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【213 必要なコーナー】
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この日、リンダさんとニコラさんは孤児院に泊まっていった。
7~8歳の子供達は、リンダさんとニコラさんを覚えていて、大喜びで集まって来た。
二人とも人気者だったようだ。
王子は挨拶しかしなかったけど、二人とも、王子なんか変わった?と少し驚いていた。
二人が知っている王子は、まず挨拶はしない、誰にも関心を持たず、一人の世界にこもっていたそうだ。
だから、目を合わせて、おう、と一言だけでも、二人にとって目を見張る程の出来事だったそうだ。
私は昔の王子を知らないけれど、ブレンダン様もジャニスさんも、みんな王子は変わったと言う。
お城に軟禁されて、ブレンダン様達が迎えに行ってからだ。
そして、あの日、孤児院が襲撃を受けた日からは、もっと周りを気に掛けるようになったと思う。
相変わらず口数は少ないけれど、毎日子供部屋で寝るようになったし、たまにだけど自分から話しかけて来る事もある。
ブレンダン様は良い傾向だと、嬉しそうにしていた。
実は王子にも、物件を見に行きませんか?と声はかけたのだ。
表情が変わらなかったので、興味があるのか無いのか分からなかったけど、少しの間を置いて、
そのうちな。と一言だけ返してくれた。
最初は少し怖い印象があったけれど、毎日一緒に暮らして、私はもうすっかり慣れた。
怖そうに見えるのは、私が怖がっていたからそう見えるだけで、本当はちょっと人付き合いの苦手な男の子というだけなのだ。
開店したら、もう一度声をかけようと思う。
それから更に時間が経ち、2月に入った。
「ヤヨイさん、いよいよ今日から店内をいじれるね!」
物件の前に立ち、みんなで工事の終わったお店の外観を見る。はずんだ声からジャニスさんのワクワクが伝わってくる。
今日は工事が終わった記念で、孤児院の全員で来た。
子供達も前々から見たいと言っていたので、天気も良いしお散歩がてらみんなで行こうという事になったのだ。
この世界の2月の寒さは、日本と変わらない。雪も足首が埋まる程度には積もっている。
スージーちゃんとチコリちゃんは長靴を履き、雪に足を取られて転ばないように、キャロルちゃんとニコラさんが手を繋いでいる。
リンダさんも手を繋ぎたがっていたけど、リンダさんは背が高く腰を曲げなければならなかったので、ニコラさんに軍配が上がったのだ。
「ちぇ~、私もニコラみたく、女らしい小柄な体系が良かったなぁ~」
「あら、そんな事ないわよ。私からすれば、リン姉さんみたく背が高いのはカッコ良くて羨ましいわ。それに、手が繋ぎ辛いなら抱っこでもいいじゃないですか」
ニコラさんがスージーちゃんの脇を抱えて持ち上げると、そのままリンダさんに、はい、と手渡す。
リン~、リン~、と言って手を伸ばすスージーちゃんを、リンダさんは可愛い!と声を上げて抱きしめる。
まだ1歳半にも満たない、純真無垢なスージーちゃんとチコリちゃんは大人気だ。
店の外観は温かみを感じれるように、クリーム色に塗ってもらった。
イメージ通り優しい色合いだ。
自動ドアは無いから、建物の入り口は少し広く作った。大人二人くらいは余裕を持って並んで入れる。
入口を入ったらすぐ横に、L字で買い取りカウンターがあり、買い取りカウンターの隣には会計レジがある。
内装は手間をかけさせてしまったけれど、希望通り木目板張りで仕上がっていた。
壁紙なんてあれば楽だったろうけど、この世界にはさすがにそんな物は無いので、板材を用意してもらったのだ。
ブレンダン様の手配する職人さんはさすがに仕事が丁寧で、大満足の仕上がりだった。
フロアはまだ什器が何も無いので、ガランとして走り回れるくらいの広さを感じるけれど、すぐにテーブルやハンガーラックでいっぱいになるんだろうな。
「ヤヨイさん、どうじゃな?納得いく仕上がりだとよいのじゃが」
「はい!もちろん大満足です!ブレンダン様、本当にありがとうございます。私、孤児院のお仕事も頑張りますし、このお店で街へも貢献してみせます」
感謝の言葉を述べると、ブレンダン様は、笑って頷いてくれた。
今日は王子も来てくれて、入口の壁に背をもたれさせながら、周りを見渡している。
まだ何もないからガラガラだけど、少し興味を持ってくれたのかな。
私は、王子がレジ打ちをするところを想像して、クスリと笑ってしまった。
王子がレジ打ちをする事は無いと思う。
でも、このお店が長く続いて、いつか王子も働いてみる気持ちになるくらい、打ち解けてくれたら嬉しい。
「へぇ~、ここでお客さんの古着やら家具やらを買い取って、あっちの倉庫に持って行くんだ?んで、修理やらなんやらして、値付けしてまたこっちに持ってくるんだ?」
リンダさんが買い取りカウンターに手を付いて、広さを確認するように中に目を向けている。
「はい。基本的には事務所兼倉庫で修理作業をしますが、ちょっと汚れを落とすくらいでしたら、
このカウンターで作業して大丈夫です。レジに立っている間、手持無沙汰になる事もあると思いますので」
「なんか、楽しそうだね。私、商売経験は無いけど、ヤヨイの話し聞くと、リサイクルショップってのは、なんか夢がありそうだよ」
リンダさんは耳のピアスをいじりながら、楽しそうに話してくれる。
この数週間、新メンバーのリンダさんとニコラさんとは、早く打ち解けられるように、できるだけ一緒に行動をしていた。
街へ出張買い取りも行ったし、孤児院の仕事の合間に一緒に古着の補正もした。
家具の修理はニコラさんが上手なので、教えてもらう事も沢山あった。
彼女達の人となりを知るに連れて、彼女達も私を理解してくれた。
もう一人の弥生の事も含めて、私は全て話してある。隠し事は無い。
今では、すっかり仲良くなって、リンダさんは私をヤヨイと呼ぶし、私も愛称のリンさん、と呼んでいる。
ニコラさんは私をさん付けだけど、私はニコさんと呼んだりもする。
「リンさん、その通りですよ!リサイクルショップは夢がいっぱいあるんです。日本では、宝物を探す感覚で来る人も沢山いました。年代物でもう手に入らない物が見つかると、本当に嬉しいんですよ。このお店もそんな夢いっぱいのお店にしましょうね」
リンダさんは拳を握り、頑張ろう!と、力強い返事をくれた。
「ポーさんコーナーは必要だと思うんです」
建物内で、どこに何を置くか、配置の話し合いをしていると、メアリーちゃんが
私達を真っ直ぐに見て提案した。
「ポーさんって、メアリーちゃんがいつも作ってる白クマさんでしょ?コーナーを作るほど売れるの?」
「はい!ポーさんは絶対に売れます!町中をポーさんでいっぱいにしましょう!」
ニコラさんが率直に疑問を口にすると、メアリーちゃんは確信に満ちた力強い眼差しと言葉を即事に返した。
「そ、そうなの?うん、メアリーちゃんがそこまで言うなら私は反対しないわ」
ニコラさんは、今一つポーさんに感心が無い。
現実的と言うか、必要か不必要で判断するところがあり、ぬいぐるみは生活に必要か?と考えた時、優先順位はかなり低くなる。
不要とまでは言わなくても、コーナーを設けるほど必要かとなると、ニコラさんとしては首を傾げてしまうのだろう。
「ありがとうございます!ヤヨイさん、いかがでしょうか?ポーさんコーナーをどこか一角欲しいです」
メアリーちゃんが毎日一生懸命作ったポーさんぬいぐるみは、すでに50個近くの数になっていた。
クオリティは申し分なく、そしてバリエーションも様々だ。
最初は荒巻鮭をくわえた定番のポーさんだけだったけど、20個程作ったところで、他のバージョンも作りたいと相談され、私は覚えている様々なポーさんを紙に描いて渡したのだ。
猟師に狙われびっくりしているポーさん。
鮭が取れずに落ち込むポーさん。
お腹いっぱいになって眠そうなポーさん。
メアリーちゃんはどれも可愛いと言って、色々なポーさんを作り上げた。
私はそんなメアリーちゃんの頑張りに報いたいし、コーナーを作る事は賛成だ。
ただ一つ気になる事がある。
「メアリーちゃん、ポーさんコーナーは賛成なんだけど、この世界の人にポーさんが何なのか伝わるかしら?異世界のクマさんと説明するのも、なんだか時間もかかって難しそうだし・・・」
ポーさんはあくまで日本のキャラクターだ。
この国の人に、なにこれ?と聞かれた時、どう説明したらいいかが問題だった。
でも、私の心配をよそに、メアリーちゃんは、大丈夫です!と笑顔でハッキリ答えてくれた。
「これでどうでしょうか?」
メアリーちゃんは肩から斜め掛けしていたショルダーバックから、四つ折りにしていたA4サイズくらいの用紙を取り出して、カウンターに広げた。
そこには、メアリーちゃんの手書きのポーさんイラストと、ポーさんについて、簡潔で分かりやすい説明が書かれていた。
これを壁に貼ってはどうかという提案で、つまりポスターだ。
「すっご!これ、メアリーが描いたの?文章も簡単で分かりやすいじゃん」
ジャニスさんが驚きながら、メアリーちゃんの自作ポスターを褒める。
完成度の高さに私も思わず目を見張ってしまう。
私もイラストに少し自信があったけど、メアリーちゃんのイラストは私よりずっと上手い。
文章も、飽きずに最後まで読める長さと見せ方で、完璧な仕上げだった。
「すごいわメアリーちゃん。色使いも綺麗ね。ポーさんはこの大陸の外から来た設定にしたのね?うん。これならこの国の人達が知らなくてもおかしくないし、いいと思うわ。本当にメアリーちゃんはすごいわ」
みんなが口々に褒めるので、さすがのメアリーちゃんも照れてしまったようだ。
お腹の前で両手を組んでもじもじしている。
「ふふ、じゃあポーさんコーナーの前にこのポスターを貼りましょうね。メアリーちゃん、ポーさん担当お願いね」
メアリーちゃんはニッコリ笑って、はい!と元気な返事をくれた。
7~8歳の子供達は、リンダさんとニコラさんを覚えていて、大喜びで集まって来た。
二人とも人気者だったようだ。
王子は挨拶しかしなかったけど、二人とも、王子なんか変わった?と少し驚いていた。
二人が知っている王子は、まず挨拶はしない、誰にも関心を持たず、一人の世界にこもっていたそうだ。
だから、目を合わせて、おう、と一言だけでも、二人にとって目を見張る程の出来事だったそうだ。
私は昔の王子を知らないけれど、ブレンダン様もジャニスさんも、みんな王子は変わったと言う。
お城に軟禁されて、ブレンダン様達が迎えに行ってからだ。
そして、あの日、孤児院が襲撃を受けた日からは、もっと周りを気に掛けるようになったと思う。
相変わらず口数は少ないけれど、毎日子供部屋で寝るようになったし、たまにだけど自分から話しかけて来る事もある。
ブレンダン様は良い傾向だと、嬉しそうにしていた。
実は王子にも、物件を見に行きませんか?と声はかけたのだ。
表情が変わらなかったので、興味があるのか無いのか分からなかったけど、少しの間を置いて、
そのうちな。と一言だけ返してくれた。
最初は少し怖い印象があったけれど、毎日一緒に暮らして、私はもうすっかり慣れた。
怖そうに見えるのは、私が怖がっていたからそう見えるだけで、本当はちょっと人付き合いの苦手な男の子というだけなのだ。
開店したら、もう一度声をかけようと思う。
それから更に時間が経ち、2月に入った。
「ヤヨイさん、いよいよ今日から店内をいじれるね!」
物件の前に立ち、みんなで工事の終わったお店の外観を見る。はずんだ声からジャニスさんのワクワクが伝わってくる。
今日は工事が終わった記念で、孤児院の全員で来た。
子供達も前々から見たいと言っていたので、天気も良いしお散歩がてらみんなで行こうという事になったのだ。
この世界の2月の寒さは、日本と変わらない。雪も足首が埋まる程度には積もっている。
スージーちゃんとチコリちゃんは長靴を履き、雪に足を取られて転ばないように、キャロルちゃんとニコラさんが手を繋いでいる。
リンダさんも手を繋ぎたがっていたけど、リンダさんは背が高く腰を曲げなければならなかったので、ニコラさんに軍配が上がったのだ。
「ちぇ~、私もニコラみたく、女らしい小柄な体系が良かったなぁ~」
「あら、そんな事ないわよ。私からすれば、リン姉さんみたく背が高いのはカッコ良くて羨ましいわ。それに、手が繋ぎ辛いなら抱っこでもいいじゃないですか」
ニコラさんがスージーちゃんの脇を抱えて持ち上げると、そのままリンダさんに、はい、と手渡す。
リン~、リン~、と言って手を伸ばすスージーちゃんを、リンダさんは可愛い!と声を上げて抱きしめる。
まだ1歳半にも満たない、純真無垢なスージーちゃんとチコリちゃんは大人気だ。
店の外観は温かみを感じれるように、クリーム色に塗ってもらった。
イメージ通り優しい色合いだ。
自動ドアは無いから、建物の入り口は少し広く作った。大人二人くらいは余裕を持って並んで入れる。
入口を入ったらすぐ横に、L字で買い取りカウンターがあり、買い取りカウンターの隣には会計レジがある。
内装は手間をかけさせてしまったけれど、希望通り木目板張りで仕上がっていた。
壁紙なんてあれば楽だったろうけど、この世界にはさすがにそんな物は無いので、板材を用意してもらったのだ。
ブレンダン様の手配する職人さんはさすがに仕事が丁寧で、大満足の仕上がりだった。
フロアはまだ什器が何も無いので、ガランとして走り回れるくらいの広さを感じるけれど、すぐにテーブルやハンガーラックでいっぱいになるんだろうな。
「ヤヨイさん、どうじゃな?納得いく仕上がりだとよいのじゃが」
「はい!もちろん大満足です!ブレンダン様、本当にありがとうございます。私、孤児院のお仕事も頑張りますし、このお店で街へも貢献してみせます」
感謝の言葉を述べると、ブレンダン様は、笑って頷いてくれた。
今日は王子も来てくれて、入口の壁に背をもたれさせながら、周りを見渡している。
まだ何もないからガラガラだけど、少し興味を持ってくれたのかな。
私は、王子がレジ打ちをするところを想像して、クスリと笑ってしまった。
王子がレジ打ちをする事は無いと思う。
でも、このお店が長く続いて、いつか王子も働いてみる気持ちになるくらい、打ち解けてくれたら嬉しい。
「へぇ~、ここでお客さんの古着やら家具やらを買い取って、あっちの倉庫に持って行くんだ?んで、修理やらなんやらして、値付けしてまたこっちに持ってくるんだ?」
リンダさんが買い取りカウンターに手を付いて、広さを確認するように中に目を向けている。
「はい。基本的には事務所兼倉庫で修理作業をしますが、ちょっと汚れを落とすくらいでしたら、
このカウンターで作業して大丈夫です。レジに立っている間、手持無沙汰になる事もあると思いますので」
「なんか、楽しそうだね。私、商売経験は無いけど、ヤヨイの話し聞くと、リサイクルショップってのは、なんか夢がありそうだよ」
リンダさんは耳のピアスをいじりながら、楽しそうに話してくれる。
この数週間、新メンバーのリンダさんとニコラさんとは、早く打ち解けられるように、できるだけ一緒に行動をしていた。
街へ出張買い取りも行ったし、孤児院の仕事の合間に一緒に古着の補正もした。
家具の修理はニコラさんが上手なので、教えてもらう事も沢山あった。
彼女達の人となりを知るに連れて、彼女達も私を理解してくれた。
もう一人の弥生の事も含めて、私は全て話してある。隠し事は無い。
今では、すっかり仲良くなって、リンダさんは私をヤヨイと呼ぶし、私も愛称のリンさん、と呼んでいる。
ニコラさんは私をさん付けだけど、私はニコさんと呼んだりもする。
「リンさん、その通りですよ!リサイクルショップは夢がいっぱいあるんです。日本では、宝物を探す感覚で来る人も沢山いました。年代物でもう手に入らない物が見つかると、本当に嬉しいんですよ。このお店もそんな夢いっぱいのお店にしましょうね」
リンダさんは拳を握り、頑張ろう!と、力強い返事をくれた。
「ポーさんコーナーは必要だと思うんです」
建物内で、どこに何を置くか、配置の話し合いをしていると、メアリーちゃんが
私達を真っ直ぐに見て提案した。
「ポーさんって、メアリーちゃんがいつも作ってる白クマさんでしょ?コーナーを作るほど売れるの?」
「はい!ポーさんは絶対に売れます!町中をポーさんでいっぱいにしましょう!」
ニコラさんが率直に疑問を口にすると、メアリーちゃんは確信に満ちた力強い眼差しと言葉を即事に返した。
「そ、そうなの?うん、メアリーちゃんがそこまで言うなら私は反対しないわ」
ニコラさんは、今一つポーさんに感心が無い。
現実的と言うか、必要か不必要で判断するところがあり、ぬいぐるみは生活に必要か?と考えた時、優先順位はかなり低くなる。
不要とまでは言わなくても、コーナーを設けるほど必要かとなると、ニコラさんとしては首を傾げてしまうのだろう。
「ありがとうございます!ヤヨイさん、いかがでしょうか?ポーさんコーナーをどこか一角欲しいです」
メアリーちゃんが毎日一生懸命作ったポーさんぬいぐるみは、すでに50個近くの数になっていた。
クオリティは申し分なく、そしてバリエーションも様々だ。
最初は荒巻鮭をくわえた定番のポーさんだけだったけど、20個程作ったところで、他のバージョンも作りたいと相談され、私は覚えている様々なポーさんを紙に描いて渡したのだ。
猟師に狙われびっくりしているポーさん。
鮭が取れずに落ち込むポーさん。
お腹いっぱいになって眠そうなポーさん。
メアリーちゃんはどれも可愛いと言って、色々なポーさんを作り上げた。
私はそんなメアリーちゃんの頑張りに報いたいし、コーナーを作る事は賛成だ。
ただ一つ気になる事がある。
「メアリーちゃん、ポーさんコーナーは賛成なんだけど、この世界の人にポーさんが何なのか伝わるかしら?異世界のクマさんと説明するのも、なんだか時間もかかって難しそうだし・・・」
ポーさんはあくまで日本のキャラクターだ。
この国の人に、なにこれ?と聞かれた時、どう説明したらいいかが問題だった。
でも、私の心配をよそに、メアリーちゃんは、大丈夫です!と笑顔でハッキリ答えてくれた。
「これでどうでしょうか?」
メアリーちゃんは肩から斜め掛けしていたショルダーバックから、四つ折りにしていたA4サイズくらいの用紙を取り出して、カウンターに広げた。
そこには、メアリーちゃんの手書きのポーさんイラストと、ポーさんについて、簡潔で分かりやすい説明が書かれていた。
これを壁に貼ってはどうかという提案で、つまりポスターだ。
「すっご!これ、メアリーが描いたの?文章も簡単で分かりやすいじゃん」
ジャニスさんが驚きながら、メアリーちゃんの自作ポスターを褒める。
完成度の高さに私も思わず目を見張ってしまう。
私もイラストに少し自信があったけど、メアリーちゃんのイラストは私よりずっと上手い。
文章も、飽きずに最後まで読める長さと見せ方で、完璧な仕上げだった。
「すごいわメアリーちゃん。色使いも綺麗ね。ポーさんはこの大陸の外から来た設定にしたのね?うん。これならこの国の人達が知らなくてもおかしくないし、いいと思うわ。本当にメアリーちゃんはすごいわ」
みんなが口々に褒めるので、さすがのメアリーちゃんも照れてしまったようだ。
お腹の前で両手を組んでもじもじしている。
「ふふ、じゃあポーさんコーナーの前にこのポスターを貼りましょうね。メアリーちゃん、ポーさん担当お願いね」
メアリーちゃんはニッコリ笑って、はい!と元気な返事をくれた。
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