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【202 クリスマスパーティー①】
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12月24日 クリスマスイブ当日。
孤児院で初めてのクリスマス会が開かれた。
正体客は、ジョルジュさん親子と、ロビンさん親子、そしてエロール君と、もう一人、ヨハン・ブラント君という15歳くらいの男の子が来た。
この、ヨハン君という少年は、ブレンダン様、タジーム王子、ウィッカーさん、ジャニスさんは、一度だけ面識があったようだ。
と言っても魔法兵団の宿舎に行く時に、一度受付をしてもらっただけのようで、最初は誰だか分からず、ピンときたジャニスさんが声を上げて、みんな思い出したようだ。
メアリーちゃんは元王宮仕えなので、顔見知りだったらしく、懐かしそうに挨拶をしていた。
ロビンさんが真面目に仕事をしているヨハン君を評価していて、今日のパーティーに声をかけたとの事だ。
事前に連絡も無しに連れて来て申し訳ないと謝っていたが、パーティーは人数が多い方が楽しいから大丈夫と、みんな笑顔で受け入れた。
みんな、私が住んでいた日本でのクリスマスというイベントを話すと、面白そうだという事で、24日を空けて来てくれたのだ。
私は、この世界でクリスマスができるなんて思わなかったし、まして恋人ができて一緒に過ごせるなんて、まるで夢のようだととても幸せな気持ちになった。
ロビンさんの奥さんは初めて見たけれど、パトリックさんが母親ゆずりと言っていたように、パトリックさんと同じシルバーグレーの髪をしていた。小柄で愛嬌があり、とても柔らかい雰囲気の人だった。
今までなかなかお会いする機会が無かったので、私は今日初めてご挨拶をしたけれど、緊張している私に笑顔で優しく言葉をかけてくれた。
「パトリックの母の、モニカ・ファーマーです。夫から毎日のようにヤヨイさんのお話しを聞きますので、なんだか初対面という気がしないわ」
モニカさんは、気心の知れた友人と話すような柔らかい口調だったので、私もほっとして固さが少しとれた。
ロビンさんは最初からぐいぐい来て、いつの間にか普通にお話しできるようになっていたけれど、恋人のお母さんへのご挨拶となると、やはりとても緊張していたのだ。
でも、しばらくモニカさんと二人で話してみると、モニカさんが私に好印象を持ってくださったのが伝わって来て、私達はいつの間にか二人だけで盛り上がってお話しをしていた。
「夫の言う通りね。ヤヨイさん、普通にしているように見えるけど、佇まいにどこか品が感じられるわ。そして、パトリックに対しての愛情も伝わってきて、母親としてとても嬉しく思います。ヤヨイさん、できれば家族として迎えたいから、パトリックに愛想つかさないでね?」
最後のところは冗談ぽく口にしたので、私とモニカさんは顔を合わせて笑った。
家族・・・この孤児院のみんなも私は家族だと思っている。
だけど、お嫁に行って本当の意味での家族、家庭を持つ事が私にもできるんだ。
「はい!私こそ愛想つかされないように、パトリックさんを支えて見せます」
私の言葉に、モニカさんはとても優しい笑顔を見せて、よろしくお願いしますね。と言葉をかけてくれた。
パーティーも進み、みんなそれぞれ料理を手に取りながら、自由に過ごしている。
私とパトリックさんは、広間の片隅でイスに腰をかけながらお話しをした。
「パトリックさん、これ気に入ってくれると嬉しいんですが、クリスマスプレゼントです」
私はクリスマスらしく、赤と緑のストライプのリボンを付けた包装紙を、パトリックさんに手渡した。
「ヤヨイさん、ありがとうございます。開けていいですか?」
気恥ずかしくなってしまい、少し目を伏せて頷くと、パトリックさんは包装紙を開けてマフラーを取り出した。
マフラーは、少し暗めのブラウンの糸で編んだ。
メアリーちゃんに毎日教えてもらいながら編んだ。頑張ったけど初めてだし、私はあまり器用ではないから、上手にはできなかった。
それでも毎日パトリックさんの事を考えて、心を込めて編んだ。
不格好だけど、気持ちが伝わってくれたら嬉しいな・・・
「ヤヨイさん、似合いますか?」
私がうつむいていると、パトリックさんがマフラーを首に巻いて、少し照れたように頬を掻いて笑いかけてくれた。
「俺、マフラーは子供の頃以来で、久しぶりなんです。暖かくて良いですね。嬉しいです。ありがとうございます」
喜んでくれている。
頑張って編んで良かった。
「似合ってます!パトリックさん」
パトリックさんは、いつものように顔を赤くすると、着ているジャケットの内ポケットから、少し細長くて包装された物を取り出し、俺からもプレゼントです。と言って渡してくれた。
開けてみるとピンクゴールドの細いチェーンに、とても透明感のある小さな石の付いた、ネックレスだった。
「・・・綺麗・・・パトリックさん、ありがとうございます。私、こんな素敵なネックレス初めて見ました。とっても嬉しいです!」
私も石はあまり分からないけれど、この世界特有の宝石かなにかだろうか?
見る角度によって、ほんのり青みを帯びて見える。まるで太陽の光に照らされて見える海の青のようだ。
「その、俺も宝石は詳しくないんですが、街に来ていたロンズデールの行商から買ったんです。その石は海の宝石と言って、海の石が、太陽と月の光を吸収して宝石に変わった物だそうです。どれがヤヨイさんに似合うか考えて選んだんですが、喜んでもらえて良かったです」
「・・・海の宝石というのですね。名前も素敵ですね。パトリックさん、付けてもらえますか?」
私は髪を束ねてすくい上げ、背中を向けると、パトリックさんが明らかに動揺しているのが、後ろを見なくても伝わって来た。
自分でも付けれるけど、最初はパトリックさんに付けてほしいと思った。奥手のパトリックさんには少し意地悪かもしれないけれど、嬉しかったからパトリックさんに付けてほしい。
ぎこちない手つきでパトリックさんは、私の首にネックレスを付けてくれた。
胸元で光る宝石が、とても綺麗だった。
「パトリックさん。本当に嬉しいです。宝物ができました」
「はい。俺もこのマフラーが宝物になりました。大事にします」
私はパトリックさんに微笑み、パトリックさんは私に微笑んでくれる。
この世界で初めてのクリスマス。
そしてプレゼント交換。
一つ一つ、思い出が増えていく。
また来年もこうしてクリスマスを迎えられたら嬉しいな。
孤児院で初めてのクリスマス会が開かれた。
正体客は、ジョルジュさん親子と、ロビンさん親子、そしてエロール君と、もう一人、ヨハン・ブラント君という15歳くらいの男の子が来た。
この、ヨハン君という少年は、ブレンダン様、タジーム王子、ウィッカーさん、ジャニスさんは、一度だけ面識があったようだ。
と言っても魔法兵団の宿舎に行く時に、一度受付をしてもらっただけのようで、最初は誰だか分からず、ピンときたジャニスさんが声を上げて、みんな思い出したようだ。
メアリーちゃんは元王宮仕えなので、顔見知りだったらしく、懐かしそうに挨拶をしていた。
ロビンさんが真面目に仕事をしているヨハン君を評価していて、今日のパーティーに声をかけたとの事だ。
事前に連絡も無しに連れて来て申し訳ないと謝っていたが、パーティーは人数が多い方が楽しいから大丈夫と、みんな笑顔で受け入れた。
みんな、私が住んでいた日本でのクリスマスというイベントを話すと、面白そうだという事で、24日を空けて来てくれたのだ。
私は、この世界でクリスマスができるなんて思わなかったし、まして恋人ができて一緒に過ごせるなんて、まるで夢のようだととても幸せな気持ちになった。
ロビンさんの奥さんは初めて見たけれど、パトリックさんが母親ゆずりと言っていたように、パトリックさんと同じシルバーグレーの髪をしていた。小柄で愛嬌があり、とても柔らかい雰囲気の人だった。
今までなかなかお会いする機会が無かったので、私は今日初めてご挨拶をしたけれど、緊張している私に笑顔で優しく言葉をかけてくれた。
「パトリックの母の、モニカ・ファーマーです。夫から毎日のようにヤヨイさんのお話しを聞きますので、なんだか初対面という気がしないわ」
モニカさんは、気心の知れた友人と話すような柔らかい口調だったので、私もほっとして固さが少しとれた。
ロビンさんは最初からぐいぐい来て、いつの間にか普通にお話しできるようになっていたけれど、恋人のお母さんへのご挨拶となると、やはりとても緊張していたのだ。
でも、しばらくモニカさんと二人で話してみると、モニカさんが私に好印象を持ってくださったのが伝わって来て、私達はいつの間にか二人だけで盛り上がってお話しをしていた。
「夫の言う通りね。ヤヨイさん、普通にしているように見えるけど、佇まいにどこか品が感じられるわ。そして、パトリックに対しての愛情も伝わってきて、母親としてとても嬉しく思います。ヤヨイさん、できれば家族として迎えたいから、パトリックに愛想つかさないでね?」
最後のところは冗談ぽく口にしたので、私とモニカさんは顔を合わせて笑った。
家族・・・この孤児院のみんなも私は家族だと思っている。
だけど、お嫁に行って本当の意味での家族、家庭を持つ事が私にもできるんだ。
「はい!私こそ愛想つかされないように、パトリックさんを支えて見せます」
私の言葉に、モニカさんはとても優しい笑顔を見せて、よろしくお願いしますね。と言葉をかけてくれた。
パーティーも進み、みんなそれぞれ料理を手に取りながら、自由に過ごしている。
私とパトリックさんは、広間の片隅でイスに腰をかけながらお話しをした。
「パトリックさん、これ気に入ってくれると嬉しいんですが、クリスマスプレゼントです」
私はクリスマスらしく、赤と緑のストライプのリボンを付けた包装紙を、パトリックさんに手渡した。
「ヤヨイさん、ありがとうございます。開けていいですか?」
気恥ずかしくなってしまい、少し目を伏せて頷くと、パトリックさんは包装紙を開けてマフラーを取り出した。
マフラーは、少し暗めのブラウンの糸で編んだ。
メアリーちゃんに毎日教えてもらいながら編んだ。頑張ったけど初めてだし、私はあまり器用ではないから、上手にはできなかった。
それでも毎日パトリックさんの事を考えて、心を込めて編んだ。
不格好だけど、気持ちが伝わってくれたら嬉しいな・・・
「ヤヨイさん、似合いますか?」
私がうつむいていると、パトリックさんがマフラーを首に巻いて、少し照れたように頬を掻いて笑いかけてくれた。
「俺、マフラーは子供の頃以来で、久しぶりなんです。暖かくて良いですね。嬉しいです。ありがとうございます」
喜んでくれている。
頑張って編んで良かった。
「似合ってます!パトリックさん」
パトリックさんは、いつものように顔を赤くすると、着ているジャケットの内ポケットから、少し細長くて包装された物を取り出し、俺からもプレゼントです。と言って渡してくれた。
開けてみるとピンクゴールドの細いチェーンに、とても透明感のある小さな石の付いた、ネックレスだった。
「・・・綺麗・・・パトリックさん、ありがとうございます。私、こんな素敵なネックレス初めて見ました。とっても嬉しいです!」
私も石はあまり分からないけれど、この世界特有の宝石かなにかだろうか?
見る角度によって、ほんのり青みを帯びて見える。まるで太陽の光に照らされて見える海の青のようだ。
「その、俺も宝石は詳しくないんですが、街に来ていたロンズデールの行商から買ったんです。その石は海の宝石と言って、海の石が、太陽と月の光を吸収して宝石に変わった物だそうです。どれがヤヨイさんに似合うか考えて選んだんですが、喜んでもらえて良かったです」
「・・・海の宝石というのですね。名前も素敵ですね。パトリックさん、付けてもらえますか?」
私は髪を束ねてすくい上げ、背中を向けると、パトリックさんが明らかに動揺しているのが、後ろを見なくても伝わって来た。
自分でも付けれるけど、最初はパトリックさんに付けてほしいと思った。奥手のパトリックさんには少し意地悪かもしれないけれど、嬉しかったからパトリックさんに付けてほしい。
ぎこちない手つきでパトリックさんは、私の首にネックレスを付けてくれた。
胸元で光る宝石が、とても綺麗だった。
「パトリックさん。本当に嬉しいです。宝物ができました」
「はい。俺もこのマフラーが宝物になりました。大事にします」
私はパトリックさんに微笑み、パトリックさんは私に微笑んでくれる。
この世界で初めてのクリスマス。
そしてプレゼント交換。
一つ一つ、思い出が増えていく。
また来年もこうしてクリスマスを迎えられたら嬉しいな。
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