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【205 やりたい事】

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「じゃあ、世話になったな。なにかあれば連絡をくれ。俺で役に立てるならいつでも来よう」

「皆さん、本当に楽しかったです。来年もまたやられるなら、ぜひ誘ってください」

「いやぁ、すみませんでした。まさか酔いつぶれるとは。こんなに楽しかったのは久しぶりで、つい加減を間違えたようです。ご迷惑をおかけしました」


翌朝、最初にジョルジョさん達を見送った。

ジョルジュさんの首には、キャロルちゃんがプレゼントした、白い手編みのマフラーが巻かれていて、キャロルちゃんはそれを見てとても嬉しそうな顔をしている。


ジャニスさんは、ナタリーさんに抱き着いていた。
ナタリーさんは、何か声をかけながら、優しくジャニスさんの頭を撫でている。
昨日のクリスマス会の時も感じたけれど、ジャニスさんと、ナタリーさんは特に仲が良さそうだった。
何か特別な信頼関係があるようにも見える。

ジョルジュさんの家に泊まっていた時に、仲良しになったのかなと思った。
そして、ナタリーさんといる時のジャニスさんは、なんだかとても穏やかな表情をするので、とても良い関係を築けているのだなと感じた。


エディさんとロビンさんとブレンダン様は、また飲みましょうと意気投合して談笑している。
考えてみると、私もウィッカーさんも、お酒を飲めなくはないけれど、進んで飲む程ではないので、ブレンダン様は一人で晩酌をしている事が多い。

エディさんもロビンさんもお酒好きみたい。
昨日はとても楽しそうに三人で飲んでいたので、ブレンダン様のためにもまたぜひ来て欲しい。


ジョルジュさん達が帰ると、次はロビンさん家族とエロール君、ヨハン君が帰り支度をして玄関に立った。

私はパトリックさんが次のお休みの時に、また会う約束をした。ロビンさんとモニカさんからは、自宅へのお招きも受けたので、近いうちに行く事になると思う。

トロワ君とキャロルちゃんは、エロール君とヨハン君にまた遊びに来てと話しかけていた。
ヨハン君は15歳だけど、歳の近い4人は打ち解けているようだ。


トロワ君は暗めのグレーのマフラーを巻いている。
キャロルちゃんが、トロワ君のマフラーも編んだのだ。編み物はあまり得意じゃないと言っていたけど、私から見ればとても上手だ。私ももっと練習しなければという気持ちになる。

そしてトロワ君は、お小遣いでキャロルちゃんに手袋をプレゼントしたそうだ。
キャロルちゃんも、さっそく手袋をつけている。そしてジョルジュさんからは、ブローチを貰ったそうだ。

キャロルちゃんは、10歳の誕生日の時に、花の形をしたピンクのバレッタをみんなから貰い、栗色の髪を一本にして後ろでまとめている。
ジョルジュさんはそれを見て、ピンクの花のブローチをプレゼントに選んだそうだ。
人にあまり興味が無さそうにしているけど、よく見ているなと感心してしまった。


そして、エロール君とヨハン君には、メアリーちゃんが革で巾着を作ってプレゼントしていた。

ベルトに結んで小物を入れる事ができるようにしてあり、使い勝手はとても良い物だったので、二人とも、よくこんなの作れるなと驚いていた。

エロール君の分はちゃんと用意してあったけど、ヨハン君は当日急に参加してきたので、メアリーちゃんは昨日の内に作った事になる。私は、いつの間に?と、本当に驚いた。器用過ぎる。


そして、楽しかったクリスマスパーティーも終わり、みんな帰って行った。





「ヤヨイさん、クリスマスとはとても楽しい行事ですな。感謝を込めてプレゼントを交換したり、みんなで食事をする。また来年もやりたいですな」

みんなが帰った後、私は広間のテーブルでブレンダン様と紅茶を飲んでいた。

「はい。そう思っていただけて私も嬉しいです。ブレンダン様、そのマフラーはジャニスさんからですね?室内でも巻いてるなんて、よっぽどお気に入りになったのですね」

「ほっほっほ、いやぁ、まさかワシがもらえるなんて思ってなかったので、お返しは何も用意しとらんかったんですよ。そう話したらジャニスは、師匠に感謝の気持ちだから、と言って笑ってくれてのう・・・ワシにはもったいない孝行娘ですじゃ」

そう言ってブレンダン様は表情を緩ませ、マフラーの感触を確かめるように軽く握る。

「ジャニスさん、ブレンダン様の事、本当のお父様だと思ってらっしゃいますから。編んでる時、とても優しい顔をしてましたよ。良かったですね」

ブレンダン様は目を細めて、紅茶を一口飲んだ。


「・・・ウィッカーもメアリーと身を固める決心をしたようじゃし、ヤヨイさんもパトリックと順調に交際しておるし、後はジャニスか・・・まぁまだ17歳、と言うても3月で18歳か・・・早いのう」

ジャニスさんは、本当に小さい頃に孤児院に引き取られたと聞いている。

ブレンダン様は父親としてずっとジャニスさんを育ててきた。
その想い出を懐かしんでいるように見えた。


「ジョルジュの母、ナタリーさんをずいぶん慕っておるようじゃった。きっと、二週間一緒に過ごして、母親を重ねたのかもしれんのう・・・ワシはあの子に家族は作れたつもりじゃが、母親だけは作ってやれなかった。できるならこのまま・・・いや、ジャニス一人の話しではないし、見守るしかないかの・・・」

いつかジャニスさんも誰かのお嫁さんになり、この孤児院を出て行く日が来るだろう。

ナタリーさんとの関係を考えると、ブレンダン様は、ジョルジュさんの元へジャニスさんが嫁ぐ事がいいと考えているのかもしれない。

でも、そうするとキャロルちゃんは・・・・・


「・・・はい。難しいですよね・・・日本でも、恋愛はある程度自由でしたが、結婚となると当人だけの話しではありません。それは、この世界も同じですね。でも、私達も一緒に考える事はできますから、どうする事が一番良いか、話し合っていきましょう」


「・・・そうじゃな。うむ。その通りじゃな」

ブレンダン様と顔を合わせて笑い合う。
ハーブティーの香りが心を落ち着けて、穏やかな気持ちにさせてくれる。

ジャニスさんの気持ちを聞いてはいないし、キャロルちゃんの事もあるから、あまり深く話せないけれど、私は二人とも大好きだから、なにかあれば、二人のために一緒に悩みたいと思う。



「あの、ブレンダン様。話しは変わるのですが、ご相談がありまして」

「ん、なにかの?」

ここ最近、ずっと考えていた事だ。
私一人ではできないし、みんなの協力が必要だし、できればみんなでやりたい。


「リサイクルショップをやりたいのです」
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