニスさんには、全体を見てもらうようにした。
古着コーナーで、悩んでいるお客さんには試着を進めてみたり、ウロウロしているお客さんには探し物がないか聞いてみる。レジが混んだらレジフォロー、買い取りが混んだら買い取りのフォロー。
陳列が崩れていたら直したりなど、一番気を配るポジションだと思うけど、ジャニスさんが適任だと思った。


最初は私がやろうと思ったポジションだったけど、開店準備を進めるに連れ、ジャニスさんは私のノウハウをみるみる吸収して、十分まかせられる程になっていた。元々リーダーシップのある子だし、頭も良いのだ。

私は裏でリン姉さんと買い取りの査定をしながら、様子を見ては店に出て、初めて来たお客さんへお店の説明などを行った。
出張買い取りで全ての家を回れたわけでは無し、今日初めてこのお店の存在を知った人もいる。
そういう人へ、ここがどういうお店か説明する役回りだ。


そして、予想以上の活躍を見せているのがメアリーちゃんだ。

私達が思っていた以上にポーさん人形は売れたのだ。
メアリーちゃんは70個のポーさん人形を用意したけれど、午前中のうちに20個が売れたのだ。
大きさは15cm程で、新巻鮭を加えているポーさんが20個あり数は一番多い。
他にもお腹いっぱいで寝ているポーさんなど、5種類を10個づつ作って来た。価格は一個800イエンという設定だったけれど、これが売れるのだ。

メアリーちゃんの売り方も良いと思う。
見に来るお客さんに、程よく熱の入ったトークで、ポスターを見せながら説明をするのだ。
やっぱり売る側がそのキャラクターを好きだと、魅力の伝え方が違うなと思った。

家族連れで来た人は子供のために買ってくれるし、カップルで来た人は彼女へのプレゼントに。

日本のゆるキャラ白クマのポーさんは、異世界でも人気者になりそうだ。
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